魔神達の幻想入り 第16話 |
気がついたときには何故かベッドの上にいた。それも朝になっている。
でも何でだっけ・・・?俺は確か救護室にいて、これからサイを探しに行こうとしてたんだけど・・・だめだ、そこから思い出せない。
咲夜「妖精達から聞きましたけど、ジュウゴロウ様は体力の限界で眠ってしまったのです」
咲夜がいつの間にか横にいる。妖精って確か、メイドのだよな・・・?
なんだかすまないことをした俺だったが、とにかく起きて朝食にでもしようと体を起こす。昨日よりも身軽になった感じだ。
食堂に来てみるといつものように紅茶を飲むレミリアに加え、フランが美味しくいただいている姿が見えた。しかも手づかみで・・・
フラン「あ、おはようジュウゴロウ!」
俺はフランのいる席の隣に座る。
ジュウゴロウ「食べるときのマナーってレミリアか咲夜から教わってないのか?」
レミリア「言っておくけど、私だって忘れるときがあるから教えたかどうかは知らないわよ?」
はいはい、スルーしますよ。スルー。
ジュウゴロウ「咲夜、教えた覚えは・・・って、惚れてんじぇねぇよっ!!」
咲夜を見ると呆れることに、カメラを取りながら見とれていた。つーか、何処から取り出したんだそのカメラ。
フラン「ジュウゴロウ、ご飯食べないの?」
ジュウゴロウ「・・・はぁ・・・食べるよ」
俺はこの怒りを無理やりでもいいから押し込んで大人しくなり、手元に届いた料理をいただく。
今日は霧の湖でにとりからポケギアをもらうために待ち合わせする予定があるので、俺はレミリアに外出許可をもらう。
レミリア「行方不明の仲間はどうするの?」
ジュウゴロウ「もちろん探すさ。じゃっ!」
館の外へ出ると上機嫌にボーマンダの背中に乗って、霧の湖へと飛び立った。
湖に着いたときにはにとりが先に待っていた。
ジュウゴロウ「待たせたか?」
にとり「いえいえ!修理はおろか、参考として複製させていただきました!」
にとりが取り出すのは、俺仕様の黒いポケギアと、水色のポケギアだった。どうやら自分だけのポケギアを作ったらしい。
にとり「それと、ジュウゴロウさんのポケギアには、幻想卿の全体マップが見れるようにバージョンアップしておいたり、レーダー機能もつけておきました。あと私の番号も登録してますので」
ジュウゴロウ「そりゃありがたい。探しが捗るよ」
というわけで早速起動。今までは見れなかったマップ機能がしっかりと見れるようになっていて、レーダーでサイの居場所を確認することもできた。よかった、無事だったんだなサイ・・・。
しかしにとり、もしかしたら俺の技術といい勝負かもよ?
と、思ってにとりのほうに顔を向けるとそこにはいなくて、空のほうにいた。
にとり「それでは人探し頑張ってくださ〜い!」
ジュウゴロウ「ベンケイをよろしく頼むぞ〜!」
これから世話になるベンケイと仲良くしてもらいたいと俺は願い、にとりの去っていく姿を見届けた。
さぁ、俺も行くとしよう。レーダーによれば現在人里にいるようで、ここから遠くない場所だった。
魔神移動中・・・
人里ってわりには江戸のイメージがあった。チョンマゲがあるわけではないが、和服で着ているのは確かだ。
といっている束の間に、レーダーに強い反応が発生した。どうやら目的地付近らしく、その場所とはいかにも江戸っぽい家だった。
と、そんな家を見ていた瞬間に、扉から子供達が10人ほど外に出て、誰かにさようならと挨拶している様子があった。なるほど、ここはいわゆる学校か・・・と思っているとまた誰かが出てくる。水色と白の和服を着た男で、不思議にもサイにそっくりだ・・・・・・って、あれはサイじゃないか!!
ジュウゴロウ「サイ!!」
サイ「あ、会長さん!?」
サイがこっちに気づいた。
ジュウゴロウ「行方不明の間になんだその格好は!?つーか、何で教師やってたんだ!?」
「すこし特別講師をやらせていたけど、なかなか面白い奴だぞ」
ジュウゴロウ「・・・誰だ?」
サイ「この人は慧音さん、ここ寺子屋の教師だって。私服は妖怪に襲われたせいで食べられちゃって、変わりにこの服を着てるんです」
ジュウゴロウ「妖怪ってそんなにヤバイのかよ・・・とはなにあれ、サイが無事だと聞いて安心した。他のみんなも無事でいる」
サイ「そうですか、よかった・・・」
この話を聞いてサイはへなっとした状態で座り込む。サイもあいつらのようにここで生活するだろうと俺は思った。
ジュウゴロウ「慧音と言ったな。サイをよろしく頼んでくれるか?」
慧音「問題ない。昨日からここで住ませているからな」
サイ「それじゃあ会長さん、失礼します」
と言ってサイと慧音は寺子屋の中へ入っていった。気が穏やかになったところで俺は、この里をゆったりと歩くことにしようと人ごみの中に入る次の瞬間、誰かが俺の肩を叩いた。
ジュウゴロウ「誰だ?」
文「私ですよ」
そこにいたのはあの時の新聞記者だった。手には新しい新聞がどっさりとある。
ジュウゴロウ「朝刊の配達も一人でやってるのか?」
文「これでも苦労してないほうですよ!あと、1便200円です」
要は買えって事か・・・でもどんなで貴下楽しみな俺は買うことにする。
ジュウゴロウ「えっと・・・『新世界に歴史を刻ませて、妖獣使い集団大魔神。前日、博麗神社にて新しく来た外来人とのインタビューに成功。彼らはポケットモンスターと呼ばれる妖獣を操る集団で、地元では右に出るものはいないほどの実力派だという。しかしリーダーのキバシ ジュウゴロウは現在、メンバーの1人が消息のために捜索しているようで、現在も行方は分かっていない。本人は「あいつは多少ズレているが、信じぬく無二の親友だ」と無事を願っている。』・・・へぇ、割と普通だね・・・ん?」
俺は記事を読み続けていると、また別の内容が書かれていた。
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◆未知との遭遇か!?隕石墜落事件◆
昨夜永遠亭からおよそ500mはなれた地点にて、謎の隕石が落ちるという奇妙な事件が発生した。
第一発見者は長い年にわたって戦い続けてきた藤原 妹紅と、蓬莱山 輝夜の2名。
しかし取り合いとなった結果で軍配にあがるのは輝夜で、現在は永遠亭で保管中。
隕石は紫の宝石で両手で抱えるくらいの大きさだと言う。
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俺はこれを見た瞬間、どこかで見たことある顔になる。ポケギアを取り出して永遠亭の位置を調べてみると、距離が非常にある場所だった。ボーマンダで行っても20分はかかる。
ジュウゴロウ「文、お前も来い!心当たりがある!」
文「でしたら私に捕まってください!一気に飛びますよ!」
と、文が俺の腕を掴んだ瞬間に、音速の勢いで飛び上がる。なんて速さだ・・・!
意識が飛びそうになる感覚を3分味わったあとに竹林の中へ降り立った。
ジュウゴロウ「お前、俺を殺す気か!?」
文「滅相もないです!お急ぎだと思っていたからこうしただけですよ!」
確かにそうだけど・・・といいたいが、あの隕石が俺の予想通りだとすればあれは間違いないはずだ。
近くには建物が見えているあれが永遠亭なのだろうと思っているのも束の間、文が独走で門の扉を叩く。
文「ごめんくださ〜い!文々。新聞のもので〜す!」
新聞記者というよりただの野次馬に過ぎない。俺はそう感じながらも門の前に立って待つと、扉が開いた直後にピンクの服を着た女の子が出てくる。
ジュウゴロウ「ウ、ウサギ・・・!?」
なんとウサ耳をつけた女の子だ。と、同時にまたウサ耳をつけた女の子が出てくるが、今度は学生服みたいな服装を着た子だった。
ジュウゴロウ「そんなアキバの道具使っても俺には通用しないぞ」
「じゃなくてこれは生まれつきよ!」
「それに私たちはウサギじゃないわよ!」
見るからにウサギじゃねぇかっ!!
文「ジュウゴロウさん!このままにしてたら話がまとまらないですよ〜」
ジュウゴロウ「すまん・・・ここに、隕石を保護してるって聞いて飛んできたんだが・・・」
「まさか泥棒じゃないでしょうね・・・?」
ジュウゴロウ「とんでもない。俺は考古学者だ」←勿論嘘です
とりあえず(ウソ)事情を説明することにし、2人はとりあえず理解してもらえた。ついでとして名前を聞かせてもらう。
「私は因幡てゐよ!」
ジュウゴロウ「てゐか。そっちは?」
「私は鈴仙・優曇華院・イナバよ」
れい・・・うどん・・・?名前長っ!!
ジュウゴロウ「俺たちじゃそんな長い名前をつける人間なんていないぞ・・・」
文「通称は『うどんげ』って呼ばれてます」
鈴仙「だからその名前は師匠以外言わないでくださいよ!」
ジュウゴロウ「(師匠は認めるんかいっ!!)じゃあ分かった、『讃岐』でいいだろ?」
鈴仙「ガッ!!何よそのあだ名!?てゐだって反対しちゃうくらいよ・・・」
てゐ・文「ギャハハハハハハ!!」
2人は爆笑している。というわけでこれからよろしく頼むぞ、讃岐。と、思っていた次の瞬間、
鈴仙「あなた、暗い過去はあるかしら?」
ジュウゴロウ「何言って・・・うっ!?」
讃岐の目を見た直後に俺の視界がゆがみ始めた。
ジュウゴロウ「な、なんだよこれ・・・がぁぁぁぁぁっ!?」
俺の体が持たずに意識を失って倒れしまう。その姿を鈴仙が見つめる。
鈴仙「私を馬鹿にした罰よ。てゐとそこのクソカラスもいい加減にしなさい」
その声に2人は沈静となった。
が・・・
ジュウゴロウ「ぅぅぅぅぅぅ・・・」
これが俺の、暴走の引き金になってしまうのはその数秒後だった・・・。
ジュウゴロウ「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・!!」
鈴仙「!?私の瞳が効かないどころか、凶暴化してるじゃないの!!」
てゐ「へ?」
文「あやや!?ジュウゴロウさんの様子が・・・!」
ジュウゴロウ「ヴオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!」
俺は血眼と化した目になって讃岐にパンチをかました。ガードするが威力が強すぎるために玄関へ吹き飛ばされる。
てゐ「鈴仙!」
ジュウゴロウ「ガアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!」
まるで鬼のような遠吠え。竹林中に響き渡り、3人は震える。
鈴仙「なんなのよこの人!!」
「うどんげ、下がってちょうだい!」
奥から矢が3本飛んでくるが、俺は素手で3本ともキャッチして投げ捨て、奥へ走り出す。そこに見えたのは、ナース服を着た女の人だ。
「天呪「アポロ13」」
すかさず弾幕で応戦する。その瞬間に爆発するような衝撃波が俺にぶつかって外へ吹き飛ばされるが、俺はまだ立ち上がれた。
「並の人じゃないわね。でも何故こんな人がこの世界に・・・まさか外来人・・・」
次の瞬間、永遠亭全体が紫の光に包まれる。
文「あややぁ!?」
鈴仙「今度は何よ!?」
ジュウゴロウ「・・・・・・!」
その光を見た俺はいつの間にか意識を取り戻した。凶暴性も消えている。
てゐ「あ!あの男が元に戻ったよ!」
ジュウゴロウ「・・・俺は、今まで何をしてたんだ・・・?」
全く分からなかった。するとさっきの女が近寄る。
「うどんげの瞳を見て暴走したのよ。彼女は狂気を操ることができるの」
ジュウゴロウ「狂気・・・?」
「単に言えば、一番嫌いなことを思い出させるのだけど、貴方にはそれが逆効果となったみたいね」
そうだ。俺は過去に殺めた絶望の罪を背負っていた。いつしか罪を滅ぼそうと誓っていたが、その過去がまた脳内に現れて・・・
「私は八意 永琳。八意家の薬師だけど、私たちに何か要でもあるのかしら?さっきからうどんげとてゐの話が聞こえてたのだけど・・・」
ジュウゴロウ「ああ。隕石を預かっているって言ってたから、俺がそれを確かめに来た。見せてくれないか?」
永琳はそれに応えて案内してもらうことに。さらに讃岐の横を通りかかろうとしたときに俺は、
ジュウゴロウ「さっきは悪かった。鈴仙・・・」
鈴仙「!」
俺はやはり鈴仙の名で言うことにした。にしても、なかなかいい名前だと俺は思った。
やってきた先には、あの隕石が置かれていた。
ジュウゴロウ「・・・間違いないな」
永琳「その隕石を知ってるの?」
ジュウゴロウ「・・・お前達に言う。これは・・・隕石ではなく、繭だ」
鈴仙「繭・・・!?」
文「どう見ても宝石ですよ!?」
ジュウゴロウ「見たところはな。それも、伝説の神が眠っている繭だ」
永琳「それはどういうことなの?」
ジュウゴロウ「具体的に教えるぜ。この繭の中には、1000年に一度、1週間だけ目覚めるという星の神、願い事ポケモン、ジラーチが眠っている。ジラーチに願いを託せば、どんな願い事もかなえてくれるという伝説が残されているのだ」
てゐ「すごい!じゃあ、私があんなことやこんなことも叶えてくれるの!?」
ジュウゴロウ「ただし1回きりだ。一週間たてば繭に戻って、また1000年間眠りにつくけど、いつ起きるかはわからないな・・・」
文「そんなすごい話があるなんて・・・これ記事に書かせてもらいます!」
文はやる気満々だ。
ジュウゴロウ「永琳さん。ここだけの話ですが、実は一週間以上活動できる方法があるんですけど、取引してくれませんか?」
永琳「取引?」
ジュウゴロウ「いたって簡単です。この繭を俺に譲ってください」
永琳「・・・なら、こちらも条件があるけどいいかしら?実は・・・」
ジュウゴロウ「た・・・ただいま〜・・・」
美鈴「あ、ジュウゴロウさんお帰り・・・って、フランドール様っ!!?」
美鈴が俺を見て驚く。今の俺はなんと、フランになっているからだ。
その理由は条件を聞いた後・・・
ジュウゴロウ「おい!!ちょっとその薬は試作品だろ!?劇薬だったらどうするんだ!?」
永琳「いいからおとなしくしてなさい。ほら、あーん・・・」
ジュウゴロウ「よ、よせっ!!アーーーーーーーーッ!!」
ジュウゴロウ「ってわけで、こんな姿になっちゃったんだよ・・・幸い姿が変わるだけだから日に当たっても溶けないだって・・・」
美鈴「し、しかし、散々酷い目にあいましたね・・・;」
ジュウゴロウ「美鈴、誰にも言うなよ」
俺は誰も気づかれないように繭を背負いながら館へ入っていった。
第16話でした。
ようやくサイも見つかって安心したジュウゴロウの前に、ジラーチがまさかの幻想入り!果たして目を覚ますのかが楽しみです!
所変わってジュウゴロウがフランドールに変身(!?)。果たして誤魔化せれるのか心配な彼を見たい君は、首を長くして待っておこう!
次回はテレビにも入れるあのポケモンが登場する・・・!?
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