萌え萌え恋姫大戦 |
出会い
「ここは一体どこなんだ?」
目を覚まして開口一番に大日本帝国の軍人、北郷一刀は呟いた。
見渡す限りの荒野が広がっており、どう見ても自分たちがいたガダルカナル島ではなかった。
「レイたちは無事か?」
とにかくその場に居ても仕方ないので、レイたちを探し、歩いていると...
「司令―――――!!! 大丈夫ですか?」
レイが上空から北郷を見つけて、降りてくる。
「ああ。大丈夫だ。レイは?」
「私は大丈夫です。ですが一体ここは?」
「分からない。他のみんなと無線は繋がるか?」
これだけ広い荒野なのだから無線で連絡を取った方が効率がいい。しかし、
「いえ無線は生きているのですが、応答がありません」
「とにかく他のみんなを探すか。レイは上空から探してくれ」
と、命令を出していたのだが...
?
「お〜〜い!」
「んっ? 何だ?」
どこからか聞こえてくる声に一刀は気がついた。
「司令あそこに人がいます」
レイが指差すほうを見ると少女が三人こちらに向かってきた。
先頭を走っているのは、桃色の髪をしていた少女で、後ろからは黒髪の長い女の子と赤い短髪の少女がこちらに走ってくる。
先頭の少女は武器らしきものは持っていなかったが、後ろの二人は自分の身長を上回る武器を所持していた。
「司令、私の後ろに」
レイが主翼切を腰に構えて一刀の前に出る。
もしここが敵地なら、北郷を全力で守らなければならない。
すると黒髪の少女が...
「桃香様危険です!? きさま一体何者だ!!」
レイが主翼切を構えているのに気付いた黒髪の少女が、桃髪の少女の前に出て、自らの武器を構える。
「レイやめろ!!」
「愛紗ちゃん、武器を納めて」
北郷と桃髪の女の子が武器を納めるように言う。
「しかし危険です。相手は武器を持っているんですよ」
武器を降ろさず警戒を解かない。しかしレイが、
「それは貴様らが武器を持ってこちらに向かってきたからだ。貴様ら連合軍の人間か?」
レイは警戒しながら聞く。すると桃髪の女の子が、
「れんごうぐん? それってどこの軍のことですか?」
聞いたことのないような顔で聞いてくる。
「連合軍を知らないのか!? じゃあ聞くけど、アメリカ、イギリス、ソ連、中国、大日本帝国、この中で知っている国はあるか?」
北郷は三人に聞く。
彼らのいた世界では必ず知られている国名である。
しかし、三人からの答えは、知らないとのことらしい。
「じゃあここは一体どこなんだ?」
北郷は三人に聞く。
「ここは幽州啄郡。遠方の稜線にそびえる五台山を見ていただいても分かる通りです。これより西に進んだところに村があり――――」
黒髪の子の説明を聞き二人は驚いた。
確かにここが中国の古い地名だということは分かったが、なぜ自分たちが昔の地名の名がある土地に居るのか・・・
北郷は軍人だったので戦争状態であった中国の地名も一応は知っていたが、今この子たちが言っている地域は今自分たちがいた所にはそんな旧名は存在しない。
レイも何度か中国戦線に出向いていたので、ある程度しか知っていなかったが.....
桃髪の子
「あの〜ところであなたたちのお名前は?」
そう言えば質問ばかりで名前などを言っていなかった。
「ああすまない。北郷一刀だ」
「私は零式艦上戦闘機のレイだ」
二人は自分の名を名乗る。三人は、
桃髪の子
「私は劉備、字は玄徳って言います♪」
黒髪の子
「我が名は関羽、字は雲長です」
赤い髪の子
「鈴々はね〜、張飛♪字は翼徳なのだ〜!」
それぞれ自分の名を名乗る。
「はっ?」
三人の名前を聞いた時、北郷は一瞬理解ができなかった。
レイはいきなり北郷が固まってしまったので、
「司令、どうしました?」
と心配そうに聞いてくる。
レイもさすがに三国志に出てきた英雄たちの名は知らないらしい。
「(まさか三国志の世界!? しかし、劉備たちの性別は確か男だったはず。いやそれ以前に、なぜ三国志の世界なんかに来たんだ?)」
北郷は自分の頭の中で今の状況を整理していた。
一方三人は...
「やっぱりこの人たちだよ。占いの中にも、見たことのないカッコしてるし」
劉備は、確信したように二人に言う。
「しかし、あまりにも怪しすぎます」
関羽はいまだに信じられないようだが、
「けどお兄ちゃん達の名前、鈴々達と違うのだ」
など、二人を見た率直な感想を述べている。
すると劉備が...
「あの…お願いがあるんです」
劉備が北郷に言う。
「なんだ?」
「私達と一緒に来てください!」
「理由を聞いてもいいか」
北郷は劉備に一緒に来てほしい理由を聞く。
「私達は戦乱の世で苦しんでる人たちを助けたいんです!でも、私たちには風評がない・・・。だから」
劉備は真剣な顔で北郷を見る。
「俺を御輿にして、風評を得る・・・・・ということか?」
彼女の目的が分かった北郷は劉備に聞く。
「はい」
「だが俺達を御輿にしても人が集まるとは思えないんだが」
確かに北郷の言う通り、この地のことを知らない二人をいきなり御輿に立てても、風評を得れるとは考えにくい。
すると劉備は、
「大丈夫です。あなたは天の御遣いさんですから♪」
「天の御遣い?」
意味が分からず、首をかしげる。
「それは、ここに来る前の村で管輅という占い師がこの地に戦乱の世を治める天の御遣いとその御遣いに仕える乙女が降りてくると予言したのです」
「それが俺たちだと」
「はい」
劉備は北郷の顔を見つめる。
「お願いできませんか?」
「断っても行くところないしな・・・レイはどうする?」
ここで申し出を断っても、行くところがなくては結局のたれ死んでしまう。
レイにも聞くと、
「私は司令についていきます」
問題ないらしい。
「ということだ...よろしく頼む」
「ありがとうございます! 改めまして、劉備、字は玄徳。真名は桃香って言います」
劉備は表情をパッと明るくし、自分の名を再び名乗る。
「真名って?」
「家族や親しき者しか呼ぶことを許されない神聖な名前のことです」
「私は関羽、字は雲長。真名は愛紗です」
「鈴々は張飛、字は翼徳。真名は鈴々なのだ」
二人も自分の真名を言う。
「ならこちらも改めて。北郷一刀。よろしく」
「零式艦上戦闘機のレイです。よろしくお願いします」
二人も三人に挨拶をし、握手する。
こうして北郷たちはこの少し変な三国志の世界で生きることになった。
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更新が遅いですが、気長に楽しみにしていてください。 | ||
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