2019年12月5日

ドラゴンズドグマオンラインサービス終了当日

最期を迎える準備をする為、ワタシは朝からオンしていた。

コーデは悩んだ結果、バレンタイン装備の「熱き恋人のドレス」にした。

少し前に初めてガチャで出て着てみたら、凄くしっくりきて以来気に入っている。

パートナーポーンのショウも同じお洋服にした。

ジョブはワタシがプリーストで、ショウはソーサラー。

お互いのメインジョブだ。

「プリーストがメインジョブになるとはね…始めた頃は想像しなかったな。」

やり始めた4年前の夏を思い出す。

その時のワタシはファイターから始めた。

色々なジョブを触る内、気付けばプリーストがメインジョブになっていた。

「ＴＡを戦い抜くなんて…想定外だったわ」

そもそもＴＡとは縁が無かったし、そこまで自分が戦えるとは思ってなかった。

自分の知らない感情を知ったし、何より世界の見え方や価値観すら変わった。

色々あったなぁと想い出を振り返っていると、シャウトの方が騒がしくなっていた。

「この定番のやりとりも今日で最後なのか」

たまに行く某サーバーで、同じ覚者さん達の挨拶とも言えるやりとり。

これを見る度にほっこりしたものだ。

「色々な人が居たなぁ」

ホームサーバーは決めなかったが、よく行くサーバーで良く見る人やEMやＷＭの野良で毎回会う人。

ワタシが一方的に知っているだけだが、久々に見た時等は「元気そうでよかった」と1人盛り上がったものだ。

「終了時間延長したし…やり残しのないように冒険しますか」

本来であれば10時に終了だったが、皆レスタニアで最期を迎えたいという意向から終了時間が21時に延長した。

ワールドクエストは消えただけで、それ以外は通常通りだ。

「リワードミッションは生きてる。やれるとこはやっとこうかな。」

ショウを連れてワタシは色々な所を巡った、

途中合流したクラン長とEMを回った。

最後に2人で戦えて嬉しかった。

「やっぱ…楽しいな」

ずっと続くと思ってた世界が終わる。

「もう明日には無いんだな」

集めたアイテム、頑張って作った装備やお気に入りの武器とお洋服も

何もかも消え去ってしまう…

「ショウさん達も…居なくなるんだな」

ワタシが何よりも怖かったのは

ポーン達ーーショウさん達が消える事。

失う事を考えた事が無かったから

「覚悟を決めるよ」

そう思ってもやっぱり悲しくて…

涙が出てきてしまう。

「今までありがとうね」

最期までそばに居てくれてありがとう

消える時は一緒よ。

「ああそういえば…」

ワタシはある事を思い出した。

「あの人…居るかな？」

プレイヤー検索のページを開いて、ある人の名前を打ち込む。

サービス開始からずっとレンタルしていたお気に入りのポーンが居る。

ポーンの主である覚者は、ワタシのショウさんを見つけて何度もレンタルしてくれていた。

そのポーンのプロフィール欄に「サービス終了まで遊びます」と書いていた。

何度か検索しても見つからなかったが

今ならきっと居るはず。

「…居た」

やっと会えた。

「話しかけて…みようか」

勇気を振り絞ってみようか？

「やっぱ…やめとこ」

迷惑かなと思ってやめたが

何度もその人のプロフィールを見てしまう。

「うちのポーンを見つけて借りてくれてありがとう。」

最期にプロフィールだけでも見れて良かった。

いよいよ終わりの時が来る。

「何処で最期を迎えるか…」

衣装やらは決めたものの、場所までは決めてなかった。

「ポーンと居たいから…クラン拠点は無理かぁ…」

最初はクラン拠点が候補だったが、ポーンを連れて一緒に行動出来ないので無理だった。

「となると皆が居る白竜神殿かな」

神殿内をウロウロして辿り着いたのは中央広場。

「大勢集まってる」

シャウトも賑やかになってきた。

「終わりは…考えたくなかったな…」

あと少し…

泣きたく無いのに涙が出てくる…

嗚呼消えるのか…

「お疲れ様でした」

終わる寸前、ワタシはシャウトした。

連続でシャウトしようとしたが

10秒ストップのチャット文が出た。

嗚呼まだ知らないことがあったのか

さよなら楽しかったよありがとう

ずっと忘れないxxx

新たな理の元

廻り会える事を願って…