東倣現想境その3 |
温暖化された気候が例年通りな御時世
東倣現想境 〜 Flowering of Border.
もうひとつの境を眺める妖怪による他愛も無い雑談
この国も温暖化が進み、少しずつ冬が短くなっていたが、
今年は珍しく桜の季節だというのに気温が低く、所々に雪が残っていた。
早朝の博麗神社。
巨大な結界のあるこの神社も、ほんのりと雪に覆われている。
桜の開花も今年は幾分遅れると思われた。
しかし、この神社周辺では例年通り桜が花を咲かせていた。
奏 「花見にはまだ早いと思っていたが、こんな時期に雪の桜が見られるとは。」
桜子 「だから言ったでしょう。 私の花見眼に狂いは無いのよ。」
奏 「なにそれ。」
神社境内の桜は雪に覆われ風花がひらひらと舞い、
さながら満開の桜のように見えた。
−−−−−−−−−−
奏 「にしても、結局神社の中も特に面白い物は無かったねぇ。
ちょっとは期待してたのに。」
桜子 「にしては少し不自然よね。 長いことほったらかしだったんだから
もっと廃墟みたいなのを予想していたのに。」
桜子 「まあ、あれだけの結界があるんだし何かしらの影響があっても
おかしくは無いわね。 実際この辺りは低いのよ、春度が。」
奏 「なにそれ。」
桜子 「そんな事より、持って来てるんだからさっさと頂きましょう。」
桜子は鞄から水筒を取り出した。
中身は当然お酒である。
桜子 「いやー、こんな所で燗酒が頂けるなんて。」
奏 「便利な世の中になったものよの。」
桜子 「肩身の狭さも、今の私たちには関係無いしー。」
奏 「それは妖怪としてどうなのか・・・」
−−−−−−−−−−
奏 「ところで、他の連中をほっといて始めてしまって良かったのかい。」
桜子 「あー、あいつらなら勝手に集まってくるでしょ。
いつもろくなお酒も持ってこないんだから、ほっといても大丈夫じゃない?」
そんなこんなで、水筒の中身も残り少なくなってきた。
陽も上り、雪の桜が輝いて見えた。
桜子 「・・・さて、この桜もそろそろ見納めね。急に増えてきたのよ、春度が。」
奏 「なんだかよくわからないけど、それは残念。」
桜子 「今日から本格的に春が来るわ。次に来るときは本物の桜で花見ね。」
結局、この花見にやってきた妖怪は少なかった。
冬眠している妖怪や夜行性の妖怪が多かったのだろう。
たまには静かな宴会も良いものだ。
桜子 「それにしても、この神社の辺りだけ極端に低かったのよね
・・・春度が。」
その原因はわからなかったが、結界か何かの影響だと考えると
この神社はまだまだ面白いものを見せてくれるかもしれない。
奏 「ところで主よ。」
桜子 「何よ。」
奏 「春度って何?」
桜子 「あんたにはまだ早いわ。 また今度。」
また今度 〜 Next Tea Time.
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・オリキャラしかいない東方系二次創作のようなものです。 | ||
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