最強の傭兵魔導師、逆行する |
翌日の朝…
時刻は午前四時三十分…
十一になっていた元老人である彼は自室のベッドにあぐらをかきながら腕を組んで考えていた…
「(これってあれだよな?…俗に言う“生き直し”…っていうか“逆行”ってやつか?)」
明日生はそう考える…
しかし、腑に落ちない点が二つある
「だとしたら何故“念”と“魔力”を使える?」
これである
逆行する前は“魔力”は自分の相棒を手に入れた際に目覚め、“念”に関しては仕事先でヤバいピエロと死闘をした際に身につけ、その後に知り合った“ハンター”という人に教わった物なのだ…
この時期に…誘拐される前に身に付けていない
「“逆行”の影響…?それとも、いつの間にか無意識に“念”を使ってそう言う能力を作っていた?」
ムムム…と考えてみる明日生…
だが
「ま、いっか…今考えても意味ないしね」
そう言うと、別のことを考える
「(それに、“逆行”したってことは“あの子”もまだ死んでないってこと…)」
―今度こそ助けないと!!
「なら、死ぬ前と同じレベルまで練度をあげるべきだな」
そう考えた明日生は、今からでも出来る戦いへの準備として、“念”の練度を磨くことに決めた明日生は一度学校に向かう準備をするのであった…
しかし、この時の彼は知らなかった…
自分の念…オーラが今どうなっているかを…
●○●○
学校に向かう準備をしながら朝食を作ったことに家族全員に驚かれ、更に美味しかったことと弁当まで作ったことで母と姉に女としての敗北感を与えた後、明日生は制服に着替えて学校に向かうことにした…
彼にとっては百年近く前に通った学校である…
内心、ウキウキしながら家を出ると、隣の家の前で女性が掃除をしていた
「あら、おはよう明日生君、良い天気ねぇ」
明日生に気づいて声をかける女性…
「あぁ、おはようございます」
女性が誰か、百年近く経っても覚えてられるのは凄いな…と自分に感心しながら明日生は挨拶を返す…
この女性は、明日生のお隣さんで、かなりの美人さんとして有名だった人である…
自宅で英会話を教えていた筈だ…
「(確か、姉さんと香住先輩もこの人に習ってたんだよね…)」
そんなことを思っていると、
「はーい♪おはようあっくん♪」
女性の後ろから、ピョコッと一人の女の子が出てきた
濃いめの肌に黒い艶やかな髪をツインテールにしたその姿は可愛らしさを持っている
「…おはよう」
それを見て挨拶する明日生
しかし、何故かその子を見た瞬間、彼の中にある物が芽生えていた…
そのことに対して疑問を抱く明日生…
「(?俺、何で今あの子のこと殺そうとしたんだ?)」
そう考えていると、その時女性が何かを思い出したのか話をする
「あ、そうだ明日生君、今度早紀ちゃんの修学旅行があるでしょう?」
「?えぇ、ありますけど…」
「明日生君のご両親も丁度海外出張で留守にされるし、その間良かったらうちに泊まりにいらっしゃい」
「…あ〜…」
それを聞いて明日生は困る…
本音を言えば、修行したかったので、糠喜びさせてる気がしてしまったのだ…
「ねぇ、セラ?」
「そうねママ♪一人じゃ寂しいでしょう?是非来てよ♪」
後ろにいた女の子に声をかけると、セラと呼ばれた女の子は笑顔でそう言う
が、
―キタラコロス
女性がこちらに顔を向けた瞬間、剣呑な顔になって口パクでそう言ってきた…
「…!」
瞬間、明日生の中で先程の疑問が消えた…
「(そうだ、思い出した…)」
「じゃあ、二人とも行ってらっしゃい、車に気をつけるのよ?」
「はーい♪行こっ、あっくん」
女性の言葉に押されながら、セラと呼ばれた女の子は明日生の手を引く…
そんな中、彼は思い出した…
思い出してしまった
この子は…
「(俺を虐めていたやつだ…)」
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寿命で死んだ最強の傭兵が逆行した!? | ||
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