真・恋姫†無双 金属の歯車 第十四話
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 官渡の戦い。

三国志演義において、曹操と袁紹との間で行われた戦いであり、赤壁の戦い、夷陵の戦いと共に三国時代の流れを決定付ける重要な戦いである。

この戦いの後、劉備は曹操に幾度も脅かされることになる。そのうちの一つが劉備の逃避行、長坂の戦いである。

 

 第十四話 姦雌出陣 〜Pride〜

 

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 激動の時代(Scene)は桃香たちにささやかな平和の時間すら与えなかった。

袁術、呂布連合との戦後処理が終わった矢先の出来事だった。

国境警備に当たっていた兵士が、傷ついた身体で駆け込んできたのだ。

「申し上げます!北方の国境に突如、大軍団が出現!関所を突破し、我が軍に雪崩れ込んできております!」

「大軍団って・・・」

「愚問ですな。北方といえばもはや一人しかいない」

「・・・曹操、やはり覇道を突き進むのか」

 にわかに円卓がどよめいた。

誰もが曹操の侵攻によって大陸が再び戦禍に巻き込まれると想像した。

「あ、あの、敵の兵数は?」

「・・・敵の兵力はおそよ五十万ほどかと」

「ご、五十万・・・」

「はい。地平線を覆い尽くすほどの人の波が、あっというまに関所を覆い尽くし、まるで蝗の群れのように瞬く間に関所を破壊し尽くしてしまったのです」

「その様子だと五十万より多いな。多く見積もって六十五万くらいだな」

 円卓が揺れるような動揺の渦の中、一刀は一人冷静だった。

「ご主人様、もっと焦ろうよ!」

「十二分に焦っている!!」

 右の拳を円卓に叩きつけ、王座の間が静まりかえる。

「だが焦ってもどうにもなるまい。今ここで議論するのはどうやって追い払うかだ」

「・・・主の言うとおりですな。朱里、どのくらいの兵を準備できる?」

「こちらの平時は三万くらいか?」

「はい・・・どうやっても五万程度しか集めることが出来ません」

 圧倒的な差である。

再び円卓に動揺が走る。朱里と雛里は策を必死に捻出しようと、愛紗は捨て身になり星がそれをたしなめている。

このままでは内部崩壊してしまう可能性が出てきたのだ。この場を収めようと立ち上がる。しかしこの場を収めたのは彼ではなかった。

「決死の覚悟で曹操に一太刀浴びせるか、国を捨てて逃げるぐらいしか方法は・・・」

「なら逃げちゃおう!」

「はっ!?と、桃香様っ!?」

 

―――英雄。

 

一刀の脳裏に一つの単語が浮かんだ。

目の前にいる少女はあちらの世界では男性だった。こちらの世界ではただの同姓同名の女の子なのかもしれない。しかし何かが・・・何かの意志(Sense)が少女を英雄としているのかもしれない。

ただ少女はただひたすらに、一生懸命前を向いていた。

(桃香・・・私は道標として君を支えればいいんだな)

 その姿は冷徹であった蛇の心を突き動かした。

自由を欲し管理者に牙をむいた男たち。世界を延命すべく戦い続けた男たち。彼もまた英雄の意志(Meme)を継いでいる。否、継ごうとしている。

「そうだな。逃げよう」

「ご主人様まで!?」

君主とそのお目付係の二人の言葉に愛紗があっけにとられている隙に、一刀が軍師二人の頭を撫でながら尋ねる。

「・・・朱里、雛里。予州から荊州・・・益州まで行けばさすがの曹操軍でも諦めるだろ」

「え、えーっと・・・確かに益州の劉璋さんの評判、あまり良いものではありませんね」

「重税に、継承問題による内戦勃発の兆候まで、悪い噂を各種取り揃えていますね」

「それはそれは・・・文句なしに攻め込めますな」

 朱里、雛里に加え、星も桃香の意見に賛成のようだ。

あとは劉備軍の堅物を籠絡させるだけだ。

 

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「ふう・・・」

 魏王曹操はため息ばかりだった。

読めない劉備軍の動き。加えて天の御遣いの技術である地雷というやつが侵攻速度を下げているのも不安材料の一つだった。

将や軍師に指示を出し終え、誰にも見られないところにいるせいか、少し弱気になってしまっているようだ。自然と口から愚痴が飛び出た。

「ったく・・・」

「ため息は歳を過剰に取らせるぞ、麗しの華琳」

「あら、帰ってきたの?」

 後ろから声が聞こえそちらを振り返る。

「拠点に兵はおらず・・・備蓄している物はない。どう見る?華琳」

 声は未だに漆黒から聞こえている。存在を証明しているのは声だけだった。

「・・・決戦を望んでいる」

「違うな・・・奴ら、逃げている」

「・・・なんですって?」

「春蘭と霞に早馬を出す。予州に向かえとな」

「ちょ、ちょっと待ちなさい!何故そのような考えに・・・」

 覇王曹操に向かってこのような独善的な態度をとるのはこの声だけだろう。

覇王ですら一目置く声の主を覇王が抑えようとした。

「華琳様、秋蘭から報告です!彭城に劉備軍の影無しとのこと!」

 外から桂花の声が響いた。

「ふっふっふ・・・私の判断は荊州だと思ったが、風の判断は益州とのこと。どうする?覇王」

 あくまで声は楽しげで。曹操をもてあそぶように笑っている。

「決まっているわ・・・」

 覇王はその声に声を荒げることもなく、非難することもなかった。

 

 * *

 

―――彼は・・・傍観者。

―――私は・・・覇王。

―――私は・・・寂しがり屋の女の子。

 

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おまけ

サブタイトルの元ネタについて。

四字熟語部分は殆どが造語です。漢文は詳しく知らないので・・・。

英語の部分の殆どにはそれぞれ元ネタがあります。

黄巾の乱編

第一話 天ノ御遣  〜Otherworld〜 FFXサウンドトラックより

第二話  劉備出陣  〜Sister〜 ポルノグラフィティ「シスター」より

第三話  臥竜鳳雛  〜Dragon and Phoenix〜 特になし。三国志スキーならすぐにわかります。

反董卓連合編

第四話  英傑集結  〜New Heros〜 仮面ライダークウガより

第五話  御遣再会  〜Operation〜 作戦

第六話  英雄交錯  〜HF.BLADE〜 高周波ブレード

第七話  疾風怒濤  〜Scene〜 メタルギアソリッド3のサブテーマより

第八話  月華流詠  〜SnakingMisson〜 漢文部分は恋姫†無双サウンドトラックより、英文部分は潜入任務

第九話  Climaciella magna  〜悲哀蟷螂〜 英文部分はオオカマキリモドキより。漢文部分はMGSの登場人物ザ・ソローとサイコ・マンティスより

袁術、呂布連合編

第十話  一時休息  〜Moment Peace〜 マジック・ザ・ギャザリングの同名カードより

十一話  戦ノ天才  〜Воевода〜 ロシア語で戦士。MGS3の登場人物ザ・ボスの異名

十二話  猛勇剣舞  〜Berserker〜 バーサーカー、凶戦士。作中では凶人化と訳しています。

十三話  蜀呉同盟  〜Operation Otherworld〜迂闊に書くとネタバレますが、皆さんもうわかるはず。

長坂の戦い編

十四話 姦雌出陣 〜Pride〜 真・恋姫†無双サウンドトラックより

十五話  長坂ノ戦  〜Soul〜 上記と同じく←次回

 

 

説明
真・恋姫†無双をベースにとある作品の設定を使用しています。クロスオーバーが苦手な方には本当におすすめできない。
・俺の◯GSを汚すんじゃねぇって方もリアルにお勧めできない。
・ちなみにその設定はそろそろ話の本筋に関係が出てきます。
・オリジナル主人公は三人いますが、蜀ルートが元になっています。
・オリジナル主人公はそれなりに厨性能です。
・っていうかこの作品自体厨作品です
・過度な期待どころか、普通の期待もしないでください。

執筆について。
・書き溜めをしています。第二十一話まで完成しています。そこから一話書き終えるごとに一話投稿します。
・ただし執筆スピードが尋常じゃなく遅いので、ねばり強い忍耐が必要です。
・要するに何も変わらないって事です。
・けど二話連続更新サーセン
・とりあえずポケモンにハマって嵌りました。
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コメント
>BookWarmさん、snakeとsneakingをかけてます。っていうかよく気づきましたね。(しがない書き手)
>jackryさん、ブックマンさん。長坂の戦いは三国志演義の中でも熱い場面なのでちょっと力をいれてみました。そのせいで袁紹トリオを拾うのを忘れてましたorz(しがない書き手)
いかに早く蜀につくかが勝負?(ブックマン)
>ヒトヤさん。夢であるようにって英語でなんてなるんでしょうか?The dreamでいいのかな?>キラさん、ここから二話は展開早すぎワロタになります。(しがない書き手)
続きが楽しみです!!(キラ・リョウ)
サントラか、夢であるように(ヒトヤ)
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真・恋姫†無双 恋姫†無双 金属の歯車 恋姫無双 ポケットモン☆ 

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