空飛ぶ戦車ドクトリン 第四話 空飛ぶ戦車の構想 |
戦車の登場は全ての戦争の概念を覆すものであった。
そう語ったのはどの国の将官だったか。
戦争に戦車というものが登場したのごく最近1900年の事である。
開発したのはヴィージマであるが、当初の目的は戦争ではなく悪路を踏破する内燃機関搭載の車両開発が出発点だった。
ヴィージマはとかく悪路が多くその為に整地をする必要があったがその材料を運搬するにも人力以外の力を必要とする。
1886年、自動車という内燃機関搭載の馬車の代わりになるものが登場し年内の交通が一新されていたが、都市以外での悪路は現在でも踏破するには足回りが弱く困難とされていた。
開発された都市部以外でもこれを運用できるよう新型車両の開発を各国が苦心してる中、ヴィージマはその悪路整地の為にどうするかという事に頭を悩まされていた。
そんな中陸軍の将校が発案したのが履帯と無限軌道だった。
悪路の走破を目的としたこの車両は見事当初の目的通り、インフラ整備の運搬という目的を果たした。
スタインバックの話はかなり難しく専門用語が多く難解だった。
俺なりに話をまとめると下記の通りになる。
二正面作戦、緩衝地帯を挟んでの大国の小競り合いは緩衝地帯と定められたフェルキアにとってその状況に追い込まれているのが現状だ。
元々はヘクサォが今の国家形態になる時に独立させた国の一つがフェルキアでその大目的は緩衝国家の形成だったといわれている。
ヴィージマもヘクサォも政治形態が世紀を超えるころにがらりと変わり元領土の独立を許したり衛星国にして締め上げたりと色々痛めつけてきたらしい。
現在のヘクサォの侵攻作戦は名目上はマギカ連邦時代の領土の割譲とあるがその時は完全にマギカ連邦の方から手放したのにだ。
スタインバックはこの侵攻は大国同士が示し合わせるだけの何かが動いてると推測する。
正直つい去年まで越冬をしかねない勢いでヴィージマがその猛威を振るい、そして今度はヘクサォは無理難題で侵攻してきているのだ。
政治的に言えば独立させ自立的に戦わせていた方が懐はいたくならないというのにだ。
基本前線の維持等戦術レベルで片付けなければならない問題が佐官や将官の仕事だが今回の一大事に関しては戦略はたまた政治レベルでの戦いを強いられているという事だ。
政治レベルでの戦果をあげないとフェルキアは消えるという事だ。
結局はこの一言に尽きる。
「少尉に何ができるんだって顔をしてるようだが、佐官に進言は出来るだろう?、その為にも将官に対しての小癪な意見を考えておくんだな」
「小癪な考えか…」
「ん〜まさかとは思うが何かあるっていうのか?」
小癪というかずっと考えていたビッグなアイデアなんだが、ここで言っちゃってもいいのかなぁって思う。
正直このアイデアはかなり凄いアイデアでこの爺さん聞いたら「そんなこと思いつくなんてお前天才か!!」っていうと思うんだよなぁ…。
戦の申し子みたいなもんだからなぁ俺…。
「…アイデア…ありますよ…」
言っちゃうの俺?言っちゃう!!
「戦車あるじゃないですか、航空機に対してこちらは戦車を飛ばすんですよ」
言っちゃった!!!
「へ?」
対面で座っているスタインバックは呆けたような顔で俺の方を見る。
この爺さん偉い軍人っぽかったからもしかしたら、一気に昇進あるかもなこのアイデアで…。
「バカかお前…いやバカだろお前」
「なんで…」
「トロイ、まず戦車を飛ばそうと思った理由を言ってみろ」
「うちってほら飛行機持ってないから、戦車飛ばしてさ、戦わせたらいいかなぁって」
アレ?俺今凄い責められてる?。
「いいか、田舎者のバカなお前に説明してやるが戦車は空を飛ばない」
そういう事か!
「実は言うとこのれを見てほしい!」
戦車は地面を走るも、成程老人の考えそうなことだぜ、なら仕方がないこれを見せて驚かせてやろう!
「これはヘグティスって国で公開されたものなんですがね…」
そう言いながら、俺は科学論文を纏めた用紙を出した。
「これは?」
「砲弾を用いて月へ行く、という検証を書いてるものでして」
これは読書の中で見つけたものの一つで内容は空を飛ぶというより物をより遠くに飛ばすというもので、要は火砲の理論みたいなものだがここにある理論を加えていくことに、全く新しい理論にたどり着くわけだ。
「この理論にこの揚力研究という論文を加えることにより、戦車を強い力で飛ばし操縦して…!」
ダン!!!というテーブルを叩く音が俺の言葉を遮った。
テーブルを叩いたのは勿論スタインバック老人だ。
「すまない、聞くに堪えれなくってな」
え?今なんと申した?
「大人げないがリューグナー君今から質問していくから全部ちゃんと答えてくれ、必ずな」
「アッハイ」
このお爺さんすごく怒ってる…なんでだろう。
「俺優しいからさあんまり聞かないけどさ…先ずさ、飛ばすって言ったけどさまぁ仮に飛ばせたとして、飛んだという仮定で話し進めるけどさ」
「自力の推進力がない戦車で砲弾のよう飛ばしたとしても弧を描いて落ちるよね?」
「さらに言うとさ戦車の重量知ってる?戦車の重量に耐えれる翼をどう設計するの?まぁいいよよしんばそれが設計出来たとして…」
「戦車の中見たことかる?戦車でどうやって操縦するのかいってみてくれるか?」
矢継ぎ早に言われた俺は爺さんに言われた事に対して言い返す事が出来なった。
「トロイ、真面目に国防を考えていると思ったのにおじいちゃんガッカリしたよ、いいか今度同じ話題が出てもこの話はするなよ」
そう言い残すと、スタインバックは席を立ち何故か俺の分の会計を済ませ出て行ってしまった。
「おっかしいなぁ…」
逆転的発想で行けると思ったのに…これって俺詰まっちゃったかな?
人生的にも、せっかくこの世界に来たというのに全く…。
「あれ?少尉さん!」
暗く沈む俺を見かけてヴィルマが声をかけてきた。
「やぁ…」
元気を出そうと努力するもやっぱ声が出ないや…、そんな俺を見てヴィルマは何があったのかを訊ねてきたので、爺さんとのやり取りは伏せたうえで先ほどの持論を話してみることにした…だってボロクソに言われたって言った後に見せたらやっぱボロクソに見えると思うし。
「ふーむ、ふむふむ…少尉さんそれすっごいナイスアイデアじゃないですか!?」
え?思った以上に好感触でトロイ感激!。
「そうかな…えへへへ」
「それでね少尉さん一つだけ言わせてもらっていいですか?」
「何?」
「このアイデア私以外の人には言わない方が良いと思いますよ、言うと今以上に悲しい思いするとい思うから、特に軍人仲間とかには」
そういうと、ヴィルマは仕事があるといって去っていった…。
「あっはい」
俺はその遅い忠告にとどめを刺されたような気分になるのであった。
説明 | ||
元ネタでは満を持してといった感じでダラダラと書いて19話目でやっと出た話題ですが、この空飛ぶ戦車なるもの実際に存在しているらしく ソ連や日本で作られた試作機とか実験機だった感じ。 この小説の大元を書き始めた当初はこれでいいやと思いまぁギャグ半分で始めたものの軍人の階級を調べ始めたあたりからずっと1904年ってどんな感じだとか、当時の科学技術ってどのくらいとか、調べすぎて戦車空飛ばすってなんか恥ずかしいなぁと自身のアイデア信じられなくなって元の小説ではなんか有耶無耶になりかけていたりしました。 今回の書き直しでは現実的な意見を言う人間に心折れてしまうという鬱展開になってしまったけど、実際バカな意見で兵士殺すわけにいかないから仕方がないよねって思ってしまった次第です。 今で四話、元ネタがこの国境戦争に至るまで19話で戦争が10話近くあったと思うから、もっとタイトにまとめていきたいと思います。 |
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