手首を切る理由。
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手首を切るようになったのは、いつからだろう。

気が付いたら、毎日のように右・左関係なく、包丁・ナイフ・あるいは薄い紙を立てて切っていた。

切っても切っても2・3日たてば、傷はじわじわ癒えていった。

消えていくから、消える前に切り刻み続けた。

 

切るようになったのは、義父から性的に体をまさぐられ始めた7つの頃からだったと思う。

「嫌だ嫌だ」と抵抗しつつ、それに快感を覚え始めた自分に嫌気がさしたからだった。

 

俺は死ぬつもりで、刃渡り9センチくらいの小型ナイフを左手首に直角に突き立てた。

電流のような痛みが走った。あまりの痛みに情けなくも悲鳴を上げてしまったら、義父がすっ飛んで来た。

義父は俺が血を流すことをやたら嫌がる。

嫌がる割に、それでいて自分は俺が反抗したりすると殴ったり、刺したりした。

そして、さんざ俺をぼこぼこにした後で、はっと我に返り「ごめんねごめんね」とべそをかいた。

そんな義父が泣きながら俺が刺したナイフを抜き、どぼどぼと大量に流れてくる血を舐めとった。

 

「大丈夫。君ならこんな傷、簡単に治っちゃうから……。死んでボクの所から逃げようったって無理だからね。もう、いいかげんに諦めなよ」

俺が気にしていた一番絶望的なことをほざきながら、口の周りを血まみれにした義父は笑った。 

 

 

 ちなみにこの後、義父は俺の手首はおろか、全身を舐め回す。

 

 

気がついたら、手首を切るのがいつのまにか癖になっていた。

手首を切ると、義父が嫌な顔をする。

体が大きく、力も強いあの男に対する、せめてもの俺の嫌がらせのような意味合いもあった。

 

 

今は周りの人に対する嫌がらせになっている。

一方的に俺に付いてきて一緒に旅をしている仲間たちが、手首ずたぼろの、惨めで気味が悪い俺に嫌気がさして俺なんかから離れていってくれればいいと、願う。

 

 

そういえば、仲間の一人である義妹に「お前、俺がどれくらい汚れたら傍を離れてくれるんだ」と、聞いたことがある。

 

奴は「あんたがどれ程汚れようが変形しようが、私は構わないけどな」と抜かした。

 

クソ生意気なことをほざきやがる。

俺は義妹の頭を思いっきりはたいた。

 

 

 

説明
ためしに。高1の時くらいにちまい紙に書いた小話を。
・・・こういう泥沼超好き(殴)。
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