近未来文明が残る惑星 第11話
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この作品はフィクションです。実際の史実とは関係ありません。

 

 

前回のあらすじ

突然、姿をくらませたリックを探していた瑠璃とカムイは、敵軍による小田原襲撃の影響で逃げ惑っていた。それぞれ互いに大切な人を見殺し、ひとまず小田原城に避難することを提案したカムイだったが…。

 

 

 

瑠璃とカムイは逃げ惑う人々とは逆に小田原城に向かっていた。

微かに助かる希望を胸に秘めて、ひたすら惨劇の中走っていた。

 

「…町の人々も建物もみんな…!」

 

瑠璃の村同様、城下町でも戦場になっていた。

燃え盛る家や切り付けられ亡くなった人の死体が散らばって血の異臭が漂う。

 

「カムイっ!」

 

瑠璃はカムイを庇う様に倒れ込んだ。

カムイはハッと顔を上げると、苦しそうに顔を歪ませる瑠璃と背後で鋭い音がした。

 

「何をしている!?女性と子供は真っ先に避難しろと言われていなかったのか!?」

 

鷹羽がすかさず瑠璃とカムイを襲った敵を切りつけた。

 

 

 

 

 

「う…ううう…!!」

 

瑠璃の背中に赤い血が服を染めて苦しそうな声を声を上げた。

 

「瑠璃!しっかりして!…僕なんかの為に…」

「…無事で、良かった…」

 

瑠璃は出血と痛みで気を失ってしまった。

自分のせいで大切な人に傷を負わせてしまった、このままだと死んでしまうかもしれない。

 

「おい何してるんだ!?早く避難しろ!ここは危険だ」

「でも…!」

「早く避難して一刻も早くその人の傷の手当てをしてやれっ!」

 

完全に思考停止しているカムイに喝を入れ怒鳴る鷹羽。

カムイは瑠璃を背中に背負い再び歩き出そうとした瞬間―――

 

「待ちなさい。そんな頼りない足取りで我々から逃げられると思っているのかい?」

 

3人の背後から声が聞こえた。

紅と黒を基調した甲冑、茶髪に白のメッシュが入った髪に血痕が無数に付いていた。

男性にしては声が少し甲高いのが気になった。

 

「北条の家来だな?大人しくしなさい。抵抗しなければ悪くは扱わない。我らと共に来てもらおうか」

「……何者だ」

 

敵はまっすぐ鷹羽を見つめて話している。何人か斬ったのだろう、髪だけでなく甲冑にも血痕の跡が付着していた。

鷹羽も警戒するように尋ねた。

 

「私は真田軍鉄砲隊の白杉(しらすぎ)である。」

 

白杉と名乗る敵は腰に隠し持っていた鉄砲を鷹羽に向けた。恐らく従わなければ殺すつもりなのだろう。

 

「…ああそうだ、君達も来るかい?上田に。そうしなければ君が困る。

この幼気な子供たちは君のせいで殺されるんだからね。さて、どうする?」

 

白杉はカムイと瑠璃の方をちらりと優しそうな眼差しで見た。

 

「……」

 

鷹羽は俯き沈黙した。

 

(どうして、どうしてこうなったんだろう…。自分のせいで瑠璃は傷つき、鷹羽さんは苦渋の選択を迫られている。鷹羽さんは北条の家来だ、家来は信頼している限り主の為に戦わなくてはいけない。その使命と覚悟を自分のせいで奪われようとしている…。)

 

カムイは悲痛な思いで胸を痛める。

 

「…分かった。俺とこの二人を連れていけ…この二人に手出ししたら許さんぞ。」

「懸命な判断だね。いいだろう」

 

カムイは再び鷹羽を見る。

案の定、眉間にしわを寄せ歯を食いしばる表情をしていた。

苦渋の決断だったのだろう…怒りを抑える様に手を強く握りしめていた。

 

「あの…僕達、探している人がいるんです…」

「ふーん、誰かな?」

「金髪で眼が綺麗な空色をした異国の人、りくって言います」

 

リックの大雑把な特徴を言ったが、白杉の表情は変わらなかった。

 

「知らない。そんな珍しい人を見かけたらすぐ分かるだろうし…」

 

心当たりはなかったようだ。白杉の命令でカムイ達は両手首にきつく縄で縛られてしまった。白杉の言う通り真田軍に連行された。

 

 

 

  次回に続く

説明
長らくお待たせしました11話です。
今回は少し短めの投稿になります。個人的な都合で次回から更新が2ヶ月に1度のペースになる可能性があります。またしばらく更新が遅れますが、頑張って物語を書くので宜しくお願いします。
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