スマブラ Stern des Lichts 第7話 〜 おてんば娘は憎めない
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「ぅ……」

「……」

「……」

 カービィ達に敗れたマルス、シーク、りょうは、しばらくの間気絶していた。

 キーラに操られ、全力を出していたので、身体にかかった負担が大きかったのだろう。

「起きてよ、マルっち、シー君、りょう君」

 カービィは、倒れているマルス、シーク、りょうをつんつんとつついた。

 それでも、三人は起きる事はなかった。

「……自然に起きるのを待つしかないようね」

「ああ……」

 

 数分後、マルス、シーク、りょうは、ゆっくりと起き上がった。

「……あれ? ここは一体どこなんだい?」

「う〜ん……」

「頭がくらくら〜」

「あ、やっと起きたんだね。おはよ!」

 カービィは三人に駆け寄り、彼らの顔を覗き込む。

 三人はまだ意識が朦朧としており、カービィの顔がはっきり見えていなかった。

「あれ、おは、よ……ここ、は?」

「みんなしっかりしてよ〜。ここは三択地点だよ」

「さん……たく……? う……」

「みんな、これを飲んでください」

 三人は再び意識を手放そうとするが、アイシャが三人に紅茶を飲ませ、しばらくすると意識を完全に取り戻した。

「あ、カービィ?」

「よかった〜。マルっち、シー君、りょう君が元に戻って!」

 マルス、シーク、りょうが正気に戻った事で喜び、飛びつくカービィ。

「カ、カービィ……」

「あっははは……君って本当に仲間思いだね」

「……」

「よかったね」

 いきなり飛びついてきたのだが、りょうは、満更でもない様子だ。

 シークはそれをクールに受け流し、マルスは微笑みながら二人を見守った。

「それでみんなも、マリオと同じように捕まってたの?」

「マリオと同じ? あ、思い出したよ。ビームが当たった時、僕は光の中に閉じ込められて……」

 マルスは、囚われる前の事情をベル達に話した。

 やはり、マリオと同じく、三人はあのビームが当たってキーラに捕まり、彼女に操られてしまったようだ。

「仲間が一気に三人も増えたし、少し休んだら、魂を解放しに行きましょう」

「うん」

 

 八人になったスマブラメンバーは、キーラに囚われたスピリッツを解放するため、東に向かって走っていった。

 途中でキーラに操られた野良スピリッツを倒しつつ進んでいくと、茶髪の少女が、40体の小型ロボットを従えるようにして立っていた。

「ベル、スピリッツだ」

「いつもの解析タイム、いっきまーす」

 ベルがスピリッツを解析すると、彼女の頭の中にそのスピリッツの情報が入った。

「彼女の名前はトロン・ボーン。この世界とは異なる世界……ええと、ロックマン世界のスピリッツみたい。

 空賊ボーン一家の長女で、この小型ロボット『コブン』とか、そこにある戦車『グスタフ』とかを作った天才メカニックよ」

「また異世界のスピリッツですのね」

 このスピリッツ、トロン・ボーンは、ロックマン世界のうちの1つから来たスピリッツらしい。

 ティファに続き、また異世界からのスピリッツが来たと、アイシャは少しだけ喜んだ。

「あ、トロンさまー、そこにいるひとが、なにかはこをもってますよー」

「え? あ、ホントだわ! その箱、もしかしてお宝が入ってるの?」

 コブンの言葉で何かに気付いたトロンは、ベルが持っている箱を指差してそう言った。

 ベルはもちろん、首を横に振った。

「この箱は、あんた達が探してる宝箱なんかじゃないわよ」

「なーんだ。でもね、このトロン様はそれだけじゃあ諦めないわよ。私が勝ったらそれ、いただくからね! さぁいくわよ、あんた達!」

「「「はーい!!」」」

 トロンはグスタフに乗って戦闘を開始した。

 コブンも、トロンに合わせて戦闘態勢を取った。

「うーん、やっぱり戦うしかないんだね」

「手加減はしない、いくぞ」

「んじゃ、スピリッツボールを取られないためにもさくっといきますか!」

「……なんか、こういう人、苦手ですわ……」

「あまり傷つけたくはないけど、キーラに操られている以上、無理みたいだね」

「とりあえず、やろうかな」

 カービィ、シャドウ、ベル、アイシャ、マルス、りょうは、トロン・ボーン&コブンとの戦闘に入った。

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「はぁぁっ!」

「うわぁー」

 シャドウはコブンに高速で体当たりを繰り出す。

「えいっ!」

「そんな攻撃、当たらないわよ!」

 トロンはカービィのハンマー攻撃をグスタフを上手く操ってかわした。

「えい!」

 りょうはパチンコでよく狙ってコブンを攻撃した。

「まとめていくよ、せいっ!」

「まとまっちゃダメ! バラバラに避けるのよ!」

「「「はーい!」」」

 マルスはファルシオンを振り、まとめてコブンにダメージを与えようとする。

 しかし、コブンはトロンの指示で分散し、結果的にマルスはバラバラに攻撃したためコブン側に大した被害にはならなかった。

「今度はこっちからいくわよ!」

「きゃあぁ!」

 トロンはグスタフに乗って体当たりし、ベルを掴んで投げ飛ばす。

「このおっ!」

「離れて!」

 ベルはコブンに大きく鎌を振り回すが、トロンの的確な指示でコブンには当たらなかった。

 しかし、コブンの次の攻撃を、ベルは鎌で防いだ。

「えい! えい! えい!」

「うわっ!」

 アイシャはトロンに皿を投げまくり、トロンにダメージを与える。

 ダメージは微々たるものだったが、たくさんの皿が飛んできたため精神的なダメージは与えられたようだ。

「そこだ!」

「「「うわー」」」

 シャドウは目にも留まらぬスピードでコブンに銃を撃った。

 コブンは避けられずにダメージを食らい続ける。

「何やってんのよ、あんた達! ちゃんと前見て戦いなさい!」

「「「はーい、トロンさま!」」」

 トロンはコブンを叱咤激励し、士気を高める。

 先程まで苦しんでいたのとは一変、すぐにコブン達は笑顔になった。

 

「トロちゃん、そのロボット、食べられるの?」

「何よ、トロちゃんって。私はトロン・ボーン。これは私が作った40人のコブン。コブンは食事はするけど食べられないわよ」

 カービィに「トロちゃん」と呼ばれたトロンがジト目になる。

「とっ、とにかく! この勝負、私が貰うからね! あんた達、負けるんじゃないわよ!」

「「「はーい!」」」

 コブンはトロンのためにシャドウに突っ込んだ。

 シャドウはそれをワープしてかわし、至近距離から銃を撃って攻撃した。

「うわぁー、トロンさまー」

「いたいですー」

「何やってんのよ! しゃきっとしなさい!」

 コブンがダメージを食らうたびに、トロンが叱咤激励して士気を高める。

 だが、コブンの体力は確実に減ってきていた。

「これでおーわり! ディバウアー!」

「「「うわー!!」」」

 そして、ベルが大鎌をコブンに振り下ろすと、コブン達は戦闘不能になった。

 

「も、もうしわけありません、トロンさま……」

「もう! 私がやるわ!」

 コブンが撤退したため、今度は代わりにトロンがグスタフを駆る。

 トロンはベルをグスタフで掴み、思いっきり投げ飛ばす。

 ベルは転倒から復帰した後、鎌を振りかざしてトロンとグスタフを斬りつける。

(憎めない悪役って、どこにでもいるのかしらね)

「そーれっ!」

 ベルはそう思いながら、鎌で連続斬りを放つ。

 りょうはトロンに突っ込んだ後、オノを振るって攻撃した。

 威力の高い連続攻撃を食らったため、トロンの体力とグスタフの耐久力が僅かになった。

「これで終わりだよ! スマッシュキック!!」

「きゃああああああ!!」

 そして、カービィのスマッシュキックが炸裂し、グスタフが壊れ、トロンも戦闘不能になった。

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「お、覚えてなさ……」

「逃がさないわよ」

 トロンとコブンが撤退しようとした時、ベルはスピリッツボールを1人と40人に向けた。

 すると、1人と40人のスピリッツが、スピリッツボールの中に吸い込まれた。

「これにて解放完了っと」

「箱に閉じ込めたのに解放なんて皮肉ですわ」

 アイシャがベルに突っ込みを入れた後、ベルはスピリッツボールの中にあるトロンのスピリッツを見つめる。

『うぅ〜。このトロン様をこんな狭いところに閉じ込めるなんて〜』

「ごめんなさいね、キーラに利用されるかもしれないからこの中に入ってて」

 トロンはスピリッツボールの中にいるのが気に食わないようだ。

『でもトロンさま、ここでつぎのさくせんをかんがえるのもいいんじゃないですか? ここにはじゃまするひとはいないですし』

『言われてみれば、それもそうね。よーし、じゃあ作戦タイム……の前に、昼食タイムよ。今日の昼食はオムライスよ!』

『『『わーい!』』』

「みんな、楽しそうね」

 その様子を、ベルは微笑ましく見守っていたとか。

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 〜ベルのスピリッツ名鑑〜

 

 トロン・ボーン

 出身世界:こことは異なる世界

 性別:女性

 空賊ボーン一家の長女。気が強く、負けず嫌い。

 40人のコブンや空中戦艦、自身が乗る万能歩行戦車グスタフなどを作った天才メカニック。

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スピリッツ解放回です。
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