恋姫無双異聞録〜外史に降り立つ鬼〜 最終話 |
―――Side 暁鬼―――
暁鬼「なんというか・・・あっさりと事が進んだな」
魏と呉の決戦に乱入して半月がたった あのあと、「なんかもうどうでもよくなったわ」と曹操も孫策も力が抜けたようになり、なんかなし崩し的に「三国同盟」が成立した まあ、「とりあえず仲良くしような?」と言ったら面白い具合に話がとんとん拍子に進んだ そのことを朱里や雛里に言うと「暁鬼さんが言ったから成立したんだと思います」「もし、発言したのが別の人ならこうは行って居ません」との事らしい
暁鬼「まあ・・・後は、北郷君たちに任せようかな・・・」
今は、三国同盟がなり蜀の城に魏と呉の主要な将が集まり、会合が行われている この前の戦いで北郷君も、他の国の人間に認められたようだし・・・そろそろ『暁鬼』をあげるころかな?
暁鬼「どのみち・・・『オロチ』と相打ちになるだろうな」
この世界の『オロチ』が元の世界のように魔化魍の大量発生を指していようが、江戸時代に出たという巨大な『オロチ』という魔化魍のことを指していようが、な
暁鬼「茜鷹、浅葱鷲、鉛色蛇、瑠璃狼、緑大猿・・・俺が居なくなっても、皆を助けてやれ」
その言葉に、ディスクアニマルたちは渋々と言った感じで返事をしてくれた
「コンコン」・・・ん?扉をノックする音と共に入ってきたのは桔梗だった
桔梗「暁鬼・・・お前、何があった?」
暁鬼「・・・何のこと「誤魔化すな お前に何かあったのは分かっている」・・・」
桔梗「この前のサトリとの戦いの時に何かあったのだろう?見くびるな・・・」
本当にかなわんな・・・俺は、桔梗に「次、鬼になったら死ぬかもしれない」とサトリに言われたことを話した これは、信憑性は薄いが「サトリは、ごく近い未来を予知することが出来る」という文献があった 本来なら笑い飛ばすのだろうが、「ありえないことこそありえない」と誰かが言っていた気がする
桔梗「死なせない・・・お前は、絶対に死なせない!お前を・・・お前を失いたくないんだ・・・」
抱きついてきて、嗚咽を漏らした桔梗はいつもとは違いとても小さく見えた 桔梗をこんなにしてしまったのは俺だ だが、こんな桔梗をとても愛おしいと思う俺はおかしいのか?
暁鬼「桔梗・・・」
桔梗「暁鬼・・・」
右手で顎を持ち、顔を上げさせると涙にぬれた桔梗の顔があった 離れたくない・・・だが・・・北郷君たちでは『オロチ』を沈静化させることは出来ない 俺がやらなければならない・・・でも、死にたくは無い こいつと一緒に生きて行きたい・・・
暁鬼「桔梗・・・俺は、たとえ変身したとしても死なない・・・必ず、お前の元に戻ってくる だから―――」
そして、以前北郷君に邪魔されたが今度こそこの言葉を―――
暁鬼「俺と・・・結婚してくれないか?桔梗」
桔梗「馬鹿が・・・わしが・・・いや、私が拒むとでも思っているのか?」
涙に濡れた顔で微笑みながらそう言った桔梗はとても美しかった
桔梗「ただし、必ず戻って来い・・・それが条件だ」
その言葉に、俺はしっかりと頷く ここまできたんだ 例え、二度と変身できなくなっても桔梗の元に戻ってくる たとえ死ぬ運命だろうが関係ない その運命を潰してやるさ
桔梗「暁鬼・・・私を・・・名実共にお前のものにしてくれ・・・」
暁鬼「ああ・・・愛しているぞ 桔梗」
桔梗「私もだ・・・お前を愛している 暁鬼」
―――Side 太公望―――
太公望「鬼の信念は「『オロチ』と相打ち、ではなく『オロチ』を倒し愛するものの下へ帰ること」・・・か」
とりあえず、暁鬼君の部屋の前で先ほどの会話を聞いていたんだけど・・・今、お二人はお楽しみ中ですよ・・・ん?出歯亀するなって?いや、これは偶然 本当は、暁鬼君の信念を聞きたかったんだよ さすがに、呂刀たちに頼み込まれたからね でも、俺はそこまで優しくはないつもりだからね 暁鬼君が「どんな形であれ」『生きる』という選択をしたら手を貸すことにして、それを確認しに来たんだが・・・合格だよ
太公望「暁鬼君・・・時間はかかるけど、崑崙山神仙が一人『太公望』の名において君を助けることを誓おう」
さて・・・太極図(偽)の精製にかかるとしますかね〜♪やっぱ俺にシリアスは似合わない♪
―――Side 暁鬼―――
今度は誰にも邪魔されずに、桔梗にプロポーズをして数日がたった とりあえず、そのことを全員に報告することにした そのときの反応をダイジェストでどうぞ
一刀・月・焔耶「おめでとうございます!」
詠「頑張りなさいよ」
白蓮「これから大変だな」
普通に祝福してくれた
紫苑「よかったわね♪桔梗」
華雄「羨ましいな」
星「ええ・・・まったく」
凪「そうですね・・・」
霞「ボケッとしとられんな・・・」
祝福してくれたのだが、俺を見る目が怖い(獲物を狙う目)
桃香「うわ〜・・・桔梗さんが眩しい」
愛紗「ああまで、綺麗になれるのか」
鈴々「羨ましいのだ〜」
朱里・雛里「「わ〜・・・」」
桔梗の微笑みに赤面 そして、自分たちの姿を妄想
―――と、こんな感じだった ちなみに、式は『オロチ』を沈静化してからすることにした・・・例え、「次、鬼に変身すれば死ぬ」と言われていようが関係ない 俺は、生きて桔梗と生きると決めた そして、いよいよ『オロチ』が来た
一刀「空が・・・」
華琳「不吉・・・ね」
それは、すぐに分かった 既に正午に近いというのに、夜と間違えるほどの暗い空 明らかに『何か』起こることが簡単に予測できる
暁鬼「華琳、雪蓮 将を集めてくれ 軍議を行う」
華琳「分かったわ」
雪蓮「りょ〜かい」
そして、軍議で放っていたディスクアニマルを解析した結果、『オロチ』とは等身大魔化魍の大量発生と、『オロチ』という巨大な魔化魍の出現の二種類であることが分かった
冥琳「で・・・どうするのだ?暁鬼殿」
暁鬼「オロチのほうは俺が当たる 桔梗は、蜀・魏・呉の将兵を率いて等身大魔化魍のほうを頼む」
桂花「ちょっと!?あんた死ぬ気!?」
桂花(すでに、全員の真名の交換は済んでいる)を始めとして俺と桔梗以外は、驚いている だが、もしこのオロチが文献に載っていた「江戸時代に現れたオロチ」なら、いくら鬼として覚醒した北郷君でも無理だ そして、全員に音撃武器もどきを与え、等身大魔化魍に対応できるとはいえ、生身だ オロチの攻撃を受ければ即死は免れない 俺なら、ある程度は耐えられる それに・・・
暁鬼「フッ・・・こっちは式もまだなんだ 嫁を残して逝けるかよ」
―――Side 一刀―――
暁鬼「―――嫁を残して逝けるかよ」
自分がこれから死地に行くというのに、自分が死ぬことを欠片も意識もせず、獰猛な笑みを浮かべた暁鬼さんは、俺を連れ出した 部屋を出る時に皆を見ると何人かが、顔赤くしてたな〜・・・桔梗さんも大変そうだな
一刀「それで・・・なんですか?」
城壁の上に連れてこられた俺は、暁鬼さんからある一言を伝えられた
暁鬼「少年・・・いや、一刀君 君はこの戦いが終わったら「暁鬼」を名乗ってくれるかな?」
その言葉は俺の頭を真っ白にするには十分な威力を持っていた
一刀「あの・・・どういうことでしょうか?」
そして、暁鬼さんから「君は俺の弟子だ 弟子は一人前になると師匠の名前を継ぐことになっている」と告げられた でも、俺に「暁鬼」という名前は重過ぎる だって、暁鬼さんは俺が尊敬する人だ その人の名前を継ぐなんて・・・
暁鬼「まあ・・・この戦いが終わった後に答えを聞かせてもらおう もし、継いでくれるのなら俺は、元の名前を名乗ることになるから」
そういって、暁鬼さんは降りていく でも、その前に一つだけ聞いておきたいことがあった
一刀「暁鬼さん!暁鬼さんの本当の名前って何ですか!?」
なぜ、聞いたのか分からない でも、聞きたかった
暁鬼「・・・不動・・・不動拓馬、だ」
不動拓馬・・・それが、暁鬼さんの本名・・・立ち止まって教えてくれた暁鬼さんは、今度は止まらずに降りていった
一刀「・・・俺には、名乗れませんよ 『暁鬼』の名前に相応しいのはあなただ 俺は―――」
―――Side 暁鬼―――
暁鬼「・・・さて、あれがオロチか」
崖から見下ろしたところにとぐろを巻いて鎮座しているのはオロチ そして、その頭の上に立っているのはクグツ クグツは、等身大の魔化魍を桔梗たちが防衛戦を張っている場所に向かわせている
暁鬼「桔梗・・・俺は、死なん 生きてお前と添い遂げる」
鬼角を鳴らし、サトリに言われた「最後の変身」をする 変身が完了すると、全身に激痛が走った だが、それも気合で抑える
暁鬼「暁鬼・・・これより、死地に入る!」
行くぞ!
―――Side 一刀―――
明命「桔梗殿!魔化魍の第一陣が見えました!」
明命の報告で、全員が最後の戦いに向けて気合を入れなおした 暁鬼さんは「『オロチ』さえ鎮めれば、魔化魍は通常の獣と変わらない強さになる」と言っていた なら、全力で行く!
桔梗「うむ・・・行くぞ!」
華琳「じゃあ・・・春蘭、秋蘭、季衣、流琉、遠慮は要らないわ・・・思い切りやりなさい!」
春蘭・秋蘭・季衣・流琉「「「「御意!」」」」
雪蓮「それじゃ・・・私たちも行くわよ!」
祭「雪蓮殿!待たれよ!」
蓮華「思春、明命!姉さんの援護を!」
思春・明命「「御意!」」
桔梗「我らも遅れるな!進め!」
一刀「・・・変身!」
暁鬼さんも心配だけど、今は目の前の魔化魍に集中する!
一刀「愛紗、援護は任せるよ」
愛紗「お任せください!」
―――Side 暁鬼―――
暁鬼「ちっ!」
そういえば童子と姫を忘れていたな クグツは魔化魍を操作し終え、オロチの童子と姫をスーパー童子とスーパー姫に進化させると、役目を終えたように消滅した
スーパー童子「死ね・・・!」
スーパー姫「死んじゃえ♪」
暁鬼「そう簡単には死ねんよ!」
今、手持ちの音撃武器は『音撃棒:煉獄』 音撃弦は、少し離れたところでディスクアニマルに見張らせてある
スーパー童子「・・・鬱陶しい」
スーパー童子は、手に持っている槍で突きを放っている・・・が、遅い!いくら強化されたといえ、こっちはずっと修行を続けていたんだ そう簡単に優勢には立たせん オロチはまだ目覚めていないようだ なら、今のうちにこいつらを潰す
スーパー姫「なんで!?なんで、死にかけなのにこんなに強いの!?」
スーパー姫は若干泣きながら、剣で斬りかかってくる 確かに、死にかけだろうな 実際、体の激痛は続いている だが、気分・動き、全て普段以上だ ランナーズハイという状態か?とにかく・・・
暁鬼「負ける気はせんよ!」
そして、紅に姿を変え攻勢に移る 現時点で、一番弱いのはスーパー姫・・・一気に決める!
暁鬼「『爆龍咆哮[ザシュッ]な、なに!?」
スーパー姫に『爆龍咆哮の型』を打ち込もうとすると、後ろから不意打ちを受けた?馬鹿な・・・スーパー姫もスーパー童子も目の前に・・・
コダマ「・・・」
コダマだと!?そうか・・・以前見た時からすっかり忘れていたな 確かにお前は倒していなかったな だが!
暁鬼「『爆龍・・・咆哮の型』ァ!」
振り向きコダマに『爆龍咆哮の型』を打ち込み倒し、目の前のスーパー童子とスーパー姫に向き直る
スーパー姫「あはは♪お前、もう終わりだよ!」
スーパー童子「・・・死ね」
ちっ・・・だが、まだ負けられないし、死ぬわけにも行かない!
暁鬼「舐めるなよ?・・・かかってこいやぁ!」
―――Side 一刀―――
一刀「真桜!」
真桜「任しとき!全砲門開けぇ!・・・一斉放火ぁ!」
暁鬼さんが真桜に作らせた鬼石を大量に撃ちだす大筒により、魔化魍や大地に鬼石が撃ち込まれる
桔梗「紫苑!合図を!」
紫苑「ええ!」
桔梗さんの声で紫苑さんは、花火を打ち上げた そして、音が鳴り前線に展開していた味方の部隊が下がる
桃香「ご主人様!」
一刀「・・・まだ・・・まだだ・・・今だ!『音撃射:豪龍咆哮』!」
タイミングを合わせて、大量の魔化魍を巻き込める位置に誘い出し、『豪龍咆哮』で一気に破壊をする 体内に撃ち込んだ鬼石だけでなく、地面にも撃ち込まれた鬼石の共鳴により、通常の倍以上の『清めの音』が発生し、等身大の魔化魍たちは悉く破壊されていく
桔梗「よし!倒しきれなかった奴らは我らで倒すぞ!」
桔梗さんの号令で、下がっていた将兵は反転して攻撃を仕掛ける これが俺たちが使うことにした策 朱里を始めとした軍師の皆が考えた策 魔化魍を、星や春蘭・雪蓮たちが足止めをして、秋蘭や祭たちが鬼石を魔化魍に撃ち込み、真桜たちが地面に鬼石を撃ち込み前線が一時撤退し、俺が『豪龍咆哮』で魔化魍を倒し倒しきれなかった魔化魍たちを倒す 釣り野伏せに似た感じの策 そして、こちらはもうそろそろ終わりそうだった
桔梗「・・・暁鬼」
桔梗さんはそう呟いて、暁鬼さんが向かった谷に目を向けた 紫苑さんが、傍で何か話しかけている 戦闘中とはいえ、愛する人を心配する桔梗さんを、誰が非難できるのだろうか
一刀「暁鬼さん・・・信じていますよ」
―――Side 暁鬼―――
スーパー姫「あははははは!どうしたの!?ねえ、どうしたの!?」
鬱陶しい・・・甲高い声が、頭の中で反響している 結構拙いか?
スーパー童子「そろそろ諦めろ・・・今のお前ではオロチは倒せない」
倒せない?諦めろ?
暁鬼「おいおい・・・俺は、まだ・・・死んではいないぞ?」
死にかけではあるが、死んではいない それに昔からよく言うだろう?
スーパー童子「何!?」
暁鬼「手負いの獣は、手強いとな!『音撃打:業火絢爛』!」
スーパー童子「避け「死んどけ!」ガアァ!?」
スーパー姫「童子?・・・なんなの!?あんた一体何者なの!?」
暁鬼「フッ・・・お前ら魔化魍を討伐する鬼だ・・・それ以上でもそれ以下でもない!」
ス−パー姫「・・・オロチ!あたしを食べて起きろぉ!」
そう叫び、スーパー姫はオロチの上に立ちオロチの体に沈み込むように同化していった そして、今まで眠っていたオロチが目を開け動き始めた
暁鬼「オロチ・・・目覚めた直後で悪いが、もう一度眠ってもらうぞ?今度は・・・永遠にな」
オロチは目覚めた直後で、動きが鈍い上に体色などから考えて不完全体 おそらく、スーパー姫が無理やり起こしたせいだろう ならば、付け入る隙はある
オロチ「グルルルル・・・」
暁鬼「起き抜けで腹が減っているか?いいぜ・・・たらふく食えよ ただし、最後の晩餐だ!」
オロチは、その巨大な尻尾をムチのように動かし攻撃を仕掛けてくる これだけなら単調な攻撃 避けるのに訳はないだが、オロチは口から火球を吐き出し逃げ場を無くそうとする 意外に知能あるな・・・って、スーパー姫が同化しているから少しくらい知能が上がっていてもおかしくは無いか
暁鬼「だが・・・こちらもそろそろ・・・か」
言い終わらないうちに、膝をついてしまった やはり・・・サトリの未来予知は、当たるというのか?体から力が抜けていくのを感じる まだ、紅の状態は保てているが・・・このままでは「暁鬼―!」・・・桔梗?それに、北郷君たち!?
暁鬼「何故!?」
一刀「こっちは片付いたんです!だったら、援護に来なければいけないでしょう!」
華琳「されるばかりは嫌なのよ」
雪蓮「そういうこと♪」
そういって、それぞれの得物を構える すると、遠くのほうから馬の嘶きが・・・って、あれは・・・
翠「西涼連合参上だぜー!」
・・・あれ?え〜っと・・・どなた方?周りに居る皆に問いかけると、北郷君と曹操以外は「誰?」みたいな顔をしていた
蒲公英「うわーん!やっぱり忘れられてた!?」
「これも、作者のせいだー!」と叫びながら、こちらに合流してくる西涼連合 メタ発言は控えような?とりあえず、オロチは他の面子が相手をしているが成果は芳しくない
桔梗「それより・・・体は大丈夫なのか?」
その言葉は、表面だけを考えれば「傷は大丈夫なのか?」と聞こえるが、桔梗の「まだ生きているよな?死なないよな?」という副音声が聞こえてきた
暁鬼「・・・まだいけるさ」
実際には、若干鬼の姿を維持するのがきつくなってきたが、ここで変身を解くわけにはいかない それに、あれに止めを刺すのは俺の役目だからな
暁鬼「お前らは・・・見ていろ これが俺の・・・最後の・・・音撃だ!」
そして、体に残る全ての氣を『煉獄』に集め、立ち上がり咆哮をあげる
暁鬼「ウオオオオオオオオ!行くぞ!」
オロチに向かい駆け、オロチの相手をしていた愛紗たちを始めとした連中に何か言われているが、気にしている暇は無い そして、オロチの頭に取り付くことが出来た オロチは必死に頭を振り俺を振り落とそうとしているが、両足の先から鬼爪を伸ばしそれをオロチに刺すことで、抵抗をする そして、『灰燼』を取り付ける そして―――
暁鬼「この一撃に全てをかける!『音撃打:業火咆哮』!」
師匠から教えてもらった『爆龍咆哮の型』と俺が編み出した『業火絢爛』を掛け合わせた『音撃打:業火咆哮』 最初で最後のお披露目だが、相手がお前なら不足ない!
暁鬼「これで・・・終わりだ!」
最後の一発を打ち込んだと同時に、オロチは爆発し俺を爆風が包んだ
桔梗「暁鬼!?イヤーーーーー!」
最後に聞こえたのは、最愛の女性の叫びだった
―――Side 桔梗―――
暁鬼「お前らは・・・見ていろ これが俺の・・・最後の・・・音撃だ!」
その言葉を聞いたとき、暁鬼の姿が見えなくなった それが、自分の涙のせいだと気づいた時にすでに、暁鬼はオロチに向かい地を駆けていた その速さは、まさに疾風だった そして、愛紗を始めとした武将たちを追い越し、オロチの頭に取り付いた そして―――
暁鬼「この一撃に全てをかける!『音撃打:業火咆哮』!」
あいつが、出した技は見るものを魅了するほど美しかった 命という炎を極限まで燃やして奏でている『清めの音』はそれほど美しかった だが、最後の一撃を打ち込んだ後にオロチと一緒に爆発に消えたあいつを見て、私は外聞も無く叫んでしまった
桔梗「暁鬼!?イヤーーーーー!」
それからのことはよく憶えていない 紫苑や祭が私を抑えてくれたような、城に戻った後北郷たちが「爆心地を探してみたけど、暁鬼さんを見つけることは出来ませんでした」と報告をしたような、紫苑や祭が私に向かって「しっかりしろ」とかをいっていたような気がする そして、一月がたった 曹操と孫策たちもそれぞれの国へと戻っていった 皆進んでいる 止まっているのは私だけ・・・分かっている 私らしくないことくらい・・・でも―――
桔梗「暁鬼・・・会いたいよ・・・」
もう一度、私に笑顔を見せて欲しい もう一度、皆で騒ぎたい もう一度、私を愛して欲しい でも、叶わない絵空事・・・このまま寝てしまおうか?そうすれば、夢の中であいつに会えるかも「桔梗!すぐに、城門まで来て!」・・・紫苑?
桔梗「・・・なんだ?」
自分でも、酷い声で返事をしたのが分かる でも、紫苑は何を切羽詰っているのだろうか?
紫苑「鈴々ちゃんが、暁鬼さんらしい人がこっちに向かってきているって!」
その言葉を聞いたとき、世界に色が着いた そして、部屋を出て紫苑を待たずに城門に向かって駆け出す 自分の心臓がうるさく鳴っている そして、城門には北郷を始めとした蜀の将が集まって前方を見ていた そして、こちらに歩いてくる姿を見たときに世界が輝いた そして、私はまるで親を見つけた迷子のように、歩いてくる最愛の男に飛びついた
桔梗「馬鹿・・・馬鹿・・・」
まるで、少女のように泣きじゃくる私の頭をなで、呟いた
暁鬼「ただいま・・・桔梗」
お帰り・・・暁鬼
―――Side 暁鬼―――
・・・ん?ここは・・・神殿?という事は―――
暁鬼「崑崙山か」
太公望「ご名答〜♪」
柱の陰から出てきたのは、最初にここに来たときに出会い、俺が外史に降りることになった原因の一つ太公望だった
暁鬼「なんのようだ?」
俺が、そう問うと太公望は真面目な顔になり
太公望「さて・・・暁鬼君?君には二つの選択肢がある 一つ、元の世界に戻るか 二つ、元の世界を捨てて、今さっきまで居た外史でその生を終えるか・・・どっちがいい?」
そう言ってきた どっちを選ぶ?・・・決まっている
暁鬼「桔梗が居る外史に、送ってくれ」
太公望「・・・後悔はしないのかい?」
後悔?するわけが無い むしろ、このまま桔梗と離れることのほうが耐えられない そんな俺の意思を読み取ったのか太公望はいつもの顔に戻り
太公望「ま、そう言うと思っていたよ 君はあの外史では既に死んでいるから、俺が持つ『太極図(偽)』の能力で、生き返らせるよ?ただ、二度と鬼になることはできないけど・・・いいかな?」
太公望いわく今回用意した『太極図(偽)』は、精製する時間が足りなかったこともあり、そこまで上等なものではないらしい よって、生き返らせることは出来るし、体も今までのように鍛えられているらしいが、鬼にはなれないらしい だが、それでもいい 桔梗といられるなら些細な問題だ それに、鬼になれなくても後進を鍛えることは出来るさ
暁鬼「それで構わない・・・やってくれ」
そして、目の前が光で見えなくなった 桔梗・・・待っていてくれ・・・
―――Side 太公望―――
・・・行ったか まあ、これでよかったかもね・・・おそらく、あの外史はこれからも続いていくだろう そして、時が流れれば元の世界のように「猛子」が出来る・・・
太公望「『暁』には、『始まり』という意味がある・・・暁鬼君、君は『始まりの鬼』だ」
さて、そろそろ狂骨たちを呼び戻すかな?次の行動も起こさないとね・・・暁鬼君 また、会えるのを楽しみにしているよ?
―――Side 暁鬼―――
光が収まると、目の前に広がるのは見慣れた蜀の土地
暁鬼「帰って来たのか・・・」
そして、成都に向かい歩き出す そこに待つ愛する女性の下へ―――
桔梗「馬鹿・・・馬鹿・・・」
ああ 馬鹿だな俺は・・・でも、桔梗―――
暁鬼「ただいま・・・桔梗」
俺は、もうお前から離れない・・・ずっと一緒だ
―――数日後―――
一刀「おめでとうございます!」
華琳「一応、おめでとうといっておくわ」
雪蓮「羨ましい・・・」
暁鬼「ふぅ・・・」
祭「おや?どうしたのじゃ・・・もしや、怖気づいたか?」
暁鬼「いや そんなわけ無いだろう?」
暁鬼が、外史に戻り数日後 蜀の城では、暁鬼と桔梗の結婚式が行われようとしていた 一刀が「せっかくだから、ウェディングドレスを着ましょうよ!」といったことで、この時代ではありえない洋風の結婚式になった 流琉を筆頭とした料理が得意な面子は料理を、月や詠・ディスクアニマルなどは料理を運んだり、会場の設営をしていた 桔梗は、紫苑や星と共にドレスを着る準備のためにここには居ない
秋蘭「ん?桔梗殿が来たようだぞ」
その言葉に、桔梗・紫苑・星を除く面々が入り口を向き、入ってきた桔梗の姿に言葉を失った
桃香「・・・綺麗・・・」
朱里「・・・わー・・・」
元々が美人というだけでない 薄い化粧と、紫苑や真桜が一刀の記憶を基にした図面をこの時代風にアレンジしたドレスなど桔梗が身に着けている全てが桔梗をより一層美しくしていた
桔梗「暁鬼・・・その・・・どうだ?」
顔を赤くしながら、そう問いかけてきた桔梗
暁鬼「今のお前を見て、綺麗とかそう言う感情を抱かない奴が居たら見てみたいな」
そんな桔梗に暁鬼は若干顔を赤くして、返答をした そして―――
一刀「それでは・・・暁鬼、桔梗の両名―――」
一刀が神父役となり、式を執り行うことになり式は進んでいく
華琳「まったく・・・まさに女神ね」
春蘭「・・・美しいです」
蓮華「人は、あそこまで美しくなれるのか・・・」
祭「これも、愛のなせる技じゃな〜♪」
桃香「そうですね〜♪」
愛紗「私たちも・・・(ジロ」
凪「北郷はまだ、気づいていないんじゃ?」
朱里「そうなんです」
真桜「大変やな・・・」
華雄「む?そろそろ、終盤だぞ?」
一刀「―――それでは、誓いの言葉を」
一刀がそう言い、二人に促す
暁鬼「桔梗・・・愛している」
桔梗「私もだ・・・愛しているぞ 暁鬼」
その言葉を言い終わると、どちらからとも無く口付けをした
霞「よっしゃ!祝砲発射や!」
霞のその言葉と共に、外で祝砲が上げられた
全員「「「「「おめでとうございます!」」」」」
華琳「幸せにしてやりなさいよ?」
そして、二人は周りの連中に向き直り
桔梗「さあ!堅苦しいのはここまでだ!」
暁鬼「お前ら!騒いで俺らの結婚を祝え!」
雪蓮「望むところよ!」
祭「それでは・・・お言葉に甘えて騒ぐとするかの?」
月「お料理、追加持ってきます!皆も手伝って!」
ディスクアニマルたち「「「「キュー!」」」」
最後は、いつものように宴会と相成った しかし、全員の顔は輝いている
「エピローグ」
暁鬼「それでは、今日はここまで!」
一刀・凪・思春・季衣「「「「ありがとうございました!」」」」
蜀の城では、一刀を始めとした武将が暁鬼に「鬼」としての修行をつけていた 世の中にはまだ、魔化魍が出現しているが魔化魍から人々を守るために全員が修行をしている さらに、真桜が『音撃武器』や『変身音叉』を作成し、魔化魍に対抗するための力も整っている
暁鬼「それと、少年・・・名前をどうするか決まったか?」
一刀「はい!俺は・・・『刀鬼(とうき)』を名乗ります」
結局、一刀は『暁鬼』を名乗ることはしなかった 自分にとって『暁鬼』は目の前に居る暁鬼のみだったから だから、一刀は自分の名前から一文字取り『刀鬼』を名乗ることにした
暁鬼「そうか・・・君が決めたなら何も言うまい」
そして、暁鬼は一刀(魔化魍退治のときのみ『刀鬼』を名乗ることにした)たちと別れ、桔梗の元へ歩いていった
暁鬼「桔梗・・・いるか?」
桔梗「ん?もちろん居るぞ?ほら、『椿』お父さんが来たぞ〜♪」
椿「ちちうえ〜♪」
式が終わり数ヵ月後、桔梗が妊娠していることが分かり紫苑が、桔梗の身の回りの手伝いをしていた そして、無事『椿』という娘を授かることが出来た
暁鬼「よしよし・・・」
そして、三人は外に散歩に行くことにした
桔梗「フフッ・・・なあ、暁鬼」
暁鬼「ん?なんだ?」
椿を肩車して、庭園にやってきた暁鬼と桔梗 そして、桔梗は暁鬼の隣に寄り添い―――
桔梗「これからは、ずっと一緒だ」
そう呟いた
「紹介ページ」
オロチ:この外史最強の魔化魍 しかし、まだ未完成体でスーパー姫に無理やり起こされたので、本来の能力を発揮できなかった 攻撃方法は、口から吐く火球と尻尾をムチのように振るうこと
スーパー童子・スーパー姫:原作では、謎の男女に作り出されたが、この外史ではクグツニよりオロチの童子と姫が進化させられた 能力自体は原作と変わらない
「舞台裏〜あとがき的なもの〜」
どうも、作者の鴉丸です という訳で「恋姫無双異聞録〜外史に降り立つ鬼〜」はこれで終了です 自分の未熟な作品にお付き合いくださり、真にありがとうございます この話を書こうと考えたのは、最初の話のときに書いたとおり「仮面ライダーと恋姫のクロス書きたいな〜」と思い立ち「響鬼なら、結構違和感無くクロスできるのでは?」と考えた次第です さて、この外史で主人公だった「暁鬼」という鬼 書くに当たり「性格はどうしよう」と考え、「狂骨は武骨な感じ 刑天は父親 呂刀(一刀)は優しかったり」という感じでオリキャラの性格を考えていたとき「アニキ系って書いていないな」と思い、性格を「アニキもしくは、原作のヒビキさん」ぽくしてみようと思いました そして、ヒロインを誰にするか考えたとき様々なサイトの小説を見たとき「桔梗が少ないな〜」と思い、「なら桔梗をヒロインにしてみよう」と決めました 作中では、桔梗の口調が変わっていましたが、そこら辺は許していただけると嬉しいです
さて、前回の投稿のおり次回作のアンケートをとらせて頂きました その結果、「呂刀で新規蜀√」が一番多かったです(10月21日時点) という訳で、「呂刀で新規蜀√」を書こうと思います その後は、「狂骨で魏新規√」→「刑天で新規呉√」の順で書こうと思います それでは、これからもよろしくお願いします
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最終話です 忙しいときほど、文字が進むのは何故? |
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コメント | ||
桔梗姐さんかわええなぁ・・・こういうのイイよね・・・(デーモン赤ペン) 完結おめでとうございます。新蜀√楽しみですね。(ブックマン) ユウ様:誤字訂正しました 指摘ありがとうございます(鴉丸) これからも更新頑張ってください!!(紫皇院) 17p婚約を祝え→結婚 では?(ユウ) 12p桔梗や祭が→紫苑や祭が では?(ユウ) たまには魏で刑天、呉で狂骨とか入れ替えもいいかも(ヒトヤ) ↓いや、この場合は上位作品(世界観や登場人物の能力などが筆者主観でクロス先より上位なこと)を使った下位作品(筆者主観)へのレイプ行為というべき。おっと、完結おめでとうございます(ジョン五郎) ↓同意。オリキャラ無双並に地雷。両原作をレイプするようなもん。あ、とりあえず完結乙です(K2) 完結おめでとうと言いたいけど、他作品キャラ同士のカップリングとか、マジないわ(ボブ彦) お疲れ様でした!! 確かに翠たちのこと忘れてましたねwww 次回作も期待して待ってます!!(キラ・リョウ) 完結おめでとうございます。もうちょい最後の戦闘のキメのときに盛り上がりがほしかったと思いましたが、ENDの結婚式がその分良かったと思います。桔梗がすっごく乙女で原作が霞んでしまいそう。あと・・・翠と蒲公英のことすっかり本気で忘れてました。白蓮以上に影が薄かったなんて・・・(投影) |
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