SHUFFLE!&リリカルストーリー 7 |
第7話
入学式が終わるとユーノ達は改めて職員室に挨拶に行った後、来客用の部屋に来ていた。
キャロやエリオ、アルフに会うためだ。
「アルフ、三人だけで大丈夫だった?」
「エリオ、キャロいい子にしてた?」
と入るなりそんなことを言うユーノとフェイト、完全に周りからみると親バカである。そんなふたりのの様子を見てアルフは苦笑していたが
「大丈夫だよ。あたしがいたんだしね。それに二人ともちゃんといい子にしてたし」
「はい、大丈夫です」
「いいこにしてましたから」
実はそのことに関してはユーノもフェイトもあまり心配していなかったりする。ただ単に根拠もなく心配だっただけなのだ。
「「そっか、えらいよ二人とも」」
そういって二人はこどもたちの頭をなでてあげる。エリオもキャロも慣れていないからなのか少し恥ずかしそうだ。けれど………
「えへへ……」
「……はは」
嬉しそうな笑顔を見せていた。そんな二人を様子を見て、いつのまにかユーノとフェイトも自然に顔を見合わせて微笑み会っていた。
この光景を見て外野の三人は………
「仲のいい幸せそうな家族みたい……だよね」
「うん、そうやね。それよかなのはちゃん、やっぱりフェイトちゃん……」
「………!いいこと思いついた」
とそれぞれつぶやいていた。
ちなみにこの部屋への着順はユーノ&フェイト同着、はやて、なのは、なのでなのはとはやては入ってきたらそんな微笑ましい状況に出くわしたという状況である。
そうやって僕達がエリオ達の頭をなでていると
「エリオ、キャロちょっとこっちにきな」
そういってアルフが二人を手招きする。
「???」
「えっと、ゆーのさん、ふぇいとさん……」
「うん、二人とも行っておいで」
「うん、いってくるといいよ」
エリオがこっちを伺ってきたので、そういったあと二人の頭から手を離していくようにうながす
「「あ………」」
手が離れた時に確かに子供たちが一瞬だけ残念そうにしたのをふたりは見逃さなかった。だって今は“司書長”としてのユーノじゃなく、“執務官”としてのフェイトじゃない。
なぜなら………
いまのふたりは“エリオとキャロ”二人のためだけの“保護者”なのだから。
これから先この”保護者”という立ち位置は“親”にかわるのかもしれないし“兄”や“姉”にかわっていくのかもしれない。
けれど、きっと二人の傍にいようとするのは変わらないから。
今この時に大切なのは自分たちが二人に最も近しい人物だということ。だから自分たちが気付いてあげたいのだ、エリオとキャロの気持ちに。
だから……
「「エリオ、キャロ」」
「「???」」
「僕達はこれからは学校に行ってるとき以外は一緒にいられる。だから……」
「いいことをしたら誉めてあげるし、悪いことをしたら………叱ってちゃうかな?不安なら抱き締めてあげるし、頭だってなでてあげる」
二人の不安やもろもろを自分たちにできる範囲内で取り除く言葉をかける。
これだけじゃ足りないかもしれないけれど……すこしでも愛しい子供たちに気持ちが伝わるように
「「わかった?」」
「っつ…!はい」
「「うん、いい返事だ(ね)」」
そして二人の頭を撫でるのだった。
多分、二人が残念そうにしたのはもう頭を撫でてもらう時間が終わってしまうと思ったからだ。
普通の子供ならもっと撫でていてほしいと言うのだろう、けれど二人の育った環境がそう言わせることを拒ませた。
だからこそユーノとフェイトは思うのだ、ふたりに教えてあげたいと。甘えていいんだよ。わがままくらい言っていいんだよって……。
そして願わくば二人の子供が気兼ねなく甘えられる人物になりたいと
「ほら二人とも、アルフがまちくたびれてるよ」
「「はい!」」
そしてアルフのところに向かう二人の顔は混じり気のないほんとうにきれいな笑顔だった。
「ユーノくん、フェイトちゃん、さっきのは本当に夫婦みたいだったよね〜」
エリオたちが部屋の反対側のアルフの方に向かった後、なのはが近づいてきてニヤニヤしながらからかうように言う。その言葉に反応してか二人の顔は真っ赤である。ただユーノはすぐに赤みを引かせたが
「な、何言ってるんだよなのは。だ、第一そんなこと言われてもフェイトが困るだろう……ってフェイト!?大丈夫?顔真っ赤だよ」
「大丈夫だよ。大丈夫」
ただ単にさっきの言葉で真っ赤になっているだけであるから心配ないのだが、そのことの気が付いていないユーノからすると全然そうは見えない……だから
「フェイト、ちょっとゴメン」
ユーノはフェイトの熱を測ることにする。ただ何故か方法は自分のおでこをフェイトのおでこにあてて熱を測るという普通ははずかしくてなかなかできないものだったが。
ユーノ的にはフェイトは割とすぐ無茶するからなこのくらい強引なのがちょうどいい、程度の認識だが
「ッツ!!ユ、ユーノ!?」
「うん熱は無いみたいだ……ホントに無理はしないでよ?あの子達も悲しむしそれになのは達だってたくさん心配するんだから……もちろん僕もね。とくにフェイトは頑張りすぎだったんだから体には気を付けないと」
ユーノからすると最近のフェイトは頑張っていて(この留学前に仕事を終わらせないといけなかったから)倒れるんじゃないかってくらいに働いていたもんだからちょっと心配なのだ。
ちなみにフェイトから言わせるとどっかの誰かよりは断然押さえているらしい。あれ以上に頑張っている人ってかなり仕事人間だと思うんだけどな………。とはユーノの談。
しかもフェイトの知り合いらしい……クロノは……違うだろう、最近は事件もそこまで多くなく割と平和らしいから。
……ホントニダレダロウネ?
「う、うん。ありがと、ユーノ。ホントに大丈夫だから、ね?」
「うん、ならいいけど………本当に無理はしないでよ(きっと心配でいても立ってもいられなくなるから……)」
ほんとに大丈夫そうにみえたのでユーノはとりあえず納得する
「うん、わかってる」
けれどユーノはなぜ自分がフェイトが具合が悪いかもしれないというだけでこんなにあわてたのか……理由を理解していない。
なぜなのか、その答えをユーノが理解するのはほんの少しだけ先の話
ただこのときユーノは……自分のなかでフェイトは特別になっていっているのかもしれない……そう思ったのだった。
SIDE フェイト
「ユーノくん、フェイトちゃん、さっきのは本当に夫婦みたいだったよね〜」
え、な、なのはなに言ってそ、そんなのきっとユーノだって迷惑だし……
でもユーノと夫婦……
ユーノが夫で私がユーノのお、奥さん……
あ、今わたしきっと顔真っ赤だよ……
ぅう…なのはが変なこと言うから……
「な、何言ってるんだよなのは。だ、第一そんなこと言われてもフェイトが困るだろう………ってフェイト!?大丈夫?顔真っ赤だよ」
「大丈夫だよ?大丈夫」
ユーノ、心配してくれたんだ………少しは自惚れていいのかな?ユーノに好かれてるんだって、それにねユーノ、なのはに言われたことわたしは困んなかったんだ。むしろ………
「フェイト、ちょっとゴメン」
え、ユーノ?おでこにあったかい感覚、すぐ前にユーノの中性的な、でも整った顔………
「ッツ!!ユ、ユーノ!?」
「うん熱は無いみたいだ………ホントに無理はしないでよ?あの子達も悲しむしそれになのは達だってたくさん心配するんだから………もちろん僕もね。とくにフェイトは最近は頑張りすぎだったんだから体には気を付けないとと」
うれしい……心配してくれたこともそうだけど……
(わたしのことユーノはちゃんと見ていてくれてるんだ)
それがわかったから。確かに最近のわたしは自分でもオーバーワークかなって思うくらい頑張ってた。
「う、うん。ありがと、ユーノ。ホントに大丈夫だから、ね?」
「うん、ならいいけど……本当に無理はしないでよ」
「うん、わかってる。(でも……わたし以上に無茶してた人にだけは言われたくないかな)」
わたしだってユーノと同じようにユーノのこと心配なんだから
(あぁ、やっぱりわたし……ユーノのこと好きだ)
多分ずっと前からだ。それを今自覚しただけ。でも……
(意識したら止まらなくなっちゃうなっちゃったな)
だったら
(この気持ちをユーノに伝えよう)
よし!思い立ったが吉日だよね?
少し小声で
「ねぇ、ユーノ、今夜予定とかあるかな?」
少しユーノは訝しげにしていたけど
「特にないけど?それがどうかした」
(よし!!)
そう心の中でガッツポーズをして
「じゃ、じゃあ、今日帰ってからわたしとふたりで(←ここ重要!!)散歩しに行かない?家の周囲の散策も兼ねて」
「あ、う、うん、わかった。いいよ」
ユーノはわたしの勢いに少し気圧されたようだけど頷いてくれた。
「じゃ帰ってから楽しみにしてるね」
そしてその時に言うんだ、ユーノに好きだって。わたしと付き合ってくださいって。………絶対に言うんだ。きっと今日言えないと一生言えない気がするから……後悔だけはしないように
SIDE なのは&はやて
「二人ともええ雰囲気やね」
「うん、そうだよね〜」
二人はユーノとフェイトのやりとりを見ながらごくごくフツーに談笑していた。
ただ突然はやての雰囲気がなのはに分かる程度だけ真剣みを帯びる
「なのはちゃんはええんか?ユーノくんのこと」
「………きっとわたしにとってのユーノくんはそういう対象じゃないんだよ。
多分家族とか、兄妹(姉弟)っていうのが一番しっくりくるかな。
だから今の心境的にはね、お兄ちゃんが忍さんと付き合いだした頃……みたいな気持ちなんだ。
大好きな人をとられた感じって言えばいいのかな?本当は全然そんなことないのにね。
これからもユーノくんやフェイトちゃんの私に対する接し方はかわらないしだろうし関係もかわらない……。
それでも少しだけ淋しいかな?」
「そっか………。それにしてもユーノくんもフェイトちゃんも恋愛関連になると変に鈍感なとこあるとおもわへん?だってあれ見とったら、ど〜〜〜〜〜みても両想いやん」
二人とも意識しあってるのに関係が今だに発展しないのは、この鈍感さが一番の要因。それはなのはとはやての同一見解だ。
「そうそう。そうなの。二人して色恋ざたになれてないよね〜〜。わたしもひとのこと言えないけど(ボソッ)」
「ちゅーことはや、わたしらが頑張らなあかんていうことになるんよね」
幸い時間はこれからたっぷりあるのだ。まぁはやては楽しむき満々なのだが
「そうだね、しっかりくっつけてあげるから覚悟しといてね二人とも」
そんなこんなでフェイトとユーノをくっつけちゃおう同盟が結ばれたのだ。なんだかんだでなのはもノリノリである
SIDE アルフ
わたしがチビッ子ふたりを呼んだのはふたりにちょっとした提案をするためだ。
「ね、ふたりともいってみなよ」
「で、でも」
「お二人にご迷惑じゃ無いでしょうか?」
これを言うのは今すぐには無理かもしれない………でも………
「あのふたりは絶対にそんなこと思わないよ。むしろ喜びそうだけどねぇ」
あのふたりは迷惑だなんて思わない、それだけはゼッタイだ。あの二人はこの子たちのことを拒んだりはゼッタイにしない。まあ驚いたりはするかもしれないが
「だから、呼びたくなったらいつでも呼んでみればいいさ。それともあの二人をそう呼びたくはないかい?」
「「……呼びたいです」」
ふたりは少し考えた後そうこたえたんだ
「それなら、そうすればいい。そして少しくらいわがまま言っても、困らせても、甘えてもいいんだよ」
「で、でもおふたりににメイワクだし……」
あぁ、この子たちは……
「迷惑なんて思わないよゼッタイに」
「で、でも」
恐いんだ。一度失ったから……。恐いんだ。最初からもっていなかったから……。
「大丈夫だよ。きっと」
だから………言ってみな、そうすればあんたたちが欲しいものはきっと手に入るからさ
「アルフ、もう少しここで待っててくれないかな。
実はこの後まだHRがあるんだ」
「エリオ、キャロもごめんもう少しここでまってて」
時間を切り詰めてここに来ていたんだろうね。
(ふたりともよっぽどエリオとキャロのことが心配だったんだね)
「ああ、わかったよ」
「「はい、わかりました」」
「「でも………できるだけ早く帰ってきてください。ぉ……、フェイトさん、ユーノさん」」
言い掛けたみたいだけどまだ無理か。なんでユーノとフェイトはあんな驚いた顔を?
あ、ふたりしてやさしい笑顔になった
「「うんわかったよ終わったらすぐに迎えにいくからまってて」」
ああ…そうか、初めてふたりがどんな小さなことでもお願いをしたんだ
「い、急がないとHR遅刻しちゃうよ!」
「ユーノくん、フェイトちゃん、急ぐで!!」
「うん!いまいく」
「じゃアルフあとは頼んだよ」
「あぁ、任しときなよ」
「「行ってきます」」
「「いってらっしゃい」」
さて、いっちまったけど何をして待ってようかねえ。
とりあえずはっと……
「ねぇ、ふたりともユーノとフェイトの小さい頃の話とか興味有るかい?」
ふたりの恥ずかしい過去話をチビッ子ふたりに教えることにしよう
文句は受け付けないからね?フェイト、ユーノ。
あとがき
今日は3話連続投稿です。つらかったです。もうやりません。投稿するなら1話ずつにします。
それはおいといて今回は基本、子供たちと保護者の話、子供二人をしゃべらせられたので満足です。それではまた今度お会いしましょう。
説明 | ||
入学式直後、ユーノ編です。とりあえずはエリオとキャロがそれなりにしゃべります | ||
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