新たなる外史の道 8
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「・・・・・・・・・・・・」

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

辺りは二人の放つ闘気で震えていた・・・・・・・・・

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時間は少し遡る・・・

 

劉備たちが俺達の陣に挨拶と軍議に来た時だ。

 

挨拶も終わり軍議に入った時・・・

 

愛紗と過去愛紗が揉めたのだ。

 

過去愛紗が愛紗に突っかかる形になったが・・・

 

「北郷殿!! 何故我々が貴方達の後方支援か!? 納得できかねる!!」

 

俺が何度目か解らん位説明した説明を過去愛紗にしようとした時だ。

 

「同じ事を何度言わせる気ですか、関羽将軍・・・貴殿らの兵は高々千、袁紹から借りた

軍勢を入れても高々四千・・・その兵力で帝都を守る第一関門たる水関に十万前後の軍

勢・・・それにどう当たる気で・・・そこまで息巻くなんら具体論を上げていただきたい。

それとも・・・一軍を預かる将が自分の甘い見積もりと、思い込みだけで軍を動かすと?」

 

愛紗がそう言って来た。

 

「・・・それは・・・」

 

過去愛紗も言い返そうとするが、言葉が出てこない。

 

「それは?」

 

「・・・・・・」

 

「ハッ・・・無いのね・・・前方に出しても良いけど物凄く危険になるわ・・・諸葛亮、

鳳統、貴女達も同じ考えよね?」

 

「「はい・・・」」

 

「そうなのか!?」

 

「ええ、私達が囮となって猛将、華雄に罵倒を浴びせ、水関から切り離し、袁紹さんに押し付けるのですが・・・」

 

朱里の言葉を鳳統が受け継ぐ。

 

「この場合、私達が罵倒しなければならないですから・・・怒り狂う敵の矢面に立たされるんです・・・それを陣の奥深くにいる袁紹さんの所まで持っていくのですから・・・」

 

過去愛紗は顎に手をやりながら呟く。

 

「危険はどうしてもついて回る・・・か」

 

「はい、しかも私たちは、袁紹さんの軍勢を借りていますから連携が取り辛いんです・・・」

 

「危険は覚悟の上だ!! 我々が先方を担うべきだ!!」

 

「・・・いいわ・・・任せます。先方は劉備に譲りましょう・・・」

 

愛紗がそう言う。

 

『なっ!?』

 

俺以外の全員が正論を言い続けた愛紗の言葉に驚きを隠せなかった。

 

「その代わり・・・劉備の意見も聞きなさい・・・貴女は劉備の臣下でしょう?」

 

そう諭す愛紗の顔は幼き妹を見る顔つきだった。

 

「・・・桃花さま・・・」

 

「いいよ、愛紗ちゃん、やろう、私たちの夢の為に!!」

 

「はい!!」

 

こうして先方が劉備軍になった。

 

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こうして、軍議は一応の集結をしたかに見えた。が・・・

 

 

「北郷夫人・・・私と訓練していただきたい」

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≪過去愛紗サイド≫

この女を見た時の苛立ちは何だ!?

 

何故か知らないが腹が立つ!!

 

自分でも理解できない・・・

 

何なんだあの女!!

 

私達がいるにもかかわらずイチャイチャイチャイチャと・・・

 

其れだけじゃない・・・何故だろう・・・的確な言葉が思い浮かばないが・・・

魂が・・・私の魂が・・・この女を・・・拒んでいる・・・そして憧れている・・・

 

こうなりたくない、汚れたくない、という思いと反して、こうなりたい、こういう生き方をしてみたい、と・・・

 

・・・私は・・・

 

北郷 愛紗を・・・・・・・

 

 

・・・・・・リカイシタクナイ・・・・・・

・・・・・・デモ、リカイシタイ・・・・・・

 

 

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≪愛紗サイド≫

過去の私が・・・可能性に満ち溢れていた頃の、私の知らない過去の私が目の前にいる・・・

 

不思議な気分だ・・・知らないはずなのに・・・解らないはずなのに・・・

懐かしさに似た新鮮さが私の心にはある・・・

 

そして・・・苛立ちにも似た腹立たしさが私の中で渦巻いている・・・

 

 

ああ、そうか・・・これは、今の私が、過去の私に対する苛立ちだ・・・

そして、この子の怒りは、未来の自分がこんなんじゃない! て魂が否定している・・・

だから苛立っている・・・

 

そして、羨ましいのだ可能性に満ち溢れた自分が・・・

 

なんだ、そういうことか・・・

 

あの頃の私は、汚いことから、嫌な事から、辛いことから逃げていた。

出来る限り、見ないように、考えないように、そう言い、目と耳を塞ぎ、綺麗なモノにだけ目を向けていた・・・だからなのかも知れない・・・彼女が劉備の理想という名の奇麗事に惹かれたのは・・・

今の私は、それが許せない、現実を見ろ、夢ばかり見るな、汚いものから目を逸らすな、そんな感情が苛立ちとなっているのだろう。

 

そして、あの純粋で、まだ何も知らなくて、まっすぐ今を見ることの出来る自分に、

驚きを純粋に受け止め、純粋に悩める自分が・・・羨ましい・・・

 

違う者だ、私と彼女は違う・・・

・・・いや・・・目を逸らすな、私・・・アレは私の過去だ・・・

 

それは動かし様の無い事実・・・

 

なら・・・

 

私はソレを受け入れよう、受け入れて、進もう・・・

 

・・・・・・関羽・・・・・・・アリガトウ・・・・・・

 

気付かせてくれて、前に進む機会を与えてくれた貴女に・・・

 

 

ココロカラノカンシャヲ・・・・・・・・

 

 

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いきなり過去愛紗が愛紗に訓練を申し込んできた。

 

「貴殿の実力が知りたい・・・受けてくれるだろうか?」

 

「・・・良いでしょう・・・表へ行きましょう」

 

なんか・・・展開が急すぎる・・・

 

過去愛紗・・・お前・・・そんなに愛紗が・・・未来の自分が嫌か?

それを知らないとは言え、魂はそれを解った筈だ・・・

あの顔は、それを理解しながら無意識に拒んでいる。

 

ああ、そうか・・・過去の自分と未来の自分、愛紗は、愛紗たちは向き合おうとしている。

 

過去愛紗は解り得ないものを理解する為に言葉ではなく自分の武で向き合おうとした。

 

一方の愛紗は全てを解った上で受け止めようとしている。

 

人は誰しも過去の自分を見て未熟だ、腹が立つ、と感じるように

 

今の自分が未来の自分を見て、こんな未来自分じゃないと否定する。

 

未来の自分が過去の自分を見て可能性に憧れるように

 

過去の自分が未来の自分の大人な部分に憧れるように・・・

 

今この二人の心の中はそんな感情で満たされているのだろう・・・

 

愛紗なら武ではなく弁をもって諭すことも出来る。

しかし、それでは過去愛紗は表面上は納得できても心から納得できないだろう。

 

ならば、この二人の共通の言語たる武でそれを語るしか無くなる。

 

愛紗の勝利条件は過去愛紗に自分の思いの丈をぶつけ、納得させること

 

はたして・・・愛紗の想いの丈はこの未熟な少女に届くのか・・・

 

・・・・・・見届けよう・・・・・・どうなるか解らないが・・・・・・

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北郷軍の奥方と劉備軍の名将が訓練をする・・・

 

それを嗅ぎ付けた諸侯や兵達が何処からとも無くワラワラと集まってきた。

 

「あら、面白いことしているわね」

 

曹操が俺に語りかけてきた。

 

「ん、ああ、どうなることやら・・・・・・」

 

曹操は興味なさそうに俺に言う。

 

「関羽が勝つに決まってるじゃない、アレは私のモノよ」

 

「勝負は何が起こるか解らん・・・それにな・・・曹操・・・1つだけ言っておく・・・」

 

「何かしら?」

 

「愛紗は、関羽より遥かに強い・・・」

 

「高が一領主の奥方が百戦錬磨の武将にかなう訳無いじゃない」

 

馬鹿にしたようにいう曹操。

 

「じゃあ、賭けをしよう・・・愛紗が勝てば、酒を、君が考えうる銘酒をよこせ、愛紗が負けたら俺の持ちうる最高にして最上級の銘酒、天の世界にしか無い酒をくれてやろう」

 

「ええ、良いわよ、その賭け受けてたちましょう」

 

勝ちを確信したかが如く曹操が賭けに乗る。

 

「・・・まあ、見てみろ・・・強さの次元が違い過ぎるから・・・」

 

「楽しみにしてるわ」

 

そう言い曹操は観戦に戻った。

 

説明
恋姫無双の愛紗ルート後の二人が真の世界にやってきたら?
という妄想から生まれた駄文です。
読んでもらえれば幸いです。
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コメント
Fateのアーチャーと士郎のような関係ですね(Holygrail)
この戦いは、お互いに生涯忘れられない戦いになりそうですね。(ブックマン)
過去愛紗が現愛紗に負けて、華琳は現愛紗を欲しがると、なんかややこしいですねw(キラ・リョウ)
紅い弓兵さんと、正義の味方を目指している少年の関係に似てますね。(レイン)
誤字 2P「桃花」⇒桃香 表現 5P「目と耳を塞ぎ、綺麗なモノにだけ目を向けていた・」目をふさぐと向けるの同時記載は文体としておかしい。(Sirius)
今日中に出ないかな〜(neoken)
華琳は九?春酒だろうが、一刀はどんな酒だろうな(じゅるり)(ジョン五郎)
賭けの行方が気になる^^一刀が持ちうる最高の酒ってなんやろ(物語のイレギュラー)
過去と未来の、自分の壁を乗り越える一歩ですね  どうなるんでしょうか(kayui)
そっかこの二人は年齢が違うから雰囲気とかも違う。それに同一人物だということは事情を知っている人しか分からない。思ったよりあっさりとした邂逅かと思いきや戦いというか決戦になってる・・・愛紗がどんな圧倒的な力で過去を乗り越えるのか、楽しみです。(投影)
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