英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜
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リィン達が先に進むごとに、艦内で作業や会話等をしていたメンフィル軍の軍人達はリィンとレンが自分達の近くを通るとそれぞれ敬礼をしていた。

 

〜レヴォリューション・艦内〜

 

「軍人達と遭う度に、みんなリィンとレン皇女殿下に敬礼しているな……」

「そりゃそうだよ……メンフィル帝国の皇族のレン皇女殿下は当然として、リィンの軍位は”少将”なんだから。エレボニアだと、正規軍の師団長を任せられてもおかしくない地位だと思うよ。」

困惑の表情で呟いたガイウスの言葉にエリオットは複雑そうな表情でリィンの背中を見つめながら答え

「……オリヴァルト殿下が懸念されていた通り、リィンはエリゼのようにメンフィル軍で元々備わっていた”実力”を今回の戦争で示したからこそ、メンフィル軍や皇族の方々の信頼を勝ち取り、あの若さで”少将”という軍の中でも上層部クラスに入る地位へと大出世したようだな。」

「それは…………」

「…………………」

重々しい様子を纏って呟いたユーシスの推測を聞いたラウラは複雑そうな表情で答えを濁し、マキアスは複雑そうな表情で黙ってリィンの背中を見つめた。

「ハッ、年上の軍人共が年下――――――それも10代の若僧相手にペコペコする必要があるとか、内心連中は”灰色の騎士”サマの飛躍的な出世を妬んでいるんじゃねぇのか?」

「ア、アッシュ君。」

嘲笑したアッシュの指摘を聞いたトワは冷や汗をかき

「うふふ、何度も言っているようにメンフィルは”実力主義”だから、若い世代の人達がトップクラスの地位に就いているなんてわりとよくある事だから、他国はともかく、メンフィル帝国に仕えている人達はそんな”些細な事”は気にしないわよ。実際、軍だと将軍クラスはセシリアお姉さんのような若い世代の人達が軍のトップクラスの地位に就いている事もあるし、使用人だと使用人としての最高の地位の一つである専属侍女長を務めているエリゼお姉さんやプリネお姉さまの親衛隊長も兼任しているツーヤという”実例”もあるもの。」

「”貴族が尊い存在である考え方”―――”血統主義”に染まっている今のエレボニアとはまさに正反対の道を進んでいることもまた、メンフィルの強さの一端かもしれぬの……」

「そうね…………”血統主義”のエレボニアだと実力はあっても、その実力によって自分達の地位を奪われる事を危惧した貴族達がその実力者を何らかの手段で、その実力に見合った地位に就けないようにしたりするような事はあったでしょうね……」

「やれやれ…………そういう意味では、前カイエン公と違って”平民”を蔑むような事や嫉妬で人を貶めるような心の狭い事はしないミュゼ君がカイエン公爵になる事は、今回の戦争が終わった後のエレボニアにとっての”救い”になりそうだね。」

アッシュの指摘に対するレンの答えを聞いたローゼリアとセリーヌの推測を聞いたアンゼリカは疲れた表情で溜息を吐いて呟いた。

 

「……おい、リィン。ずっと気になっていたんだが……お前、まさかとは思うがトールズの時もそうだが、内戦でも手を抜いていたのか?ルーファスの時は知らないが、”槍の聖女”を始めとした化物連中の加勢と”鬼の力”――――――いや、今だと”慈悲の女神の力”か?それらがあったとはいえ、ルーファスもそうだがあのマクバーンを殺れる実力がありながら、何で今までの特別実習を余裕で切り抜けたり、俺や”G”達相手に互角の戦いしかできなかったんだ?」

その時ある事が気になっていたクロウは真剣な表情でリィンに問いかけ

「……別に手を抜いていた訳ではないさ。訓練兵時代は座学に集中する日もあるトールズと違って、毎日座学に加えて軍人としての訓練はあった上毎月”特別課題”が出されることで常に”実戦”を経験させられたからな。修行中の剣士が1日剣の練習を休めばそれを取り戻すのに3日かかるのと同じようなものだ。」

「要するに軍人としてまだ未熟なリィンお兄さんは”訓練兵時代よりも楽だったトールズ士官学院での生活で、”剣鬼”として呼ばれる程の実力を失った”って事よ♪」

「つまりそれはあたし達の授業――――――いえ、トールズが”ぬるかった”って言いたいの!?」

静かな表情で答えたリィンに続くようにレンは小悪魔な笑みを浮かべて推測を口にし、その推測を聞いたサラは厳しい表情でレンを睨んで問いかけた。

 

「クスクス、そもそも、”軍人になる事を前提としたメンフィル軍の訓練兵達のクラスの中でもエリート揃いの黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)が受けていた教えと軍人以外の将来を歩む事も想定した授業もするトールズ士官学院の教えを比べる事自体が間違っているって事”よ。後は、トールズで受けた教えと仲間を守る事を優先していたからもあるでしょうね。」

「………………………」

「そ、それは…………」

「……ッ!」

リィンがレンの指摘に何も返さず目を伏せて黙って先に進んでいる中、レンの指摘とリィンの様子を見たトワは辛そうな表情で答えを濁し、サラは唇を噛み締めて身体を震わせていた。

 

「ねえリィン。クロスベルでの活動でシャロン達と偶然鉢合わせ際にわかった事なのだけど……あなた達は”猟兵王”達とやりあったそうだけど、もしかして”大佐から少将への昇進”にその件も関係しているのかしら?」

その時アリサはその場の空気を変えるためにリィンにある事を質問した。

「ああ。猟兵王――――――”紫の騎神”の両腕を破壊した事で今後の戦争での”紫の騎神”の戦闘能力に大きく支障をきたしたことに対する功績も俺が今の地位に任された事も理由の一つだな。」

「はあああああぁぁぁっ!?」

「”紫の騎神の両腕を破壊した”だと……!?」

「という事は団長は今度は騎神に乗った状態であのジェダルって人達に続いてリィン達にも負けかけたんだ……」

「それも”両腕を破壊された”という事は、実質”騎神を使っての戦闘の続行は不可能”のようなものだな……」

「その…………紫の騎神と戦った時は、やはりヴァリマールだけでなくエリスさん達――――――”金の騎神”と”神機”、そしてセレーネさん達――――――準起動者達と協力して紫の騎神をそこまで追い詰めたのでしょうか……?」

アリサの質問に答えたリィンの答えを聞いたその場にいるレンを除いた全員が血相を変えている中アッシュとユーシスは信じられない表情で声を上げ、フィーは複雑そうな表情で呟き、ラウラは重々しい様子を纏って推測し、エマはフィーを気にしながらリィンに訊ねた。

 

「それもあるが、そこにベルフェゴールの協力と、メンフィル軍からの依頼を終えて帰還している最中に偶然その場に鉢合わせたジェダルさん達の背後からの奇襲もある事も紫の騎神をそこまで追い込めたんだ。実際右腕の破壊もそうだが、ゼクトールの得物の完全破壊もジェダルさん達によるものだしな。」

「ベ、”ベルフェゴール”って事は以前レン皇女殿下と一緒に私達に会いに来たあの破廉恥な格好をした女性が……」

「………あの女は”七大罪”の”魔王”の一柱なのだから、生身でヴァリマール達と共に”騎神”を追い詰めた話には納得できるけど……確か異世界から迷い込んできた”抜闘士”とかいう連中だったかしら?背後からの奇襲とは言え、生身で騎神にそこまでの深刻なダメージを与えた上ゼムリアストーン製の騎神用の武器を完全破壊するって、冗談抜きで何者なのよあの連中は……」

「つーか、”騎神”二体と”神機”一体、準起動者達の支援に”マクバーンのように生身でも騎神とやり合える化物達”によるタコ殴りとか、さすがに猟兵王が気の毒に思えてくるぜ……」

リィンの答えを聞いたアリサは戸惑いの表情でベルフェゴールを思い浮かべ、セリーヌは真剣な表情でベルフェゴールを思い浮かべた後ジェダル達を思い浮かべて疲れた表情で溜息を吐き、クロウは呆れた表情で指摘した。

 

「そういえば、その件で気になっていた事があるんだが……エマ、セリーヌ、ロゼさん。騎神は霊力(マナ)によって機体のダメージを回復する事は知っていますが……それは機体の部分が破壊された場合も同じなのですか?」

「………はい。騎神は核(ケルン)が無事であるのならば、例え頭が破壊されようとも霊力(マナ)によって再生する事は可能です。」

「――――――とはいっても部分破壊なんて、騎神にとっても相当なダメージになるから、当然霊力(マナ)による再生の時間も相当かかるわよ。――――――ましてや片腕どころか、両腕を失ったのだから最低でもかつて内戦勃発時の初めての”同期”で消耗しきったアンタの回復の時の数倍……いえ、下手したら数十倍の時間を要する事は確実でしょうね。」

「しかもヴァリマール達との戦闘に加えて両腕が破壊された事によるダメージのフィードバックも当然起動者(ライザー)である猟兵王自身にも反映されているじゃろう。その事で猟兵王自身も相当消耗しているじゃろうから起動者(ライザー)である猟兵王の回復に当てれば紫の騎神自身の再生は更に遠のく上、失ってしまったゼムリアストーン製の得物の調達の問題を解決する必要があるじゃろうな。」

「確かオルディーネとの戦いで疲弊していたリィン君が目覚めるのに必要な期間はほぼ1ヵ月くらいと聞いているから、ゼクトールの完全回復は少なくても数ヶ月はかかるのか……」

「そこに加えてこのゼムリア大陸にとっては稀少な鉱石であるゼムリアストーンの結晶をかつての俺達のように調達しなければならないだろうな。」

「俺の予想だと、エレボニアにはもうゼムリアストーンの結晶は残っていないと思うぜ?俺は帝国西部にある精霊窟を回って調達したし、お前達は帝国東部を回って調達したからな。」

「………そうなると。少なくてもこの戦争に紫の騎神が戦線に復帰する可能性はほぼないでしょうね。まあ、黒の工房や結社による技術力で失った両腕や得物を何とかするって可能性も考えられなくもないけど……」

リィンの問いかけに答えた3人の答えを聞いたアンゼリカとユーシスは考え込み、クロウは自身の推測を口にし、サラは真剣な表情で推測をしていた。

 

「黒の工房はともかく、”結社に紫の騎神を修繕できる程の技術力はもうない”から、結社は候補から外して大丈夫よ。」

「へ…………」

「………確信を持ったその言い方からして、大方メンフィル(テメェら)が結社とやらの技術に関する施設を既に潰していたって所か?」

レンの指摘にアリサが呆けた声を出すと察しがついたアッシュは真剣な表情でレンに訊ねた。

「正解♪以前結社の”盟主”を抹殺した話もしたでしょう?で、”盟主”は結社のトップなのだから、当然”盟主”の元には”結社に関する様々な情報が揃っていた”と言えば、もうわかるでしょう?」

「”結社に関する様々な情報”……――――――!なるほどね…………”十三工房”に関する情報も”盟主”が使っていた端末等にあったでしょうから、連合はその情報を元に”十三工房”に関する施設を襲撃して、その施設を破壊したり、施設に関わっていた技術者達を捕縛か殲滅したって所かしら?」

レンの問いかけを聞いて察しがついたサラは真剣な表情でレンに確認した。

 

「またまた大正解♪ま、”十三工房”の中でもクロスベルにある”十三工房”の一角だけは潰さなかったけどね。」

「な――――――クロスベルに”十三工房”関連の施設が存在しているですって!?」

「えっと………どうして、クロスベルにあるその施設だけは潰さなかったのでしょうか?」

レンの説明を聞いたサラは驚き、トワは戸惑いの表情で訊ねた。

「元々その工房にいる技術者はその工房長一人だけだったし、”クロスベル異変”の解決にも協力してくれた上、その工房長自身結社から脱退する事を考えていたようだから、見逃す事にしたのよ。」

「なっ!?どうして結社の関係者だったのに、”クロスベル異変”に協力したんですか!?」

レンの口から出た驚愕の事実を知ったアリサ達がそれぞれ血相を変えている中マキアスは驚きの声を上げてレンに訊ねた。

 

「例の”資産凍結宣言”が行われる少し前に、クロスベルがクロイス家による自作自演で猟兵達によって襲撃された話は知っているわよね?その襲撃で、表の顔――――――人形師としての取引相手だった”アルカンシェル”も襲撃されたから、その事に怒って”クロスベル異変”を解決する為に動いていたロイドお兄さん達――――――”特務支援課”に協力してくれたのよ。」

「ええっ!?あの”アルカンシェル”の!?」

「そういえば”アルカンシェル”の劇には人間に見間違える程の精巧な人形も使われていると聞いた事があるが……まさかその人形達を作っていた人物がその工房長だったのですか?」

レンの説明を聞いたエリオットは驚きの声を上げ、アンゼリカは考え込みながら呟いた後レンに確認した。

「ええ。ちなみに人形だけでなく、”アルカンシェル”の舞台や照明などの調整も行っていたとの事よ。」

「人形だけでなく、舞台や照明にも……という事はその工房長が”アルカンシェル”という劇団が襲撃された事に怒った理由や結社から脱退する事を決めた理由は、もしかして自分が手掛けた作品を壊した事や懇意にしているその”アルカンシェル”という劇団を襲撃したからなのでしょうか?」

「恐らくはそうだと思うわ。何せその工房長は職人気質な老人で、自分が気に入らない仕事は請け負わないまさに”偏屈なおじいさん”だもの♪」

「偏屈なご老人といい、職人気質である事といい、何だかシュミット博士を思い浮かばされるような人物ですね、その工房長は………」

「ちなみにその工房は何という名前で呼ばれているのですか?」

ガイウスの推測に小悪魔な笑みを浮かべたレンの答えにその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アリサは苦笑し、ラウラは興味ありげな様子で訊ねた。

 

「――――――”ローゼンベルク工房”よ。」

「ええっ!?”ローゼンベルク”って事は、その工房長はまさかあのローゼンベルク・ドール”の生みの親なんですか!?」

レンの答えを聞いたアリサは信じられない表情で声を上げて、レンに確認した。

「その通りよ♪」

「まさかあの”ローゼンベルク・ドール”の生みの親がクロスベルにいて、結社に関わっていたとはね……」

「アリサ達の様子からしてその”ローゼンベルク・ドール”という人形とは、貴族のような富裕層にとって有名なのか?」

「ああ。特にそういったもの――――――アンティークの類の収集を趣味とする者達等の間では『まるで生きているかのように見える』と言われる程絶大な人気を誇るアンティーク人形で、”ローゼンベルク・ドール”は最低でも1体数万の高値が付くと聞く。しかも今では入手も困難で、それによってプレミアがついて、オークションに出れば数百万ミラで競り落とされたという話も聞いた事があるな。」

「に、人形一体に数百万ミラを出すとか、全然理解できない世界だ……」

アンゼリカが驚いている中、その様子が気になったガイウスの疑問に答えたユーシスの答えを聞いた富裕層でない者達はそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、マキアスはジト目で呟いた。

 

「フム…………先程から気になっておったが、レン皇女よ。ヌシのその口ぶりだと、その”ローゼンベルク工房”とやらの工房長の事をよく知っているようだが、まさかヌシ自身の知り合いでもあるのか?」

「まあ、”知り合い”の中には一応入るわね。――――――以前、プライベートでクロスベルに滞在していた話はしたわよね?その時に、ちょうどいい機会だったから”パテル=マテル”の生みの親でもあるそのおじいさんにパテル=マテルの調子とかを見てもらったのよ。」

「あの機甲兵クラスの人形兵器の……」

「よくその人物は、そのパテル=マテルっていう人形の生みの親とはいえ結社と敵対しているメンフィルの関係者のアンタの依頼を請けたわよね……」

ローゼリアの質問に答えたレンの答えにその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中エマは驚き、セリーヌはジト目でレンを見つめた。

「言ったでしょ、”職人気質なおじいさん”だって♪それとおじいさんから聞いた話だと、おじいさんは”結社”の計画に関わるかはおじいさん自身の自由意志だったそうよ。”クロスベル異変”は当然として内戦や”リベールの異変”にもおじいさんは一切関わっていないと聞いているわ。」

「という事は、十三工房の工房長達は”執行者”に近い立ち位置だったようね……あら?ちょっと待って……あんた、さっき”盟主”を抹殺した際に”十三工房”の情報を手に入れて、その施設等を襲撃したって言ったわよね?なのに、何で”黒の工房”だけ襲撃していなかったのよ?」

「つーか、今の話を聞いて思ったがその”十三工房”とやらの一角の”黒の工房”の居場所も把握していない事もおかしいんじゃねぇのか?」

レンの話を聞いてサラは真剣な表情で考え込んでいたがある矛盾に気づくとレンに訊ね、アッシュは呆れた表情でレンに指摘した。

 

「”黒の工房”は”十三工房”の中でも外部的要素が強い工房――――――表の世界で言う”外注会社”みたいな存在で、”星杯”でアルベリヒ自身が発言したように”黒の工房”も結社を利用していたから、当然結社にも”黒の工房”の居場所は秘密にしていて”黒の工房”関連の施設だけわからなかったのよ。」

「なるほどな…………って事は、今回の襲撃の目的は黒の工房の本拠地以外の他の拠点の情報も手に入れる事で、後でその拠点も全て襲撃するって算段か?」

レンの答えを聞いて頷いたクロウは目を細めて自身の推測をレンに指摘した。

「大正解♪―――だから、黒の工房の本拠地で黒の工房の他の拠点の情報も手に入ったら、”紫の騎神”の技術による早期の戦線復帰は絶望的になる事は確実よ♪それどころか、運がよければ黒の工房の拠点のどこかで療養しているかもしれない猟兵王に”止め”を刺せるかもしれないわよ♪」

「………………………………」

「フィー…………」

小悪魔な笑みを浮かべたレンの答えを聞いて複雑そうな表情で黙り込んでいるフィーをラウラは心配そうな表情で見つめた。

 

「……ちなみに団長達とはどこで戦ったの?」

そして黙り込んでいたフィーは気を取り直して真剣な表情でリィンに訊ねた。

「ノーザンブリア自治州の公都の郊外の街道――――――”ノーザン間道”だ。」

「な………………」

「ノーザンブリアだって!?何でエレボニアやメンフィルの領地でもない自治州の領地でリィン達が猟兵王達と戦ったんだ!?」

フィーの質問に答えたリィンの答えを聞いたサラは絶句し、マキアスは驚きの表情で声を上げた。

 

「そ、そういえば…………ラマールの活動の時に出会ったハリアスクを経由してレミフェリアからエレボニアにやってきたあの二人の女性に対するレン皇女殿下の”忠告”で、ノーザンブリアの件が出ていたけど……」

「まさか…………もう既に”ユミル襲撃”での”北の猟兵”に対する”報復”――――――”ノーザンブリア侵攻”を終えていたのですか?」

一方心当たりを思い出したトワは不安そうな表情で呟き、アンゼリカは真剣な表情でレンに訊ねた。

「クスクス、”その件”についてはこの後すぐに会う人達に聞けばわかるわよ?」

「―――到着だ。ここが”ブリーフィングルーム”だ。」

アンゼリカの質問にレンが立ち止まってアリサ達を見回して小悪魔な笑みを浮かべて答えると、ブリーフィングルームの出入口の前に立ち止まったリィンはアリサ達を見回して到着を告げた。

 

そしてアリサ達はリィンとレンと共にブリーフィングルームの中に入ると、”灰獅子隊”の部隊長クラスである”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”の面々に加えてプリネ、ツーヤ、デュバリィ、ロイド、エリィ、ティオがそれぞれ既に着席していた――――――

 

 

説明
第73話
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