真・恋姫†無双〜三国統一☆ハーレム√演義〜 #09 恒例三国首脳大宴会/前編
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同盟一周年記念祭典は大盛況の内に終了した。

 

魏・呉の者達も、イベントや日常を通して、一刀への思慕を深めていく。

 

蜀の娘達の心中は如何なるものか――

 

 

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光陰矢の如し。

楽しい日々は物凄い早さで過ぎて往き。

最終日の夜に催されるのは、毎度恒例、三国首脳大宴会である。

 

この宴会場は、大きく分けて二つの区域に分かれている。

 

ひとつは、古来の形式の長卓を囲んで床に座る(観光地の旅館の宴会場に近い)形。主に酒を嗜む者が座って楽しめるよう、従来形式の脚の短い長卓が用意されている。

 

もうひとつは、脚の長い円卓を銘銘が自由に回る、所謂立食パーティ形式だった。

大喰らいが数名いる為、ビュッフェのように周囲に大量に料理が並んでいる。

座って呑む者も、ここから好きな肴を持っていくことが出来るようになっている。

 

 

 

「か〜ずとっ!一緒に呑みましょ♪」

「おっとと…」

 

タックルのように一刀へ飛びついたのは、相変わらずの積極性で迫る小蓮である。

そのまま右腕に抱きつく。

 

「ああん、小蓮に先越されちゃった。じゃ、私は反対側〜♪」

 

と言って雪蓮が一刀の左腕に自分の腕を絡める。

正に両手に花であるが、この程度北郷一刀にとっては日常茶飯事。

よって一刀に動揺はない……などということはなかった。

 

「「「…………#」」」

 

背中に刺さるように感じる視線。チラリと振り返れば……桃香と華琳、そして愛紗だった。

笑顔で重圧を放つ桃香と、如何にも苛立ち気味の愛紗と華琳。

 

「あ、あはは……皆で呑もうね? 雪蓮もシャオも」

 

一刀はその視線に脅されたように背後へ向き直り、乾いた笑いとともに左右の二人を誘う(説得?)が。

 

「「ええ〜〜?」」

 

明らかに不満げな孫家姉妹。三人からの視線の圧力が強くなったように感じる……

 

「あら。雪蓮や小蓮は、私達と呑むのがイヤなのかしら?#」

「そうですよ〜。一緒に呑みましょ?(ゴゴゴ…」

「…………#」

 

「ほ、ほら。桃香たちもこう言ってるし。皆で呑もう」

「ええー。だってぇ〜」

 

頬を膨らまして不満を露わにする小蓮。まあこれはいつものことであって、他の者も苦笑いやら嘆息やら。

しかし……

 

「そんなこと言われてもね〜♪ 好きな男と二人で呑みたいのは当然でしょ? 折角一刀からいい杯を貰っちゃったしね〜♪」

 

と、火種に大量の火薬を放り込む雪蓮。

一刀は青くなり、華琳は(怒りで)赤くなり、桃香の笑顔は更に重くなる。

 

(こ、これは所謂ひとつの……SHU・RA・BA!?)

 

これからどうなるのか、その惨事に恐々とした一刀の予想を裏切り。

 

 

「…………お好きになさればよろしい」

 

 

嫉妬深さでは三国一(一部では『嫉妬神』)とも謂われる愛紗は、そう言い残してその場を後にしたのだった。

 

 

「……愛紗ちゃん……」

「……ちょっと意外ね?」

 

心配げに見送る桃香と、毒気を抜かれたような華琳。

 

「うーん、こういう反応は予想してなかったなー……」

「恋は戦いよ! 引いたら負け、なんだから……!」

 

少々困った風の雪蓮に、発言とは裏腹に愛紗を気にする様子の小蓮。

 

「……武道会でも精彩を欠いてたし……。宴会の直前にも散々怒らせちゃったしなぁ。どう考えても俺のせいか……」

 

とは言っても、追いかけたところで一旦意固地になった愛紗が相手ではどうしようもない。

溜息と共に見送るのみである。

 

(暫く時間を置くしかないかなぁ……色々不安だけど……)

 

「ともかく、三人ともお座りなさい。立ったままでいても仕方ないわ」

 

華琳の一言に一刀と孫姉妹も席に着く。

 

「……二人とも、それでも腕は離さないんだね?(ゴゴゴ…」

「笑顔が恐いです、桃香さん……」

 

「……というかさ」

 

座っても一刀の両腕は孫姉妹に絡め取られたまま。

笑顔のまま重圧を放つ桃香を正面に、雪蓮が口を開いた。

 

「最近、桃香も余裕無くなってきちゃったね……?」

「う……。そ、そう……かな?」

「さっき小蓮も言ったけど。恋は戦いだって、私も分かってた積もりだったんだけど……」

 

雪蓮は、愛紗の去っていった方向へ視線を巡らせ。

 

「あはは。難しいね」

 

口では笑っているものの、苦い笑顔だった。

 

「そんなこと言ったって……。呉にいるシャオ達は、こんな機会がなきゃ一刀に会えないんだもん! 遠慮したら負け……だよ!」

「……そうね。魏でも一刀に逢いたがる娘が多くて困るわ……」

 

小蓮は言葉は強くも不安げな表情。

華琳は鋭い目線で、もう見えない愛紗の背を追っていたが。小蓮とは逆に言葉に力はなかった。

 

「それは光栄なことだと思ってるけど。立場を考えるとね……」

 

流石の一刀も、彼女達の想いは勿論分かっていたが。

彼自身の“立場”が、他国の娘と必要以上に近づくことにどうしても遠慮を作らせていた。

 

重苦しい雰囲気が漂う。が……

 

「……取り敢えず、呑もう! 折角の宴会なんだから! こんな雰囲気で皆を帰したくないもん!」

 

と、桃香が爆発した。

 

「……もう。桃香の笑顔の重圧も原因のひとつだって分かってるのかしら? ふふっ」

「あははっ! そうよね〜?」

「あ、あう〜(汗」

 

早速揚げ足を取った華琳だったが、桃香の一言で場が和んだのも確かだった。

 

「……うん。そうだな。まずは乾杯しよう!」

 

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「はいっ、かーずと! あーーん♪」

「…………」

 

場が和めば、小蓮の攻勢もまた盛り返す。困った顔の一刀は桃香に目で伺いを立てるが、流石に桃香も苦笑で返した。

 

「しょうがないなぁ。一回だけな?……あーん」

「えへへ〜♪ あーん♪」

 

「…………ふぅ」

 

そんな様子を少々羨ましげに見る雪蓮に、華琳が話しかける。

 

「そんな顔をしてるくらいなら、あなたもやればいいじゃない。今なら桃香も許してくれそうよ?」

「あはは……そんな物欲しげな顔してた?」

「まあね」

 

目を瞑り、杯を傾ける華琳。

楽しげな小蓮を見つつ雪蓮も酒を呑み干し、空になった杯を見つめ、小さく華琳に答えた。

 

「ん〜……小蓮は場合によっては、本当に蜀へ嫁入りさせてもいいかなって思ってるの」

「そ、そうなんですか!?(コクッ)」

「……そう。本人も乗り気だし……。“影響”も、そこまで大きくはないでしょう」

 

雪蓮の言葉に驚く桃香と、少なくとも表面上は冷静さを崩さない華琳。

 

「で、でも……雪蓮さんは……?(クピクピ)」

「くすっ♪ さっき、すっごい顔で私を睨んだく・せ・に!」

「あ、あう〜……(コクコク)」

「でも。私は呉の王よ。限界まで粘るけど……責任を放棄したりは出来ないわ。――華琳はどうなの?」

「…………。一刀が私の婿に来るならともかく。魏王たる私が、蜀へ嫁ぐ訳ないでしょう?」

「む、婿は駄目だよぉ!(ゴクッ)」

「……だそうよ。なら……一刀自身に、魏へ来たいって言わせる方法でも考えるわ」

 

しれっと答える華琳。驚いたのは、そこまで会話に入れなかった一刀本人である。

 

「ぶふぅっ!? そ、そう来るか! ……流石はかつて覇王を名乗った女傑だよ……」

「ついでに愛紗も貰おうかしら。あの美しい黒髪に、均整の取れた素晴らしい肢体。そしてあの武力。少々意固地だけど、そこを屈服させるのも一興だわ」

「うー……どっちも駄目ぇ〜〜……(グビッ)」

「もう、我儘な娘ね。それが嫌なら、皆が納得する方法を考えなさい」

「……考えてはいるんですよぉ〜。うう〜……。みんな、ご主人様が好きなんだもんね……(ゴクゴク)」

「……わ、たしは違うわよ」

「「どもった」」

「……くっ……#」

「……」

 

桃香、雪蓮から同時に突っ込まれる華琳。

一刀は、というか……男はこういうとき、何もアクションを起こせない。ひたすら縮こまるのみである。

 

「〜〜!うるさい! 私は『天の御遣い』の名声と天界の知識が欲しいだけよ!」

「まーだ素直になれないのね。大体、蜀から一刀取っちゃったら、それこそ“影響”が大き過ぎるんじゃない?」

「……そうでーーす!(ゴッゴッゴッ)ぷは〜……」

「分かってるわ。でも、このままだとウチの娘達も寂しそうだし……」

 

(あなたも、でしょうに。ホント、意固地なのは誰かしら? 管輅にまで言われてたのに。仕方ない娘ね……)

 

意地でも自分の想いを口にしない華琳に、苦笑いの雪蓮だったが。

彼女の口を割らせるのは無理だろうし、また場が混沌としそうな為、口にはしなかった。

 

「知識は今でも三国で共有してると思うんだけどなぁ。特に俺の知識って、真桜の協力がないと駄目なものが多いし」

「もう!そんな真面目な話は宴でするものじゃないよ! ほら、一刀!こっち来て〜♪」

「うわっ!そんな引っ張るなって、シャオ……」

「うふん♪ 何なら、天界衣装お披露目会の時の衣装……『体操服』でお酌してあげようか?」

「う゛……アレ、かぁ……(にへ〜)」

 

煩悩に釣られて、一刀は小蓮と一緒に少し離れた位置へ移動してしまった。

 

「あいっっかわらずの好色ぶりね……#」

「……どんな衣装だったんだろ?」

 

華琳は、敢えて一刀たちの方を見ずに酒を呷った。

雪蓮は頭に疑問符を浮かべながら手酌で呑み続けている。彼女は結局小蓮が貰った衣装を見ていないのだった。

 

「――とにかく。最終的には、三国で一刀を三分割するしかないでしょう」

「華琳も冥琳と同じ考えか……やっぱりそうなるのね。……そんなの蜀の娘達が許すかしら?」

「いずれ軍師らは認めざるを得なくなるわ。……まぁ多少なりとも蜀を優遇することになるでしょうけれど」

「……蜀に六ヶ月、呉と魏に三ヶ月ずつってとこ?」

「そうね。妥当な線じゃないかしら」

「そうなったら。わたしたちも、はんとしごとしかごしゅじんさまといっしょにいられなくなるんですか……?」

「……三国会談で会うことは出来るでしょうけれどね……」

「うえぇぇん! そんなのヤダよぅ〜〜〜!」

「ヤダってねぇ、桃香。あなたも王なのだから……?」

 

華琳の言を聞きもせず、一刀へダイブする桃香。

どうやら既に相当出来上がっているようだ。

 

「ごしゅじんさまぁ〜〜! かりんさんが、ごしゅじんさまを“さんぶんかつ”するっていうのぉ〜〜〜!」

「なんでっ!? 俺、処刑されんの!?」

「シャオが一番、一刀から愛されてるからって! 華琳ったら、殺してでも一刀を奪う気なのね!?」

「ごしゅじんさまのいちばんは、わたしですぅ〜〜〜!」

 

いつも通りに一刀を所有宣言した小蓮だったが、桃香にその小さな身体を抱き竦められてしまった。

 

「むぎゅう!? この、嫌みっ……たらしい、馬鹿、でかい、胸を、顔に、押し、付け、ない、で……」

「うええぇぇぇん!どうせわたしはムネがおっきいだけのばかですよぉ〜〜〜!」

「むぐぅ〜〜(い、息が出来ない〜〜〜!?)」

「と、桃香! シャオが窒息しちゃうよ!?」

 

 

「……あの娘ったら、いつの間にこんな出来上がってたの!?」

「あー…さっきから結構な量を呑んでたわよ」

「止めなさいよ! 結構真面目な話だったのに!」

「所詮は宴席の言葉よ。いいじゃない。それに……あの泣き顔があの娘の本音ってことよ」

「はぁ……愛紗と言い、桃香と言い……前途多難だわ。宴も、三国同盟も……」

 

もう溜息しか出ない華琳であった。

 

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(はぁ……またやってしまった……。ご主人様も可愛くない女だと思われただろうな……)

 

愛紗は自省しつつ、宴会会場を彷徨っていた。

 

ふと気付くと、目の前には山盛り……本当に直立した人間より高い食料の山が目に飛び込んできた。

その山の麓には、ひたすらにその山を切り崩す少女が五人。

 

「……むぐむぐむぐむぐ……」

「凄いじょー! 食っても食っても食い物が無くならないのにゃーー♪」

「「「あぐあぐあぐ♪」」」

 

(恋と、美以たちか……)

 

いつもなら『ほわぁぁぁぁ……』となる愛紗だったが、今日ばかりは落ち込みの方が勝ってしまったようだ。

代わりと言っては何だが。

 

「ああっ……これが『人中に呂布あり』と謂われた『飛将軍』呂奉先の……真の姿なの!?」

「れ、蓮華様! お気を確かに!!」

「?? ……んぐんぐんぐ……。蓮華と思春は、食べない?」

「え?ええ……何だか胸が一杯で……。ど、どう? このお肉も食べる……?」

「ん」

 

蓮華が差し出した大盛り回鍋肉の皿を受け取り、恋がそれを一気に口へ掻き込む。

ぱんぱんに頬を膨らませ、むぐむぐと咀嚼する恋を見て、蓮華はとうとう堕ちた――

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ……これが、これが恋なのね……」

「れ、蓮華様ぁ〜〜……」

 

堕ちていく(?)蓮華を、涙ながらに見守るしかない思春であった。

 

 

(うむ、その気持ち。分かり過ぎる程に分かるぞ、蓮華殿……)

 

 

また、その隣りでは。

 

「な、なぁ孟獲よ……ち、ちょっとだけでよいのだ。その……その掌を触らせてくれんだろうか……?」

「にゃ?今、みぃは食事中じょ!……おお!誰かと思えば、今回の武道会で優勝した……か?か?かこーとんにゃ!」

「おー!かこーとんだにょ!」

「強かったにゃ!凄かったにゃ!」

「あむあむ……」

 

どうやら美以たちは天下一品武道会を観戦していたらしい。

 

「う、うむ。その夏侯惇だ。というか、真名は春蘭だ。そう呼んでくれてよいぞ。だから……」

「おお、そうか! ならばしゅんらんも、みぃを美以と呼ぶにゃ!……そんなに触りたいにゃ?」

「うむ!是非触らせてくれ!!」

「(す、凄い迫力だじょ……)う、うむ。しゅんらんなら触ってもいいにゃ」

「か、感謝するぞ、美以! で、では早速……(ぷにぷにぷに)ふぉっ!こ、これは……なんという……!!」

 

美以の右手(の肉球)を怪我の為に布で吊るされている右手までも使って両手で弄る春蘭。その表情がどんどん崩れていく。

実はこっそり猫好きな春蘭であるが、その無駄な迫力のせいで猫(というか動物全般)に好かれない彼女にとって、この感触はまさしく魔性の魅力であった。

 

「にゃはは。くすぐったいじょ〜♪」

「「「(じー……)」」」

 

そんな様子をじっと見る南蛮兵三人(匹?)。

 

「……だいおーばっかずるいにゃ!」

「そうだにょ!」

「シャムも撫でてほしいにゃん……」

 

羨ましげな三人だったが、魔性にとり憑かれた春蘭は気付いていない。

 

「あ、あの……南蛮兵さん……よろしければ私が撫でて差し上げましょうか……?」

 

そう言うのは、こっそり様子を窺っていた明命だった。

 

「にゃ?えっと……」

「明命です。残念ながら武道会では本戦の一戦目で負けちゃったんですけど……」

「うーん……あ、分かったにょ!しあと戦った『ニンジャ』にょ!」

「に、にんじゃ?」

「にい様が言ってたにゃん。しゅーたいは『ニンジャ』なのにゃん。ぱっと消えるにゃん」

「おおー、にぃにぃ言ってたにゃ! じゃあじゃあ、消えてみせたら撫でさせてやるにゃ!」

 

トラが交換条件を出してきたが、他の二人も同様に興味津々らしい。

 

 

(というか『にんじゃ』とは何なのだろうか?ご主人様が仰ったということは天界の言葉か……)

 

 

「はぅあ! き、消えて見せればいいんですね? 分かりました!」

 

ともかく。明命は猫(っぽい南蛮兵)を撫でる為に奥義を披露する気らしい。

それでいいのか、密偵。

 

「行きますよー……はぁっ!!」

 

一旦右手を差し出し、そこへ三人の意識が集中したことを見た明命は、素早くその右腕を大きく振り。

その瞬間、三人の背後の死角へ回って見せた。

 

「「「にゃ!? 消えたにゃーーー!!」」」

 

「――どうですか?」

 

背後からの声に、びくっとなる三人だったが。

その妙技にすっかり感心したようだった。

 

「すごいにゃ!すごいにゃ!」

「すごかったにゃん!」

「おー! よし、撫でていいにょ!」

「あ、ありがとうございます! そ、それでは……(なでなでなで)はぅあ〜〜〜至福ですぅ〜〜〜……」

「「「にゃ〜〜〜……」」」

 

 

(あれはあれで羨ましい……いやいや)

 

 

「に、肉球も触ってもよろしいでしょうか……?」

「しゅーたいは触るの上手だからいいにょー〜」

「ああっ、どうか明命とお呼び下さい〜〜」

「分かったにゃー、みんめー」

「みんめー様〜、もっと撫でてほしいにゃん……」

「はいっ!……はぅあ〜〜……いつも皆さんと一緒なんて、蜀の方々が羨ましいですぅ〜……」

 

まるで明命の方が三人の召使いのようだったが。

愛紗は寧ろ、明命の最後の一言が心に残った。

 

(……羨ましい、か……)

 

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恋や美以と南蛮兵は、既に相手がいるようだったので、愛紗は更に放浪を続ける。

 

すると、立食用円卓の一角から、ぎゃんぎゃんとした声が響いていた。

何事かと見てみると。

穏が、詠と稟に説教を受けていた。

 

「「全く、あれ程読むのは禁止だと言っておいたのに!」」

「だってぇ〜…」

「「だってじゃない!」」

「我慢出来なかったんですもの〜……」

「「くねくねするな!」」

 

 

(大した同調率だな……一言一句同じに説教とは)

 

 

「挙句、発情かましちゃって!」

「そうです! 危うく私達も弄ばれ……弄ばれ、ぶふっ!」

「はーい、稟ちゃん。とんとーん」

「あ、ありがとう。風……ふがふが」

「見なさいよ、あの亞莎の落ち込みっぷりを!」

 

詠が指差す先には。

立食スペースの端の円卓のさらに隅。壁に向かって体育座りし、ちびちびと一人酒を呑む亞莎がいた。

 

「……ぐすぐす……」

 

なんだかその一帯だけ蝋燭の灯りが届いておらず、昏い気さえする。

 

 

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昨日の文化交流会会場にて。

穏を見失ってしまった詠と稟は、協力して周囲を捜索した。

 

しかし、発見した時には既に遅く。

会場の裏で読書に耽った穏は完全に発情し、『エモノ』を求めて会場の裏をふらふらと歩いていた。

 

このとき、詠と稟は彼女の発情を直に見たことがなかった為に状況を甘く見てしまった。

 

「やっと見つけたわよ、穏!」

「ふう。その様子では、もう読んでしまったのですね……とりあえず城へ帰りましょう?」

「なんだかふらふらしてるわね……仕方ない。肩を貸してあげましょ」

 

二人は発情状態の穏を、会話可能な相手だと思っていたのだ。

 

詠と稟は、穏の両側から肩を支える為に回り込む。

 

「うふ。うふふふ……あぁん♪ 二人とも、温か〜〜い……♪」

「「!!?」」」

 

穏は、その豊満な胸と腰周りを詠にすり付け、耳たぶを甘噛み。

そして逆側の手で、稟の胸を揉みしだく。

 

「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

二人は穏を撥ね除け、そこから無我夢中で逃げた。

気付けば、会場の表側の通りに出ていた。

 

「ど、どうされたんです? 詠さん、稟さん」

 

そこへ現れたのが亞莎であった。

二人には亞莎が救いの女神に見えたことであろう。しかし、亞莎にとっては地獄への入り口だった。

 

「の、のっ、のののの……!」

「は、はっ……ぶふうぅーー!(ばたり)」

 

詠は思考回路がマヒしたのか、呂律が回らない。

稟は、今更鼻血を噴き出して倒れた。

 

「わ!わわ!り、稟さーん!? だ、大丈夫ですか!?」

 

そう。このとき。

 

亞莎は、稟を介抱する為に座り込んだのだ。――会場に背を向けて。

 

故に。彼女は後ろから千鳥足で迫る淫魔に気付かなかった。

 

「えへへぇ〜、亞莎ちゃんですぅ〜……」

 

がばり。

 

「ひえぇっ!……穏様?」

「うふ♪ 私と……愉しみましょう〜〜?」

「え!?あ、ま、待っ……い、いやぁぁぁぁぁぁ〜〜!!?」

 

体格に勝る穏に背後から押さえ込まれ、逃げられない亞莎。

あれよあれよという間に、その胸元を開(はだ)かれてしまう。

そもそも亞莎は、母親からの贈り物である特殊なチャイナ服(?)を常に着ている。そして、この服は暗器を隠す為の衣服でもあるわけだが……とにかく薄くて露出が多い。母親の趣味かどうかはともかく。

 

結局。

 

亞莎はいとも簡単に衣服を剥かれ、衆人環視の中で辱められてしまったのである。

 

 

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「ぐすっ…ぐすっ……もう、お嫁にいけません……」

 

序盤、天下一品武道会では予選落ちして、少々落ち込み気味の亞莎であったが。

天界衣装お披露目会で、こっそり憧れの北郷一刀から贈られた衣装を着ることが出来た。

しかも、一刀はその衣装を亞莎にプレゼントしてくれたのだ。その為、彼女の機嫌はかなり良かった。

ところが最終日前日でこのどんでん返しである。

以来――昨日の午後から――亞莎は延々この調子なのだ。その為、管輅の騒ぎの際にも、彼女はあの場にいなかった。

 

「正直、アンタの性癖を舐めてたわ……彼女、アンタの部下っていうか教え子なんでしょ!? 何とかしなさいよ!」

「ふがふが……そ、そうです。亞莎殿は呉でも将来有望な参謀であるとか。そもそも同じ女として、あの状況はあまりに不憫ではありませんか!」

 

詠、稟に迫られ、さしもの穏も半泣きである。

 

「はうぅ……穏も悪いとは思ってるんですよぅ……でも、何を言っても反応してくれないし。はぁ……嫌われちゃったのかなぁ……ぐしゅっ」

 

「ふーむ……そのとき、詠ちゃんと稟ちゃんで周囲を封鎖したんですよね〜?」

 

ここまで無言のまま話をずっと(寝たまま)聞いていた風が、突如会話に加わった。

 

「え、ええ。ボク達じゃ穏を引き剥がすのは無理だったから。警備兵を使って、せめて周囲から人を遠ざけはしたわ」

「とは言え……真昼間の往来ですよ。あまりに可哀想で……」

「はうぅん……」

 

穏はもう泣き出しそうだ。

 

「穏ちゃん。最後の一線は越えてないんですね〜?」

「はいぃ。脱がしたり、撫でたり、揉んだり、舐めたりはしましたけど……あと接吻も唇にはしてませんですぅ……」

「「…………」」

 

 

(……哀れな……)

通りすがりの愛紗が貰い泣きしてしまいそうな状況だったようだ。

 

 

しかし。

 

「そうですか。なら――解決策は二つですね」

 

さらりと風は言ってのけた。

 

「ひとつは、時間による解決。これは確実ですが色々問題でしょうねー。となると残るはひとつ」

「多分、穏も同じことを考えてると思いますぅ」

 

「「そ、それは!?」」

 

詠と稟が二人に詰め寄る。

 

「……ぐぅ〜〜……」

「「寝るな!」」

 

いつものオチ。

 

「おぉっ。詠ちゃんも中々起こすのがお上手ですねー。ま、それはともかく。単純な話ですよ。今、亞莎ちゃんは陰の方向の衝撃で落ち込んでいます。ならば、それ以上の陽の衝撃を与えればいいのですよー」

「その為に……詠ちゃんにお願いがありますぅ。本を正せば穏のせいですけど……亞莎ちゃんの為に、どうか協力して下さい〜!」

 

穏は深く深く頭を下げる。

 

「そ、そうね……お目付け役だったボクが穏を見失ったのも原因のひとつだし。――いいわ。協力してあげる」

「あ、ありがとうございますぅ〜〜!」

「「抱きつくな!」」

「ひ〜ん……」

 

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さて。

亞莎復活作戦の概要を聞いた詠は。

酷く不機嫌であった。

 

(まさかそんな方法だったなんて! とはいえこの賈文和が一度言ったことを反故には出来ないし……)

 

穏によると、ここ最近の亞莎は執務の休憩時や勉強中でも、とある写真(当然ながら真桜作)を見ては溜息を漏らしているらしい。その写真に写っているのは……

 

(にしたって! アイツは、どんだけ女を呼び寄せれば気が済むのよ!!)

 

そう、北郷一刀であるらしい。

 

風と穏が示した策(お願い)とは、一刀に頼み込み、陰の記憶を陽の記憶で上書きして欲しいというものだった。

つまり、一刀に穏と同じことを亞莎にさせろ、というのだ。

 

当然、詠の心中は穏やかでない、が。

 

(うぅ〜〜〜! ムカツクけど……このままじゃ亞莎があんまりにも可哀想だし……仕方ないよね……)

 

結局のところ、詠もすっかり蜀の流儀に馴染んでいるのかも知れなかった。

 

 

……

 

…………

 

 

「ちょっと。顔貸しなさいよ」

「ん? 詠か。どうしたんだ?」

 

卓で国主三人に小蓮を加えた五人で呑んでいた一刀を呼び出す詠。

詠の口ぶりはとても主に向けるものではないが、もう皆慣れたものだ。

 

「ほえ〜?どうしたのぉ〜、えいちゃん?」

「ええ〜〜! 一刀、どっか行っちゃうの? シャオも付いて行っていい?」

 

目配せで尋ねる一刀。

 

「来てもいいけど。はっきり言って、見ててもムカツクだけよ。――コイツに落ち込んだ亞莎を慰めて欲しいの」

「う……」

 

桃香への返答も兼ねて詠がそう言うと、小蓮が言い詰まった。

昨日からの亞莎の落ち込み様やその原因は、小蓮も分かっている。それを一刀が慰めるとなると……

 

「……亞莎、どうかしたの? お披露目会のときは凄い喜んでくれてたんだけど……。そういえば、昨日の酒宴での騒ぎのときにもいなかったよね?」

 

不思議そうにする一刀に、雪蓮が答えた。

 

「あ〜、一刀は知らないのね。実は昨日の昼間、穏が発情しちゃって……亞莎が犠牲になっちゃったの」

「そ、そう……」

「しかも城の中とかじゃなくて。文化交流会の会場の目の前。衆人環視だったらしくて」

「……(ゴクリ)」

 

チャキッ!

 

雪蓮の説明を聞き、往来で穏に襲われる亞莎を想像して思わず嚥下した一刀の喉元に。

 

「……鼻の下が伸びてるわよ、一刀……#」

 

華琳の大鎌『絶』が押し付けられていた。

 

「ソ、ソンナコトハアリマセンヨ……」

 

「ったく、この変態ち●こが! とにかく、もう亞莎を慰められるのはアンタしかいないって穏や風が言うから……」

 

目線を外しつつ、そう零す詠。

 

「……ごしゅじんさまになにをさせるのぉ?(ゴゴゴ…」

 

いつものように(泥酔してはいるが)笑っている桃香だが。その笑顔からはどこか怒気が感じられるような。

 

「(恐っ!?)……風は、亞莎が望むことをさせろって……」

「まぁまぁ、大丈夫よ、桃香。亞莎は恥ずかしがり屋だから、そんなに過激な事は要求出来ないって(汗」

「うふふ。そうなのぉ?(ゴゴゴ…」

 

及び腰で説明する詠に、汗を垂らしつつフォローを入れる雪蓮、そしてやはり笑顔の(恐い)桃香。

 

「ふぅ。精々が抱きしめて頭を撫でるとか、その程度でしょ。別にいいじゃない、そのくらい……#」

 

そう言う華琳も微妙に語気が荒い。

相変わらずの一刀の周囲。だが、痺れを切らした詠は、一刀の袖を掴み、目を伏せながら口走った。

 

「ほら、さっさと行くわよ!――あんな泣いてる奴を放っておくなんて、どうせアンタに出来る訳ないんでしょ!?」

 

「……亞莎は、泣いているのか?」

 

詠の一言に、明らかに一刀の雰囲気が変わったことを、この場に居る者全員が感じていた。

 

「……そうよ。昨日からずっと泣いてるのよ!こんなの放置しとくなんて、ち●こ太守の名折れじゃないの!?」

 

「分かった。案内してくれ」

 

(――ほんっっっっっっとうに女の涙に弱いっていうか!)

 

自分から琴線に触れる単語を出したとはいえ。

内心、嬉しいような、業腹なような。複雑な心持ちの詠であった。

 

「じゃあコイツ、連れて行くわ。……文句は原因作った穏に言ってよね!」

 

捨て台詞を残しつつ、詠は一刀の手を引き、連れ出していった。

 

雰囲気を一変させた一刀の様子に、桃香はすっかり機嫌を取り戻したようだが、残りの三人は揃って苦笑い。その心情は、詠のそれと殆ど変わりない。

去りゆく一刀の背に、桃香と雪蓮、小蓮が声を掛けた。

 

「がんばってぇ〜、ごしゅじんさまぁ♪」

「亞莎のこと、お願いね。一刀」

「でも、お手つきしちゃ駄目だからね!」

 

「んなことしないっての!」

「「「「「…………」」」」」

 

小蓮の一言に、物申した一刀だったが。

返って来たのは全員からの沈黙だった。

 

「ホント、信用ないよね、俺……」

 

自業自得である。

 

-7ページ-

「……亞莎?」

「ひえぇっ! ……ほ、ほほ、北郷様!?」

 

背後から掛けられた声が北郷一刀のものと知るや、亞莎は飛び上がって驚いた。

 

「えっと……なんだか元気がないって聞いてさ……」

「あ……わ、私……」

「ん。何も言わなくていいよ。ただ、俺は隣りにいる為に来ただけだから」

 

そう言って、ちょっと困ったような、心配げな微笑みを見せる一刀。

亞莎は、その笑顔を見ただけで、心の中に灯りが燈ったかのように感じていた。

 

 

二人は暫くの間、何を話すこともなく、甘い果実酒をゆっくりと呑んでいた。

 

 

先に口を開いたのは、亞莎だった。

 

「あ、あ、あの。北郷様は……どうして私なんかの所に?」

「……詠や稟。雪蓮や小蓮、それに穏も。落ち込む亞莎を皆が心配して、俺に教えてくれたんだ」

 

亞莎は、自分を心配してくれる仲間達への感謝と喜びと申し訳なさと――北郷一刀自身が心配して来てくれた訳でないことに対する失望のようなものも感じてしまった。

 

(私……皆さんが心配して北郷様を連れて来て下さったのに……何をがっかりなんてしてるの……)

 

「それに、女の子が……亞莎が泣いてるって聞いたら、居ても立ってもいられなくてさ」

「!!」

 

さらりと述べた一刀の一言は、そんな亞莎の失望を即座に吹き飛ばした。

亞莎は真っ赤に赤面し、しばしぱくぱくと口を開閉させることしか出来なかったが。

ようやく落ち着いたか、礼を述べた。

 

「あ、あうあう。……そ、そんな。勿体無いお言葉です……」

「ちょっとは落ち着いたかな……?」

「は、はい。え、えへへ……」

 

ようやく笑顔を見せてくれた亞莎に、一刀も一息吐いた。

 

「そっか、よかった……」

 

そう言うと、一刀は亞莎の頬を指でなぞる。

 

「うひぇっ!?」

「あ、ゴメン。涙がちょっとね……」

「い、いいい、いいえ! ぜん、全然! 問題ないです!」

「そう?……じゃあ、頭を撫でても、いいかい?」

「は、はは、はい……!」

 

一刀は軽く亞莎の身体を引き寄せ、片手で彼女の頭を撫で続ける。

座ったまま身体を硬直させていた亞莎は、一刀の手の温もりを感じるにつれ、次第に落ち着いていった。

 

そんな亞莎の脳裏にふと浮かんできた雪蓮の言葉。

 

『私ね〜?『天の御遣い』って呼ばれてる北郷一刀のことが、ずーっと好きだったの♪』

 

(きっと雪蓮様も……北郷様―― 一刀様の優しさに触れたんだろうな……)

 

いつしか亞莎は、その身体の重みを完全に一刀へ預けていた。

 

 

「……亞莎。亞莎は、穏を恨んでるかい?」

「そ、そんなこと! ありえません! あの方は私の師匠にして目標のお一人です!」

 

また暫くは寄り添っていた二人だったが、ゆっくりと噛みしめるように一刀が質問を口にし。

その質問に、亞莎は即答した。

その答えを聞いて、ようやく一刀は心から安心したようだった。

 

「そうか……よかった。穏も、亞莎に嫌われたかもって。泣きそうだったから」

「あ……。私、昨日からずっと落ち込んでて。周りの様子とか、皆さんの話とか。全然覚えてなくて……」

「そうか。じゃあ、後でちゃんと穏に謝って貰おうね」

「ふふふ、はい♪……ありがとうございます―― 一刀様」

 

 

 

「どうやら解決したようですねー。しかし、いつの間にか亞莎ちゃんの肩に手を回しているあたり、恐るべきスケコマシの手腕ですねー (-"-)」

 

二人の様子を少し離れた席から窺っていた一行だったが。

笑顔を浮べる二人を見て、微妙に不機嫌な風が、そう感想を述べた。

 

「……#」

「ま、まあ。これで一件落着ということで……。穏殿も、後でちゃんと謝罪して下さいよ」

「はぁい。分かってますぅ。……はぁ。嫌われてなくて、よかったぁ……」

 

稟は、怒気を放つ詠から目線を外したまま、そう締める。

珍しく身体を強張らせていた穏は、ようやく緊張から解き放たれ、大きく息を吐いたのだった。

 

 

 

一方、そんな様子をこっそり見ていた愛紗は。

 

(全く!女の涙と見れば放っておけないのですから!! はぁ……)

 

寄り添う二人を羨ましげに眺めつつ、また沈んでゆくのであった。

 

-8ページ-

「「「乾杯!」」」

「「「かんぱーい!」」」

 

またも当てなく会場を彷徨う愛紗の耳に、乾杯の音頭が聞こえてきた。

見れば、翠・焔耶・凪という武闘派と、蒲公英・沙和のファッションリーダーコンビ、そして軍師の雛里という、一見繋がりの無さそうな一団が共に杯を掲げていた。

 

 

(これは……そうか。天界衣装お披露目会の関係者か……雛里だけで朱里はいないようだが)

 

 

「えへへ〜。天界衣装お披露目会、大成功だったね!」

「そうなの〜! 意匠とかの教本、ぜ〜〜んぶ売れちゃったの♪ 追加注文の予約もすっごい数なの!」

「あわわ……本当に凄い勢いでした。売り子をしてると、ちょっと恐かったくらいです……そのうち、腕を引っ張られて、連れ去られて、遠い異国へ売り飛ばされるんじゃないかと……ぐしゅっ」

「……雛里の、その妄想も根が深いよね……何か嫌な記憶でもあるの……?」

「ぐしゅぐしゅ……そういう訳ではないんでしゅけど……」

「もーう♪ 雛里ちゃんたら、可愛いの〜〜!(抱きっ)」

「あわわ!」

 

蒲公英と沙和は天界衣装お披露目会と、意匠の教本などの盛況振りにご機嫌の様子。

生来気の弱い雛里は、天界の意匠を取り入れたい商人や仕立物屋の迫力に押され気味だったようだ。

 

「んぐんぐんぐっ……ぷはぁ〜。とにかく恥ずかしかったよ、あたしは……」

「私もかなり……次回があるなら出来れば遠慮したい……」

「全くだ。……演舞自体は、結構楽しかったが」

「ああ、あれかぁ。ご主人様って意外に剣術の基礎出来てるんだな。……ちょっと焔耶が羨ましいかも」

「そ、そうだな。……あの方と一緒に演舞……////」

「(凪って分かり易いなぁ。たんぽぽやみんなから見たあたしもこうなのかな……?)」

「(お館の性(さが)か……全く、見境いのない男め……!)」

 

一方、逃亡劇を共にした三人はすっかり打ち解けていた。

と言っても、口から出るのは「恥ずかしかった」ばかりだが。

 

「皆さん、おつまみを持ってきましたよ。どうぞ♪」

 

そこへ料理皿を持って現れたのは月である。

 

「わわ! もう、駄目だよ、月! こんな混雑してる会場を一人で歩いて! 転んだりしたらどうするの!?」

 

蒲公英が月から皿を受け取り、席を勧める。

 

「今回ばかりは、小娘の言う通りだ。もう一人の身体ではないのだからな」

「そうだぞ、月。今は大事な時期なんだから。少し心配性なくらいで丁度いいんだぞ」

「ていうか! 誰が小娘なのよ、この脳筋!!」

「ああ、もう。焔耶、たんぽぽ。喧嘩は後にしておけ」

 

また喧嘩腰になってしまった焔耶と蒲公英を凪が抑える。

普段、真桜と沙和を抑えている(場合によっては物理的に押さえる)凪はこういう仲裁は手馴れたものだ。

 

皆、騒がしくはしているが、誰もが月の身体を心配している。それがまた月の笑顔をより深める。

 

「ふふ……ごめんなさい。何もしないのも寂しくて」

「あれ? そういえば……詠さんはどうしたんですか?」

「何でも詠ちゃんは、穏さんに説教があるとかで……」

 

「「「「あー……」」」」

 

 

(どうやら穏と亞莎の一件は、知る者は知っているのだな……)

 

 

「ともかく、一人で歩き回るのは感心しないです。……お腹、もう随分と大きくなっているんですね」

「あと二ヶ月くらいだっけ?女の子としては羨ましい限りなの〜〜」

「えへへ……////」

 

凪、沙和の言葉や視線に頬を赤らめ。恥ずかしげに、しかし幸せそうに微笑む月。

そんな彼女に誰もが見惚れていた。

 

のだが。

 

「ねえねえ、月ちゃん♪ 北郷さんって、閨ではどんな感じなの〜?」

 

「「「ぶぅぅぅーーーーー!」」」

 

「けほっけほっ!……あわ、あわ、あわわわわ」

「だ、大丈夫、雛里ちゃん?」

 

沙和の大暴言に、口に含んでいた酒を噴き出す翠・焔耶・凪(ついでに離れた位置で聞いていた愛紗も噴き出していた)。

雛里は咽た後、赤面して狼狽する。そんな雛里に布巾を渡しつつも、月自身、顔を真っ赤に染めている。

 

「たんぽぽも、他の人はどうなのか、結構気になるかも〜♪」

「あ、やっぱりたんぽぽちゃんも北郷さんに愛して貰ってるんだぁ……。羨ましいの〜。で、どんな感じなの??」

「えへへ♪ 基本的にはすっごい優しいんだけどぉ。でも、ノってくるともう滅茶苦茶激しいっていうか〜♪ この間、お姉様と一緒にしたときなんか……」

「わああああああーーーー!! 何口走ってんだ、たんぽぽーーーーー!!!」

「ええ〜〜? お姉様だってノリノリだったじゃ……ムグ!?」

「ぎゃあああああああ!!!」

 

翠が慌てて蒲公英の口を塞ぐが、既に時遅し。

 

「すっごいの〜! 二人同時に相手するなんて〜〜! めっちゃ上級者なの〜!!」

 

沙和の瞳はきらきらと輝いていた。そして、ふと気付いたように月と雛里へ向き直る。

 

「……もしかして〜?」

「ぎくぅ!」「へぅぅ!?」

 

明らかに動揺する二人。

月はともかく。雛里は軍師としてその脆さはどうなのか。

 

「あ、やっぱりそうなの! 月ちゃんも、雛里ちゃんも。誰かと一緒に愛されちゃってるの!?」

「あわわ……えっとその……////」

「へぅ……////」

 

「うーん、この二人ということは……詠ちゃんと、朱里ちゃん?」

「「!!」」

「きゃぁぁぁ〜〜! すっごぉーーーいの!!」

 

一層顔が赤らむ二人。こと恋愛沙汰(というか猥談)においてポーカーフェイスの出来ない二人であった。

 

「ぷはぁ! もう、お姉様ったら照れちゃってぇ♪ いいじゃない、この場に居る蜀の娘は、みーんな複数人で愛して貰ってるんだ・か・ら♪」

 

「「「!!?」」」

 

翠の手から抜け出したかと思いきや、蒲公英はニヤリと焔耶へ笑み掛ける。

突然の暴露に、全員の視線が話に加わっていなかった焔耶に集中する。

 

「なっ!? 何故それをお前が知っている!!?」

 

その質問自体が、蒲公英の発言を裏付けてしまうのだが。暴露に慌てた焔耶は、そこまで頭を回す余裕を失っていた。

 

「うふふん。このたんぽぽちゃんの情報網を舐めないでよ♪」

 

さっと間合いを取った蒲公英は、さらさらと語り始めた。

 

「ご主人様が気になって仕方ない癖に、て〜んで煮え切らないもんだから。見兼ねた桃香様が協力してくれたんでしょ? でもって一緒に……」

「きゃああああああ!! やめろ〜〜〜〜〜!!!」

 

 

(桃香様と一緒……////)

自分の状況と重ね合わせてしまい、独りでこっそり赤面している愛紗である。

 

 

「大体さぁ。昨日の夜は結局全員でご主人様の伽のお相手したじゃない。何を今更って感じ?」

「「えええっ!?」」

「ぜ、全員というのは……蜀の方、全員をまとめて!?」

「ひえ〜〜!北郷さんってすっごい絶倫さんなの!!」

「そうだよ〜、すっごいでしょ♪ でも、昨日は人数が多すぎて、ちょっとしかお相手して貰えなかったし……たんぽぽ的には不満かなぁ……」

「「「「……////」」」」

 

蒲公英はまるで自分のことのように自慢するが、その他の蜀の者は皆赤面して言葉も無い。

……一刀は半分死ぬ覚悟で臨んだようだったが。

しかし、なんのかんの言って、今日は街へ出掛ける程に元気があった訳で。彼が絶倫であるのは確かなところだろう。

 

「……はぁ〜あ。蜀のみんなって羨ましいの。あんなに素敵な人が傍にいるんだもん。ねぇ、凪ちゃん?」

「うぇ!?」

 

猥談に加わらず(蜀メンバー全員参加には思わず突っ込んでしまっていたが)、一人ちびちびと酒を呑んでいた凪だった(巻き込まれないように逃げていたとも言う)が、沙和の一言に声を裏返してしまった。

 

「うふふ……♪ 沙和には分かってるの。凪ちゃん、実は北郷さんのこと……」

「わあぁぁぁぁぁぁぁ! 何を言い出すんだ、沙和!!」

「だって〜。着物のお礼を言うときの凪ちゃんの態度を見てたら、誰だって分かるの〜♪」

 

沙和がそう言うと、雛里が反応した。

 

「あ……あの時ですか? 確かにあれは……」

「う!? み、見られていたのか……!?」

「あわわ、すみません。別件でご主人様に御用があったものですから……」

「……いや、いいんだ……」

 

がっくりと肩を落とす凪。

天界衣装お披露目会の後、二人は一刀を訪ねており。一応、お礼自体は言えたのだが。真正面から一刀の笑顔を見てしまって以来、彼をまともに見れない凪なのであった。

 

「……あの方の笑顔は……反則だと、思う……////」

 

ぽつりと零した凪の一言に。

その場の全員(と、こっそり話を聞いている愛紗)が頷いたのだった。

 

「ねえ凪ちゃん〜。今度、私と凪ちゃんと真桜ちゃんの三人でぇ〜、北郷さんの閨房へ行っちゃおうか♪」

「ぶげほっ!げほっ!ごほっ!……今度は何なんだ、沙和!」

「だってなの〜! 凪ちゃんだって知ってるでしょ!? 魏の将軍でみそっかすだった沙和が、新兵の訓練教官として認められたのは……北郷さんの助言のおかげなの!」

 

魏にて名高い武将の中、沙和が少々浮いた存在であるのは確かだった。

それこそ市井に混じっていた方が自然な程に、彼女には“武官らしさ”がなかった。

故に部下にも舐められ気味であったのだ。

 

しかし、このことで相談を受けた北郷一刀から、三国会談で『天界海兵隊式訓練法』を伝授され。

以来、彼女は大国曹魏でも名の通った新兵訓練教官へと成長(?)したのだ。

――この時代の人間には理解不能な、凄まじい罵詈雑言という悪癖と共に。

 

「蜀のみんなばっかりずるいの〜〜! 沙和だって……沙和だって素敵な恋がしたいの〜〜〜!!」

 

そう叫んだかと思うと、凪に抱きつき、眠ってしまった沙和。

凪は申し訳なさそうに、皆を見回す。

 

「済まない、みんな。いつの間にやら、結構呑んでたみたいで。……聞かなかったことにしてやって欲しい」

 

「「「「「…………」」」」」

 

(さっすがご主人様だよね〜。でも……そうなっちゃったら三国同盟は大丈夫なのかな?)

 

(そりゃ、ご主人様が他の国の奴としてるの考えたら……すごいムカツクけど。でもご主人様はエロエロ魔人だしなぁ……。あれ?でも、考えてみたら……蜀だろうと他国だろうと、他の女って意味じゃ一緒なんだな……)

 

(一体どれだけの女を毒牙に掛ければ気が済むのだ、お館はッ!……しかし、凪になら、という気も……)

 

(あわわわ……どんどんご主人様の周りに女の人が増えていきます……ここまで来てしまったら、ご主人様を中心に三国同盟を維持する方法を、朱里ちゃんと考えないといけないのかも……)

 

(ご主人様は……どうお考えなのでしょうか?……いいえ、あの方なら。誰も泣かないで済む方法を選んで下さるはずです……)

 

沙和の発言に沈黙した蜀の者達は、その内心では様々な想いを抱えていた。そしてそれは……

 

 

(……沙和の言う通りだ。誰だって自分の恋を成就させたいと願うのは当然ではないか……)

 

 

――愛紗とて同様だった。

 

 

 

続。

 

-9ページ-

諸葛瞻「しょかっちょ!」

曹丕「そうっぺ!」

周循「しゅうっちの!」

 

三人「「「真・恋姫†無双『乙女繚乱☆あとがき演義』〜〜〜☆彡」」」

 

諸葛瞻「お読み戴き多謝でしゅ。諸葛亮こと朱里の娘にして北郷一刀の第23子、しょかっちょでしゅ!」

曹丕「乱文乱筆なれど楽しんで戴けたかしら。曹操こと華琳の娘にして北郷一刀の第9子、そうっぺよ♪」

周循「少しでも面白いと思って下されば重畳。周瑜こと冥琳の娘にして北郷一刀の第25子、しゅうっちで〜す☆」

 

 

曹丕「ああ、愛紗様が可愛らしいわぁ♪」

 

諸葛瞻「……最近は年長組の娘相手にまで『慈恵雷者(じぇらいしゃ)』になられるそうでしゅね?」

 

曹丕「それはそれで可愛らしいでしょう? そ・れ・に〜、愛紗様にお説教されるお父様の泣き顔ったら……もう、可愛くて可愛くて♪(身体を両手で抱いて、くねくね)」

 

周循「……前回も言ってましたね、それ。流石、華琳様の御子でらっしゃる……」

 

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○議題:姉妹の呼称について

 

諸葛瞻「姉妹たちの呼称について変更点がありましゅのでご報告致しましゅ」

 

周循「以前、あとがきはオリキャラが多くて分かり難いとのご指摘がありました。また、実際に筆者が会話を書いてみての所感としても、真名でない為に母親との繋がりが分かり難いのではないかと」

 

曹丕「そこで、今後は基本的に「姓+名」で呼称することになったわ。渾名がある娘は覚えて戴くしかないのだけれど……。これで武将の姓から誰の娘かが多少分かり易くなるだろうとの判断のようよ」

 

諸葛瞻「実際、例えば関羽を指して“羽”と呼びかける三国志作品は見たことありましぇんしね……」

 

周循「真名でのみヒロインを覚えておられる方には救済になっていないのがアレですが……。また、同母(或いはそれに近しい関係の母ら)姉妹は流石に姓を呼びません(例えば、紫苑の娘二人や、孫家の娘たち、翠と蒲公英の娘など)」

 

諸葛瞻「皇太子及び、元国主の娘に“様付け”しゅるのは変わりましぇん。以後よろしくお願い致しましゅ(ぺこり)」

 

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諸葛瞻「では、ゲストコーナーでしゅ! 自己紹介をお願いしましゅ」

 

 

楽鎮「はっ。自分は、楽進こと凪の娘にして北郷一刀の第13子、楽鎮(ちん)と申します。史実の楽進の長男の諱は常用漢字ではありませんので、TINAMIクリエイターの先輩であり、筆者が執筆を始めた切っ掛けとなる作品の作者のお一人であられる「ととと」氏に倣いまして“鎮”の字を使用しています」

 

陳律「同じく、陳宮こと音々音の娘であり北郷一刀の第44子、陳律(りつ)であります。史実の陳宮の子は不明でありましたので、母の真名“音々音”の音色のイメージから、“旋律”の一字を採用したであります」

 

 

周循「楽鎮姉さんは年長下級(小5クラス)でそうっぺと同じ。陳律は年少下級(小3クラス)ですね」

 

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○質問:特技・特徴は何ですか?

 

楽鎮「立派な武官になるべく、母より格闘術と気功を習っています。勉学は平均程度です。あと……実は、私は身長が高くて。既に姉妹では一番高いんです。女の子としては、いい加減伸びるのを止めたいんですけど……」

 

諸葛瞻「楽鎮お姉しゃまや甘述(じゅつ)ちゃん【思春】は背が高くて格好良いと思うのでしゅけど。しょかっちょは……お母しゃまを見て、もう諦めてましゅ(嘆息)」

 

楽鎮「そんなことはない! 女の子は小さい方が可愛いに決まっている! しょかっちょ然り、陳律然り、賈訪(ほう)【詠】然り……あ、あとそうっぺとか……ハッ!?」

 

曹丕「あらあら、私がどうしたって?」

 

楽鎮「い、いえ!何でもありません!」

 

曹丕「私は嘘を吐く娘は嫌いよ? 確かに今、背が小さいとかどうとか聞こえたのだけど?#」

 

楽鎮「あ、あぅ……」

 

曹丕「伸びるのを止めたいとか、贅沢言ってくれるわねぇ〜……うふふ♪(ぐりぐり)」

 

楽鎮「い、痛いです! こめかみをぐりぐりするのはお止め下さい〜……」

 

曹丕「何を言っているの? そもそも、あなたの最大の特徴を話してないじゃない(ぐりぐり) ほ〜ら、痛いでしょう? 嬉しいでしょう?」

 

楽鎮「いだだだ! い、痛いですぅ……えへ、えへへ……♪」

 

曹丕「うふふ……さあ、オシオキに踏んであげるから、そこに四つん這いにおなりなさい♪」

 

楽鎮「は、はいぃ……♪」

 

諸葛瞻「……あー、スイッチ入っちゃったでしゅね……」

 

周循「その様だな……。楽鎮姉さんは普段はとても真面目な方ですが、スイッチが入ると『ドM』になってしまうという悪癖があるのです。どちらかというと精神的に苛められるのが好みらしいですが……。公孫続(ぞく)【白蓮】と並んで、姉妹内の二大変態ドMなのです」

 

諸葛瞻「楽鎮お姉しゃまは飽く迄も“受身”の変態なので、周囲に被害が出ない分、公孫続【白蓮】ちゃんより断然マシだと思いましゅよ。……あっちはもう違う世界にイッてしまったので、陳律ちゃん、どうじょ」

 

陳律「ドMって何なのでありますか?」

 

周循「……陳律は知らなくてよいことだよ。さ、陳律の特技を発表してくれ……」

 

陳律「?? はいであります。りつの特技は楽器演奏であります」

 

諸葛瞻「陳律ちゃんは『絶対音感』を持ち、古代中国の音楽理論である五声(音階)、十二律(音律)、八音(楽器)をマスターしている『天才音楽家』であるのでしゅ」

 

周循「『曲に誤りあれば周郎が振り向く』と謂われた母さん――周郎・冥琳も、陳律の才能には感服しているよ」

 

陳律「身体が小さいので、一部の楽器はまだまだでありますよ。それと、最近は作曲が趣味になっているでありますよ〜♪」

 

周循「あと……洛陽城の後宮で、満月の夜にのみ行われる陳律の演奏と孟祝融(しゅくゆう)【美以】の歌は、父母や姉妹たちの大きな楽しみのひとつになっているな」

 

陳律「えへへ♪ そう言ってくれるととっても嬉しいであります!」

 

------------------------------------------------------------

 

○質問:特に仲の良い姉妹は?

 

諸葛瞻「えーっと……次の質問なんでしゅけど。楽鎮お姉しゃま、スイッチ切れましたか?」

 

楽鎮「はい……(ずーん)」

 

曹丕「そんなに落ち込まなくてもいいじゃない。少なくとも私や陸延おねえちゃん【穏】と相性が良いってことだし。それに孫登【蓮華】と仲が良いのも、少なからずコレのお陰じゃないの?」

 

楽鎮「い、いえ。陸延おねえちゃん【穏】はともかく。確かに孫登様【蓮華】とは“心の友と書いて心友”と読む仲ですが、特にこの悪癖は関係ありません。純粋に気が合う姉妹であるだけですよ」

 

曹丕「あら、そうなの。それは失礼したわ」

 

楽鎮「お気になさらず。孫登様【蓮華】繋がりで馬秋【翠】ともよく遊びますね。あとはやはり母らの関係で、李禎(てい)【真桜】、于圭(けい)【沙和】とは一緒にいることが多いですね。二人とも手の掛かる子たちですが」

 

諸葛瞻「一部では『三羽子烏』とか呼ばれているらしいでしゅね」

 

楽鎮「『三羽烏』は褒め言葉の筈なのに、嬉しくないのは何故だろう……」

 

周循「まあまあ。続いて陳律、どうぞ」

 

陳律「りつは、音楽関係だと孟祝融【美以】が一番気が合うのであります。姉妹ではないでありますが、美羽様に歌って頂く為に作曲することも多いでありますね。その他にも歌の上手いあねさまはいるでありますが、ちょっと音楽性が合わないというか……」

 

諸葛瞻「そうでしゅねぇ。姉妹内で歌の上手い方は、元『数え役満☆姉妹』のお三方の影響で、アイドル歌手的な方が殆どでしゅから。雅楽の天才児である陳律ちゃんとは、方向性が合わないのかも知れましぇんね」

 

陳律「ああいう音楽が嫌いという訳ではないので、そこは誤解して欲しくないのであります。実際、『数え役満☆姉妹』のような曲も作曲しているでありますよ〜♪」

 

周循「音楽関係以外だと?」

 

陳律「そうでありますね。甘述あねさま【思春】、夏侯衡(こう)あねさま【秋蘭】とは、よく一緒に遊びに行くことがあるでありますよ」

 

曹丕「ちょっと意外な組み合わせね」

 

陳律「仲良くなった切っ掛けがあったのでありますよ♪」

 

周循「それはまた別の機会に、ということで」

 

 

 

曹丕「どうだったかしら。今回は本編が前後編だけれど、その後大きく物語が動くそうよ。更新を待って戴けると嬉しいわ」

 

諸葛瞻「また、あとがきゲストのリクエストもお待ちしておりましゅ。興味本位で全く問題ありましぇんので、よろしければコメントに添えて下しゃい」

 

周循「それでは、また次回!」

 

 

五人「「「「「バイバイ真(ま)〜〜〜☆彡」」」」」

 

説明
第9話を投稿です。
同盟一周年記念祭典、七日目最終日(夜)……大宴会(前編)をお送りします。
本当に時間の流れがゆっくりに……。大宴会は前後編となっております。
もどかしいという方もいらっしゃるとは思われますが、どうかのんびりとお楽しみ戴ければと思います。
いらっしゃいませ、大宴会へようこそ! Pureな心は要りませんww 蜀END分岐アフター、どうぞ!
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コメント
nameneko 様>楽鎮は娘達の中でも特に濃いコですw 陳律も今のところ唯一の楽器奏者なので個性的ですね^^(四方多撲)
いろいろと子供たちがすごいっす(VVV計画の被験者)
XOP 様>いえいえ、いつもご指摘ありがとうございます!今回の件は、「蒼白」と書けば問題ないのですが、華琳の顔色の「赤」と対比させる為に「青」に戻させて戴きました。わざわざありがとうございます〜!(四方多撲)
訂正・・・というより撤回します。『一刀は青くなり→蒼くなり』、「真っ青」って言葉があるし、14話でも『青』を使っていますから。ご迷惑おかけしました。(XOP)
ブックマン 様>愛紗はちょこちょこ爆発してますがw そういえば「自爆」はしてないなぁ…ドラマCDみたいな自爆ネタも結構好きなんですけどね、可愛くてw(四方多撲)
内部蓄積型は自爆した時の破壊力が凄いですよ?(ブックマン)
まーくん 様>「嫉妬神」はアンソロの某先生より… 「ゴゴゴ…」のJOJOは、確かにそうかもw 特に意識したオマージュではございませんww(四方多撲)
嫉妬神ってwwwヘラさんじゃないんだからwしかし桃香の『ゴゴゴ・・・』が某JOJOに思えてしょうがない・・・(まーくん)
kanade 様>私の中では、愛紗の悩みを打ち払うのは、彼女しかしない!ってイメージがあったのですよ。一刀くんはやっぱり男ですしね。という訳で次回をお読み戴けると嬉しいですww(四方多撲)
一刀・・・早く愛紗に救いの手を(kanade)
jackry 様>いつもリクありがとうございますぅ〜!! しかし、美羽の娘は大きなネタバレの可能性があり、少々お待ちいただくことになります…申し訳ない!m(_ _)m(四方多撲)
フィル 様>今回で愛紗は「他の娘の視点」を見つけました。その彼女の結論は…以下次回!w(四方多撲)
幸宗 様>役満姉妹が嫁だと言う方には申し訳ないのですが、彼女らの出番はもう少し後になります。どうかそれまでお見捨てにならず、読み続けてくださると嬉しいです!(四方多撲)
tanpopo 様>そう言って戴けるととても嬉しいです!祭典は次回でラスト。その後は…ふふふ。と笑ってみるw(四方多撲)
nanashiの人 様>い、一応言い訳…呉勢の誰かが犠牲になる予定で、取捨の結果、明命か亞莎の二択となりまして。でも明命だとあっさり逃げられてしまう。ということで、亞莎の犠牲は必然だったのです!ww(四方多撲)
トーヤ 様>やはりそうですか、筆者も書いててそう思いましたw ハーレムルートの名に恥じない内容を心がけておりますw(四方多撲)
kayui 様>果たして愛紗の至る結論は!?といったところでしょうかw 次回更新まで暫しお待ち下さい!(四方多撲)
sion 様>楽鎮は「ドM」の設定が先にあって、この性格で年齢低いのはマズかろうとww 祭典も次回でようやくラスト、ご期待に添えるよう、頑張っております!(四方多撲)
sion 様>またもや誤字ですorz 毎度ご指摘ありがとうございます!本文を修正致しました。(四方多撲)
XOP 様>あれ?(確認中)…ほんとだ、渾名しか言ってない!ご指摘ありがとうございます!因みに「玉」という諱は史実にもあったようです。 追記としまして、本来ここで書くべきことではありませんが、紫苑の第2子の名前を変更させて頂きました。詳しくは次回あとがきにて。(四方多撲)
XOP 様>元か本かはどちらでも良いようですが、本文を睨んでいたら文章に納得がいかなくなってしまい、そもそもの文章を修正しました。「周郎」は元ネタ書かないと訳分からないですよね…ということで本分に追記しております。その他誤字を修正を致しました。いつもありがとうございます!(四方多撲)
お、愛紗がなにやら答えを得たか?(フィル)
天和たちは出ないのかな?(幸宗)
更新が楽しみですね。祭りが終わっても一刀争奪戦は永久に続くだろうなぁ〜。 頑張れ〜。(tanpopo)
なんという・・・小連の反応でのっぴきならないことになってたとは思ってたが、その一枚上かよw 公開露出調教をよりによって亞莎にするとは・・・作者おにちくすぐるww(nanashiの人)
愛紗が途中、市原悦子さんに見えた。しかし今回も固有スキル『種馬』が発動しまくりだな(トーヤ)
愛紗が壁を越える・・・・?次回が気になってしょうがない!!(kayui)
亞莎・・出てこないと思ったらあんなことに・・南無(-∧-;) そして楽鎮、まさか第13子とは!華琳の子供である曹丕が第9子なのはなんとなく納得できますが、凪は以外に早く身篭ったのですね〜・。(ドMとは驚きましたがw一体なにが原因なのやらw)さて三国同盟一周年記念祭も次が最後?なになるでしょうか。更新が楽しみです。(Sirius)
6P「捨て文句を残しつつ〜」⇒「捨て台詞」ですかね?(Sirius)
ところで・・・桔梗の子の紫玉の名は誰の子に由来するのでしょう?今回の陳律のように由来がありませんので追加していただければ幸甚です。(XOP)
感じる視線の元は三対の瞳→視線の本?:一刀は青くなり→蒼くなり(『青』は汚れのない清清しい空の色。『蒼』はくすんだ生気のない色):二人は穏を跳ね除け→撥ね除ける:少し離れた席から伺っていた一行→窺っていた:周郎・冥琳も→美周郎(XOP)
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