英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜
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〜ロゼのアトリエ〜

 

「それで?内戦では敵対関係だったアンタがリィン達を先に行かせてまで、アタシ達に何を言いたいのかしら?」

「セ、セリーヌ。」

リィン達が去った後デュバリィに訊ねるセリーヌの問いかけを聞いたエマは冷や汗をかいた。

「……どうせ貴方達の事ですから、私がシュバルツァーの指揮下に入った事に疑問を抱いて余計な”勘繰り”をするでしょうから、先にその疑問について教えて差し上げる為にシュバルツァー達を先に行かせたまでですわ。」

「確かにその件も気になっていたが……何故貴女がわざわざオレ達の疑問について教えてくれるのだろうか?」

デュバリィの話を聞いたガイウスは不思議そうな表情で訊ねた。

 

「う、うるさいですわね。そんなの私の勝手ですわ!」

ガイウスの疑問に対して露骨に誤魔化したデュバリィの答えにその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。

「コホン。私がシュバルツァーの指揮下に入る事を決めた理由は二つあり、一つは黒の工房の襲撃についてのブリーフィングで姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)が既に語っていた通りですわ。」

「それって……」

「……確かお前がエリスの剣の”師匠”になったって話だから、”師匠”としてエリスの面倒を見る為か?」

デュバリィの話を聞いてある事を思い出したトワは目を丸くし、クロウは真剣な表情で訊ねた。

 

「ええ。……非常に腹立たしい話ですがマスターどころかNo.U――――――”剣帝”と比べてもまだ未熟な私が”師”を務める事は時期尚早だとは思っていますが。ぐぬぬっ……!」

「よりにもよってあの野郎を比較対象にしてんのかよ……」

「ア、アハハ……比較対象をレーヴェさんにするのは幾ら何でもハードルが高すぎると思うよ?」

話を続けた後悔しそうに唸るデュバリィの様子を見たアリサ達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アガットは疲れた表情で溜息を吐き、アネラスは苦笑しながら指摘した。

「まあ、どんな経緯であれ一端”師匠”を引き受けたからには、少なくてもこの戦争が終結するまでは面倒を見るつもりですわ。マスター直々の頼みを途中で放り出す等言語道断ですし………エリスが”金”の起動者になってしまったのも、僅かとはいえ私にも原因があるのですから、その責任を取るくらいの事はしますわよ。」

「ハ?何でエリスが”金”の起動者(ライザー)になった件に、アンタが責任を感じるのよ?」

複雑そうな表情で呟いたデュバリィの言葉を聞いたセリーヌは困惑の表情で訊ねた。

 

「既にレン皇女達からエリスが”金の騎神”の”起動者(ライザー)”に選ばれた説明を聞いた貴方達でしたら、薄々察しているのではないですか?――――――何故、エリスが”誰よりも力を強く求めていた”のかを。」

「それってもしかして……」

「……内戦の件か?」

デュバリィの問いかけを聞いた後すぐにデュバリィに求められている答えに気づいたエリオットは目を丸くし、ユーシスは真剣な表情で訊ねた。

「ええ。それとアルフヘイムと”守護の剣聖”も関係していますわよ。」

「ええっ!?な、何でそこでセレーネとエリゼさんまで出てくるの!?」

ユーシスの問いかけに答えた後に話を続けたデュバリィの説明を聞いたアリサは驚きの表情で訊ねた。

 

「……もしかして、彼女の”身内”はみんな”特別な力”を持っているか、相当な実力者である事に対する”劣等感”かしら?」

「れ、”劣等感”ですか?」

「……確かによく考えてみたら、彼女の”身内”は両親を除けば皆、”特別な力”を持っているか相当な実力者だな。」

「セレーネ君は”竜族”である事から当然”竜”に変化する事ができる上”竜”の力を秘めている事から”人”の姿をしている状態でも身体能力、魔力共に”人間”の私達を遥かに凌駕するスペックを秘めている上”兵器”相手にも有効なダメージを与えられそうな相当高位な魔術も扱えるし、エリゼ君に至っては”八葉一刀流”の”皆伝者”である事に加えて”騎神”と同レベルと思われる”神機”の起動者(ライザー)なんていう特別な存在になったからねぇ。」

「おまけにリィン君と新たに契約を交わした異種族の人達も魔神、女神、天使と”普通の人間”のエリス君じゃ”絶対に敵わない”と思えるような存在だし、メサイア君は元々ヴァイス達の時代でヴァイス達が繰り広げた私達では想像もつかないような凄まじい戦争を生き抜いて来た事から彼女も相当な実力者なんだろうね。」

「で、肝心の内戦の時はリィンの力になる所か、貴族連合軍に拉致されて幽閉された事でリィンに凄く心配させた事を後悔しているような様子を見せていたもんね。」

「そういったエリスを悩ませる様々な要素が重なりあった事で、エリスに”騎神自身が起動者の資格に相応しい”と判断させる程の”力を求めさせる考え”を持つことになってしまったという事か……」

「それは………」

「チッ……」

「……………」

シェラザードの推測を聞いたエマが困惑している中、ミュラーとアンゼリカ、オリヴァルト皇子とフィーの話を聞いてある推測をしたローゼリアの推測を聞いたマキアスは複雑そうな表情をし、それぞれエリスの事は言えないアッシュは舌打ちをして悔しそうな表情をし、セドリックは複雑そうな表情で黙り込んでいた。

 

「……だが、何故デュバリィさんがその件で責任を感じているのだ?」

「私もそれが気になっていたな。確か内戦でも其方自身はエリスの件には特に何も関りはなかったはずだが……」

ガイウスの疑問に続くようにラウラは戸惑いの表情でデュバリィに訊ねた。

「――――――貴族連合軍に協力していた”裏の協力者”の一人であった私が今更言った所で信じられないかもしれませんが………私自身は”灰色の騎士”の妹――――――エリスがクロチルダ様と前カイエン公の指示によって”黒兎”によって拉致され、カレル離宮に幽閉されていた事は正直”不服”でしたわ。」

「え……ど、どうしてですか?」

デュバリィの本音を知ったアリサ達がそれぞれ驚きの表情を浮かべている中トワは信じられない表情で訊ねた。

 

「――――――私は至高の存在にしてこの世で最も高潔な騎士たるマスター―――リアンヌ様直属の”鉄機隊”の”筆頭”。鉄機隊の”筆頭”として”人質”や”誘拐”等と言った”外道”な事は決して行わなかったマスターの意思に反する事は今まで決して行った事はありませんし、私を含めた”鉄機隊”の隊士達は全員、”外道”な事は忌み嫌っていますわ。………例え”結社”という世間から見れば”外道”を行う組織に所属しようとも、民間人に意図的に危害を加えるといった”鉄機隊”の名を汚すような行為は決して行いませんでしたわ。………シュバルツァーのように自ら戦に参加して敗北して幽閉の身になったのであればともかく、今まで戦いとは無縁の女学生として平穏な生活を過ごしていたエリスを目的の為とはいえ、拉致して幽閉するような”人道から外れ過ぎた行為”には私にとっては色々と思う所があったのですわ。」

「あんた………」

「やれやれ……あ奴の下に就く者達は皆、あ奴のように高潔な性格な者達ばかりになる事はどの時代でも変わらんの。」

「う、うーん……こうして彼女の事をよく知れば知る程、ますます”結社”のエージェントだった人とは思えませんよね?」

「そうね……騎士道精神といい、外道な事を嫌っている事と言い、どちらかというと遊撃士(あたしたち)寄りな考えを持っているわよね。」

デュバリィの話を聞いたサラが複雑そうな表情でデュバリィを見つめている中、ローゼリアは苦笑し、苦笑しながら答えたアネラスの感想にシェラザードは静かな表情で同意した。

 

「なるほどな……って事はエリスを拉致して幽閉する事を決めたヴィータやカイエンのオッサンの判断に対してアンタは”黙認”していた事でエリスの件に対する責任や罪悪感を感じていたから、その責任を取る為に”槍の聖女”直々の頼みとはいえ反論することなくエリスの”師匠”を引き受けたのか?」

「ええ。まあ、マスターの事ですから恐らく私の心情を察してそのような頼みをされたと思っていますわ。そして二つ目の理由ですが………シュバルツァーの件ですわ。」

「へ。」

「リ、リィンも関係しているって……まさかそれも内戦の件なのか?」

クロウの指摘に頷いた後話を続けたデュバリィの説明を聞いたアリサは思わず呆けた声を出し、マキアスは戸惑いの表情で訊ねた。

 

「違いますわよ。……まあ、全く関係していないとまでは言えませんが。――――――私達がマスターと共に結社から離れてメンフィルに所属し、戦功を重ねる事で新しく所属する事となったメンフィルの”信用”を勝ち取り、”鉄機隊”の名を轟かせる為にも今回の戦争に参戦する事を決めた後”英雄王”達の手筈によって”本国”に帰還させられた後今回の戦争に関われないように事実上の”幽閉”をされていたシュバルツァー達がメンフィル・クロスベル連合による”エレボニア帝国征伐”に加わった話をマスターから教えて頂き、連合に所属したシュバルツァー達や私達にとっての最初の戦いであるクロスベルでの迎撃戦の前にシュバルツァー達に挨拶に行った際に、シュバルツァーに聞きましたわ。――――――”本当にそれでよろしいんですの?”と。」

「それって、リィン達が連合側として参加すればわたし達とも戦う事やわたし達の”関係者”達を殺す事があるかもしれないって事?」

マキアスの指摘を否定した後小声で呟いたデュバリィは話を続け、デュバリィの話を聞いて事情を察したフィーはデュバリィに確認した。

「ええ。その私の問いに対してシュバルツァーはこう答えました。――――――”紅き翼の関係者たちを斬る事で、Z組を含めたトールズ士官学院の仲間達の恨みを買う事になる。だけど、俺はそれら全てを承知の上でここにいる。”と。」

「リィン君………」

「何でそうする事を決める前に、あたし達に相談することすらも考えなかったのよ……ッ!」

「…………………」

デュバリィの説明を聞いたトワは辛そうな表情を浮かべ、サラは悔しそうな表情で唇を噛み締め、ユーシスは重々しい様子を纏って目を伏せて黙り込んでいた。

 

「そしてシュバルツァーの”覚悟”を見せられた私はシュバルツァーにこう言ってやったのでずわ。”その覚悟がエレボニア帝国征伐が終わるまで続けば、一人前であることを認めてあげますわ”と。だから、シュバルツァーが一度決めた”覚悟”や”道”を外さないかを見張る為にも”灰獅子隊”に加勢する話を承諾したのですわ。」

「まさか其方、我らの代わりにリィンを見守る為にも”灰獅子隊”に加勢を………」

デュバリィが話を終えるとラウラは驚きの表情でデュバリィを見つめた。

「ありえませんから!勝手な憶測で変な勘違いをしないでくだい!”見守る”ではなく、”見極める”為ですわ!というかそもそもその役割はプリネ皇女達ですわよ。」

「何?プリネ皇女殿下達がだと?」

「何故彼女達がリィン君を見守る為にリィン君の指揮下に入ったんだい?」

ラウラの推測に対して必死な様子で否定した後に答えたデュバリィの話を聞いたミュラーは眉を顰め、オリヴァルト皇子は不思議そうな表情で訊ねた。

 

「マスターからの話によるとメサイア皇女を通してシュバルツァー達に今回の戦争の件や、今回の戦争でエレボニアを救える可能性がある方法を教えた事でシュバルツァー達が紅き翼(あなたたち)と決別してまで連合側についた事に責任や罪悪感等を感じていたそうですわよ。ですから、せめてシュバルツァー達がこの戦争を無事乗り越えられるようにシュバルツァー達が”道”を外さないように見守り、そして支える為にも”灰獅子隊”に加勢する部隊の話が挙がった際に真っ先にプリネ皇女が立候補したと聞いていますわ。」

「プリネ皇女殿下が………」

「……あの姫さんらしいな。」

「ええ……まあ、”灰色の騎士”の傍にはツーヤの妹もいるから、その件も関係しているのでしょうね。」

デュバリィの説明を聞いたユーシスは複雑そうな表情を浮かべ、複雑そうな表情で呟いたアガットの言葉にシェラザードは頷いた。

「――――――そういう訳で貴方達が今後本格化する戦争に介入し、私達の邪魔をするのならば、私は”灰獅子隊”に所属する部隊の一つ――”鉄機隊”を率いる隊長として、そして鉄機隊と私自身の”誇り”を示す為にも正々堂々とした戦いで叩き潰してさしあげますわ!――――――それでは失礼しますわ。」

そしてアリサ達を見回して宣言をしたデュバリィは部屋から出ていき、その様子を見守っていたアリサ達はそれぞれ冷や汗をかいた。

 

「せ、”正々堂々とした戦い”って……やっぱり元結社のエージェントとはとても思えない人でしたね。」

「へっ、わざわざZ組(そいつら)に自分の本心を説明して宣戦布告をするとか、レン(クソガキ)とは大違いの熱い性格じゃねぇか。」

我に返ったアネラスは苦笑し、アガットは口元に笑みを浮かべてそれぞれデュバリィに対する印象を口にした。

「つーか、今の話だと灰色の騎士サマ達がバレスタイン達側に戻らない原因の一つはあのポンコツ剣士も担っている事になるんじゃねぇのか?」

「……言われてみればそうだね。」

「コラコラ、幾ら何でもそれは言いがかりだと思うぞ。」

それぞれジト目になったアッシュとフィーの言葉を聞いたアリサ達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中マキアスは苦笑しながら指摘した。

 

「それよりも前カイエン公といい、あの公女といい、カイエン公爵家には碌な連中しかいないわね。」

「いや、俺の記憶だとカイエンのオッサンの娘の姉妹の方はあのカイエンのオッサンとはまさに正反対のまともな性格だった事は覚えているぜ?確かお前達もリベールに行った時に会ったって言っていたよな?」

「うん、”長女”のユーディット皇妃陛下とは偶然お会いする事ができたよ。えっと……やっぱりクロウ君も二人とは面識があるの?」

ジト目で呟いたサラの感想に対して指摘した後訊ねてきたクロウの質問に頷いたトワはクロウに質問を返した。

「ああ。とはいっても、お前達もあの姉妹についての話くらいは聞いているとは思うがあの姉妹はカイエンのオッサン達と違ってエレボニアでは数少ない平民想いかつまともな性格をした貴族だから、テロリストのリーダーの俺の事は正直良く思ってなかったと思うぜ?実際、オルディスの城館でカイエンのオッサン達と食事をする機会があっても、あの姉妹はカイエンのオッサンの指示に逆らってでも決して姿を現さなかったからな。」

「そうか………」

肩をすくめて答えたクロウの話を聞いたアンゼリカは重々しい様子を纏って呟いた。

 

「それよりも、これからどうするかだな。」

「そうだね……リウイ陛下が”条件”を出した以上、その”条件”を満たさない限りリウイ陛下達は私達の話に耳を貸してくれないだろうね。」

「そしてその”条件”を満たす為には僕達の手でオズボーン宰相を………」

重々しい様子を纏って呟いたミュラーの言葉にオリヴァルト皇子は頷き、セドリックは複雑そうな表情を浮かべ、その場の空気は重苦しくなった。

 

「えっと……そういえばお祖母(ばあ)ちゃん。以前レン皇女殿下はお祖母(ばあ)ちゃんは姉さんの件でメンフィル軍に協力する事になっている話も仰っていたけど、いつお祖母(ばあ)ちゃんはメンフィル軍と合流する事になっているの?」

その時ある事が気になっていたエマはローゼリアに訊ねた。

「いや……別に妾自身はメンフィル軍と合流後常に行動を共にする訳ではない。召喚要請が来るまでもそうじゃが妾も協力する軍事作戦を終えた後も次の召喚要請が来るまでは自由にしていい事になっている上、その召喚要請もたった2回じゃから、基本的にこの里におる予定じゃ。」

「2回………という事は1回はエレボニア帝国軍に壊滅的なダメージを与える相当大掛かりな軍事作戦で、残り1回は最終決戦でアンタにも協力させるって所かしら?」

ローゼリアの説明を聞いてある推測をしたセリーヌは目を細め

「うむ、妾もその可能性が高いと睨んでおる。」

「ちなみに何故協力する回数が2回なんですか?」

セリーヌの推測にローゼリアが頷くとアンゼリカは不思議そうな表情で訊ねた。

 

「1度目と2度目、どちらのユミル襲撃にも放蕩娘(ヴィータ)が関わっておったから、”2回”にしたとレン皇女は言っておったの。」

「そうか………まあ、まずはこれからどう動くか話わないとね。」

「はい。……そういえば、呪いで霊脈と繋がっていた時に皆さんが黒の工房を襲撃している間にレン皇女殿下がミリアムさんそっくりな姿をした人造人間(ホムンクルス)を回収している様子も見えましたが………」

ローゼリアの答えを聞いて静かな表情で呟いた後提案したオリヴァルト皇子の提案に頷いたセドリックはある事を思い出してアリサ達を見つめた。

「ああっ!?そ、そういえばミリアムの”スペアボディ”をまだ渡してもらっていないよ!?」

「リィン達の様子からしてすぐに里から去るようだったから、急いでレヴォリューションに向かわないと、レヴォリューションがこの里から去るんじゃないのか!?

「今から広場に向かうよりも通信でこっちに呼びつける方が確実よ……!リィン達のENIGMAは番号がわからないから、”殲滅天使”達のENIGMAにかけた方がよさそうね……!」

セドリックの言葉を聞いてある事を思い出した仲間達が血相を変えている中エリオットは声を上げ、マキアスは不安そうな表情を浮かべ、サラが厳しい表情で答えた後ENIGMAを取り出して通信を開始しようとしたその時

「あ、ミリアムちゃんのスペアボディならちゃんと襲撃作戦を終えたその日に渡してもらっているから、大丈夫だよ。」

「え……い、一体いつミリアムのスペアボディを……」

トワが申し出て心配無用である事をアリサ達に伝え、トワの話を聞いたアリサは不思議そうな表情で訊ねた。

 

「皇太子殿下をこのアトリエのベッドに休ませた後さ。君達が皇太子殿下の看病や体を休ませている間に私とトワはカレイジャスで確認することや、やる事があって一端カレイジャスに乗り込んでそれぞれ作業をしていた時にレン皇女殿下が訪ねてきてくれて、ミリアム君のスペアボディが保管されている装置ごと渡してくれたのさ。」

「スペアボディの維持には導力エネルギーが必要だから、その維持の仕方についての説明をわたしとアンちゃん、ティータちゃんに説明してくれた後レン皇女殿下は黒の工房での情報収集から得たミリアムちゃんのスペアボディの維持の装置についてのマニュアルまで作ってくれて、それをわたし達に渡してくれたんだよ。」

「そうだったのですか……」

「フン、代わりの肉体だけでもここまで騒がせるとはあいつらしいな。」

「それにしても意外だね。あの”殲滅天使”がわざわざマニュアルまで自作してくれるなんて。」

アンゼリカとトワの説明を聞いたラウラは安堵の表情を浮かべ、ユーシスは静かな表情でミリアムを思い浮かべて呟き、フィーは不思議そうな表情で呟いた。

「アハハ、確かにレンちゃんは人を引っ掻き回したり騙す事が得意だけど、”契約”の類は絶対に守ってくれる義理堅い所もあるんだよ。だから、今回も黒の工房の技術力に対応できないZ組のみんなの為にわざわざマニュアルを作ってくれたんじゃないかな?」

「まあ、契約云々に関してはリウイ陛下達による皇族としての教育が関係しているのだと思うわ。皇族が”契約”を破れば、皇家としての信頼も失う事になるのだから、そのあたりはあの娘もちゃんとわかっているはずよ。」

「あのクソガキはそれらを理解した上で碌でもない事を仕出かす”匙加減”が絶妙なんだよな……」

フィーの疑問に対してアネラスとシェラザードは苦笑しながら、アガットは疲れた表情で答え、アガットの答えを聞いたアリサ達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。するとその時通信の音が聞こえ、音を聞いたトワは通信を開始した。

 

「で?ミリアムの残留思念が宿っている”剣”と肉体がこれで揃った訳だが、ミリアムを蘇生させるアテは見つかったのか?」

「つーか、アテも何も白兎が復活した歴史も知るあのチビ猫なら知っていたんじゃねぇのか?」

「うむ、その点にも気づいていてレン皇女より、予めその件についても聞いておいたから心配無用じゃ。」

「唯一の懸念は根源たる虚無の剣に宿っているミリアムちゃんは”魂”ではなく、”残留思念”である点ですが……幸いにもその”懸念”をカバーできるもの――――――”劫焔”から頂いた”神焔(カクヅチ)”がありますから、それをミリアムちゃんの残留思念と同化させることでクロウさんのように”黄昏”を終結させた後でもミリアムちゃんは生き続ける事が可能なはずです。」

「それじゃ、まずはカレイジャスに向かうわよ。」

クロウとアッシュの指摘に対してローゼリアとエマが答えた後セリーヌはアリサ達にカレイジャスに向かうように促した。その後カレイジャスに向かったアリサ達が見守る中、根源たる虚無の剣と黒の工房の本拠地にあったミリアムのスペアボディ、そして神焔(カクヅチ)をそれぞれ床に置いたローゼリア達が魔術を発動させた。

 

〜カレイジャス・格納庫〜

 

「女神様……どうかお願いします……」

「こんな奇蹟……もちろん……滅多にあるわけないだろうが……」

「それでもどうか……この子達に免じて……!」

ローゼリア達が魔術を発動している様子を見守っていたトワ、アンゼリカ、サラはそれぞれ祈っていた。一方ローゼリア達の魔術によってそれぞれの床下から魔法陣が現れた後、まず根源たる虚無の剣が神焔と一体化し、神焔と一体化した剣はミリアムのスペアボディの上へと移動すると剣は消えた。

「あ…………」

「剣が……」

剣が消える様子を見守っていたアリサとガイウスは呆けた声を出した。

 

「……うーん………」

「……ぁ………」

するとその時ミリアムのスペアボディ―――ミリアムは目を覚まして起き上がり、その様子をユーシスは呆けた表情を浮かべて見つめていた。

「……あれー、ここって……ユーシス……みんなや皇太子殿下達もどうして……」

起き上がったミリアムは不思議そうな表情でアリサ達を見回した。

 

「ユーシス……あはは、目を丸くしてどうしたのー?ってあれ、ボクたしかあの時―――」

そしてミリアムが無邪気な笑顔を浮かべた後自身にとっての直前の出来事を思い出そうとしたその時

「ミリアム……!!」

「わわっ、ユーシスったらどうしたの?みんなも、一体どうなってるのさ〜!?」

ユーシスが声を上げてミリアムに抱き着き、抱き着かれたミリアムは自分の今の状況に戸惑っていた。

 

「ミリアム……さん……よかった…………本当によかった……!」

ミリアムの復活に周りの者達がそれぞれ感動したり泣いている中セドリックはその場に崩れ落ちて安堵の表情で涙を流していた。

「ふふ……眠っていたみたいだし伝えたいことは山ほどあるけど……」

「まずはこの言葉じゃないと、だな。」

その時我に返ったアリサは微笑み、マキアスが苦笑したその時紅き翼のメンバーは同時にミリアムに対してある言葉を告げた。

「おかえり―――ミリアム!!」

こうして……ミリアムは様々な勢力による協力によって奇蹟の復活を遂げた――――――

 

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という訳でミリアムが復帰しました。なお復帰後のミリアムの武装はガーちゃんではありません。というか創の軌跡のミリアムの武装ってどうなるんだ……?創の軌跡の頃にはガーちゃんも復活しているんだろうかwwなお次回に予告していたコンキスタからの電撃参戦キャラが判明しますww

説明
第94話
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他エウシュリーキャラも登場 他作品技あり 幻燐の姫将軍 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出演 閃の軌跡 

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