巧妙な採用システム |
説明 | ||
入れ替わりの激しい企業は常に人手不足に悩まされている。 今日は市場調査と息抜きを兼用して土産物コーナーを同僚と2人で回っている。 同僚はぬいぐるみコーナーで立ち止まっている。何かあったのだろうか。 同僚の動向を見ているとある一匹のぬいぐるみを抱き上げ、 「キミ、採用」 とぬいぐるみの目を見ながら一言口にした。 何が採用なのかとさらに動向をみると更に彼女はぬいぐるみ相手に淡々と語る。 「うちで働かないかね?大丈夫、うちはボーナスはないが年俸制だから安心してくれ。」 「何。値札を見ろと?なんてこった。キミは3980円でこの仕事を引き受けてくれるのかい?」 「電車代や住宅費用はでないよ?だって私の家で一緒に在宅をするんだからね。」 「どこからキミを雇う費用を捻出するかって?隣の冴えない男を見てくれ。彼が経理もやっている。後は言わなくてもわかるな?」 俺は分からない。分かりたくない。それはやっちゃいけないやつだ。 俺は彼女に経費で落とせない旨を伝える。すると、また彼女はぬいぐるみに語り掛ける。 「安心してくれ。実は私には個人資産があるんだ。隣の冴えない男を見てくれ。彼が私の個人資産も管理しているらしい。後は言わなくてもわかめ。」 俺は彼女には金がないんだなとあっ、察し・・・。といったような表情を見せた後、「契約書にサインが必要です。」を彼女に一言演技をした。 「さあ、契約をしにレジまで行こう。」 彼女は一言言うとぬいぐるみを抱えながらレジまで向かう。 店員さんに「プレゼントですか?」と聞かれたが、彼女は「個人用です!」ときっぱり言い放つと俺の財布から怪盗の如く抜き去ったお札をレジに出すとあっさりと会計を終えた。 一連の茶番は社長の真似だったらしい。 その後、未だにお札はまだ戻ってきていません。 |
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