ショタ一刀のお祭巡り(紫苑+桔梗+??編)
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お互いに矢が尽きたことにより、残った二人が同列一位に。

勝敗を付けられなかったが、二人はその結果に満足していた。

試合を終えた二人は肩を並べながら受付に…息子娘が待つ場所へと向かう。

 

その最中…

 

「…ねぇ桔梗?」

 

「ん?なんじゃ紫苑」

 

「今から賭け勝負をしない?」

 

「賭け勝負?先程の勝負はつかなかったが…再戦でもするのか?」

 

「そんなんじゃないわよ、もっと単純よ。賞品は…」

 

「賞品は?」

 

「ずばり!一刀君との同衾権よ!!」

 

「!!??」

 

普段は城の中で皆で過ごしていた所だが、

祭期間中は、その雰囲気を味わおうと、皆どこかしらで宿等で宿泊する事になっていた。

紫苑、桔梗、璃々たちはいつも一緒に行動し、寝るときも璃々の希望により3人一緒に寝ることが多かった。

だが、この祭の期間中、たまにはどちらか一人だけと一緒に寝るのも…

という考えで、部屋は一緒だが寝台は二つ。どちらが璃々と寝るかはローテーション。

そこに一刀が加われば…

 

「どう?」

 

「っふ、愚問じゃな。参加しないと思うか?」

 

「ふふふ、そうね。それじゃ、勝負法はね…」

 

そして始まるルール説明。

・まずは受付に試合結果を普通に報告。

・参加者の身内の待合室にいる一刀と璃々を呼んできてもらう。自分達が行かないのが重要。

・母親達が来るのを今か今かと待っていた二人が、待ち望んでいた者が来たとなれば…

 「おかあさーん♪」と叫びながら走りよってくるのは間違いなし!

※一人に対して抱きつくことが出来るのは当然一人。必然的に一刀は片方に抱きつくことに。

 

「それで…一刀君が抱きついたほうが」

 

「勝ち、というわけか」

 

「ええ、難しくともなんともない。むしろ私達は立っているだけ」

 

「ならばこの勝負ワシが大いに有利だな」

 

「あら、どうしてかしら?」

 

「っふ、実の母親でありながら分らぬか?璃々は紫苑の娘。であるなら、

 母親の元に飛びつくのは当たり前のこと」

 

「あら、血は繋がってなくても桔梗も間違いなく璃々の母親よ?

 そんなことで決め付けるのは良くないことよ」

 

「ふむ、それもそうよの。まぁ、こればかりは本人達でも分らぬな」

 

「そうね。でも…だからこそ」(ニコリ

 

「賭け甲斐があるというものだな」(ニヤリ

 

艶妖な笑みを浮かべながら、二人は行く…愛しき者たちを迎えるために…

 

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報告、表彰、賞品は紫苑が受け取りました…基本二人というか4人は一緒になるからどっちが受け取っても換わらないから…

全て滞りなく終わらせて、後は…二人の子供を呼ぶだけ…

 

 

 

程なくして、待合室の扉が蹴り破らんばかりの勢いで開けられ、一刀と璃々が現れ、走って向かってくる。

走る方向からすると一刀が紫苑に、璃々が桔梗のもとに向かうと思われる。

二人の子供の可愛らしい姿に和みつつも、頭の片隅では、賭けの結果に紫苑は喜び、

桔梗は少々残念に思うもこれはこれでと思っていた。

 

だが…二人の予想は直前になって覆された。

残り数歩、跳べば一回で飛び込める距離に来たところで、璃々が躓いてしまった。

地面に向かって倒れようとする彼女を一刀が掴んで止めた。だが、倒れていく勢いを止めることはできなかった。

一刀はその勢いを遠心力に変えて、その場で回転する。そして思いっきり投げた。紫苑の方へ…

そして一刀自身も、投げたときの勢いに乗って、そのまま桔梗に向かって飛び込む。

 

「「どーーーーーーーーーーん!!」」

 

と、試合中に溜まった、母親の傍にいられなかった不満を吹っ飛ばすかの勢いで抱きついてくる。

二人もまた、長いこと待たせてしまったことに申し訳なく思いながら子供達を受け止めた。

 

「璃々、いい子にして待ってた?」

 

「うん!一刀くんと一緒にちゃんとお利口さんしてたよ♪」

 

「そうかそうか。一刀は待ってる間つまらなくは無かったか?」

 

「璃々ちゃんと一緒だったからつまんなくは無かったけど…」

 

「「けど?」」

 

「お姉ちゃんたちが帰ってくるのに、お母さんたちが帰ってきてくれなかったから…」

 

お母さんと自分たちのことを呼び、こんなにまで想ってくれる。

これを聞いた二人は大いに感動した。

 

「っく〜〜!嬉しいことを言ってくれるのぅ、一刀!!」

 

「わぷ!?」

 

感動の余り、桔梗は一刀を抱き上げて思いっきり抱きしめた。

一刀も全身で桔梗の温もりを感じて嬉しそうだった。窒息しそうではあったが…

 

「ちょっと桔梗。そんなに強く抱きしめたら一刀君が苦しそうでしょう…

 (そんなに見せ付けてくれなくてもいいのに…我慢できなくなっちゃうじゃない…)」

 

「おおっと、すまない。余りに嬉しかったものでな。

 では行こうか?」

 

そして4人は自分達に用意された部屋へを向かう。

 

 

 

部屋に着いた4人は、明日のことについて話しながら寝る準備をしていく。

そして、紫苑は璃々と、桔梗は一刀と共に、明日からの祭に心を躍らせながら布団の中へ…

 

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翌朝…

 

目を覚ました紫苑の目にまず入ってきたのは、あどけない表情で安らかに眠る我が娘。

愛おしそうに撫でてみると、気持ち良さそうにしてくれる。

そんな表情を見せられると起してしまうのが可哀想に思えてしまう。

ので…紫苑は、自分にしがみついている腕を起さないように注意しながらそっと解いていく。

そして布団から出てもう片方の寝台のほうへ視線を移す。

 

そこで彼女は見てしまった…親友の姿を…

 

顔を赤らめ…呼吸を荒くし…何故か指をぬらした状態でへたり込んでいる桔梗の姿を…

 

「…ど、どうしたの、桔梗?」

 

「ハァハァ…ゅ、油断した…」

 

「油断って…一体何があたの?」

 

「ああ、実は…」

 

そして語られていく…

 

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紫苑が起きる数分前…

 

4人の中で一番最初に目覚めた桔梗は、彼女の腕の中で眠る一刀を見る。

自分の腕を枕にして規則正しい寝息を立てて寝ている一刀を見て心癒されてくる。

 

「ふぅ…いつもはアレほど雄雄しい御仁が、なんとも可愛らしいことだ」

 

言いながら桔梗は一刀の頭を撫でる。その感触からも桔梗は癒されていく。

 

暫くそうしていると、撫でている手に反応して一刀は寝返りをうつ。

 

その拍子に…一刀の服が乱れ、露出が大きくなってしまった。

 

それは、無意識の内に生み出したチラリズム…

 

寝着の隙間から僅かにのぞく白く汚れの無い素肌…

 

あどけない表情で穏かな寝息をはくのは、桃のように甘美であろう唇…

 

見えそうで見えない、しかし見たい、が見てしまっては何かが終わってしまうと言う葛藤…

 

手をあと少し伸ばせば触れられる、その汚れの無い肌に…その唇に…

 

無意識のうちに桔梗は自らの手を一刀へと伸ばし…

 

「…っは!?な、なにをしておるのだ、ワシは!?

 相手はお館様ではなく、璃々と同じ幼き童!それをワシは…ワシはぁぁああ!?」

 

言葉に出してまで自分に言い聞かせ、片方の腕で止めようとするが、

一刀に向かう片手は、唇に触れるまであと数cmのところで震えている。

 

その震えを、触れるか触れないかと言う微妙な所で起こる振動を察知した一刀は…

その指に向かって口を開け…咥えた!

 

「ッ――――――――――!!??」

 

突然の不意打ちに、桔梗は声になら無い声を上げた。が、直ぐに落ち着きを取り戻す。

 

「…まぁ、童なのだからな…寝ているときには無意識にこうゆうこともしようの?」

 

子供の、いや…もっと言えば赤子のような一刀の行動に、桔梗は緊張を解いた。

それがいけなかった…

 

咥えられてから数秒は赤子のような一刀に和んでいたが、その口の中では…

桔梗が…桔梗の指が蹂躙されていた。

 

…チュル…チュパ…ピチャ…チュプ…

 

桔梗の指を撫でるように、くすぐる様に動き回る一刀の舌使い…

 

すがりつく様な、それでいて儚い吸い付きの力…

 

「(う…ん…な、なんだ!?この感覚は…)」

 

口の中だからこそ、何をされているのかを見ることが出来ず、感じることしか出来ない…

 

「(わ、ワシが…こ、このよぅっ…このような童に…し、舌でな、なめられ)」

 

振り払おうにも、指から伝わる感触に、徐々に力が抜かれていく…

 

「(お、お館様を…舌で絶頂させたワシが…一刀にイかされ…い、イってしまうぅ!?)」

 

もはや立っている力さえも抜けへたり込み、もう後ちょっとで絶頂に達してしまうその瞬前…

 

チュッポン!

 

一際高い音と共に、その指は開放された…

 

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「…………と、いうわけ…だ」

 

言い終えた途端限界が訪れたのか、桔梗は突っ伏してしまった。

 

それを聞いて紫苑は…驚愕し戦慄していた…

 

あの桔梗が…共に愛する主を襲いその豊満な身体を駆使して絶頂に至らせることができたあの桔梗が…

今の、子供になってしまった一刀の無意識の内に指をなめる行為だけでここまでされたことに…

 

紫苑は一刀の方を見る。今彼は丸めた体を布団で覆っている、いわゆる団子虫状態で寝ている。

 

拭い去れぬ興味と共に、意を決して紫苑は近づく。

 

包められた布団を剥ぎ取ろうと手を近づけたところで…布団が盛り上がった。

 

「…ぅんにゅ〜……」

 

布団が払われると、そこには、相変わらずチラリズムを兼ねそろえたままの一刀が目をこすりながら現れた…

 

「(なるほどね…確かに、なんというか…そそられてしまう格好ね)

 おはよう一刀くん?」

 

「むにゃ…おはよーシオンお母さん…Zzz」

 

「ほぅら、せっかく起きたんだから二度寝しないの。

 あの桶の水を使って顔を洗いなさい」

 

「は〜〜〜ぃ」

 

紫苑の指示を素直に聞き、桶のところに行き…顔ごと突っ込んだ…

一秒ほどブクブクと泡音を鳴らしてから「っぷは!?」と思いっきり起き上がった。

恐らく寝ながら桶の水に顔を突っ込みながら呼吸し、吸う際に水を思いっきり吸い込んでしまったのだろう。

 

「(あ〜…かわいいわねぇ。ご主人様ならここで接吻でもすれば可愛らしく慌てながら目を覚ますけど…これはこれで)

 ほら、一刀君はもう起きたわよ璃々ももう起きなさい」

 

「ぅん…むにゅぅう…ふわぁぁ…おはようカズトくん、お母さん」

 

「おはようリリちゃん」

 

「(私より先に一刀君に挨拶するなんて…)おはよう璃々。

 桔梗…貴女も何時までも突っ伏してないで起きて頂戴」

 

「ハァ…ハァ…そ、そうだな…おはよう一刀、璃々」

 

「「おはよう桔梗お母さん!」」

 

朝の挨拶を交し合った4人は朝食を食べに食堂へと向かう。

そこでは談笑を交えながらつつがなく食べ終えましたとさ。

 

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祭の二日目、紫苑・桔梗・璃々・一刀の4人一緒での祭の一日目。

 

この日は璃々の希望により衣類関係が立ち並ぶ一画へと来ていた。

天の御遣いこと北郷一刀発案の衣装開発・販売によって起こった衣装革命は、

今や大陸全土に広がり、各地独特の個性溢れる衣装、そこに一刀が出す衣装を織り交ぜた品、

それらの全てがこの祭で出されているのだ。

 

4人がやってきたのは、この町で一番大きな衣類店。

一刀が一番初めに天界の衣装の案を出し、開発し、販売を始めた店だ。

それら衣装の全てが、老若男女全ての人気を得て、店頭に置けばその日のうちに瞬く間に売切れてしまうほど。

お陰で、その見せは今やチェーン店の本店のような地位に立ち、店自体も1つの豪邸ほどの大きさになっていた。

 

店に入って璃々は目の前に広がる光景に眼をこれでもかというくらいに輝かせる。

祭の為に商品の種類も数もかなり用意されたために、いつも以上に煌びやかな店内。

他の三人も璃々程ではないが楽しみにしていた。

 

「ねぇねぇお母さん、今日ってたくさん買ってくれるんだよね!」

 

「ええ。お祭だから普段よりも安いし、それにご主人様と仲良しの店長さんから商品券ももらってるから。

 今日は私達もたくさん買い物できるわよ」

 

「やったーーーーー!」

 

この祭、この店で用意されているイベントは商品券だけではなかった。

一定枚数以上の買い物をすれば、買った分だけ安くなったり、

ミニ衣装コンテストみたいなものが開催され、上位に入ったものにはその衣装が無料進呈されたり、

場亜間世得流(バーゲンセール)なるものも開催されたりするのだ。

 

それではこれより、店内での出来事をお話しましょう…

 

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『璃々ちゃんの服選び』

 

紫苑はひとつの試練を璃々に与えていた。

その試練とは…”自分で服を選んでみなさい”だ。

 

自分の外見を理解し、どのような服を着、どのような装飾品で着飾ればより自らの魅力を引き出せるか。

未来はどうなるかは分からないが、一刀に「紫苑は綺麗だよ」と迷わず答えられる容姿の娘ならば、

娘も同様に美しくなるであろう。ならば、お洒落に関しては今からでもその技術を身につけて損は無い。

幼少の頃から培われる技術は大人に成ればすさまじいものとなるであろう。

 

で…最初に選んできたのは…

 

「もぅ璃々ったら…これもご主人様の影響なのかしら?」

 

少々呆れながらもその姿に微笑を浮かべている。璃々のメイド服に…

一言で表すならば詠のメイド服の色を変えて桃色がベースとなっているもの。

 

「リリちゃんかわい〜よ!」

 

「えへへ〜、これで璃々もおとうさんのめいどさんになれる?」

 

「うふふ、璃々がめいどになったらご主人様も喜ぶでしょうね。そのときは皆でやりましょう?」

 

「ぬ?皆ということはワシもか?」

 

「もちろんよ。桔梗も思い出してみて、この服を着ている月ちゃん詠ちゃんを見ているご主人様の表情」

 

「ああ…確かに、いつも以上に緩んでいるな。鼻の下もかなり伸びているしの」

 

「でしょう?その服を私達が来てご主人様の元にいけば…」

 

「「………(ニヤリ」」

 

なにやら暗躍している様子…気を取り直して二着目…

 

「ほおぅ…なんというか違和感が感じられませんな」

 

僅かに光を反射する材質で作られた妖精(ティンカーベルを想像してください)の格好。

獣耳の発想はあったものの(南蛮勢)、羽を使った衣装の発想は無かった。

そして発案してみればこれまた好評。そして数々の羽をあしらった衣装が開発され、これもその1つ。

 

「うわぁーーー…リリちゃん妖精さんみたいできれ〜」

 

「不思議ね…透けて見える鳥のではない羽なんか、衣装だけ見たらどうかと思ったけど、璃々が着ると神秘的に見えるわ」

 

「ああ。正に璃々のような可愛い少女のためにある衣装であるな!」

 

かなり好評のようで…そして三着目…

 

「「…………」」

 

二人は無言だった…目の前にいる璃々の…スク水(紺色、”りり”と書かれている)姿を見て…

 

「おおー!スクール水着だ〜」

 

「…確か、天界の言葉で”すくーる”が学校を意味して、水着というのは泳ぐために特化した衣装だったわね?」

 

「お館様に聞いた限りでは…学生全員統一させて着せるものだとか…幼女限定で…」

 

「確かに似合っているけど…敢えて私達が着てみたら」

 

「「………(ニンマリ」」

 

メイド服のときよりも更に黒い陰謀が!?この二人のスク水姿…パネェ!?

 

その後も普通の服、お洒落な服、璃々には明らかに早い服、etc…と数々の試着会が開催され、

何着かの服を購入した。因みに、3人お揃いのメイド服とスクール水着(紫苑、桔梗は白)も購入しました…

 

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『一刀くんの服選び』

 

二人は楽しみにしている。服屋の中を見て回って彼、一刀が何を着てくるのかを…

子供であれど彼は天界出身。ならば天界の子供はどのような服に興味があるのか?

 

早速一着目…

 

「しんじつはいつも1つ!!」(ズビシッ!

 

自信満々で一刀は三人に向けて指を刺し叫んだ。

追跡機能の無い伊達眼鏡、変声機能の無い蝶ネクタイ、キック力の上がらないシューズ、

ここまで言えばどんな格好かお分かりでしょう?そして三人の感想は…

 

「ぽ〜〜〜〜〜〜〜///」

 

「可愛らしく、微笑ましく、それでいて凛々しい…幼さの中に秘めた大人らしさ…ってところかしら?」

 

「そうだな…ところで紫苑」

 

「何?」

 

「思ったのだがな…目が悪いわけではないがこうして洒落として今一刀は眼鏡をかけている」

 

「ええ…それが?」

 

「見て分かるとおり大変似合っておる。童の容姿でこれならばお館様が着けてみれば…」

 

「「…………いい///」」

 

これで…元に戻ったときに一刀が伊達眼鏡をつけることが決まった…次行ってみよう!

 

「「「……( ゚д゚)……」」」

 

3人は呆然としていた…目の前にいる一刀、のはずの何かに…

一刀が選んできたのは…フルフェイス、フルアーマーのパワードスーツ…

全身を覆う屈強な装甲は黒光りし、表面は鏡のように辺りの景色を映している。

 

「…これは…鎧、でいいのかしら?」

 

「そうとしか言えんな…確かに強そうではあるが…」

 

「正直そうとしか言いようが無いわね…」

 

3人にとってコメントしづらい物であった…

装着している本人は、中ではしゃぎまわっていたが…

このとき二人は知らなかった…一刀(大人)と真桜がこのスーツを兵の正式装備にしようとしていることに…

 

3着目は、たまたま通りかかった三羽烏に選んでもらったものなのだが…

 

「「つーーーーーーーーー………」」

 

一刀の格好を見て…鼻血を抑えることが出来ずにいた。今の一刀の格好は…

 

体の半分を隠しとおせるほどの大きさの、モフモフフサフサの毛並みの尻尾…

 

見えそうで見えないという際どい短さの裾の、ミニスカ振袖浴衣(白)…

 

艶やかな腰まで届く長い黒髪(のカツラ)、そして掌サイズの獣耳…

 

一刀の女装姿に鼻頭まで血が上り、とどめに、

 

「一刀くんのお耳と尻尾ふわふわ〜♪」

 

「り、リリちゃ、ん…お耳そんなにさわぁあ…尻尾そんな風にされ、ヒャう!?」

 

璃々にとってはフカフカの布団を堪能するのと同じような感覚で一刀の尻尾や耳を触ったり撫でてるだけだが、

どういう原理かは知らないが、神経が通り敏感になっている箇所を愛撫され悶えている。

一刀の、顔を真っ赤に染め息を荒くし悶え乱れた服装が止めになり、鼻血を止めることができなかった。

 

一刀がどのようになろうと、璃々は止まることが無かった。お陰で更にすごいことに…

それを見た二人は…

 

「「(…もう…)我慢できない!!!」」

 

璃々と一緒になって一刀を堪能し始めてしまった!?

この日、この時、この瞬間、一刀(ショタ)は貞操を奪われ…はしなかったが、それに近いものを失いそうになった…

 

その後、いくつかの服を買ったが、璃々に比べるとまともなものがほとんどだった。

これは本人の希望ではなく、紫苑と桔梗が自分達の理性を抑えるためであった…もしも買っていたら……

 

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『女にとって…』

 

これほどまでに激しい死闘を、あなたは見たことがあるだろうか…

 

「おっしゃーーーー!こいつはもろうたでーーー!!」

 

「っく、流石は神速…だが、龍の名も伊達では無いぞ!!負けていられん!!!」

 

「どけどけーーー!全ては華琳様の為に!この場は私が制する!!」

 

「姉者を援護したい所だが…今回ばかりは皆が敵、私も全力で相手しよう!!」

 

「っは!ひよっ子どもが!儂自ら蹴散らしてくれるわ!!」

 

「祭殿、昔年の恨み…今こそ晴らして見せましょう!!」

 

「本気の冥琳って久しぶりね〜。私も負けていわれないわ!!」

 

「ここはうちらが気張らなあかんでーーーー!」

 

「そうなのーーー!凪ちゃんの為にも頑張っちゃうのー!!」

 

「真桜、沙和…二人の想いに答えるためにも、私も出よう!!」

 

「これ以上、普通って言われてたまるカーーーー!!」

 

「とっしー!ここはおいらがいただいちゃうからなー!!」

 

「今回ばかりは文ちゃんにも譲れないよ!!」

 

「キィイイーーーー!お二人とも私の元を離れて…もういいですわ!私自ら出て差し上げましょう!!」

 

「恋殿の為に!チンキュウキーーーーーーーーック!!!」

 

「桃香様の為に!私の前に立ち塞がるものは全て蹴散らしてやる!!」

 

「立ち塞がるもの、ここにいるぞーーーー!!」

 

「蒲公英には負けてられねぇ!!」

 

 

「既に始まっているわね…逝くわよ桔梗!」

 

「おう!」

 

武器を持たずに二人は三国の武将達が入り乱れる戦場に飛び込んでいく…

 

 

 

 

 

 

”バーゲンセール”という名の戦場に…

 

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時は昼食後…

 

服屋の近くで食事を取った4人は再び服屋へと戻ってきていた。

紫苑と桔梗は食後の運動代わりにとあるイベントに参加を決めていた。

そのイベントというのがバーゲンセールだ。

 

一刀(大人)の話では、バーゲンの買い物風景はさながら戦場、下手すればそれ以上のものだと…

そんな場所に子供(璃々と一刀)を連れて行けないと思い、どうしたものかと悩んでいると、

都合良く、傍を通りかかった恋に預けることにする。

恋も一刀の世話を出来ることが嬉しく、彼女の傍にいる動物達と一緒に遊ぶのだった。

 

動物達と戯れて楽しそうにしている一刀達を見て英気を養った後、二人は戦場へと向かう。

その英気を養っていた時間…思った以上に長かったらしく、セールは既に始まっていた。

 

そして前ページの状況に至ったわけだ…

 

何故これほどまでに集まったのかというと、セールに出されている商品のクオリティの高さが理由だ。

中には名家出身の者もいるので”安く”という部分に引っかかりを覚えていたりもしたが、

そのプライドを跳ね除けるほどの賞品や、このセール”限定”の賞品を目の当たりにして皆参加を決めた。

人間誰しも”限定”という言葉には弱いものだ…

 

そこに参加した全員は間違いなく戦闘時以上の力を出していた。

 

人ごみの中、僅かな隙間から標的である服を見つけ出す眼力…

 

鞭のようにしなり、矢の如く突き進み、標的に向かって伸びる腕…

 

一度掴んだら逃さぬ枷の如く、それでいて標的の服を破らないような絶妙な力加減…

 

邪魔が入らなければ目にも止まらぬ速さで自らの懐へと入り…

 

もし邪魔が入れば…この瞬間こそがバーゲンセールの醍醐味www!!!

 

服が破れる手前のギリギリ後から加減で引っ張り合う…

 

押さず、ただひたすらに引っ張る…狙った獲物を逃がさぬために…

 

そんな中、紫苑と桔梗はアイコンタクトと阿吽の呼吸で着実に標的を得ていた。

 

「(むっ!?紫苑、星の前!!)」

 

「(!?あれは…限定賞品の1つ!ここからなら私が近いわ、任せて!桔梗はその斜め右のをお願い!!)」

 

「(あれか、ぬ…祭殿も狙っている?これは負けられん!!)」

 

「(あぁ!翠ちゃんと蒲公英ちゃんがアレの取り合いを!?これは、横から攫っちゃうしかないわね!)」

 

以上、アイコンタクトによる会話でした…

言葉を発しないからこそ、二人の意思が分からず、標的を得ることに夢中になっていたものにとって不意打ちとなる…

 

 

 

数時間に及ぶセールの時間が終わったとき、二人の表情は一言で言うならば…至福!!

 

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夜、数多の戦利品を得た4人は一度宿に戻って荷物を置いてから、大中のタオルを抱えてある場所へと向かう。

向かった先は…銭湯!(これの説明はいいでしょう…)

 

番台にてシャンプー・ボディーソープを購入し、脱衣所にて服を脱いでいく。

一番早く脱ぎ終えたのは一刀だ。女性と違い男性の服はかなり単純。

他の三人が下着に手を書ける頃には既に一糸纏わぬ姿になって「おっふろーー!」と叫びながら浴室に入っていった。

その光景を微笑ましく見守りながら、二人は娘と共に浴室の扉をくぐる。

 

そしてその先には…

 

「よぅし、では儂が体を洗ってやろうか?」

 

「サイお姉さんが?」

 

「おう!これでも策殿や冥琳を赤子の頃から世話してきたなのじゃ。腕は相当のものぞ?」

 

「それj「一刀君?祭さんにご迷惑をおかけしちゃダメよ?」あ、シオンお母さん」

 

一刀が奪われそうになっている所を、横から乱入し、されどさり気なく奪い返す。

後僅かで一刀をモノに出来ると思っていた祭は、表面上は平静を装いつつ、内では紫苑とその横の桔梗に向け怒気を向ける。

 

「紫苑殿…儂は迷惑と思うどころか、むしろ望んでやっていることなのだが?」

 

「ええ、でも…私達としては親子水入らずで一緒にいたいのよ」(ニコリ(+影)

 

「じゃが、一刀はそちらの子供というわけではあるまい?」

 

「っふ、ワシらは一刀に「お母さん」と呼ばれているれっきとした母親。

 そして、祭期間中という限られた時間を少しでも一緒にいたいと言うワシらの気持ち察してはくれんか?」(ニコリ(+影)

 

そんな感じで暫くにらみ合いが続いたが璃々が「お母さん早く〜」と言って来たので、祭はしぶしぶとその場を後にした…

ちなみに、何故一刀が祭に抱きかかえられていたのかというと、

体を洗わずに湯船にダイブしようとしたところを、空中で祭につかまれ洗ってから入れと言われてからこうなった。

 

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祭が去った後、桔梗は璃々を、紫苑は一刀の体を洗っていた。

ボディソープをタオルに染み込ませて少々泡立ててから、桔梗は優しく丁寧に璃々の体を洗っていく。

 

「きもちい〜〜」

 

「そうかそうか、では紫苑とワシではどちらのほうが気持ち良いかな?」

 

「どっちも!」

 

「ふふ…さて、向こうはどうなっておるかな?」

 

本当ならば4人一緒にいたかったが、一般開放されいつでも湯に浸かれるという、

恐らく三国一人気公共施設である銭湯、開放初日からその人気はすさまじく施設内は大賑わい。

その為に、僅かなスペースしか得られなかったので、紫苑と桔梗は別々の場所で子供達の体を洗っていた。

で…その紫苑はというと…

 

「し、シオンお母さん…く、くすぐったいよ〜」

 

「うふふ…我慢しなくてもいいのよ…さぁ、気持ち良くなりなさぁい」

 

「お母さんの、お、お手てg…ん、うぁ…」

 

襲っていた…体を洗うためにタオルを用意していたにも拘らず、紫苑はそれを使わずに、

自分の手にソープを乗せて、塗るようにして一刀の体を洗っていた。

 

周りの女性客は止めるに止められなかった…

何故なら、その光景を見て自分達も興奮を抑えることが出来ず、可能ならば自分が紫苑の立場に立ちたいと思っている。

だが、目の前の母親がそれを許すはずが無いのは考えるまでも無い。ならば…

せめてその光景を堪能しよう…そう思っていると、

 

「ハァ…ハァ…ん〜、じ…じゃあ…今度はボクがお母さんを洗ってあげる!」

 

「え!?わ、私はいいのよ?」

 

「や!洗うの!!ボクが洗ってあげるの!!!」

 

一刀の余りの迫力に思わず紫苑は頷いてしまった。

別に逆襲しようとかそういう考えではなく、純粋に自分が洗ってもらえたんだからそのお返しにって感じなんだが…

そんなわけで一刀は紫苑の体を洗い始めた。紫苑同様タオルを使わず素手で…

 

「う、ん…ぅあ…か、一刀くんん…そ、そこは…」

 

「えへへ〜、お母さんきもちいい?」

 

「///き、気持ちよすぎるわ…も、もういいかr」

 

「じゃぁもっと気持ちよくしちゃうね!!」

 

「―――――――――――――!?」

 

※この一刀くん、邪な考えは一切なく純粋に紫苑を洗ってやることしか考えていません!

その光景に、幼い童子に母親が蹂躙されている光景に、回りは更に興奮していく。

もう立ち上っている湯気が湯船から立ち上っているのか女性客自身から上っているのか分からない…

一刀の幼く小さな手で体のいたるところを弄られながら洗われ、紫苑はもはや絶頂寸前。それを助けたのは、

 

「!?一刀、あちらで璃々が一緒に湯船に浸かりたがっているぞ?行ってやってくれないか?」

 

「はーい♪」

 

一刀は紫苑を洗うのをやめて湯船のほうへ向かう。

それを見送ってから、桔梗は目の前で世の男性が見れば興奮せずにいられない格好でいる紫苑に声を掛ける。

 

「…無事か?紫苑よ」

 

「ハァハァ…えぇ、なんとか…それにしても、今朝何故桔梗がああなったか身をもって理解したわ…」

 

「であろう?我が子ながら…恐ろしい…」

 

「ええ…」

 

紫苑は先ほどの興奮がまだ冷めず、桔梗は朝のことを思い出し、二人とも顔を赤らめながら告げる。

 

「でも、私達の子供であることに何も変わりは無いわ」

 

「だな。では我らが子の元へ参ろうか?」

 

「ええ」

 

そして二人も浴槽へと向かう。

その後は銭湯では平和なときが流れた…ただ女湯から立ち上る湯気だけは異常なままだった…

 

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祭の三日目、紫苑と桔梗にとって…いや、全ての武将にとっての脅威となる存在が生まれようとしていた…

 

この日4人は普通に屋台巡りをしていたのだが、その中で気にせずにはいられない言葉を聞く。

 

「はぁい、よっていらっしゃぁい!ここにあるのは、ぬぁんと!

 若返りと成長のお薬よぉん☆」

 

そこには…全身を一枚の布で覆い、身をくねらせながら客寄せをする怪しさ抜群の変態がいた。

顔も体も見えないので、店主がどのような人物なのか見当もつかない(見えている足は筋肉ムキムキ裸足だった…)

商品自体には非常に興味を惹かれるもその店主のせいで客が寄り付かない。

そんな中、見た感じ100はいってるんじゃね?といった外見の一人の老婆が恐れることなく近づいた。

 

「ほっほっほ、若返りとはなんとも粋なものを売り出すねぇ。どれ、わしゃが試してみるかの?」

 

「どぅっふ☆ありがとうねんおばあさん。これさえ飲めばたちまち美しくなっちゃうわヨン!」

 

「ほんで?どれほど若返られるのかのう?」

 

「特に決まってはいないワン。飲むときに望んだ年まで若返られるわヨン(ウインク!」

 

「ほうかい、そんじゃぁ…(ゴックン」

 

周囲の人が息を飲み見守る中、老婆は薬をいっぱい飲み干していく。

飲み終えたその時、辺りが光に包まれた。光が晴れたそこには…

先程まで腰を曲げ大人の腰までの伸長だった老婆がいた場所には、

紫苑たちと同年代の、老婆と同じ服を着ている女性が立っていた…

その女性は先程までの視線の高さの違いに気付き、次に鏡で自分の姿を確認する。

 

「こ、これは…昔の私!?」

 

「どぉう?気に入っていただけたかしラン?ちなみに効果は2日しか持たないんだけどねん…」

 

「ええ!買うわ!!いくら」

 

「お値段はこれくらいよ〜、でもお一人3本までねん!」

 

店主がそういった途端周りにいた人(女:男=8:2)が我先にと薬を手に入れようと殺到する。

紫苑と桔梗もその中に入って、苦労の末若返りの薬3回分と成長の薬3回分を手に入れる。

 

「…見ていた限りこの薬は本物。効力は二日」

 

「お母さんと呼ばれるのもいいけど、たまには私達も「お姉ちゃん」って呼ばれてみたいものね」

 

「ああ。それでは…」

 

「「飲もう(みましょう)!!」」

 

容器のふたを指で弾き開け、片手を腰に当て、瓶牛乳を飲むときの正しい姿勢で薬を飲む。

一刀と璃々が見守る中、その場を光で包まれ、それがはれたその場所には、

 

「「お母さんがお姉ちゃんになっちゃった〜」」

 

そこにいたのは10歳ほど若返った二人がいた。

具体的な描写はちょっと難しくて出来ません。ただ、胸に張りがあったことだけははっきりといえます。

 

「…なんだか信じられないわ…こうして昔の桔梗の姿を見られるなんて」

 

「ああ。ではこれから皆を驚かせましょうかな?ワシが見た限り客の中に見知った顔はいなかったしの」

 

「ええ。うふふ…みんなの驚く顔が目に浮かぶわ」

 

今の自分達の姿を見て驚くみなの表情を想像して二人は笑みを浮かべる。

それを見ていた璃々は、

 

「む〜〜〜!リリもお母さんたちみたいにもっと綺麗になる!」

 

「「え…璃々、まtっ!?」」

 

言って紫苑と桔梗が止める間もなく、成長の薬を飲み込む。

そして光が包み、晴れたその場所には…

 

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そこには絶世の美女ともいえる美貌の女性がいた。

 

背は180cmほど、紫の髪は膝まで伸び、プロポーションは母親と同等…トータルバランスから見ればそれ以上…

 

そして何よりも魅力的なのはその瞳…美しい花にはとげがあるという言葉を再現してるかのように、

 

ほんの僅かに釣りあがった瞳は、優しさの中にどこか切れを感じさせるものがある。

 

紫苑と桔梗か戦慄する…これが大人になった璃々の姿なのかと…

 

自分達の娘であるはずなのにドキリとしてしまう様な美貌。

ふと不安になり一刀を見てみると…

 

「ポーーーーーーーーーーーー//////」

 

魅了されていた…完全に…

一刀が璃々(アダルトver)に向けている視線、それは子供心の軽いものではなく、

紛れも無い恋する視線。そらすことが出来ない、する気にもなれない視線。

発する言葉もなく、ただただ呆けて顔を赤らめながら璃々を見つめる。

 

紫苑と桔梗の視線を感じながら、璃々は自分の身体を確認する。

数秒前まで、今顔を赤らめながら自分の事を見ている一刀と同じ高さだった視線が、

まっすぐ前を見ると二人の母の額の部分を捉える。

見下ろしてみると…胸が邪魔して自身の下半身を確認することが出来ない。

若干前かがみになってやっと確認できた。確認を終えた璃々がここで初めて喋る。

 

「…お母様、桔梗お母様。これが…大人になった私の姿です」

 

落ち着きのある、穏かでいて、聞くものを魅了する美声が発せられた。

紫苑と桔梗は目の前にいる人物の言っていることを信じることが出来なかったが、

瞳の色、髪の色、着ている服装、立っている場所…目の前の見知らぬ人物が娘、璃々であることを語っている。

 

「これが、私…一刀くん?今の私はどうかしら?」

 

屈んでなるべく一刀に視線の高さを合わせ、穏かで優しい自愛に満ちた笑みを浮かべながら問いかける。

その美貌に間近に迫られ、一刀の顔はもう真っ赤、頭からは湯気が立ち上っている。

 

「…お姉ちゃん…すごくキレイ///」

 

「ふふ、ありがとう一刀くん(頬にチュっ」

 

「っ!?きゅぅ〜…///」

 

止めとばかりに頬に口付けされ、一刀は意識を手放す。

意識を失い倒れている一刀を、璃々はその腕に抱きかかえる。

その光景は、まるで聖母とそれに祝福される子供のようであった…

 

「あら、もうこんな時間ですか…それじゃお母様、夕食に行きましょう?」

 

気絶し、璃々の腕の中で幸せそうに眠る一刀を抱きかかえながら退出する。

扉が閉まったところで二人はやっと我に帰り慌てて追いかける。

 

璃々の後ろを二人は相談しながら追いかける。現在の状況を二人は…

 

「「…非常にまずい(わ)」」

 

そう判断した…

 

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夕食後、璃々達は銭湯に訪れていた。

夕食中も、銭湯に行くまでも、銭湯に入ってからも、璃々は見るもの全てを魅了していった。

老若男女全てを魅了し、一目見たものは視界から消えるまで動けずにいる。

お陰で荷馬車を走らせていた御者が操作を誤り建物の中に突っ込んでしまうなんて事故まで起こる。

 

まぁそれはともかく…

 

入浴に至るまで、璃々の、璃々と一刀が生み出す二人だけの聖域には誰もが近づけずにいた。

母親である紫苑と桔梗でさえも…

 

隣で優しい笑みを浮かべる璃々と顔を真っ赤にした一刀が洗い合いっこしている光景を、

紫苑と桔梗は指をくわえてみていた。

自分達もあの中に入りたい…だが、何故か出来ずにいる…

そして、互いの体を洗い終えた璃々と一刀が去ったのを見て、二人は話す。

 

「桔梗…これは由々しき事態よ…」

 

「ああ。これは皆にとって捨て置けぬ事態…早急に対処する必要があるの」

 

頷き合い、とりあえずこの場は風呂を堪能する。

 

銭湯を後にして璃々達は宿へ、紫苑と桔梗は用事があるからと城へと向かう。

城へ向かう途中警備隊を総動員して全将に対しての緊急招集をかける。

数分後、三国の重鎮全員が城の大会議室へ集まった。

 

「紫苑さん、桔梗さん。こんな夜遅くに緊急招集なんてどうしたの!?

 というか…本当に紫苑さんに桔梗さん?なんか若く見えるんだけど…」

 

自国の重役、三国の弓兵の対決を制した蜀が誇る二大弓神が発令した緊急招集。

ただ事であるはずが無いと、桃香が慌てながら問う。

ついでに、若返っていることに違和感も感じている。

 

「それについても話しますけど…まずはこれを見てください…」

 

懐から取り出したのは一枚の写真(一刀発案真桜開発)。そこには二人の人物が写っていた。

一人は言わなくてもこの場にいる皆がわかる。ショタ一刀!

写真に写るその笑顔は、この場にいる全ての将に癒しを与えてくれる。んが…

問題なのはもう一人の人物。自分達が見たことが無い美女。

その美貌は、華琳がみたら即「アレを私のものにしてみせる!」宣言が出るほどだろう。

その美女が一刀を抱きかかえて穏かで優しい笑みを見せている。そんな一枚だ。

 

「紫苑、桔梗!お主達ほどのものが何故、見ず知らずの女性に一刀を任せているのだ!?」

 

「…愛紗ちゃん、私達も何もせずにいたわけが無いでしょう…でも。一刀君本人が彼女の傍にいることを望まれては…」

 

「それほどまでに信を置いているとは…して、この女性はどちらで?」

 

「信じられんと思うがな…その写真の女は…璃々だ」

 

「………………………………………は?」(紫苑、桔梗以外全員)

 

「えっと、確か…紫苑さんには璃々ちゃんって娘がいましたよね?」

 

「月ちゃん…そうよ」

 

「それで、この写真の女の方の名前も璃々…たまたま名前が一緒ってことは…」

 

「残念ながら…信じられないでしょうし認めたくは無いかもしれないけど…その写真の女性は、

 間違いなく私の娘の璃々よ」

 

「…………ぬぁあんどぅうぇすとぅをーーーーー!!??」(紫苑、桔梗以外全員)

 

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紫苑と桔梗はこれまでのことを説明する。

とあるやったら怪しい店主の出店で若返りの薬と成長の薬を買ったこと…

若返りの薬を試したところ、成功して今の若かりし頃の二人の姿があること…

そして…そのときに成長の薬を璃々が飲み現在に至る…と…

 

薬に関して、目の前の若返った二人だけではまだ本物か怪しいと思ったので何か証明する術は無いか?

という問いに対して、その問いを予想して持ってきていた若返りの薬の一本を、

この場にいる中では最年長である祭に試してもらった。光が晴れたそこには…

 

「うわー…昔の祭だわ!」

 

雪蓮や冥琳と同年代だった頃の祭が立っていた。

 

「おお…この姿でこうして策殿の隣に立っていると堅殿の隣に立っていた頃を思い出しますな」

 

「へぇ〜…お母様の若い頃ってそんなに私に似てるの?」

 

「うむ!細かな違いはあれどの。なんとも懐かしい気持ちに…」

 

そう言って感傷にふけっているが…

 

「って、今はそれよりも重要なことがあるわね。

 それで…今の一刀君はこの成長した璃々ちゃんにベタ惚れ状態なわけね」

 

「うむ、一刀の瞳は間違いなく恋する男のもの…

 そして、子供であるが故に己の欲に忠実であるから璃々の傍を離れる気配すらない」

 

雪蓮の問いに対して肯定と自身の現在の一刀に対する認識を話す。

 

「なるほど…それで、璃々ちゃんの方はどうでしょうか?」

 

「…見た限りでは一刀君に姉のように接してはいますが…

 なんとなくですが、私達を牽制して一刀君を独占している感じがあるわね。

 さり気なく自然に一刀君を自分のほうへと誘導し一刀君はそこに行く…

 母親である私達でさえも間に入ることは難しいわ」

 

「…璃々ちゃんの方を何とか抑えられないでしょうか?」

 

「それは…正直に言えば難しいかもしれんの」

 

「なぜですか?いくら大人になって美人になったからといってそれだけでは…」

 

「大人になった…これはワシらも実際になったからこそ分かるのだがな、

 これは姿形が変わったのではないな。薬を飲む時望む姿のときを考えるのだが…

 どうやら望む時の姿になるのではなく、望む時の自分になるというものだ。

 ワシらのように若返るときは記憶がそのままで戻るのだが、

 成長するときはどうやら記憶などのほうは、成長したであろう時のものになる」

 

「!?と、言うことは…この写真の女性は、私達と一緒に過ごし成長した璃々ちゃんであると?」

 

「ええ…傍にいたら直ぐに感じることが分かると思うけど…

 今の璃々は三国の武将智将と共に過ごし成長した姿…抱えている武は相当のものと思うわ」

 

それを聞き、皆表情を歪める。計り知れない璃々(アダルトver)の実力、彼女から一刀を取り返せるのか…

 

「とりあえず今は様子見としましょう…紫苑さんと桔梗さんは今の璃々さんの傍から離れず一刀君を見守ってください」

 

「わかったわ」「応」

 

「明日…もう今日と言うべきでしょうか?は皆さんなるべくこの二人の傍にいましょう。

 付かず離れず、一刀君に何かあれば…璃々さんが何かしようとするそぶりを見せたそのときは…」

 

「コクリ」(全員)

 

こうして会議はとりあえずお開きとなった。だがこの時、璃々(アダルトver)よりも更なる脅威が現れることに、

この場の皆は予想することも出来なかった…

 

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深夜に会議が行われたその日、祭の4日目…

 

会議の決定に従い、将の全員は祭の予定を変更して璃々と一刀の監視に回っている。

 

そして、一番傍で監視している紫苑と桔梗の二人は、璃々に警戒しながらも一応楽しんではいた。

 

何せ、薬の効果で自分達の姿は数年前の自分。見た目的には一刀に「お姉ちゃん」と呼ばれるもの。

 

無邪気な満面の笑みでそう呼ばれてしまってはこんな状況下といえども流石に緩んでしまう…

 

だが、その幸福な時間は直ぐ終わってしまい、一刀は璃々の傍に…

 

因みに、たまたまではあるが一刀が若返った祭を見つけ「サイお姉ちゃんきれーー!」

 

と言われ祭が喜んだ、なんて一幕もあった。直ぐに璃々の傍に戻ったが…

 

軍師達の指示通り、将は皆付かず離れずを行ってはいたが、むしろそれしか出来なかったといたほうがいいかもしれない。

 

祭の4日目はそのまま過ぎていく。

 

将達は何も進展がなかったことに落ち込むが、あることを思い出す。

 

それは、薬の効果。効力は2日間…

 

璃々のこの姿は…あと一日…

 

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祭の5日目…最終日が後片付けやらなんやらであることを考えたら残されたのは後2日…

 

紫苑と桔梗はとりあえず璃々に、一刀と自分の間に入ることを許されていた。

理由は簡単、一刀が望んだからだ。

さり気なく一刀を独占していた璃々だが、その一刀が璃々と紫苑、桔梗の間にある何かを感じ取り、

その嫌な感じの何かを嫌がって「仲良くして」と望んだ結果、璃々はこれを了承。

 

他の将たちから抜け駆けする形に見えなくも無いが、二人はありがたくこの状況を受け入れた。

 

「…今日でこの姿も終わってしまうのね」

 

「ああ…なんとも惜しいことであるな…」

 

「そうね…こうやって一刀君を可愛がることもできなくなってしまうのね…」

 

大人である彼女達には分かっているのだ。今日の夕方…

2日前の夕方薬を飲んでから、今日の夕方に効力である丸2日、その時が訪れることを…

 

「ならば思う存分この姿を堪能しましょう!」

 

眩い笑みで璃々は高らかに宣言する。この意見には二人も同意する。が…

 

「それで…璃々は何をしたいのかしら?」

 

宣言したからには何か望みがあるのだと思い問いかけるが、その答えは予想しえぬものだった…

 

「一刀君に…」

 

「「一刀(君)」に?」

 

「は…」

 

「「は?」」

 

「初めてを…もらって貰うわ///」

 

「「……何?」」

 

顔を赤らめながら大胆なことを宣言した。だが彼女は本気だ。瞳を見れば分かる。

 

「で、でも璃々…いくらなんでもこんな幼い一刀君にそんなことは…」

 

何とか思い留めようとするが、これまた予想外の答えが返ってきた。

 

「分かってる…だから…一刀君にはこれを飲んでもらうわ!」

 

そして胸の隙間から取り出したのは…成長の薬!

それを見て確信する。今の璃々は本気なのだと!

 

「待たぬか璃々よ!」

 

「いいえ待たないわ!それに…お母様たちも想像してみて…

 大人になった、ご主人様が更に成長したときのことを…」

 

「「………………」」

 

「そして…今お母様たちの姿は私が生まれる数年前の姿。

 つまりは、まだ大人の女性になっていないときでしょう?

 ということは…お母様達の初めてをご主人様に…」

 

「「…………//////」」

 

二人は璃々の言ったことを想像して顔を赤らめる。

そして、同意を込めて堅い握手を交わす。

 

「ねぇ一刀君?」

 

「なに?璃々お姉ちゃん?」

 

「これを飲んだら私みたいに大人になれるんだけど…飲んでみたい?」

 

「…お姉ちゃんみたいに大人になれるの?」

 

「そうよ、こわいなら私も一緒に飲んであげるわ」(ニコリ

 

「うん!一緒に飲もう!!」

 

思い立ったら即実行、同意を得ても即実行。

一瞬のうちに二人は容器のふたを開け放ち薬を飲む。

そして光が包みそれが晴れた、そこには…

 

ショタ一刀ではなく、この世界にやってきた青年の一刀ではなく、それを更に成長させた大人一刀がいた。

背の高さは、いつもの一刀よりも更に成長し190cmはある。

鍛え抜かれた肉体は、一切の無駄を省いた見事なもの。

その表情は、優しさをそのままに、頼りなさを感じさせていたものが無くとても凛々しい。

 

世の女性誰もが見ほれてしまう容姿の一刀を見て三人は顔を真っ赤にする。

 

その一刀が、大人になった一刀がまず第一にとった行動は…

 

「愛しているよ、璃々!!」

 

二度あることは三度ある…またまた予想不可能なことであった…

 

「え?え?か、一刀君?///」

 

「璃々…俺は子供の頃から大人の君の事を見ていた…

 それは叶わぬことだと分かっている…だが!

 今の俺は君と同じ年になった。そしてこの想いは違えることは無い。

 だから…俺はおれ自身に嘘をつかず告白しよう!

 愛してる…璃々…」

 

若干恥ずかしがりながらも、真剣な表情。

見つめるものを射抜き、吸い込んでしまうかのような瞳。

 

その瞳に見つめられ、璃々は一刀に吸い込まれる。

それは、傍で見ていた紫苑と桔梗も同様だった。

 

「私も…一刀君が好き…愛しているわ///」

 

「っ!?///…ありがとう、璃々。これは…俺の心の証だ」

 

そういいながら一刀は璃々に口付ける。璃々はそれを拒まなかった…

 

「///…一刀君、あなたの心、受け取ったわ。その証として、私の身も心もあなたにささげたい…

 受け取ってもらえる?」

 

その問いに対して、一刀は迷うことなく頷く。

そして二人は寝台へと向かい…

 

 

 

 

 

 

 

 

と…これから起こるかもしれない大イベントの前に状況の確認をしましょう!

 

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何故大人になった一刀が突然あのような行動を行ったのか?

 

まずは一刀について確認しましょう。

 

薬を飲んで大人になったという点は良いでしょう。

 

問題はその時の一刀。彼は愛紗の作った薬を飲んで身も心も頭の中も子供になってしまった。

 

璃々(ロリver)と同年代の年齢になり、記憶もそのときのものになってしまった。

 

そんな彼がこの薬を飲んだら…

 

璃々(アダルトver)同様、多くの武将智将に育てられた将来の一刀が出て来る。

 

そして、子供のときから璃々(アダルトver)に惚れていた一刀が、その記憶のまま大人になると…

 

前ページの状態になった…

 

 

 

両思いの二人が寝台へと向かう。だがそれを阻むものがいた。

 

「ちょっと待ちなさい璃々」

 

「あ、お母様…」

 

「その様子だとすっかり私達のことを忘れていたようね?」

 

「ご、ごめんなさい。余りに一刀君の言葉が嬉しかったものだから…」

 

「まぁ気持ちは分かるがな…だが璃々よ。ワシらとの約束、忘れたわけではあるまいな?」

 

「え、ええ…」

 

二人に問い詰められて、璃々はだんだん縮こまっていく、それを助けたのは一刀だ。

 

「璃々…俺はいいよ」

 

「でも…」

 

「節操が無いといわれるかもしれないけど…俺は紫苑と桔梗も愛している。

 璃々が特別では歩けれど二人を愛する気持ちも嘘じゃぁ無いんだ」

 

「私が特別…もぅそんなこと言われたらもう何も言えないじゃない」

 

そう言いながらも璃々はとても嬉しそうにしている。

 

「それでは…璃々の許しを得たことで…」

 

「私達の全てを、受け取ってもらえるかしら…一刀君」

 

「ああ、喜んで」

 

抱き合い、4人は寝台へと向かう。

3人の美人母娘は心と体の全てを一人の愛する男性に捧げ、男はそれを受け入れる。

 

この時、3人は一刀と1つになった…

 

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祭六日目の朝…

 

一刀、璃々、紫苑、桔梗の4人が泊まっている宿に向けて行進する一行があった。

全員が己の武器を携えて並ならぬ闘気を撒き散らしている。

それは三国の将達の一行。今の彼女達なら三国どころか大陸制覇だって出来ちゃうかもしれない。

 

「…昨日の夕方までは、監視していた中では何事も無かったですが…

 4人が宿泊しています宿は宿泊客の安全を考え壁は頑丈、防音機能も完璧…

 天井裏は存在しないので夕方以降の状況がわかりません」

 

「最も近い位置で紫苑さんと桔梗さんが監視を行っていますが、お二人からの連絡もなし…

 これは、残念ですが既に璃々さんに亡き者にされてしまったと考えてよいかもしれません」

 

普段のあたふたした空気はどこへやら…まるで別人のような雰囲気を醸し出しながら物騒なことを言う。

 

「このままじゃ祭最後の日、一刀君といられる最後の日になるかもしれないこの一日を璃々に独占される…

 今の璃々は私達蜀の武将智将に育て上げられたであろう未来の璃々…正直その実力は未知数だわ。

 でも、ここの全員で相手すれば何が起こっても対応できるわ!なんとしても一刀君を取り返すわよ!!」

 

ツンデレ軍師の力強い言葉に全員が頷き返す。

そして、とうとう一行が宿の前にたどり着く。

 

「それでは、思春様!明命!中の様子の確認をお願いします!!」

 

「わかった」「はい!」

 

絶賛成長中の軍師、亜沙の指示を受け、二人の隠密は一刀達は泊まっている部屋の窓に向けて垂直壁走り。

数秒で目的の場所までたどり着き、様子を窺おうと窓に身を近づけたその時、

 

「っ!?明命下がれ!」「っ!?」

 

武人の本能が危険だと告げ、慌てて窓から身を離す。その直後…

 

ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!

 

6連の轟音が鳴り響き、窓の周りから6本の弾が飛び出し、二人はこれを弾く。

6つの貫通は壁をひび割らせ1つの円を描き、

 

「…はぁぁぁああああああ!!」

 

一人の男性の声と共に押し出され、落ちてくる。4人の人影と共に…

 

「っ、散りなさい!」

 

壁だけならば避けるまでもなく砕けばよいのだが、その裏に誰かがいるとなれば別だ。

砕いた直後、視界が遮られ僅かだが硬直する隙が生まれる。だからこそ回避。

円形の壁は派手な砂煙を舞い上がらせながら砕ける。

煙に写るのは4人の人影。姿こそ見えないが全員が只者で無いと分かる。

 

やがて煙が晴れそこにいたのは…

 

一人は元の姿の紫苑、己が愛弓を構えいつでも矢を放てる状態だ…

 

一人は元の姿の桔梗、新しく開発された大蛇のごとく長く連なった弾を備えた豪天砲弐式、その銃口を向けている…

 

一人は璃々(アダルトver)、長い鎖に繋がった二本の小槍を両手に構えている…

 

そして最後の一人、片方の足を若干引いて二丁リボルバーを持った両手は弓を射るように構えている男性…

 

年齢は雪蓮より少々年上だろう、服の上からでも鍛えられた体であることが分かる、顔は誰が問おうとも美青年と評価するだろう…

 

だが、その顔には僅かにだが彼の面影があり、来ている服も光を反射し輝くポリエステルの服…

 

以上から導き出された答えは…

 

「…もしかして…ご主人様?」

 

半信半疑のまま呟いた桃香の言葉に、一刀は笑みを持って肯定した。

 

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「みんな…」

 

初めて聞く大人の一刀の声の一言。予想以上に魅力的な声に全員が一瞬呆けるがすぐに持ち直す。

 

「皆、今日は…今日この一日は俺の…俺と璃々の邪魔をしないでくれ」

 

「な、なんで!?」

 

「…母さん達から話を聞いたんだ…今の俺の姿は立った2日間だけの薬で生み出された偽りの姿。

 だが…この心は、璃々に対する俺の想いは間違いなく本物だ!俺は…俺は璃々を愛している!!」

 

「っ!?!?」(4人以外全員)

 

一刀の言葉に人生で感じたことの無い衝撃を受けた。

横にいる璃々が顔を赤らめながら内股になる仕草を見て更に衝撃が…

 

「残された限りない時間を…俺は璃々に捧げたい…それを邪魔するならば…」

 

一刀はリボルバーのハンマーを下ろす。その構造を知るものにとって、それが何を意味するのかを知っている。

 

「俺は…立ち塞がる障害を排除する!」

 

「私の想いは一刀君と同じく…私達を邪魔するなら、その全てを薙ぎ払う!」

 

一刀と背中合わせになりながら、璃々は一刀と共に自らの意思を注げる。

 

「そうなんだ…ところで、何で紫苑さんと桔梗さんはソッチに?

 二人の言葉からすると、紫苑さんと桔梗さんも、その…邪魔者になっちゃうんじゃ?」

 

二人の強い意志を聞いて若干諦めの方向に向かっていたが、ふとした疑問を口にする。

その疑問に対する二人の答えは…

 

「「理由は単純…母だからよ!!」」

 

説得力があるような無いような理由。それを聞いて衝撃を受けるが、

 

「納得できるかーーーーーー!!#」(半数

 

その衝撃は、その場にいる者達にとって鞭を打つこととなり、堪忍袋の緒が切れた武将達は一斉に飛び掛る…

 

今この時、一刀達4人vsその他の将全員の、一刀を賭けた戦いが始まった…

 

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紫苑は最後尾に立ち援護に回っていた。放たれる矢は一刀達を掠る寸前の場所を通り、

相対するものにとって援護を受けるもの自身が視界を遮り不可視不意打の攻撃になる。

 

桔梗は紫苑の少し前、相手の牽制している。

撃ちだされる弾の一発一発が全て強力であり防ぐことも弾くことも難しい。

そんな攻撃を止めることなく連射し続ける。その連射は連ねられた弾が尽きぬ限り続く。

 

璃々は鎖が届く距離中距離〜近距離の相手と戦う前衛。

その小槍は大蛇の牙の如く迫り、その鎖は大蛇の身のごとく巻き付いて来る。

巻きつくだけではなく、その鎖は鞭のように相手を打つ。

相対しているものにとってはまるで鋼の蛇を相手にしているかのようだ。

 

最後に一刀は遠中近全てに対処している。

離れたものには射撃を、近づくものにはガン=カタによる格闘術を持って対処する。

あくまでこの話の中でだが、一刀は三国の武将智将に育てられ、

その過程で一刀は気を操る術を身につけた。

銃弾は気によって作られるので、一刀の気が持つ限り銃弾は無限に撃てる。

接近戦では確立統計学を取り入れた武術により、相手の攻撃さえも利用し、

的確に、正確に、それでいて多大な破壊力を持つ攻撃を繰り出す。

 

そしてある意味で最強の一撃が、その視線だ。

相対するとき、狙い定めるとき、一刀は一人に対して視線を向ける。

戦闘中であるためこれでもかというほどに真剣な視線を向けられ、

狙われたものは、銃で肉体を撃たれずとも、心に銃弾を打たれ、顔を赤らめ動悸が早くなってしまうという…

 

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朝日が昇るのと同時に始まった争奪戦は、太陽が真上に来てもまだ終わらなかった…

にも拘らず全員その力が衰えることが無かった。

 

もはや終わることなく永遠に続くのかと想われる戦闘。その状況を打ち破ったのは…

 

「ぬっふーーーーーーーーーーーーん!」

 

突如、太陽を背にして一人の筋肉達磨が突っ込んできた。

呆然とし、その筋肉達磨の容姿を見て皆が数m引く中、筋肉達磨は辺りを見回しまず目に入った紫苑と帰郷に声を掛ける。

 

「あんら、そこにいるのは薬を買ってくれた紫苑ちゃんに桔梗ちゃん〜。

 お薬のほうはどうだったかしらぁん?」

 

「え、ええ…とてもよかったわ」

 

「そおぅ!喜んでもらえて何よりだぅわん♪

 とっこっろでえ…わ〜たしこのお人を探しているのだけれんど、知らないかしら?」

 

そういってTバックパンツから一枚の写真を取り出す。写っていたのは…普通の姿の一刀だった。

よもや知り合いだったとは思わなかったので、紫苑と桔梗は思わず一刀を見る。

その二人の視線を筋肉達磨が追ってみると、そこには突然のことに呆然としている一刀がいた。

 

「あんらごお主人さまったら☆またずいぶんと魅力的な姿になっちゃってん♪」

 

「な、何?俺はお前みたいな化け物なんか知らないぞ!」

 

「どぅわぁあれっがこの世のものとは思えないほどに恐ろしい形相の化け物ですってぇえええ!!##」

 

「思ってはいるがそんなこと言ってない!」

 

「心の中じゃ思ってるんじゅあないんのぉ!も〜ぅ例えご主人様といえどゆ〜るさないんだかっら〜〜〜!!」

 

「う、うぅわぁぁぁぁぁあああああああああ!?」

 

もう本気で恐れ驚きリボルバーを乱射する。だが連射した気弾の全てがその筋肉に弾かれてしまう。

そして筋肉達磨自身も迫り来る勢いを止めることなく迫ってくる。

距離が詰められ、触れるのを嫌がりながらもガン=カタをもって打撃を当てるが、

 

「あぁん///ごぉ主人さまの愛の鞭…感じちゃうわぁぁ///」

 

その場にいた全員に、特に一刀に悪寒が襲った。

 

もはや涙目になりながら、一刀は後退しながら乱射を行う。効かないとわかっていても行う。

涙目の一刀に一瞬キュンとなるが、すぐさまそれどころでは無いと判断し、全員が筋肉達磨へ向かう。

 

だが…全員で相手をしているにも拘らず筋肉達磨は止まることなく、

むしろ一人ずつ撃退されていき、ついに一刀一人だけとなり、

その一刀も壁に追いやられ両手で押さえつけられ逃げられない。

至近距離で何発何十発何百発撃とうが止まることが無い。

 

「んっふぅっふぅ…こうしてみるとやっぱり素敵なかおよねぇぇん。

 でんも、私としては元の姿のほうが好きなわけでぇ」

 

「なななななななななにをするつもりだ!?」

 

「このお薬を飲めば元の姿に戻れるんだけど…飲んでくれるかしらぁん?」

 

「こ、断るに決まってるだろ!!#」

 

「どぅっふ、怖がらなくてもいいわヨン!私が飲ませてあげるから安心して☆」

 

薬を口に含んだ筋肉達磨は一刀の頭を両手で押さえつけ自分の唇に近づける。そして…

 

「んっ―――――――――――――――――!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

薬が筋肉達磨の口から一刀の口へと入れられていく。

一刀は意識を保つことが出来ず気絶してしまった…

 

「一刀ーーーーーーーーーーー!!#」

「一刀君ーーーーーーーーーー!!#」

「北郷ーーーーーーーーーーー!!#」

「ご主人様ーーーーーーーーー!!#」

 

倒れ付していた全員が一斉に起きて飛び掛る。そこからは速攻だった。

璃々の鎖、冥琳の鞭、季衣の鎖、琉流の葉々が全身に巻かれ芋虫状態にし、

紫苑、桔梗、祭、秋蘭、小蓮によってウニにされ、

その他の者によって、筋肉達磨に口を開く暇も与えずぶっ飛ばし星にする…

 

それを確認した後、一刀のほうを見てみると…ショタに戻った一刀が…泣いていた…

 

「ど、どうしたの?一刀君」

 

「ぅっ、ひぐ…グス…わ、わからない…でも…すごく嫌なことが…」

 

「そう…安心して。皆が付いてるから…皆が守ってくれるから…」

 

「う、うわーーーーーーーーーーーん!」

 

璃々の言葉を聞いて、一刀はそれにすがって泣く。

そんな一刀を璃々が、周りにいた全員が抱きしめてくれる。

 

-24ページ-

 

こうして一刀争奪戦は、ある意味で喧嘩両成敗といえばいいのか?の形で幕を下ろした。

 

その後は皆と一緒にいたいという一刀の希望により、全員が一緒にいた。

 

そしてそのままその日は終わっていった。

 

あの筋肉達磨がその後どうなったかは…誰も知らない…

 

-25ページ-

 

………俺は何をやりたかったんだろう?

 

紫苑+桔梗編を書くに当たって、この作品ショタコンの将たちを書きたかったはずが、

 

読み返してみると、母性姉性本能が強くなった感じの話しか…

 

てなわけでこれぞショタコンって感じの紫苑と桔梗を頑張って書こうとしたはずが、

 

とりあえず予定していた璃々(アダルトver)を入れるところまでは良かったけど…

 

(あ…ちなみに璃々(アダルトver)の容姿ですが…Fateのライダーを想像してください。)

 

書いているうちになんだか璃々(アダルトver)√?になってたり、

 

皆さんご存知筋肉達磨が乱入してきたり…

 

気が付きゃ文の長さ、ページの多さがパネェことに!?

 

 

まぁ、何とか終わらせられたから良しとして…いいよね?

 

正直これ以上浮かばないっすよ…OTZ

 

 

 

さて…次は誰の話しになるのかな?

 

とにかく完結目指して頑張ります…

説明
なんというか久しぶりだ…
ショタ一刀シリーズ新作です。
人が複数であるせいか異常に長くなってしまいましたが、
楽しんでいただけたら幸いです。

ではどうぞ。

因みに、予告どおり半オリキャラが出ます。
ついでにゲストキャラも出てきます。
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コメント
悪夢や・・・・・・(黄昏☆ハリマエ)
楽しみに待ってたかいがありました。(tanpopo)
ブックマンさん ハチャメチャでしたが面白いと評価を頂きうれしいですー!!(MiTi)
F905iさん 楽しみにしていただいてありがとうございました!(MiTi)
ハチャメチャだけど面白かったーw(ブックマン)
nokakakiさん おおぅ…診察券が必要なまでになっているとは…(MiTi)
jackryさん ダメー!興奮してもいいし血を出してもいいけどDEATHっちゃダメー!すぐに風にとんとんしてもらいなさい!!(MiTi)
humohumoさん 何!?そんなイラストがあったのか!?(バタン ……!?!?…… バタン)ちょ!?ロリで巨乳とかありか!?(MiTi)
デルタさん ダメだ!現代兵装ではなく桔梗の豪天砲弐式でやられるんだwww ってやられちゃダメだって!(MiTi)
munimuniさん 最高来たーーーーー!(MiTi)
ユウさん …こんなにもあったとは…報告感謝です(MiTi)
公式ブログに璃々ちゃんの成長イラストありましたね〜蒲公英ぐらいの年齢て書いてありましたけど(ふもふも)
・・・・・・ぐはぁ!(バレットM82A2の狙撃を受け真っ二つにw(デルタ)
6pその見せは→店 8p洒落として→お洒落 11p手を書ける→掛ける 23p帰郷→桔梗 では?(ユウ)
バッキーさん お久!!それほどまでに待っていただけるなんて、執筆者冥利に尽きます(MiTi)
ほわちゃーなマリアさん 面白いと感想いただけて幸いです。これからもがんばります!!(MiTi)
伏宮真華さん 最高…なんて心地よい響きなんだ!続きがんばります!!(MiTi)
st205gt4さん 誤字報告ありがとうございます。修正しときました(MiTi)
お久しぶり!!待った分を引いてもおつりが来るボリュームとクォリティ!!(バッキー)
ショタ一刀シリーズは何度見ても面白いです。これからも頑張ってください(ほわちゃーなマリア)
相変わらず、貴方の書くショタシリーズは最高だよ(笑) 続きも楽しみにしてます〜。(伏宮真華)
P16・・紫苑産と桔梗さんは・・さん・・(st205gt4)
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真・恋姫†無双 ショタ一刀 紫苑 桔梗 璃々 ショタ一刀シリーズ 

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