スマブラ Stern des Lichts 第4話 〜 動物の魂を解放せよ! |
「ふぅ……疲れが取れましたわ」
「よかった」
敵に見つからない場所で疲れを取った四人は、散らばったスピリッツを探す旅を再会した。
「やはり、人の気配はありませんわね」
「まあ、こんな状況じゃあ、ね」
現在、キーラの襲撃によって、戦える者は非常に少なくなっている。
アイシャを助けたばかりではあるが、まだ、こちら側の勢力はキーラ側の勢力より遥かに少ない。
キーラはファイターやスピリッツ、さらにはマスターハンドまでも手駒にしている。
逆に言えば、彼ら以外の戦力は少なめという事になるため、
四人はファイターやスピリッツを解放してキーラ側の戦力を減らすという作戦を実行したのだ。
「ふん、所詮は自分だけじゃ何もできない奴ね。私が全部解放するから、待ってなさいよキーラ!」
「ああ……相手が光の化身だろうと、僕の究極の力で全て潰してみせる」
ベルとシャドウは、にやりと口角を上げて、今はいないキーラに宣戦布告をした。
カービィとアイシャは、呆気に取られていた。
「ベルベル?」
「まったく、シャドウさんったら……」
ベルとシャドウは、変なところで気が合うのであった。
「おっと! イーブイの魂を見つけたわ」
こうして四人が次のスピリッツを探していると、目の前に四足歩行の生き物のスピリッツが浮かんでいた。
ベルはそれを見逃すわけがなく、三人にこれがイーブイのスピリッツだという事を説明する。
「後、あわはきポケモンのシャワーズ、かみなりポケモンのサンダース、ほのおポケモンのブースターがいるわ」
「つまり、僕達と四対四で戦うって事?」
「そうよ。……ほら!」
ベルがそう言うと、イーブイ、シャワーズ、サンダース、ブースターのスピリッツが、ヨッシーのボディに入り込んだ。
ヨッシー、いや、イーブイズはむくりと起き上がり、四人に襲い掛かった。
「せいっ!」
「やあっ!」
シャドウは手から混沌の矢を放ってブースターを牽制し、ベルは怯んだブースターに鎌を振ってダメージを与える。
「ファイアだよ!」
カービィはブースターが吐いた炎を吸い込んでファイアをコピーした。
ブースターとシャワーズは炎に強いため、カービィは体力が低いイーブイを炎の息で攻撃した。
「ブイッ!」
しかし、イーブイは根性を見せてファイアカービィの炎を耐えた。
「うわ、イブイブ、耐えるの?」
「多分、キーラに操られて強くなってるのよ。ただのイーブイやその進化形だと思わないようにしなきゃね。こっちは少数戦力だしね」
「……そうだな」
「油断大敵ですわ」
イーブイ、シャワーズ、サンダース、ブースターのスピリッツは、キーラの支配下にあり、能力が強化されている。
ベルは真剣な表情で鎌を構え直し、シャドウとアイシャも気を引き締めた。
「どうか、目覚めてください」
アイシャはイーブイに近づき、包丁を構えてイーブイに突き刺した。
包丁はリーチが短いが、アイシャの技巧により上手くイーブイに命中し、イーブイは戦闘不能になった。
「やりましたわ。……でも、これで倒したなんて……」
「アイ姉! 刃物なら、マルっちやリン兄、僕も使ってるから平気だよ!」
イーブイを倒し、喜びながらも包丁でとどめを刺したために暗くなるアイシャ。
そんな彼女を、カービィは元気良く慰めた。
「ありがとうございますわ、カービィさん……」
「えへへ」
これで残るはシャワーズ、サンダース、ブースターの三匹だけだ。
「ブー、スター!」
「遅い」
ブースターの体当たりをシャドウはかわし、回し蹴りで反撃し、混沌の力で時間を遅くして連続攻撃をブースターに叩き込んだ。
「サンダーッス!」
「くぅっ!」
だが、シャドウがいた場所にサンダースが10万ボルトを落としてシャドウに大きなダメージを与えた。
「シャドウさん、治します!」
アイシャは遠くからシャドウに回復薬を投げ、ダメージを回復する。
「別に、助けられたくは……」
「ダメですわ! 傷ついては困りますもの。回復役がいなかったらどうしますの!?」
「やれやれだな」
アイシャは優しい性格だが、お節介な部分があり、また意外に考えを譲らない人物だ。
シャドウは呆れながらも、体術や混沌の力でスピリッツ達を攻撃していった。
「ブイブーイ!」
「ヨシ君の顔でブイブイ鳴くなんて、変わってるね」
カービィはイーブイズのスピリッツが入ったヨッシー達を見てそう感想を述べる。
「あら、ドドロやフェリシアの時もそうだったわよ? あれは身体と中身が違うだけよ、カービィ」
「へーっ、そうなんだー」
ボディは別のファイターだが、あくまで中身はそのスピリッツである。
まだ幼いカービィは、それがあまり分からなかったようで、ベルは彼に詳しく説明した。
だが、説明している間にシャワーズ、サンダース、ブースターが四人に襲いかかってきた。
「油断も隙もないんだから!」
「スキって美味しいの?」
「いや、そういう意味じゃなくて……もう!」
「奴らは正々堂々という言葉を知らないのだろう。ならば、僕も同じ手を使うだけだ」
「手段を選ばないでよ!」
シャドウは混沌の力でサンダースの背後に回り込み、手刀をサンダースの急所に叩きつけた。
ベルはシャワーズとブースターの攻撃を鎌で往なしつつ、闇魔法で反撃する。
「バーニング!」
そして、シャドウが体力を減らしたサンダースを、カービィがバーニングでとどめを刺し、サンダースを撃破した。
「さあ、後はシャワーズとブースターだけよ!」
「うん! まずは、こうしてっと」
カービィはファイアの能力を捨て、能力星をブースターにぶつける。
「ベルベル、あの青いのの動きを止めて!」
「分かったわ! ダークマジック!」
「カオスマジック」
ベルとシャドウがシャワーズの動きを止めた後、カービィはシャワーズを吸い込んでウォーターをコピーした。
「よぉーし! ウェーブショット!」
カービィはブースターに水の塊を放った。
水属性に弱いブースターは弱い威力の攻撃で大ダメージを受ける。
「この調子でいくよ! なみのり!」
さらにカービィは波を呼び出してそれに乗り、ブースターに突っ込んで大ダメージを与えた。
「これで終わりだ! かんけつせん!」
「ディバウアー!」
そして、カービィの水柱がブースター、ベルの鎌がシャワーズにクリーンヒットし、ブースターとシャワーズも倒れ、戦闘は終わった。
残ったヨッシーのボディは全て霧になって消え、シャワーズ、サンダース、ブースターの魂はイーブイと一体化して元に戻った。
「はあ……まさか四体も来るなんて……」
「イーブイだけだと思ったのに、進化したのが三匹も来たよ。ベルベルが言わなかったら、僕達、負けてたよ」
「だって私、死神だもの。あんた達の死の運命をあいつらに押し付けたのよ」
「……」
死神だという事をアピールするベル。
そういえば、こいつは死神自慢をしたな……とシャドウは思った。
「スピリッツ、結構解放したわね」
カービィ達が解放したスピリッツは、フェリシア、ティファ、ドドロ、イーブイの四体だ。
こんな状況なので、こちらできちんと管理しなければ再びスピリッツはキーラに奪われてしまうだろう。
「で、ベルベル、スピリッツをどうやって守るの?」
「こんな事もあろうかと、これを用意したのよ」
そう言ってベルが取り出したのは、モンスターボールにそっくりな箱だった。
「これはスピリッツボールよ。解放した魂を入れておくものよ」
「箱なのにボールって言いますの?」
「ダンボールもボールっていうのと同じよ。さ、みんな出なさーい!」
ベルがそう言うと、フェリシア、ティファ、ドドロ、イーブイのスピリッツが四人の目の前に現れた。
『呼びましたか、ベルさん?』
『あなたがベルっていうのね』
『……?』
『ブーイ!』
「呼び出してごめんなさいね。実はかくかくしかじかで……」
ベルは、スピリッツ達に今回の事情を説明した。
『そんな! カムイ様はどちらに……ああ……』
『クラウドはどこにいるのかしら?』
『……』
『ブイブイ、ブーイ』
カムイがおらずおろおろするフェリシアと、クラウドに会いたがっているティファ。
ドドロは無口なままで、イーブイは離れたくないよとベルにすり寄る。
「大丈夫よ、守ってあげるから。さ、スピリッツボールに入りなさい」
ベルがスピリッツボールを開けると、四体のスピリッツは光になり、箱の中に吸い込まれていった。
その力は、有無を言わさない強力なものであった。
「……凄い力だね、これ……」
「……」
「……さ、さあ、他のスピリッツを探しますわよ!」
「う、うん!」
四人は気を取り直して、次のスピリッツを探しに歩いて行った。
群がる雑魚を倒しながらしばらく歩いていくと、白い雲が行く手を塞いでいた。
雲は分厚く、四人の力では通れそうになかった。
「どうするの、これ。みんなを助けられないよ」
「どうするの、と言いましても……わたしは雲を払えませんし……」
「「う〜〜〜ん……」」
カービィとアイシャが考え込んでいると、ベルは梟のスピリッツがプリンのボディに入り込むのを目撃した。
「あ、待って! スピリッツだわ! こいつを助ければいいかもしれない! 確か、名前は……」
ベルはスピリッツを解析して三人に情報を見せた。
このスピリッツの名前はフーコといい、フータの妹に当たる梟だ。
「わ……たし……は……フーコです」
「あれ? ボディのプリン、フーコと声似てない? 気のせいかしら……」
「気のせいだよ」
フーコの声がボディのプリンと似ているため、ベルは首を傾げた。
一方で、シャドウはフーコをじっくりと観察し、戦闘力を計っていた。
「このスピリッツにしては、大して強くはなさそうだな。カービィ、お前一人で十分だ」
「え、僕だけ?」
「こんな奴に無理して皆で戦わなくてもいい、という意味だ」
つまり、歴戦の勇者が、雑魚相手に複数で挑む必要はないのだ。
カービィは少し狼狽えながらも頷いて、フーコのスピリッツに戦いを挑んだ。
「勝ったよ!」
「当然だったな」
結果は、シャドウの言う通り、あっさりとフーコに勝利した。
この呆気ない終わり方に、ベルとアイシャは唖然とした。
カービィがフーコのスピリッツを解放すると、分厚い雲はゆっくりと晴れていった。
「ほら、ね」
「ホントだ! ベルベ……え!?」
カービィがベルに感謝しようとすると、彼はとんでもないものを目撃する。
ベル、シャドウ、アイシャも、カービィと同じ方向を向いた。
四人の目の前にいたのは……台座に縛られた、マリオの姿だった。
「マリおじちゃん!?」
マリオが縛られた台座の下から、次々と灰色のマリオが落ちていく。
「! これは……ボディ!?」
「しっかりして、マリおじちゃん!」
これが、捕らえたスピリッツを操るために入れる、ボディのようだ。
カービィはマリオに声をかけるが、マリオは微動だにしない。
「マリおじちゃん!」
カービィが慌ててマリオを縛っている台座に触れると、突然、鎖が砕け散り、台座からマリオが落ちてくる。
「よかった、無事だったんだね! さ、僕と一……」
「近付くな!」
カービィがマリオに抱きつこうとした瞬間、シャドウがカービィに叫ぶ。
「シャ、シャド兄?」
「……」
慌ててカービィがマリオから離れると、マリオの目がゆっくりと開いた。
その目は、血のように赤く染まっていた。
「マリ、おじ、ちゃん……?」
カービィが呆然としていると、マリオがカービィに襲い掛かった。
「うわぁぁぁぁ!」
カービィは何とか攻撃をかわすが、いきなりマリオが襲い掛かって来た事にカービィは動揺を隠せなかった。
「どうしたの、マリおじちゃん! 僕だよ、カービィだよ!」
「……」
カービィがマリオに呼びかけるが、彼は反応せずに攻撃を続ける。
ベルは冷静に、カービィにこう言った。
「……カービィ、よく見なさいよ。マリオの目」
「あ、真っ赤になってる!」
「そうよ。今、マリオは、ボディを生み出す道具としてキーラに操られてるのよ」
「そっか……」
ベルが、マリオがキーラに操られている事をカービィに説明すると、彼はすぐに表情を笑顔に変える。
そして、カービィはマリオにこう叫んだ。
「じゃあ、僕が戦って助けてあげる! 大丈夫! 今も昔も『殴って』助けるんだから!」
「え、殴って、って……」
「要は戦わなきゃいけないってわけ」
満面の笑みを浮かべてそう言ったカービィと、若干引いた様子のアイシャ。
つまり、マリオを倒さなければ彼は正気に戻らない、という事なのだ。
「ま、とりあえず、マリオに勝たなきゃね!」
「あまり、乗り気ではないがな」
ベルは大鎌、シャドウは拳銃を構えて、マリオと戦う態勢を取った。
「じゃあ、いっくよー!」
「目を覚ましてくださいね、マリオさん」
カービィとアイシャも、二人に続いて戦闘態勢を取った。
〜ベルのスピリッツ名鑑〜
イーブイ
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在するが♀はかなり少ない
第一世代から登場しているしんかポケモン。
ノーマルタイプで、特性はにげあし、てきおうりょく、隠れ特性はきけんよち。
現在、八種類のポケモンに進化する事が確認されている。
フーコ
出身世界:どうぶつの森
性別:女性
博物館の天文台にいる((梟|ふくろう))の女性。星座は乙女座。
フータとは兄妹。照れ屋な性格。
ちなみに、台風の名前ではない。
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動物系のスピリッツ解放回。 まだまだ物語は序盤ですよ。 |
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