TX-25Se/C クリン | 次 |
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妄想騎兵(きりん)さんのFAコンペ、P3コン参加作品です。 空戦機限定のコンペだったため飛ばし方に悩みましたが、あえて主翼をなくしそれでも飛べそうなフォルムを目指して製作しました。 懲罰部隊という設定のコンペだったのでパイロット像を考える必要があり、それを文章化するというのもなかなか楽しい作業でした。 以下設定など マーヴィン・ドリトルは技術屋だった。 より正確には、某国軍技術開発局の設計者だ。 新型FAの設計が彼の役割であったが、開発にあたった機体は、彼自身がテストパイロットを務めることが多かった。 機体特性を誰よりも把握し、性能を最大限に引き出すことが出来たからだ。 模擬戦での連戦連勝の噂は徐々に広まり、ついには軍の高官まで届いてしまったところで、彼の運命は大きく変わる。 パイロットとして、半ば強制的に空軍へ編入させられてしまったのだ。 死を恐れたマーヴィンは、被撃墜を偽装し逃亡、放浪の末とある町にたどり着く。 マーヴィンは軍人であることを隠し、町工場のメカニックとして生活していたが、逃亡から数ヶ月で軍の捜索隊に捕まり、連行されてしまう。 即刻軍法会議にかけられたマーヴィンの罪状は、敵前逃亡と経歴詐称。 技術開発局は重大な機密を扱っているため、そこに所属した過去のある者は、除隊後も軍の監視がつくほど厳しく管理される。 そのため、所属していたことを隠して行動するだけでも、重罪として扱われることがある。 敵前逃亡だけでも死刑になるのが本来であるが、マーヴィンの設計者としての技術に目をつけた軍は、あえて判決を終身刑とし、懲罰部隊へ編入させることとした。 死にたくないがために起こした行動が、懲罰部隊への編入、最前線への投入と、より死に近づいてしまうという結果を招いてしまったが、マーヴィンにはまだ希望があった。 任務を遂行し続けることで得られるという『恩赦』による釈放、そのために必要なことはすべてすると決めた。 機体も自身で設計し、過酷な訓練にも耐える。 すべてはなるべく生き残るために。 できれば、居心地の良かったあの町工場に戻るために。 ・ペレグリン登録内容 囚人番号 42 罪状 経歴詐称/敵前逃亡 判決 終身刑 ・機体名 TX-25Se/C クリンスレイト クリンスレイトは、任務をこなし生還することを重要視されたため、軽快さと堅牢性を両立した設計が行われた。 主翼や張り出した推進器は、被弾すると継戦不可能となるため採用せず、スマートなシルエットにまとまっている。 肩部、背部、腰部前後、脚部と、全身に分けて配置された推進器により、合計推力は高く、推力バランスを随時調整することで、高い運動性を発揮する。 装甲も一見軽装なようだが、材質、形状を調整し、最適に配置することで、高い防御力を持っている。 主武装として強化型のセグメントライフルを装備。 シンプルな装備ながら威力は高く、大容量マガジンにより継戦能力も高い。 明確な弱点として、低いペイロードが挙げられる。 爆装や、特殊作戦用の専用装備など、重量のある兵器を装備できず拡張性が低い。 そのため本機は、爆撃機や特殊装備機など作戦の主役となる機体の護衛など、戦闘機としての運用が主となった。 機体名のクリンスレイトは新たなる出発を意味し、マーヴィンの願いが込められている。 ◇◇◇◇◇◇ 以下 評決の儀の結果を受けて追記 ゲルブリッターを追う記者のレポートより抜粋 ・ある男性の証言 正式な記録じゃないので、話半分に聞いてもらえると助かりますかね。 ペレグリンって懲罰部隊に、囚人番号42番の男がいたんです。 長ったらしいので普段は42(フォー・ツー)って呼ばれてました。 42はただ逃げ出したっていうだけの罪だったんですけど、他の隊員はすごかったですね。 冗談でも笑えないような、もしくは逆に冗談みたいで笑っちゃうような、とんでもない罪で捕まった奴らばっかりで、自分は部隊には到底なじめないだろうと思っていたみたいです。 でも実際に話してみると、案外いいやつも多かったみたいで...あっ話がそれちゃいましたねすみません。 ゲルブリッターの話でしたっけ。 3年前の11月の...何日だったかな、とりあえず11月の夕方です。 42は他の数機と作戦を終えて、基地に帰還したところでした。 機体を降りる前に突然スクランブルがかかったんです。 とにかく推進剤とライフルのマガジンだけ補充してすぐに迎撃出撃をしました。 主力部隊は大きな作戦で出払ってしまっていて、迎撃に出られた機体は多くなかった思います。 管制室からの連絡を聞いて驚きましたよ。 警戒域を越えて基地付近まで接近した機体は1機だけ。 なのに先行して迎撃に出た5機は接敵した直後に堕とされたっていうんです。 42は敵機を目視してすぐにわかったそうです。 「あぁ、ゲルブリッターが来てしまった」って。 部隊内でも噂になっていたんです。 戦場でどの軍にも属さない黄色い機体がいたら、標的にされる前に離れろって。 でももうとっくに標的にされていましたし、基地防衛が任務ですから逃げることなんてできませんでした。 42は普段、僚機と連携を取って距離を取りながらの戦闘を行うんですが、この時はいつもと違い、突然敵機に突進していきました。 敵機はフワフワとした独特の機動で身を躱しますが、42の機体の運動性も負けていません! 敵機と動きを合わせて組み付くと、推力を全開にして上空へと昇っていきました。 それでそのまま、振り払う隙を与えないうちに自爆したんです。 ペレグリンの機体には、逃走防止用の爆破装置が付いていて、管制室からいつでも起爆できるようになっているんですが、 42は自分で自分の機体を整備していましたから、その起爆装置を自分で操作できるように細工していたんですね。 42の機体は敵機もろともバラバラになり回収できませんでした。 遺体も発見できていないようですが、爆発の瞬間は迎撃に出ていた他の隊員に目撃されていますし、 部隊の登録証にも正式に戦死のハンコが押されたそうです。 ゲルブリッター機とペレグリンの戦闘について私が知っているのはこれくらいですかね。 また話が聞きたくなったら、東に2ブロック行ったところにある工場まで来てください。 大体いつもそこにいますので。 なんでこんなに事情に詳しいかって? まぁそれは、ご想像にお任せします。 ◇◇◇◇◇◇ 以下 巨大要塞攻略戦についての設定やコンペ趣旨に沿った内容にすべくさらに少し追記 私は結局また、再建したクリンスレイトと共に42番の男としてここにいる。 持ち帰った情報が有用な物だったので、隠れていた期間は諜報活動を行なっていた扱いにされた。 2度目の逃亡はレッドチームへの再編と大規模作戦での前線投入を条件に不問だそうだ。 普通ならばあり得ない処理だが、どうやらこの軍は戦力になる駒が少しでも増えればそれでいいようだ。 半年前、例の記者が私のもとに持ってきたのはTYC巨大要塞と呼ばれるT国の施設に配備された、新型防衛装置の概要とその有効範囲を示した図面だった。 どうやってこんなものを手に入れたのか、どうして私のもとに持ってきたのかはわからなかったが、この防衛装置への対策なしに攻め込んだ軍隊が全滅するであろうことは容易に理解できた。 死んで当然な奴らばかりだし、知らぬ存ぜぬで押し通すこともできただろうが、一度部隊の面々の顔を思い出してしまうとそうも行かなくなってしまった。 せっかく手に入れたこの生活を手放すのは惜しいが、仕方がない。 2度も脱出できたんだ、きっと3度目のチャンスもあるだろう。 しかし気になるのはやはりあの記者の意図が読めない事だ。 この半年間の追加調査によって、件の図面の信憑性は高まったが、やはり罠という可能性もある。 初めて話した時はただの冴えないアングラ記者だと思っていたが、一体あいつは何者なんだろうか? |
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