連載小説51?55 |
しょーもないバトルによって遅くなってしまった夕食の後、
私は一人、部屋でまったりしていた。
「あ〜、くだらないバトルをしてしまった…」
これはまぁ、娘の意地を賭けたバトルだったわけだから、無駄ではないけど、
進まない議論に何時間もかけていたのかと思うと、我ながら恐ろしい…
『女って怖いねぇ』
とは、夕飯前に父事情説明をした時に言っていた言葉。なんだかんだ言って男一人、
父は肩身の狭い思いをしているのだ。
でも…
「何があったのさ。話してくれる?」
母が台所にいるタイミングを見計らっての事情説明。私はこれまでの経緯を話した。
「ふぅん、じゃあえりかちゃんは傘をささなかったんだ」
「だ、だって…」
い、いかん、ここでも形勢不利だ。
「だってじゃないよ。それはお母さんが正しいと思うぞ? こんな時間になるまで強情張ったりはしないけど、
お父さんだって、風邪を引かれたら心配だしね。なかなか強く言えない所が、俺の弱い所だけど」
「ううん、十分。そういう言い方されたら、こっちも強く自己主張できないし…」
やっぱ、肩身が狭いとはいえ、手慣れたもんだ…
「そっか、理解してくれたか。それが、親の本音。いいかい?」
「は?い」
なんと! この私が素直な返事を! 父め、恐ろしいいい人マジックを…
「じゃ、ご飯を待とう」
「うぃ?」
てな感じで、事情説明は終ったんだけど…
「この私が素直に負けを認めるなんて!」
もぅ、悔しいを通り越して、すごいよ。
「はぁ、勉強でもするかな…」
あぁ〜、お風呂、どうしよう。さっき入ったのは、その場しのぎのシャワーだし。
教科書を広げながら、そんな事を考えていた。
「お風呂…むぅ〜〜〜」
もちろん、下着を替えるつもりはさらさらないけど、入るなら入るで、
行水じゃ済まないのは事実だ。
「めんどくせ〜な〜」
っとと、いけない。うら若き乙女(小娘?)にあるまじき発言だわ。内容も、言い草も。
「まずは勉強勉強!」
さすがに落ちこぼれるわけにはいかないもんねっ!
結局、その日もしっかりお風呂に入って、乙女タイムを過ごしたのだった。
〜つづく〜
載小説52編集する2009年10月08日22:56
朝。目覚ましより少し早く起きた。
「ん…明るい…」
むくりとベッドから起きだし、カーテンを開ける。
サァ…!
「っ! っひゃぁ! いい天気!」
目の前に現れたのは、一面抜けるような青空と、所々にのんびりと浮かぶ、
白い雲。
「今日はいい日になるぞぉっ!」
っと、あ、あれ? なんか、世界が…回る?
「あれ〜〜〜…」
「38℃2分、ほら風引いたじゃない。面倒かけて…」
「だから…その事はもう誤ったじゃん…」
はふぅ。どうやら、しっかり風邪の菌が侵入していたらしい…情けない…
「全く…」
というわけで、ベッドの上で母の説教を受けるはめに。うぅ、何が悲しくて…
「それより、何か食べたい。温かい物と果物…」
「あー、はいはい。やっぱり面倒ねぇ。それと、学校には電話しておいたから」
ふぅ…またお小言を言われちゃったよ…トホホ。
「あーい」
「じゃ、今何か作って来るから、出来たら薬飲みなさいよ?」
ぶつぶつ文句を言いながらも、支度をしにリビングに降りて行く。
なんだかんだ言っても、ありがたいもんだ。
「あ、そうだ…」
私はケータイを取り出す。ぼーっとする頭を駆使して、楓と木谷さんに
風邪で休む旨をメールった。
「よし…これでいいか」
こういう時、友達の少ない一年目の春は助かる。三年目だと、きっと大変だろうなぁ。
「はふぅ…」
アイスノンを巻いたタオルが、額に心地いい…
〜つづく〜
風邪を引いてしまった今日…私はのんびり眠っていた。
朝ご飯を食べて、薬を飲んで、そんな感じだ。
「んん…」
不意に目が覚めた。何時だろう。まだ明るいから、昼間なのは確かだ。
「えっと…」
ケータイを探す。我が部屋にある物の中で、一番手近な時計だ。
「十一時過ぎか…って、メールが二通か…」
多分、楓と木谷さんだろう。ケータイをチェックするだけの余裕はある。
「どれどれ?」
やっぱり楓と木谷さんか…
「うーん、申し訳ないなぁ…」
二人とも、私を心配するメールをくれた。
「返事、返せるかなぁ…」
と、自分の体に訊いてみる。うーん、短いメールなら大丈夫かな。
「よし…」
手短だけど、心配してくれた事へのお礼と、薬を飲んで楽になった事を伝える。
「さてと、お腹も減って来たし、お昼ご飯を食べようかな…」
私はむっくりと起きて、居間に下りて行った。
〜つづく〜
風邪っぴきの私は、お昼ご飯の後も薬を飲んでおとなしく眠っていた。
「ふぁ…」
不意に目が覚めると、辺りが薄暗くなってた。
「夕方か…」
時間を確認すると、五時。そして、またメールが。
「ありがたいもんだ…」
頭はぼーっとしてる。寝過ぎちゃったかな?
「返事は後でいいか…」
ごめんね。
「にしても…こうして一日寝てると、その日を無駄にした気がするなぁ…」
ずず。
「さてと、もう少ししたら晩ご飯か…」
さすがに寝てるだけだからお腹空かないなぁ。
「でも、よく食べよく寝るのが大事だもんなぁ…」
あ〜、今日一日で太りそうだ。明日から、摂生しないとなぁ。
「さてと…」
一応、熱も測りたいし…居間まで行くか。
てとてと
〜つづく〜
風邪、夜、薬、睡眠。
それが今の私のキーワードだ。
部屋にて一人、のびりしていた。
「さてと、晩ご飯も食べたし、薬も飲んだし、歯も磨いたし、寝るかな」
っとと、忘れてた。
「メール出さなきゃ」
例によって、二人に同じ内容を。
『メールありhがとね
ずっと寝てたから、今返事!
寝まくって食べまくって薬飲んだから、
明日は大丈夫だと思う!
てわけで、明日元気な姿を見せるから
おやすみっ!』
さ、送信っと。
「さて、寝よう」
ベッドに入って、私は静かに目を閉じた。
〜つづく〜
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第51回から第55回 ストック分を放出してしまった為、次回以降ゆっくり更新となります。 |
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