スマブラ Stern des Lichts 第20話 〜 ジャングルの王者 |
ジャングルの王者、ドンキーコングとの戦いが始まった。
「えい!」
「ふっ!」
カービィとシャドウが前に出てドンキーを蹴る。
ドンキーは二人の攻撃をシールドで防ぎ、ダメージには至らなかった。
「せえい!」
ベルは思いっきり大鎌をドンキーに振り下ろす。
だが、攻撃は大振りだったため、ドンキーは転がって攻撃を回避した。
「ウオオ!」
「おっと」
リュンヌはドンキーにフェイントをかけ隙を作る。
マリオはその隙にファイアボールでドンキーの皮膚に火傷を負わせた。
「アヂ、アヂ、アチチチチ!」
ドンキーは熱さに悶えてやたらめったらと腕を振り回す。
この攻撃を食らえば、彼のさらに強化されたパワーのためにひとたまりもないだろう。
「はっ!」
六人はすぐに飛び上がってドンキーの攻撃をかわす。
ドンキーは腕を振り回したせいでバランスを崩し、前のめりに倒れた。
「ウ……イテエ……」
「カオススピア!」
シャドウは倒れたドンキーにたくさんの光の矢を放った。
矢はドンキーの身体に全て命中し、彼の体力を大きく減らした。
「それ、やっ、健康にいいですよ!」
「ヨガができるからといって、腕は伸びませんし、火も吹きませんよ」
ソレイユは連続してヨガのポーズを繰り出し、ドンキーの攻撃をかわしながら彼を攻撃する。
ベルは魔法陣を設置してドンキーを足止めし、その隙にマリオはドンキーをファイア掌底で吹っ飛ばした。
吹っ飛んだ先にはカービィがいて、カービィはドンキーを吸い込んでコピーした。
「いっくぞー! ジャイアントパンチ!」
「ウオオオッ」
「うわぁっ!」
ドンキーをコピーしたカービィは、腕を振り回してドンキーにパンチしようとしたが、ドンキーはカービィに軽く触れて吹っ飛ばす。
カービィは地面に顔を大きく叩きつけられ、大きなダメージを受けてしまった。
彼の体重が軽いのもそうだったが、それ以上にドンキーの腕力がキーラによって強化されているのがその理由だ。
「ドン……キー……」
カービィは、ボロボロになりながらも、ゆっくりと立ち上がった。
彼の眼は、キッとドンキーを睨みつけている。
「……僕は、君に戻ってきてほしいんだ」
「グルルルル……」
「……君が食べたいものは何?」
カービィはドンキーに好物を問いただす。
もし「バナナ」と答えれば、ドンキーの心が残っているという証であるが……。
「アアアァァァァァ……。オマエノ、ニク……」
「……駄目だ!」
それを知ったカービィの表情が凍り付き、仕方なくドンキーを気絶させようとした。
しかし、ドンキーの口から洩れた言葉は、その場にあいた全員の表情を変えた。
「……タベタク、ナイ……」
「ドンキー!」
そう、ドンキーはキーラに操られながら、ギリギリで心を保っているのだ。
とはいえ、本能のまま、こちら側に敵対している事は変わらないため、その心を引き出せるかが勝負となる。
「大丈夫だよ、ドンキー。僕達が助けてあげるから。さあ、いくよ、マリおじちゃん! シャド兄! ベルベル! ソレ姉! リュン兄!」
「「ああ!」」
「「「ええ!」」」
カービィの号令で、マリオ、シャドウ、ベル、ソレイユ、リュンヌの士気が一気に上がった。
「お願いね!」
「ああ。カオスマジック」
シャドウはまず、暴れるドンキーの周囲に混沌の力を張り巡らせる。
「動くなよ。動いたら、こいつがお前を食らう」
「ウググググ……ウオオォォォォ!」
ドンキーは本能のままにシャドウに襲い掛かった。
すると、混沌の力がシャドウを守るようにドンキーを包み込み、彼の身体を蝕んでいく。
「動くなと言ったはずだぞ?」
「ウゥゥゥゥ……」
「「アーム&レッグレイズ!」」
ソレイユとリュンヌがダメージを受け続けるドンキーに右手と左足を勢いよく突き出して攻撃する。
ドンキーは暴れてソレイユとリュンヌをパンチで吹っ飛ばした。
「うわぁぁぁぁぁ!」
「きゃぁぁぁぁぁ!」
「よし、行くぞ! どりゃあああああああ!」
マリオはドンキーの足を掴み、思いっきりベルに投げ飛ばした。
「いくわよ、アップリーパー!」
ベルは鎌を強く振り上げ、ドンキーを上に吹っ飛ばす。
彼が地面に叩きつけられた時、カービィは既に力を最大まで溜めていた。
「お願い……ドンキー、元に戻って! ジャイアント……パンチ!!」
「グオオオオオオオオオオオオオ!」
そして、カービィが渾身の力を込めたジャイアントパンチを繰り出すと、ドンキーは叫び声を上げて倒れ、彼を包んでいた光が消え去った。
今ここに、操られたドンキーとの戦いが終わった。
「……う……」
「ドンキー……起きた?」
「……うお……ぉ……」
ドンキーは瞬きしながら、ゆっくりと起き上がり、マリオ達の顔を見上げる。
キーラから解放されたドンキーは、まだ虚ろな表情をしていた。
もちろん、マリオと戦っていた時の事は、全く覚えていないだろう。
「……ぉ? オレは、何をしていたんだ……?」
「安心しなさい、悪い夢を見ていただけよ。あんたは、何も悪くないわ。私達が夢から覚ましてあげたのよ」
「悪い……夢……? う、うおおおおおおおお!!」
ドンキーはぼんやりとしていたが、しばらくして、大声を上げる。
「きゃ! な、何よ、ドンキー!」
「バナナ! バナナはどこだぁ! バナナバナナ!」
「……撃たれたくなければ大人しくしろ」
「ウホ!」
周囲にバナナがない事を知り、暴れ回ろうとしたドンキーをシャドウが銃を向けて止める。
それを見たマリオとカービィは、やっぱりいつものドンキーだな、と思ったのだとか。
「ドンキー、戻ってきてくれてよかったな」
「やったね! 凄いね」
「ウホ!」
マリオとカービィが喜んでいる中で、ドンキーは頭をぽりぽりと掻く。
「んで、オレはどうすればいいんだ?」
「とりあえず、俺達と一緒に行こうぜ。キーラって奴を、ぶっ潰すためにな」
(何気にあなた、物騒な事を言いますね……)
ソレイユは、ドンキーに手を差し伸べるマリオに苦笑していた。
それでも、ドンキーはマリオの手をぎゅっと握り締め、満面の笑みを浮かべてこう言った。
「……分かったぜ!」
こうして、希望の星に、ドンキーコングという新たな仲間が参戦したのだった。
説明 | ||
ドンキーコング戦です。 彼がおバカキャラなのは、ドンキーは俗語でそういう意味だからです。 |
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