真・恋姫†無双-白き旅人- 第八章
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「平和だな〜」

 

「平和ですね〜」

 

 

ある晴れた空の下

温かな太陽の光に目を細め、二人の男女が草むらに座っていた

 

一人はフードのついた白い外衣を身に纏い、その手に一本の大きな杖を持った青年

司馬懿、字を仲達

本名は北郷一刀・・・三年前に消えたとされる、天の御遣いである

 

もう一人は大きなとんがり帽子を被った、背の小さな少女

鳳統、真名を雛里である

 

彼らは草むらに座り込み、空を見上げゆったりとしていたのだ

 

 

 

「あ〜、本当に平和だな」

 

「そうですねぇ」

 

 

言って、二人は微笑む

その頬を、風が吹き抜けていった

 

 

・・・いや、訂正しよう

 

 

 

 

 

 

“凄まじい風圧が、2人の間を吹き荒んでいった”

 

 

 

 

 

「雛りん、ヤバい

今の風で、ちょっと頬が切れたよ」

 

「あわわ・・・やっぱり現実から目を逸らしたってなんの解決にもなりませんね」

 

 

何故?

そのように、風が吹き荒れているのか?

 

原因は、至って簡単だ

その、原因というのは・・・

 

 

 

「あ〜、もう!!

なんやねん!!

昨日から、一刀にベタベタベタベタ・・・何様や、こらぁ!!!??」

 

「あら、一刀だって嫌がってないんだし別にいいじゃない♪」

 

「ウチが、嫌やねん!!」

 

「あっれぇ?

もしかして、嫉妬してるの〜?」

 

「ぐ・・・わ、悪いかぁ!!?

三年やぞ!?

三年ぶりに会ったいうんに、一刀ときたら鈍感やし女ときたらすぐにデレデレするし!!!!」

 

 

 

 

 

一刀達の視線の先

それはもう凄まじい速度で偃月刀と剣を振り回す、二人の武人によるものだったのだ

一人は紫色の髪を大きく揺らし、目にも止まらぬ速度で偃月刀を振るう女性

張遼、真名を霞だ

 

もう一人は、これまた同じくらいの速さで剣を振るう桃色の髪をした女性

孫策、真名を雪蓮である

 

2人は先ほどからずっとこの調子で、刃をぶつけ合っていたのである

言ってしまえば、所謂“喧嘩”だ

その原因というのも、霞が言っていたとおりである

 

霞曰く“一刀にベタベタしすぎだ”と

雪蓮曰く“一刀は嫌がっていないし、別にいいじゃない”と

 

先ほどから、このような言い分の繰り返しである

 

因みに・・・一刀のすぐ傍

僅かにある砂場で、一人の女性が“棒倒し”をしていた

華雄である

彼女は霞たちの放つ風圧も、まるでそよ風の如く

黙々と、棒倒しに勤しんでいたのだ

そのくせ、たまに飛んでくる石などは躱すのだから

生粋の武人というのは、凄いものである

 

 

「なぁ華雄、楽しい?」

 

「うむ・・・何故だろうな

久しぶりにやってみたら、ハマってしまった

へ、変だろうか?」

 

「いや、いいんじゃないかな

たまには、こういうのも」

 

 

言って、一刀はだらしなく頬を緩ませた

上目使い+赤くなった頬

その何とも可愛らしい華雄の姿によってだ

そうとも知らずに彼女は、“そ、そうか”と嬉しそうに言うと再び黙々と一人棒倒しを再開する

 

そんな光景を見つめ

彼は静かに目を閉じ呟くのだった

 

 

 

 

「あ〜、ほんとに・・・平和だ」

 

 

 

 

これは、賑やかな五人の

とある休日のお話・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪真・恋姫†無双-白き旅人-≫

第八章 あわてないあわてない、一休み一休みイクゾオラアァァァァァアアアアア!!!

 

 

 

 

 

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ーーーー†ーーーー

 

建業の地より、数日歩いた先にある・・・小さな街

そこに、一刀達はいた

無くなってきた水と食料、その他旅に必要なモノを揃えるためである

それと同時に、今後のことを相談し・・・しばしの休憩を取ることとなったのだ

 

そんな中、明るい街中を一刀は歩いていく

その手に、一枚の紙と幾つかの荷物を持ちながら

 

 

「水と食料は、まぁこんなもんでいっか」

 

「そうですね

“次の目的地”までもてばいいですし

他のモノも、問題はなさそうです」

 

 

隣を歩くのは雛里である

彼女はそう言うと、フッと笑みを浮かべた

 

 

「買い物は、これで終わりですね」

 

「そうだね

あとはこれを宿に置いて来て・・・その後は、どうしよっかな」

 

 

言って、一刀は少し考える

 

現在、霞と雪蓮は昨日の続き

つまりは、壮絶な喧嘩の真っ最中

いい加減に落ち着いてもらいたいものだが、あの中にツッコんでいく勇気は一刀にはない

 

華雄は、一人鍛錬に勤しんでいるらしい

毎日欠かさず繰り返す様は、流石は武人といったところか

ともあれ、武闘派三人組はそれぞれに過ごしているのだ

 

 

 

「あ、あのっ!」

 

「ん・・・?」

 

 

ふと、かけられた声

それが自身の隣を歩く雛里のものだと気付くと、彼は考えるのを一時中断し微笑を浮かべる

 

 

「雛里ちゃん、どうかしたの?」

 

「えっと、その・・・」

 

 

頬を赤らめながら、モジモジとしだす雛里

その様子を不思議そうに眺める一刀だったが、やがて雛里は意を決したのか大きく口を開け言葉を紡いだ

 

 

 

 

「この後、よろしければ・・・一緒に、ご飯を食べに行きませんか!?」

 

 

 

 

雛里の言葉

一刀は一瞬キョトンとした後、ニッと笑う

それから彼女の頭をポンと撫でると、こう言ったのだ

 

 

「喜んで、ご一緒させてもらうよ」

 

「・・・あ、ありがとうございます!!」

 

 

言って、嬉しそうに微笑む雛里

そんなこんなで、二人のこの後の予定は決まったのだった・・・

 

 

 

 

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ーーーー†ーーーー

 

 

「あ〜、疲れたぁ」

 

「ホンマやなぁ」

 

 

ゼェゼェと息を切らし、草むらに寝転がる二人

霞と雪蓮

流れる汗を拭い、見あげた空は・・・眩しい程の蒼

 

そんな空に、二人は目を細めていた

 

 

「それにしても・・・相変わらず、速いわねぇ」

 

「そっちこそ・・・腕は衰えとらんようやな、小覇王」

 

 

言って、霞は微笑む

それに対し、“まあね”と雪蓮も微笑んだ

 

 

「にしても、話には聞いてたけどさ・・・」

 

「なんや?」

 

「霞って・・・いえ、霞だけじゃないわね

魏の皆ってさ、本当に一刀のことが好きなのね」

 

 

雪蓮はそう言って笑う

それに・・・霞は、“当たり前や”と苦笑する

 

 

 

「三年間・・・一日だって、一刀のことを忘れたことはないで

それは、他の連中も同じや

皆、一刀のことが大好きなんや」

 

「そっか・・・」

 

 

霞の言葉

雪蓮は、“凄いわね”と微笑む

 

 

「雪蓮は・・・どう、思っとるん?

一刀のことを」

 

「一刀のこと、ね・・・」

 

 

フッと、笑みを浮かべたまま見上げた空

自分達の真上で眩しく輝く太陽を見つめたまま彼女は呟く

 

 

 

「好きよ♪

もしかしたらこれが、噂に聞く“一目惚れ”ってやつかしら?」

 

「知らんがな、ウチに聞かんといてや」

 

 

 

言いながら、霞はその場から立ち上がる

それから雪蓮を見つめ、不敵に笑ったのだ

 

 

 

「けど、そんならウチらは好敵手・・・一刀の言葉を借りるなら、“ライバル”やな」

 

 

霞の言葉

“ふふ”と、雪蓮は笑った

 

 

「あら、いいわねそれ

退屈も潰せて、一刀も手に入る・・・一石二鳥じゃない♪」

 

「残念やけど、退屈が潰れるだけやと思うけど?」

 

 

 

 

 

 

ピシリ・・・空気が、凍る

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、欲張るのは良くないわよね

てことで、貴女の退屈を潰してあげるから・・・一刀は貰うわよ?」

 

「させると思うか?」

 

「あら、私は本当にやるわよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー間ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「「上等っ!!!!」」

 

 

叫び、駆けだす2人

太陽が真上ということは、お昼ご飯にはちょうどいい時間だろう

そのことに気付き、二人はただ一言叫び駆け出していたのだ

 

 

“一刀と二人きりで、ご飯を食べるのは自分だ”と

そのような意味を、心の中叫びながら・・・

 

 

 

 

 

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ーーーー†ーーーー

 

 

「「一刀っ!!!!」」

 

 

“ダンッ!!”と、勢いよく開かれた扉

その扉から、これまた勢いよく入っていくのは先ほどの2人

霞と雪蓮だ

 

しかし、そんな二人の勢いも部屋に入った直後に消え去ってしまう

 

 

 

「「あ、あれ・・・?」」

 

 

 

いないのだ

その部屋には、北郷一刀の姿がなかったのだ

 

 

「いったい、何処に・・・」

 

「ん・・・?

雪蓮に霞じゃないか

二人して、どうしたのだ?」

 

「華雄・・・」

 

 

そんな二人の背後から、ふとかけられた声

華雄である

彼女は経った今鍛錬が終わったのか、手に持った布で汗を拭いながら二人の傍まで歩み寄った

 

 

 

「あんな、一刀がおらんねん」

 

「一刀が?

ああ、そういえば先ほど食料などを買いに行った後・・・雛里と二人で、食事へ行ったみたいだな」

 

「「雛里と・・・二人で?」」

 

「ああ、そうだ

私は鍛錬の途中だったから、遠慮させてもらったのだが・・・」

 

 

言い掛けて、華雄はふと自身の体にかかった不思議な浮遊感に首を傾げる

それと同時に、凄まじい速度で雪蓮と霞が駆け出していったのだ

 

 

 

“華雄の体を、抱え上げたまま”、だ

 

 

 

 

 

 

「・・・って、ちょおおおぉぉぉおお!!!???

なんだ、この急展開!!!??」

 

「アカン!!!油断しとった!!!!」

 

「まったくね!!

普段“あわわ、BL美味しいです(^ω^)”とか言うような子だったから、私もすっかり油断してたわ!!」

 

 

“まさか、先を越されるなんて”と、二人は苦虫を噛み潰したような表情で呟く

仲良く華雄を抱えたまま、全速力で駆けながら・・・

 

 

 

「いや、だからちょっと待て!?

普通に待て!!?

私、関係なくないか!!?」

 

「関係あるわよ?

貴女だって、一刀のこと好きでしょ?」

 

「な、なあぁぁぁぁあ!!!?

一刀のことが、すすすすすすスキぃぃぃぃい!!!??

ば、おまっ、そそそんな・・・」

 

「あ〜、はいはい

そんなベタな反応はええから、早ういくで!!」

 

「というか、だ!!

まずは私を下ろせっ!!」

 

「いやよ、面倒くさい」

 

「そや、その時間すら勿体ない!!」

 

 

 

 

 

 

「こっちの方が面白いじゃない♪」

 

「こうしてる間にも、あのトンガリ腐女子が一刀に何かするかもしれへんやろうが」

 

 

 

 

 

 

「おい、コラ!!

一人、なんか納得できないこと言ってるぞ!!!??」

 

「気にしない気にしない♪」

 

「お前だ、コラ!

ちょっとは気にしろよおぉぉぉぉおおお!!?」

 

 

華雄の叫びも空しく

哀れ華雄

 

彼女はそのまま、勢いよく運ばれていくのだった・・・

 

 

 

 

 

 

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ーーーー†ーーーー

 

 

「華雄さん・・・?」

 

 

ふいに、彼女は呟く

そのまま見つめた窓の向こう・・・相変わらずの青空に、可愛らしく首を傾げた

 

 

 

「どうしたの、雛りん?」

 

「い、いえ・・・にゃんだか、華雄さんの叫び声が聞こえた気がして」

 

「聞き間違いじゃないかな?(また噛んだな)」

 

「しょ、しょうでしゅよね」

 

「雛りん、ごめん

スルーしようと思ってたけど、流石に“二連噛み”は無理だよ」

 

「あわわ!?

ご、ごめんくださいっ!!」

 

「はい、いらっしゃい〜ってコラ

今度は凄まじい言い間違いだよ!?」

 

 

 

雛里の“噛みスキル”は、今日も絶好調だった

 

まぁ、それはともかきゅ・・・ゴホン、ともかくだ

今二人は、街にある小さな食堂のような場所にいた

小さな街だ

小さな食堂といっても、この時間帯だ

店内は、人で賑わっていた

 

 

 

「良い街ですね」

 

「うん、そうだね」

 

 

このような小さな街の中

乱世の頃では、考えられなかった光景

それが今、こうして少しずつ“当たり前”になりつつある

 

それが・・・二人には、嬉しい事だった

 

 

 

「さ、早く食べよう

温かいうちに、美味しく頂かないと」

 

「そうでしゅね」

 

「雛りん、血が

噛み過ぎで、ついに口から血が出てるから雛りん」

 

「だ、大丈夫でしゅ

これは、その・・・“鉄の味がするケチャップ”でしゅ!」

 

「血だよ、それはもう!

純度百%、血液だよ!!

間違いなく鉄分含んでるから!!!」

 

 

 

間違いなく血である

まぁそこまで噛んで、出血しない方がおかしいのだが

ともあれ、ひとまずは舌を休めるのが先決である

 

 

「とにかく、水で口を注いで・・・」

 

「なら、私は一刀の口に水を口づけで飲ませてあげるから

そしたら一刀はそれを、私に返してね」

 

「いや、それじゃ意味がないってうおわっ!!!??」

 

 

ガタンと席を立ち、一刀が見つめた先

一刀の隣の席

何故かそこに、汗だくの雪蓮がいたのだ

 

 

「それじゃ早速、水を飲むわね」

 

「ちょ、待て!

言ってない、誰もやるとは言ってない!!」

 

「わかっとる、ウチはわかっとるで一刀

一刀は、口だけじゃ満足でけへんもんな

このウチの谷間にも、水を注いだほうが興奮するんやもんな」

 

「わかってねーよ、何一つわかってねーよ

言いながら、服を脱ごうとしてる時点で何一つわかってねーよ」

 

 

“いや、それはそれで好きだけども”

 

そうツッコまれたのは、同じくいつの間にかいた霞である

因みに・・・

 

 

 

 

「お、オゥフ・・・」

 

 

 

 

何故か、お尻をおさえながら華雄が悶えていた

 

 

 

 

「か、華雄!?

いったいどうしたんだ!!?」

 

「か、一刀・・・あ、ありのまま起こったことを話すぞ?

私は鍛錬から帰ってきたはずだった

けどいつの間にか、こんな所にいたんだ

何を言っているかわからないかもしれんが、私にもわからない

超スピードなんてもんじゃない

もっと恐ろしいモノの片りんを以下略・・・」

 

 

因みに彼女が尻をおさえているのは、到着時に雪蓮と霞が同時に手を離しそのまま地面に尻を強打したためだ

ドンマイ、華雄

 

 

「大丈夫か?

ホラ、手を貸すから・・・」

 

「すまん、一刀」

 

 

差し出された手を掴み、立ち上がる華雄

彼女は軽く自身の尻をさすり、“ありがとう”と苦笑した

そんな彼女の姿に笑いを零しながら、彼が振り返った先・・・

 

 

 

 

「アンタがそのサラシを外すなら、私は・・・私はこの服を脱ぐことを、止めないいいぃぃぃぃいいいい!!!!」

 

「いいでぇ、こい、こいやぁ・・・ウチは、ここにいるうぅぅぅううう!!!!」

 

「あ、あわわ!!!!

お二人とも、やめてくだしゃーーーーーーい!!!!!」

 

 

 

 

地獄でした。ブスリ♂

 

 

 

 

 

「華雄・・・止めるの、手伝ってくれる?」

 

「ああ・・・そうだな」

 

 

 

数秒後

店中に、“胡椒”やら“唐辛子”やら“ウコン”やら“ジャスミン”の匂いがする煙が充満したそうな・・・

 

 

 

 

 

 

 

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ーーーー†ーーーー

 

 

「ゴホッ・・・」

 

 

軽く咳込み、見あげた空

月は、美しく光り輝いていた

その美しい夜空を眺めたまま、彼は微かに微笑む

 

 

「満月・・・か」

 

 

呟き、思い出す

いつか見た・・・“あの日の光景”

 

あの日、“全てが終わった夜”のこと

 

 

 

 

 

 

 

 

〜さよなら・・・愛していたよ、華琳〜

 

 

 

 

 

 

 

「あらん?

もう来てたのねん、“ご主人様”」

 

 

ふと、聴こえてきた声

とても野太く、“もうすっかりと聞き慣れてしまった声”に

 

彼は・・・口元の“赤”を拭い微笑んだ

 

 

 

「まぁね・・・今日は、満月だったから」

 

「そう・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう・・・一刻も早く私に会いたいからなんて、嬉しいこと言ってくれるじゃない♪」

 

「うん、言ってないよねそんなこと」

 

「大丈夫、安心してちょうだい

私はもう、いつでも準備バッチしだからん♪」

 

「あれ、おかしいな

“ひのきのぼう”の火力が勝手にMaxになっていくぞ?」

 

 

“冗談よん・・・”と、声の主は驚きながら言う

それに対し、一刀はクッと笑った後に・・・再び、軽く咳込んだ

 

 

「はぁ・・・」

 

「ご主人様・・・」

 

「ああ、気にしないでくれ・・・大丈夫、まだ“たった一つ”だから」

 

「そう、けれど・・・無理はしないでちょうだい」

 

「わかってるよ」

 

 

“任せてくれ”と、彼は笑う

その言葉に、声の主・・・筋骨隆々な体つきに、ピンクのビキニパンツ一丁の“変態”も笑った

 

 

 

「あ、あらん?

なんか今、間違ったナレーションが流れていなかったかしらん?」

 

「気のせいだ、変態・・・それよりも、だ

ここに呼んだってことは、なにか話があったんじゃないのか?」

 

 

“そうだったわん”と、変態は笑う

それから、おもむろに穿いているパンツの中に手をつっこみ・・・

 

 

「え〜っと、何処にやったかしらん」

 

 

モゾモゾと、漁り始めたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

(^ω^)?

 

 

 

 

 

 

 

「おい、おいおいおい・・・おいおいおいおい、ちょっと、待て、割とマジで

落ち着け、止まれ、いっかい探すのを止めろ

お前もしかして、いやもしかしなくても其処から取り出したもんを俺に渡す気じゃないだr・・・」

 

「あったわん♪」

 

「おまっ、見えた!

今なんか取り出した瞬間、見たくもなかった“性剣”がちょっと見えた!!」

 

「そうよん、これをご主人様に渡したかったのよん♪」

 

「そして間髪入れずに、近づけるんじゃない!!?

何これ!?

滅茶苦茶良い匂いなのが、逆に恐いんだけど!!!??」

 

 

ザッと、慌てて離れる一刀

そんな一刀の姿に、目の前の変態・・・“貂蝉”は、面白そうに笑う

 

 

「心配ないわよん

ご主人様の目の前にいたドラえもんが、四次元ポケットから道具を出したものだと思ってちょうだい」

 

「そんなドラえもんはいねーよ」

 

 

当たり前である

中の人も、まったくベクトルがちが・・・ゲフンゲフン

 

ともあれ、貂蝉曰く“四次元ポケット”から取り出されたモノを見つめ

 

一刀は、表情を歪めた

 

 

 

「これ・・・」

 

「私と卑弥呼・・・そして、“彼”と一緒に作ったモノよん」

 

 

 

言って、渡されたモノを・・・彼は、凄く嫌そうな顔で受け取り

そして懐へと仕舞った

 

 

「ああ、そっか

“そういうことか”」

 

「あらん、何かわかったのかしらん?」

 

「まあ、ね」

 

 

“なんとなく、だけど”と、一刀

彼はそれから貂蝉から距離をとり、ニッと笑みを浮かべ手を振った

 

 

 

「ありがとな、貂蝉

卑弥呼と・・・“アイツ”にも、お礼を言っといてくれよ」

 

「お礼って・・・そんなの、気にしなくてもいいのよん

むしろ、お礼を言いたいのはこっちなのに」

 

 

呟く、貂蝉

しかしその呟きも空しく、彼はその場から離れていく

 

もう、声は届かないだろう

 

 

「本当に、謝りたいくらいなのよん・・・」

 

 

それでも、貂蝉は呟く

 

 

「貴方に・・・このような、辛い道のりを歩ませてしまうことを」

 

 

例え、彼に聴こえなくとも

例え、彼に届かなくとも

 

 

 

 

 

 

 

「もう一度・・・“同じことを、繰り返させてしまうことを”」

 

 

 

 

 

 

 

貂蝉は、苦しそうに

本当につらそうに・・・その言葉を、吐き出したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

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ーーーー†ーーーー

 

翌日

その日もまた、晴天の空の下

旅支度をすっかりと済ませた五人は、街の出口に集まっていた

 

 

「さって、と・・・みんな、準備はいいかい?」

 

 

一刀の言葉

四人は、それぞれ笑みを浮かべ頷いた

それを満足げに見つめると、一刀は“雛里ちゃん”と声をかける

 

 

「それでは私たちはこれから・・・予定通り、目的地へと出発します」

 

「食料などは私が持とう

なに、丁度いい鍛錬になる」

 

「そんじゃ、ウチと雪蓮が他のこまいのもったるわ」

 

「そうね

考えるのは、雛里と一刀に任せるわ♪」

 

 

ウィンクし、見つめる先

一刀は苦笑し、“それじゃぁ”と言葉を紡ぐ

 

 

 

 

 

 

「それじゃ行こうか、皆・・・蜀の都、“成都”へと」

 

 

 

 

 

 

蜀の都、“成都”

 

そこが、次なる旅の目的地

 

白き旅人とそのお供は、成都への道のりを

 

ゆっくりと、歩き出したのだ・・・

 

 

 

 

 

 

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ーーーー†ーーーー

 

そして、場所は変わり・・・

 

 

 

「えぇい、もっと早く走らんのかっ!」

 

 

 

ここは、何処かの山の中

その中を、二人の女性が馬で駆けていた

 

 

「焦るな、姉者!

そのままでは、馬がバテテしまうぞ!!?」

 

「しかし・・・!」

 

 

言いかけ、彼女は言葉を止める

それから見つめた先

空は、憎くなるほどの青

 

 

「くそ・・・」

 

 

彼女は、“焦っていた”

それは何故か?

 

その理由を、隣を走る女性は勿論知っている

いや、彼女もまた焦っているのだ

 

だからこそ、彼女達は急いでいた

 

 

 

「早く、行かないと・・・」

 

 

 

 

呟き、見つめた先

その遥か先に、二人の目的地はある

 

 

向うのは“成都”

 

 

 

 

 

「必ず・・・必ずお前を見つけてやる、北郷っ!!!!」

 

 

 

 

 

 

蜀の都

成都

 

其の地を中心に、今まさに・・・“何か”が、始まろうとしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・続く

 

 

 

 

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☆あとがき☆

 

第八章、いかがだったでしょうか?

 

御遣い一行が揃ったらまず、全力でふざけるんだと当時から思っていました

この話で、それが叶ったかたちとなります。

 

今見てみると、このメンツで良かったなと思えるお話です

 

次回から、成都編になります

 

こちらも、内容の多少の変更を加えつつ、進めてまいりたいと思いますので

今後とも、よろしくお願いいたします。

説明
第八章です

今回は、閑話休題てきお話です

では、お暇をお潰し下さい


序章
http://www.tinami.com/view/1001073
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コメント
華雄が棒倒しは萌えるね(marumo )
どう見てもトラブルの種にしか見えない人達(特に姉)が成都に…一刀の女難は続くようですね。(mokiti1976-2010)
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