スマブラ Stern des Lichts 第31話 〜 最後のスマブラ四天王
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「……もう大丈夫だよ、みんな」

 戦いで重傷を負ったマリオ達は、ドクターにより無事、完治した。

 一度にたくさんの人を治したドクターは、ふう、とタオルで汗を拭う。

「みんな、よく頑張ったね。瑠璃君とダークリンク君をキーラから救うなんて凄いよ」

「ああ……強かった、な」

 マリオは戦闘能力も精神力も高い二人がずっと敵に回っていなくてよかった、と安心した。

 しばらくすると、ドクターが最初に治療した瑠璃とダークリンクが起き上がる。

「……む? ここは、どこじゃ?」

「オレ達は一体、何をしていたんだ」

「あ、気が付いたんだね」

 カービィは瑠璃とダークリンクの顔を見上げる。

 彼らの瞳も、今までに助けた仲間と同様に正気に戻っていた。

 何が起こったのか分からない様子の二人に対し、シャドウは今までの事情を話した。

「そういう事だったのか……。不覚……」

「だがそれ以上に、オレ達を操ったあのキーラって野郎を許せねぇ。絶対に、オレ自身の手で叩き潰してやる」

 瑠璃は少し項垂れるが、ダークリンクは自身を洗脳したキーラへの怒りを抑えられず拳を握り締めている。

「……ダークリンク、キーラは一応女性だからね」

「そんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ! はい、許さん!」

「……まあ、侵略者だからね」

 ダークリンクとランスのやり取りを見たりょうは「やれやれ」といった目をしていた。

 ベルは、無言で精神を集中していた。

 

「それじゃあ、次はどこに行く?」

 ランスが次の行き先を一行に提案すると、さっきまで精神を集中していたベルが彼に立候補する。

「ここから南に、マリオ、カービィ、ピカチュウが探してるファイターがいるわ。そこに行ってみましょう」

「僕達が探してるファイター?」

 ベルによれば、南にはマリオ、カービィ、ピカチュウと関係があるファイターがいるらしい。

 マリオはそれが誰なのか大体予測はついていた。

「ああ、あいつの事だろう。もちろん、俺は行くぜ」

「僕も!」

「俺もだ」

 当然、マリオ、カービィ、ピカチュウはベルの提案に賛成する。

 彼女は他のメンバーにも一人ずつ声をかけ、反対するメンバーが一人もいない事を確認すると先頭に立って山に行こうとした。

「それじゃ、行くわよ! ……と言いたいところだけど、あんな遠い場所にどうやって行くのかしら?」

「あんな遠い場所……? 僕の力を忘れたのか?」

「あっ」

 そういえば、シャドウのカオスコントロールがあるんだったとベルは思い出すのだった。

 

「……よし、着いたわ!」

 シャドウのカオスコントロールにより、一行は目的地の山に辿り着いた。

 山の中には、キーラによってスピリッツ化した住民達がたくさんいた。

 まず、一行が出会ったのは、ロックマンと同じ世界にいるスピリッツ、スネークマンだった。

「どこへ逃げてもムダなのだよ!」

「だったら、倒すまでだ!」

 このスネークマンのスピリッツには当然、ロックマンが挑み、勝利した。

 

「うお〜、負けてしまった……」

「やったね!」

「今までの自分を『どこへ逃げても無駄』と言うのは、皮肉な発言じゃったな」

 瑠璃は、先ほどまでキーラに操られていたスネークマンの言葉を皮肉と捉えた。

 キーラの光がどこへ逃げても当たってしまうという意味に相当するらしい。

「ほへー、瑠璃って頭がいいんだなぁ」

 ドンキーコングが瑠璃に感心していると、瑠璃は「((我|わたし))の推測じゃがな」と言った。

「さて、次のスピリッツは……」

 瑠璃がスピリッツを解放するために前に出ると、そこにはセミロングの金髪にそれなりに露出が高い服を着ている少女のスピリッツがいた。

 彼女はシュルクの幼馴染、フィオルンである。

「シュルクがいないのが残念だったな。血眼になって心配したというのに」

 ダークリンクはシュルクがまだ仲間になっていない事に残念がって愚痴を吐いた。

 フィオルンも困った顔で「そうだね」と言うが、それとは裏腹にナイフが瑠璃とダークリンクの方を向いていた。

 どうやら、二人を倒そうとしているようだ。

「シュルク、私はあなたが帰ってくる事をずっと信じているわ。だから、みんな、私を助けて!」

「かかってくるのじゃ、フィオルン! ほれほれ、ダークリンクも戦うのじゃ!」

「……はいはい」

 瑠璃とダークリンクは、キーラに操られたフィオルンに戦いを挑んだ。

 

「これで終わりだ! 三段斬り!」

 ダークリンクの魔剣がフィオルンを三回斬り、最後の一閃で彼女をキーラの呪縛から解放した。

「ありがとう……これで、シュルクに会えるわ」

 フィオルンのスピリッツはスピリッツボールの中に吸い込まれていった。

 それを見たベルはニッコリと微笑む。

「よかったわね、フィオルン。早く幼馴染に会えるといいわね」

「はい!」

 スピリッツボールの中にいるフィオルンは、ベルに笑顔でそう返した。

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 その後、一行は赤毛の商人アンナ、おたすけピッグ(正式名称はチョップス先生)、ビッグキューちゃんのスピリッツを解放。

 アンナは必要な物資を一行に届けてくれるお助け役としてサポートする事にした。

「しっかり働いて、あなた達をサポートするわ。あ、もちろんお代はいただくわよ」

「頼りにしているよ、アンナ」

「ありがとね!」

 

 次に一行が遭遇したスピリッツは、桃色の身体に4つの乳房がついた雌牛のポケモン、ちちうしポケモンのミルタンクだった。

「別名みんなのトラウマ」

「なんで?」

「誰かさんの使うミルタンクが凄く強いからよ」

 ベルが与太話をした後で、プリンに憑依したミルタンクが転がって襲い掛かった。

 ベルは大鎌で攻撃を受け止めた後、真剣な表情で戦闘態勢を取る。

「魅了されたくなかったら、私を盾にしなさい!」

「うむ、私も戦おう」

「お主がいくのなら((我|わたし))もいこう!」

 ミルタンクはノーマルタイプなので、かくとうタイプのルカリオも彼女を迎え撃った。

 瑠璃も、片思いしているルカリオが戦っているため、一緒に戦った。

 ランスは武器を取ってミルタンクに戦いを挑む。

「みんなのトラウマ……どれくらい強いんだろうね」

 

「ふう、ノービス級にしては疲れちゃったわ」

 ベル達は何とかミルタンクを撃破し、ミルタンクのスピリッツをスピリッツボールの中に入れる。

 ミルタンクはベルの言う通り、ノービス級にしてはかなり強かったようで、戦った四人は汗を掻いていた。

「まったく……女は怖いねぇ」

「ドクターさん、何か言いましたか?」

「あ、いや、何でもないよ」

 

 こうして、山にいるほぼ全てのスピリッツを解放し終えた後、一行はベルが探しているファイターを探していった。

「確か、こっちじゃないか?」

「えっと、ダクリン君? どうしたの?」

 勘が鋭いダークリンクは、先程までミルタンクがいた場所の近くに向かって走る。

 マリオ達も彼の後を追って走っていくと、そこにはファイターが捕まっている台座があった。

 彼の隣には、リセットさんの兄、ラケットさんのスピリッツもいた。

「よし、ビンゴ! お前が探していたファイターって、こいつか?」

「そうよ」

 台座に縛られていたのは、スマブラ四天王の最後の一人、リンクだった。

 このリンクは今までと違い、右手に剣を持ち、水色の服を着て、帽子は被っていなかった。

 しかし、マリオ、カービィ、ピカチュウは彼の事をよく分かっているようで、強い気持ちが湧き出ていた。

「「リンク!」」

「リン兄! 今、助けるよ!」

 カービィは急いで、リンクを拘束していた光の鎖を砕く。

 すると、光の鎖から解放されたリンクがマリオ達に剣を向けて襲ってきた。

「コロス……コロスコロスコロスッ!」

「……っくそ! せっかく一緒に乱闘できると思ったのに、こうなるのかよ!」

「……仲間を意のままに操るとは、許せんのぅ」

「オレもだ! 卑怯で卑劣な最低野郎なんて、絶対にやっつけてやる!」

 マリオは悪態をつき、ダークリンクは武器、瑠璃は護符を構えて操られたリンクを迎え撃つ。

「だから、キーラは女だってベルが言ってたよ」

「そんなの関係ねぇっての!」

 ランスもダークリンクに突っ込みを入れつつ槍を構えて彼らと一緒に戦う。

 カービィとピカチュウも構えを取り、最後のスマブラ四天王リンクの解放に挑んだ。

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「……」

 リンクはブーメランを六人に向けて投げ飛ばす。

 六人はシールドを張り、リンクのブーメラン攻撃を防ぐ。

「唐竹割り!」

「急所突き!」

 ダークリンクは魔剣でリンクに斬りかかり、ダメージと共に闇の呪縛をかける。

 ランスはダークリンクに続き槍でリンクを貫いた。

「リン兄、元に戻って! ストーン!」

 カービィは石に変身してリンクを押し潰し、元に戻った後、ピカチュウはフェイントをかけて10まんボルトを放った。

「まさか、こいつが弟の身体を使うとは……でも、こいつも解放しないとな!」

 マリオはルイージのボディに宿っているラケットさんを殴り、ダメージを与え怯ませる。

 さらに、瑠璃が護符を投げてダークリンクは怯んだラケットさんを魔剣で切り裂いて追撃した。

「ググ……ナマイキナ……」

「おっと!」

 リンクは不愉快な表情で立ち上がり、弓を構えてダークリンクに光属性の矢を放つ。

 光属性が弱点のダークリンクは飛び上がって攻撃をかわすが、

 壁に跳ね返った矢は正確にダークリンクに当たり、彼の背中を貫いて一撃で戦闘不能にした。

 

「くそっ、ダークリンクがやられた!」

 ダークリンクが倒された光景を見たピカチュウは舌打ちしてリンクにでんこうせっかで体当たりするが、リンクは盾でピカチュウの攻撃を防ぐ。

 瑠璃はどうすれば優勢になれるかをじっくり観察していた。

 マリオはリンクの隙を見てファイアボールを連発する。

 そして、ランスの槍がラケットさんの急所を突いて彼のスピリッツを解放した。

「よし、ベル! ラケットさんを助けたよ!」

「やりぃ!」

「……」

 ベルが喜んでいると、リンクがマリオとカービィをブーメランで攻撃する。

 二人が怯んだ隙に、リンクは同時に斬りかかる。

「いたっ!」

「うわぁ! 何するのリン君!」

 カービィはリンクに大声を浴びせるが、リンクは怯まずにもう一度カービィを斬りつける。

 マリオはリンクの攻撃を庇った後、ファイア掌底でリンクを吹っ飛ばす。

「ポンプ!」

「からの、10まんボルト!」

「グアアアアアアアアアアアアアア!」

 吹っ飛んだリンクの傍で待機していたマリオがポンプでリンクの身体を濡らし、

 ピカチュウが濡れたリンクに10まんボルトを放って大ダメージを与えた。

 水に濡れた身体は電気に非常に弱くなったのだ。

「……ダークリンク、死んではならぬ。生命を司る精霊よ、失われゆく魂に、今一度命を与えたまえ! 蘇生!」

 瑠璃が天に祈りを捧げると、意識を失った彼に光の羽が降り注ぐ。

 するとダークリンクの閉じていた目が再び開いた。

「……ん、オレ、どうしてここに」

「((我|わたし))が蘇生術を使っておいたのじゃ。もう大丈夫じゃ、ダークリンク」

「……ありがとう」

 瑠璃の蘇生術で意識を取り戻したダークリンクは、魔剣を構え直し、リンクに一騎打ちを挑む。

 リンクは舌打ちしながら、同じようにマスターソードを構え直す。

 カービィはダークリンクと一緒に戦おうとするが、ダークリンクは「一騎打ちだ」と彼を止めた。

「リンク……お前はそんな奴じゃないだろう? オレ達に剣を向けるような奴じゃないだろう?」

「……」

 ダークリンクは真剣な表情で操られたリンクと向かい合う。

 彼の鋭い一言にも、リンクは反応しなかった。

「お前……いつから分からず屋になったんだ? 敵と味方の区別も分からなくなったのか?」

「……」

「黙ってる、という事は、YESという事だな」

「……」

「じゃ、遠慮なくいかせてもらうぜ!」

 ダークリンクは魔剣を振り抜いてリンクに闇の刃を叩きつける。

 その直後、リンクはマスターソードで斬りかかるがダークリンクは攻撃をかわして距離を取り、リモコン爆弾を投げた後、すぐに爆発させる。

「グハァ!」

 ダークリンクは高くジャンプし、魔剣に強い闇を纏わせそれをリンクの胸に向ける。

「これで、とどめだぁぁぁぁぁ!」

 そして、ダークリンクは落下しながら闇を纏った魔剣をリンクに突き刺す。

 その直後、闇の大爆発が起こって、リンクにとどめを刺したのだった。

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「はぁ、はぁ、はぁ……」

 リンクを倒したダークリンクが息を切らす。

 マリオ、カービィ、ピカチュウ、瑠璃、ランスが見つめていると、正気に戻ったリンクの姿が見えた。

 ボロボロになりながらも息があり、生きている事が証明された。

「……リンク……戻ってきてくれたんだな」

「心配したんだよ、リン兄」

「自由になれて、よかったな」

「ああ……みんな、ありがとう……」

 リンクはゆっくりと、マリオ、カービィ、ピカチュウにそう言った。

「自分の身体なのに、誰かに勝手に動かされているっていうのは、そういう感覚だったんだな……」

 リンクは、以前の事件でゼルダが操られていた事を思い出す。

 その時、ゼルダは辛い思いをしていたようで、まさか自分も味わうとはと苦い顔をした。

「……でも、これでスマブラ四天王は全員揃ったんだな?」

「そうだぜ。よかったじゃないか、みんな」

 スマブラメンバーの象徴的存在、スマブラ四天王。

 キーラの襲撃でバラバラになっていたが、今、ここに全員集結したのだ。

 四人の強い絆に、ベルとアイシャは感心し、シャドウも僅かだが羨望の目を向けていた。

 

「俺達は、ずっと一緒だ」

「どんな困難があっても、それを乗り越えてやる」

「一人じゃ難しくても、みんながいれば勝てるよ」

「この絆は、永遠だ」

 もう、二度と離れたくない。

 マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウの四人はそんな思いを込めて、互いの手を握るのであった。

 

「……ここ、は……」

 所変わって、光の中。

 そこには、青いハリネズミが閉じ込められていた。

 彼の名はソニック・ザ・ヘッジホッグ。

 ピカチュウを守るために彼の手を伸ばしたが、間に合わずにキーラの光線を受けてしまい、今はこの世界に縛られている。

「そっか……俺、ピカチュウを助けるために手を伸ばして……光を浴びちまって……。身体が思うように動かない……。

 自由になりたいのにどうしようもならない……」

 右も左も上も下もない世界で、ソニックはなすすべなく光に蹂躙されていた。

 自分はこのまま、キーラの傀儡として身も心も利用されてしまうのだろうか。

 ソニックは目を閉じて、覚悟を決めようとした。

 すると、ソニックの身体に、不気味な無数の触手が巻きついた。

「No!」

 突然、自分以外のものが出てきた事により、ソニックは珍しく慌てるが、

 身体はまともに動かせず、何もできないまま触手はソニックの四肢に絡みつく。

「気持ち……悪い……!」

 触手がソニックを束縛すると、ソニックは体内に黒い力が入り込んでくるような、とても不快な気分になった。

 キーラの光とはまた違う、不気味で気持ち悪い感覚に、ソニックは脂汗を掻く。

 しかし、しばらくするとその感覚は徐々に消え、代わりに、自分の身体が無くなるような感覚に襲われた。

 まるで、自分がそこにいるのにそこにいないかのようで、ソニックはだんだん意識を失っていく。

 

「……シャドウ……」

 ソニックは薄れていく意識の中で、自身とよく似た黒いハリネズミの名を呟いた。

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 〜ベルのスピリッツ名鑑〜

 

 スネークマン

 出身世界:こことは異なる世界

 性別:男性型

 狭い地形を調査するために作られたロボット。

 慎重な性格だが、執念深い。蛙に強く((蛞蝓|なめくじ))に弱い。

 

 フィオルン

 出身世界:ゼノワールド・並列世界3

 性別:女性

 ダンバンの12歳違いの妹。シュルクとは幼馴染。

 明朗快活な性格で、シュルクに好意を抱いている。

 

 アンナ

 出身世界:戦記の世界

 性別:女性

 赤い髪をポニーテールにした商人の女性。

 ほとんどの戦記の世界に存在するが、その全てが別人であるらしい。

 基本的に歴史には関わらない人物である。

 軍の中で一番、へそくりや副業が多い者もいる。

 

 チョップス先生

 出身世界:DKアイランド

 性別:♂

 眼鏡をかけた豚。通称「おたすけピッグ」。

 何度もドンキー達が死ぬと、助けてくれる存在。

 

 ビッグキューちゃん

 出身世界:ヨッシーアイランド

 性別:不明

 大型のキューちゃん。島の主もやっているとか。

 

 ミルタンク

 出身世界:ゲフリアース

 性別:♀のみ存在する

 栄養満点のミルクを生み出す、ちちうしポケモン。

 ノーマルタイプで、特性はあついしぼう、きもったま、隠れ特性はそうしょく。

 ミルタンクのミルクを飲んで育った子供は、健康でたくましい大人になるという。

 

 ラケットさん

 出身世界:どうぶつの森

 性別:男性

 リセットさんの兄で、温厚な性格。星座は牡牛座。

 普段はリセット監視センターに住んでいて、どうぶつの森の「現実」を守るために働いている。

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この回でスマブラ四天王が全員揃います。
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