スマブラ Stern des Lichts 第41話 〜 氷山にて |
山岳地帯でリュカ、街でしずえを救出し、スマッシュブラザーズの戦力は徐々に増えていった。
「皆様、ボク達を助けてくれて」
「本当にありがとうございました」
リュカとしずえはスマブラメンバーにお辞儀する。
その様子からどちらも穏やかな性格が見て取れる。
「いいんだよ、僕は平和なご飯とお昼寝の時間を取り戻したいだけだから」
カービィは相変わらず、マイペースな性格だ。
こんな危険な時でありながら、自分の事を第一に考えているのはある意味肝が据わっていると二人は感心する。
ふと、ヨッシーはしずえが戦えるかどうか気になって声をかけてみた。
「あの〜、しずえさ〜ん。失礼ですが〜、あなたは本当に戦えますか〜?」
「大丈夫です! 秘書として身を護る((術|すべ))は身に着けてますから!」
しずえは自信満々にそう答えた。
「……だ、そうだから平気だよ、ヨッシー」
「そうですか〜、それなら安心です〜。あ、それと〜、次はどこに行きましょうか〜?」
「そうだな……ここから西に行けば、雪山に行く事ができる。そこにはキーラに操られたファイターとスピリッツがいるらしいぞ」
シャドウは鋭い直感で、西に何かがあると察した。
しずえは頭に?マークを浮かべている。
「あの、それって本当なんですか? 行ってみないと分からないと思いますが」
「大丈夫だよ! シャド兄を信じて!」
「それに、ずっと立ち止まってるよりは歩いた方がいいだろ?」
「う〜ん……。でもまぁ、あなたの言いたい事も分かりますし、りょうさんがそう言うなら行きましょうか」
「よし、決定ね! 西に行くわよ!」
「なあなあ、そこの赤帽子、聞いてくれないか?」
「赤帽子、って俺の事か?」
一行が山岳地帯から西に行くと、緑の鰐、紫のカメレオン、ゴーグルをつけた蜂が困った顔でマリオに依頼する。
「どうしたんだ、鰐のおっさん」
「う〜ん、俺様は『おっさん』じゃなくてベクター・ザ・クロコダイルって名前なんだけどなぁ、っていうかおっさんって言うなよ」
「自分はエスピオ・ザ・カメレオンと申す」
「ぼく、チャーミー・ビーだよー!」
鰐、カメレオン、蜂はそれぞれ自分の名を名乗り、カオティクス探偵事務所の一員である事を明かす。
ベクターはマリオに「おっさん」と呼ばれて少し傷ついたようだ(ベクターはまだ20歳)。
「ごめんよ。で、どうしたんだ?」
「見た事がない魔物が現れて、この辺に迷惑をかけているんだ」
「自分もその魔物を討伐したかったのだが、身体が勝手に動いてしまってな……」
「だから、まものをやっつけてほしいんだ!」
ベクター、エスピオ、チャーミーは、自身が操られている事を一行に話した。
ランスは頷くと、槍を取り出してカオティクスと魔物――ボコブリンに槍を向ける。
「報酬は……そうだな、俺様達が仲間になるぜ」
「ついでにボコブリンのスピリッツも解放するぞ。さあ、行くぜ、ランス!」
「うん!」
マリオとランスは、カオティクスとボコブリンに戦いを挑んだ。
「サンキュー」
「かたじけない」
「ありがとー!」
無事にカオティクスとボコブリンを解放し、彼らのスピリッツはスピリッツボールの中に入る。
「これで大丈夫ね。さ、雪山に行くわよ」
「ああ」
一行が西に向かって歩いていくと、りょうが急に縮こまった。
しずえが「どうしましたか」と声をかけると、彼は震えながらしずえに話した。
「さ、寒い……動けない……」
よく見ると、りょうは顔面蒼白になっていた。
恐らく、寒さにやられてしまったのだろう。
「りょうさん! 今、毛布を出しますから!」
しずえは毛布を取り出し、りょうの身体にかける。
しばらくすると、りょうの顔色が良くなった。
「ふう……助かったよ。ありがとう、しずえ」
「いえいえ、これも秘書のお仕事ですから」
「寒いって事は、もうすぐ氷山に着くのね。でも、このままじゃみんな凍えちゃうわ。どうにかして、みんなを温める方法はないかしら?」
しずえの毛布は一人用で、全員を包むのは難しい。
何とか全員を寒さから守ってやる方法はないのか、と考えていると、瑠璃が祓串を取り出した。
「これは?」
「カムイの世界にある祓串じゃ。これは暑さや寒さから身を守り、快適に過ごす事ができる力が封じられておる」
瑠璃はスマブラメンバーで術が使える数少ない人物だ。
その術は、今までの冒険でも頼りになった。
「この程度の寒さなら耐えられるじゃろう。だが問題は、この術が全員に効くかどうかじゃ。これ1本では足りん……」
「なら、僕が助けてやるよ。まずはそれを使いな」
瑠璃はストームに言われるがまま、祓串を振る。
すると、ストームはすぐにARTS「トルネイド」を発動し、術の効果を大きく広げた。
「そうか、風を使って術を全員にかけるのか。やるな、ストーム」
「術が使えるのが少ないしね」
瑠璃はストームを褒めるが、ストームは素っ気ない態度を取った。
何はともあれ、これで全員に祓串の効果がかかり、氷山の寒さに耐えられるようになった。
「着いた!」
一行は、瑠璃の術に守られながら氷山に辿り着いたが、その表情に笑顔は無かった。
キーラ襲撃の影響で、各地の氷は溶けかけ、黒く染まった氷も見受けられる。
「氷山が汚いな……これがキーラのした事だろうか。いや、もうそれを考える必要はないな」
「そうね。まずは、こいつらを解放しましょう」
氷山には、キーラに操られ、ファイターのボディに入れられたたくさんのスピリッツがいた。
スピリッツは一行を見ると、瞳を鋭く光らせて襲い掛かってくる。
「ファイアボール!」
マリオはゴロ岩マリオやフリーザーなど、キノコワールドのスピリッツを率先して解放する。
「はぁっ!」
ルカリオは、かくとうタイプに弱いアブソルを手早く数々の格闘技で倒した。
「リーフブレード!」
「そぉ〜れ! いっきますよ〜!」
「ファルコン……パンチ!」
ジュカインとヨッシーは、協力してホワイトベアとコンドルのスピリッツを解放。
ファルコンも炎を纏ったパンチで、ゲッコウガのボディに宿ったメタルギアRAYを解放した。
「きゃぁぁぁぁぁっ!」
「早く、お兄さんに会えるといいね」
マルスはファルシオンを振るい、ソレイユのボディに宿った((速水|はやみ))あかりを解放した。
「後は誰が残っているのかしら。えーっと……」
ベルは、氷山に残っているスピリッツを確認するために氷山を歩いた。
寒さがベルを襲うが、瑠璃がかけた術の効果で寒さは和らいでいるため楽に歩く事ができた。
しばらく歩くと、ベルは台座に縛られている青い防寒具を着た少年と桃色の防寒具を着た少女を発見した。
「みんなー! ファイターを見つけたわよー!」
「えっ、ホント!?」
ベルが大声でカービィに報告すると、カービィはすぐにベルがいるところに走っていった。
彼女が見つけたファイター、それはアイスクライマーのポポとナナだった。
「ポポ、ナナ、久しぶりだな。やっぱ氷山にいたか」
マリオは久しぶりに出会う登山家に挨拶する。
だが、アイスクライマーはそれで反応するはずもなく。
「えいっ!」
しずえが、アイスクライマーを縛っている光の鎖を傘で叩いて壊すと、アイスクライマーは赤い瞳を光らせてしずえに襲い掛かってきた。
「ウアァァァァァーッ!」
「キーラサマノテキ、コロス!」
「きゃあぁぁっ!」
「危ないっ、しずえ!」
りょうは素早くアイスクライマーの前に立ち、傘を取り出してアイスクライマーのハンマーからしずえを守る。
「あ、ありがとうございます、りょうさん……」
「話は後で! 来るよ、準備はいい!?」
「ああ!」
マリオ、カービィ、シャドウ、マルス、シーク、りょうは、キーラに操られたアイスクライマーを解放するべく、戦闘態勢を取った。
「えいっ!」
「ファイアボール!」
カービィはアイスクライマーをキックで攻撃し、シャドウはサブマシンガンを乱射して追撃する。
マリオは火の球を投げて牽制し、ルカリオはナナを投げ飛ばす。
「仕込針」
「マーベラス・コンビネーション!」
「グァァァァァ!」
シークは手に仕込んだ針をポポに投げつけ、マルスは流れるような剣撃でポポを切り裂く。
「コオリツケ」
「ふっ」
ナナは氷の塊を呼び出し、ハンマーを振るってシャドウに放つが、シャドウはワープして回避する。
怒ったポポはシャドウに飛びかかるが、シャドウは空間を歪ませて攻撃を受け流す。
「そんな攻撃が、僕に効くとでも思ったか?」
「オノレ……」
「時空の歪みを受けろ! カオスマジック!」
シャドウは指を鳴らし、時空の歪みを発生させてポポとナナを同時に攻撃し、さらには身動きを取れなくする。
「ありがと、シャド兄! そーれっ!」
カービィはその隙にハンマーを振るってアイスクライマーに大ダメージを与える。
ハンマーは隙が大きいが、味方のサポートがあれば確実に命中するのだ。
「お前ら……とっとと元に戻りやがれぇぇぇぇ! ガツーンナグーリ!!」
「「グアァァァァァァァァァァァァ!!」」
そして、マリオはダッシュからハンマーを振り上げ一気にアイスクライマー目掛けて殴りつけた。
マリオの必殺の一撃が二人に炸裂すると、ダメージが蓄積した二人は場外に吹っ飛んだ。
こうして、アイスクライマーとの戦いは終わった。
〜ベルのスピリッツ名鑑〜
ゴロ岩マリオ
出身世界:キノコワールド
性別:男性
ゴロ岩キノコを取ったマリオが変身した姿。
丸い形の岩になり、ゴロゴロ転がって攻撃する。
ただし、壁などの地形には弱い。
フリーザー
出身世界:キノコワールド
性別:なし
地面を滑走し、突然止まったかと思うと床を凍らせ、滑らせるようにする。
凍ったらやられ放題なので、何としてでも復活すべし。
ちなみに、中には菱形の「コア」が入っており、コア以外の部分は割と脆くなっている。
カオティクス
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
20歳のベクター・ザ・クロコダイル、16歳のエスピオ・ザ・カメレオン、6歳のチャーミー・ビーで構成された探偵事務所。
報酬があれば悪事以外は何でも引き受けてくれる。
ちなみに、所長はベクターである。
ボコブリン
出身世界:ハイラル
性別:♂
長い耳と、頭から生えた角が特徴的な魔物。
棍棒で武装しており、あまり賢くはないが獣を狩って焼く程度の知性はあるようだ。
アブソル
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
白い身体に黒い角を持つ、わざわいポケモン。
あくタイプで、特性はプレッシャー、きょううん、隠れ特性はせいぎのこころ。
非常に敏感で、災厄を察知する能力を持つが、そのせいで人々から災いを呼ぶ者と言われていた。
ホワイトベア
出身世界:氷山がある小世界
性別:♂
サングラスとパンツを着用している白熊。
同じフロア内に長い間留まっていると画面を強制的に揺らして変える。
メタルギアRAY
出身世界:こことは異なる世界
性別:なし
メタルギアREXのデータが拡散した事で、世界中で開発され始めたメタルギアの亜種。
奇襲攻撃を想定した設計の水陸両用型メカ。
コンドル
出身世界:氷山がある小世界
性別:不明
氷山のボーナスステージに登場する鳥。
これに掴まると、ボーナス獲得となる。
((速水|はやみ))あかり
出身世界:地球
性別:女性
アメリカン・スクールに通う少女で、ウェーブレースで活躍した((速水|はやみ))((涼太|りょうた))の妹。
パワーとスピードは低いが、テクニック、バランス、ジャンプが高く、トリックやターンが成功しやすい。
説明 | ||
氷山は過酷なのに、あの子達はよく登れますね。 実は意外と逞しい子? |
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