動物園デート |
御堂とゆっくり過ごせる休日がようやく来た。
社内や家では顔を合わせてはいたが、お互いに別々の案件を抱えていたことと、それが両方とも予想に反して手間取ったということが原因で休みになってもどちらか、あるいはどちらもが出勤していたため、まともな休みがなかったのだ。
しかし、おかげで同じようなタイミングでどちらも落ち着けるところまでもっていくことができた。
「だからといって何故動物園なんだ」
そう聞く御堂の反応は当然のものだと思う。
しかし…………
「何故だか急に行きたくなった。御堂さんにもそういうときはあるでしょう?」
「ないな」
即答で否定される。
「大体男二人で行くようなところでもないだろう」
「そうなんだがな。遊園地よりはましだと思うぞ」
付き合い始めてからというものデートらしいことをあまりしてこなかったんだ、それくらいは許してくれてもいいだろう。
「そういう問題ではないと思うぞ、克哉」
行きたいなら一人で行けと言いかねない恋人を説得するにはどうすればいいだろうか。
「俺は一日中あんたを抱いていてもいいんだが、それじゃあ芸がないだろう?」
「っ、ま、まぁ確かにそうだが…」
毎回休みになるたびに一日中抱き続けるのに飽きたわけではない。しかし、そういうことはいつでもできることだ。
「だったら行きましょうよ、動物園に」
「…君は時々子供のようなことをいう」
ふっと笑った御堂の言葉を肯定と解釈して俺たちは出かける準備をし始めた。
動物園なんて一体いつ振りだろう。そんなことを考えながら、券を買う列についていると男同士でくるというのが珍しいのか、好奇の目で俺たちの事を見てくる人が多くいた。
まぁ、そんなことは俺にとってはどうでもいいことだが。
「やはり休日というだけあって子供連れが多いな」
「それとカップルも…まぁ俺たちみたいなのはいないみたいだけどな」
「だから言ったんじゃないか」
ムッとした顔で御堂は言ってくる。
「いいじゃないか、見せ付けてやれば」
「君はもう少し人の目というものを気にした方がいい」
腰を引き寄せて耳元でささやくように言うと赤くした顔をそらして御堂が言う。そういうことをするともっといじめたくなるというのを、この人はわかっているんだろうか。
「お前は気にしすぎだと思うが?」
「それが普通だろう」
そんなものか?
「…まぁいい。君に普通を求めてはいけないと私自身よくわかっているからな」
「それはどういう意味ですか?」
「言葉通りの意味だ」
言葉通り、ねぇ……
「それは俺が普通じゃないって言いたいんですか?」
「まぁ、そういうことだ」
「心外だなぁ、それは。そうなるとあんたも普通じゃないということになるんだが?」
「どういうことだ、それは」
本当にわかっていないみたいだな、この人は。
「そんな普通じゃない人間を好きになったのは誰だったかな?」
「そ、それは…」
ようやくわかったようで、顔を赤くして反論しようとする。本当にこの人はからかうと可愛いんだから。
「冗談ですよ。それにしてもこうしてデートみたいなことをするのは久しぶりですね」
「デート、か…確かに最近は互いに忙しかったからな、まともに休みを取るのも久しぶりのような気がする」
そういう意味で言ったわけではないが、それもそうだとも思う。最近は家に帰ってもお互いに疲れきっていたことが多く、やったとしてもすぐに寝てしまっていたし、こんな風に一緒に外に出かける余裕なんてなかったのだから。
「忙しいことはいいことでしょう。まぁあそこまで忙しいと逆に嫌になりますけど」
「君でもそう思うことはあるのだな」
「当たり前じゃないですか。今はもう落ち着きましたけど、最後のほうはイライラしてましたから」
「だからといって周りに当たるのはよしたほうがいいぞ。藤田なんかこの間私に泣き付いてきたからな」
別に当たっているわけではないのだが、そう見えてしまうのかもしれない。
「それは…そう見えているのなら気をつけますよ」
その前に藤田をどうするか考えたほうがよさそうだな。
券を買って中に入っていろいろと見ていく。始めのうちはいろいろと言っていた御堂も入ってみると楽しんでいるようで、来てよかったと思った。
「こうして改めてみてみるといろいろな動物がいるのだな」
「そうですね。いい気分転換になったでしょう?」
「あぁ、そうだな」
あたりを見渡しながら御堂は言う。
「そんなに動物園が珍しいか?」
「そういうわけではないが、何年か振りにきたからな」
「それは俺も同じだ」
キリンやゾウ、ライオンといった動物園にいる定番の動物から、なんと言うかわからないサルや鳥などいろいろな種類の動物を見て気持ちが高ぶっている。それは一緒にいる御堂も同じなのか、楽しそうだ。
「克哉、トラがいる」
「トラ、ですか?」
ほら、と御堂がさした先には確かにトラがいた。
「そういえば、トラは老獣になると人を襲うようになると聞いたことがあるな」
眠そうにしているトラを見て御堂が呟く。
「あぁ、そうらしいな…それにトラは発情期になると二日で100回交尾をするらしい」
「そうなのか?」
それは知らなかった、と御堂が感心したように俺を見る。トラも子孫を残すのに必死なんだろう、とそれを知ったときは考えていたが、まさかこんなところで御堂に話すなんて思っても見なかった。それと同時にある考えが頭をよぎる。
「やってみるか?」
「何をだ?」
さすがにわからないか…?
「抜かずに、100回はさすがにきついので10連発ほど」
「な…克哉、それは……!」
回りに聞かれないように耳元でささやくと御堂は顔を赤くして動揺する。
「こ、こんなところで何を言っているんだ、君は!」
「孝典、あそこにライオンがいる」
「あ、おい…克哉!」
話を逸らすようにライオンのほうに向かう俺を御堂はあわてて追いかける。そして追いついた御堂の説教を聞き流しながら、この御堂と一緒にいる時間を楽しみながら、これからどうするかを考える。
その夜俺と御堂がどうしたかはまた別の話だ。
後書き
鬼畜眼鏡のメガミドです。。。
いきなり動物園に行きたいと言い出した克哉と、なんだかんだといいながらついていく御堂さんのお話です。
というか、ただ単にトラのくだりが書きたかっただけとゆーね。
●魂の同人の虎牛のお話で虎さんが「トラって発情期になると二日で100回交尾するんだぜ」って言ってるのを見てこのネタはぜひともキチメガで使ってみたいと思いまして…
で、出来上がった結果です。。。
本当は
TVで動物特番みたいなのを二人で見る→そこでトラが出てきた克哉がポツリと「トラって発情期になると二日で100回交尾するみたいですよ」と呟く→克哉が押し倒して「やってみますか?」ってなる
ってのも考えてたんだけど、それだと濡れ場突入しちゃいそうだからやめたんです。
ちなみに御堂さんが言ってた「トラは老獣になると人を襲うようになる」というのは電子辞書に入ってる百科辞典「マイペディア」に「老獣になると人食いになる」と書かれていたので、それを使わせていただきました。
辞書とか見るのは好きです。
それにしても、ちょっと無理があったと思われるこの話。。。
まず克哉が動物園なんか行きたいと言い出すのかが問題ですね。
絶対言わなさそうだ。
ノマだったら言い出しそうだけど、眼鏡ですよ?
あの鬼畜王ですよ?
まぁうちの書くメガミドはRのベストエンド後前提だけど、それにしても言わないだろう。
そしてトラを見つけて若干(ほんとに若干)はしゃぐ御堂さん。
御堂さんがはしゃぐ姿とか想像できないな、マジで。
眼鏡な克哉にしてもそれは同じですが。。。
あ、でもトラのくだりはやりそうですが。
基本的に克哉は超どSなんで、ほんとうに抜かずに10回とかやりそうだな。
そんで御堂さんに怒られるんですよね。
うん、そういう彼らが大好きですが、何か?←
次回予告とかってする意味あるのかと最近思います。
基本的に綺朔の書くものは突発ネタなんで意味ないような気がするんですよね。
まぁ前回同様気がむいたらということで。
クリスマスまでにもう何本か書けれたらいいかなと、思っとります。
では、また次回の作品で〜ノシ
説明 | ||
鬼畜眼鏡 克哉×御堂 久しぶりに2人でデートをすることになった克哉と御堂は動物園に行くことに。 休日ということで人の多い動物園でも克哉は御堂をからかい、挙句の果てにはある動物の前に来てとんでもない発言を… 最初から最後までとにかく二人がイチャイチャしてます(笑) |
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