スマブラ Stern des Lichts 第42話 〜 光の神殿 |
「ばたんきゅ〜……」
「頭がくらくらするわ……」
キーラの呪縛から解放されたアイスクライマーは、しばらく目を回して動けなかった。
「大丈夫だった?」
「う〜ん、覚えてないや」
やはり、アイスクライマーは戦っていた時の記憶が無いようだ。
覚えているのはマリオやカービィ、シャドウなど、アイスクライマーを助けた者だけだ。
「……だろうな。操られている間、その間の記憶は無くなる、という事か」
「あれ? 君達は誰? ロボットとか犬とか、ボクサー……それにトレーナーまで?」
アイスクライマーがりょう、ソレイユ、リュンヌ、ダックハント、パックマン、リトルマック、ロックマンを見て困惑する。
第四期から入ったりょう達は、アイスクライマーは見た事がないのだ。
「あ、名前を言い忘れちゃったね。僕はどうぶつの森の村長、りょうだよ」
「エクササイズトレーナーの、ソレイユ・ラサンテです」
「夫のリュンヌ・ラサンテです」
「ばうばう、ばうばうばう!」
「あ、この犬はハント、この鴨はダックだヨ。ボクの名前はパックマンだヨ」
「ボクはロックマンです、よろしくお願いします」
「オレはリトル・マックだ」
五人と一匹と一羽が第五期で初対面となるアイスクライマーに自己紹介する。
アイスクライマーはお辞儀した後、彼らに自分達の名前を名乗る。
「ボクはアイスクライマーのポポだよ」
「あたしはアイスクライマーのナナよ」
「「よろしくお願いします」」
アイスクライマーとりょう達が互いに自己紹介した後で、これからの目的を話す。
「さて、これからどうしようかしら」
「光の結界をどうにかしたいですわ」
キーラが張った光の結界のせいで、自由な行き来ができなくなっている。
この結界は、ファイターだけの力ではどうしようもならない。
「うーん、どこに行けば光の結界を解除できるんでしょうか」
「……あ、思い出したわ! この氷山には確か、光の神殿があったわ。そこに行けば、キーラが張った光の結界を解除できるんじゃないかしら」
光の神殿は、争いの世界にある美しい外観が特徴的な神殿だ。
ここで育った神官は、強い加護を得られるという。
「光……確かにキーラが狙いそうだな」
「早く行きましょう! キーラ軍に大打撃を与えるんだから!」
一行は光の神殿を目指して氷山を歩いていく。
ほとんど辛そうな表情をしたが、アイスクライマーは余裕だった。
「あなた達は慣れてるんだね」
「氷山は僕達のホームだもん」
「余裕よ!」
ポポとナナは笑顔でハンマーを持ち上げる。
腕力といい、体力といい、子供ながら侮れないな……と思うマールだった。
しばらく歩くと、氷山にあまり似つかわしくない大きな神殿を見つけた。
三つの結界が消えたおかげで、道を通れるようになっていた。
「これが光の神殿?」
「スピリッツを探知してみるわ。……うん、ここで合ってる。でも……不思議と気分が悪くならないわ」
「え?」
「終わりをもたらす死神は、光でも闇でも破滅をもたらすものには強い。つまり、ここは破滅の光に満ち溢れているのよ」
「破滅の光だと?」
ダークリンクはベルの説明を聞いて少し驚いた。
「そうね……キーラの力と言った方が分かりやすいかしら。光も闇もそれ自体はただの力よ」
光の神殿が、破滅の光に汚染されている。
その事実を聞いたアイシャが恐怖する。
「そんな……」
「でも、大丈夫よ。キーラを倒せば元に戻るから。怖がらないで、前を向きましょう」
「……そうですわね!」
ベルに励まされたアイシャは、勇気を振り絞って光の神殿に入った。
「ここが……光の神殿……」
光の神殿に入った一行は、絶句した。
神殿の中はボロボロになっていて、倒壊した柱や壁も見受けられる。
「まさか、神聖な神殿がこんな事になるなんて……」
「本当に許せないわね」
この神殿を崩壊させたのは、キーラだ。
一行は悲しみ、一部の人物は怒りに震えている。
「おや? どうしたのですか?」
そんな一行を、ゼルダのボディに宿っている時の巫女、ネールが出迎えた。
「お前はネールじゃないか。あの女はもうお前を狙わないのか?」
「はい、というよりこの身体は私のものではありませんので」
「じゃあ、私が解放してあげるわね」
そう言って、ベルはネールの魂に手を当て、ゼルダのボディから彼女を解放した。
「戦って無駄に消耗するより、こうやって優しく解放した方がいいわ」
「そうだね、その調子で行こう」
一行は、崩壊した光の神殿を歩きながら、目的のファイターを探していった。
床は雲が浮かんでおり、ファイター達が乗っても不思議と崩れなかった。
「あっ、ファイターがいたわ!」
西に歩いていくと、光の鎖で縛られた男の姿があった。
ヴァンパイアハンターのシモン・ベルモンドだ。
しかし、クロムのボディに宿っている剣士のスピリッツ、ロンクーが立ち塞がっていた。
「女は嫌いだ」
「エレブの天馬騎士は『男の人は苦手なんです』って言うんだけどね」
「悪いけど、先に行かせてもらうよ」
マルスはファルシオンを構えて、ロンクーとの戦いに臨んだ。
「……なかなかの剣の腕だ」
ロンクーを倒したマルスは、ふぅ、と汗を拭う。
マルスは彼の戦い方を見て、赤い服を着た黒髪の剣士を思い出した。
とはいえ、これでシモンを助ける事ができる。
「はっ!」
アレンはベリサルダを振り、シモンを縛っている光の鎖を切り裂いた。
光の鎖から解放されたシモンは台座から降り、聖鞭ヴァンパイアキラーといくつかのサブウェポンを構える。
「キーラサマニサカラウモノ……コロス……」
「シモン・ベルモンド……吸血鬼を倒す者、その力を見せてもらおうか」
「行くわよ、みんな!」
「おうっ!」
「かかってこい!」
フォックス、ピカチュウ、オリマー、ロックマン、瑠璃、ベルは一斉に戦闘態勢を取る。
今ここに、魔を祓う聖鞭持ちし戦士、シモン・ベルモンドとの戦いが始まった。
「はっ!」
「光の矢よ!」
「それ!」
「はぁ!」
ピカチュウはシモンにロケットずつきをぶつけ、瑠璃は光の矢を放って追撃する。
ベルはシモンに飛びかかり、鎌で斬りつける。
フォックスは後方からブラスターを撃ち牽制した。
「ピクミンよ、こっちだ」
オリマーはピクミンを上手く誘導し、シモンに的確に当てにいく。
「……」
「ぐぁぁっ!」
シモンはヴァンパイアキラーをピカチュウに向けて振るう。
渾身の一撃がピカチュウに命中し、大ダメージを受ける。
「ロックバスター!」
ロックマンはシモンに向けてロックバスターを放つも、シモンはサブウェポンの斧で打ち消した。
「聖なる光と破滅の光は決して相いれない存在。だから、彼を意のままに操れたかもね」
「ベル……」
「さあ、気を引き締めていくわよ!」
「ああ! でんこうせっか!」
ピカチュウはでんこうせっかでシモンを攻撃し、シモンは斧を投げてロックマンを切り裂く。
続いてフォックスが炎を纏った体当たりを繰り出すが、シモンはギリギリでフォックスの攻撃をかわす。
「くそっ!」
「あんたのカバーは私がやるわ! 闇夜!」
「フレイムソード!」
アレンは炎を纏った剣でシモンを斬りつけ、シモンが炎に包まれた隙にベルが闇の力を放つ。
そのおかげで、ロックマンに攻撃しようとしたシモンに隙を作る事に成功、フォックスとピカチュウは同時にシモンを蹴る。
「ありがとう、二人とも! ロックバスター!」
「ウオォォォォッ」
「いけっ!」
ロックマンはロックバスターを連射し、オリマーは白ピクミンを投げて毒を浴びせた。
毒に侵されたシモンは蹲って苦しみ出す。
「グググ……ドクガマワル……。ウォォォォッ!」
「きゃぁぁぁっ!」
「うわぁぁぁっ!」
シモンは暴走して辺りに鞭を振るい続ける。
サブウェポンもたくさんばら撒いており、全員が避けられずにダメージを受ける。
「シモン……」
ロックマンは危険を顧みず、シモンに突っ込んでいった。
そして、彼をスーパーアームで拘束すると、ロックバスターを溜めた。
「今、ボクが助けるからな! ロックバスター!!」
ロックマンの至近距離からのチャージしたロックバスターがシモンに命中すると、大爆発が起こった。
衝撃波と砂煙が、光の神殿を覆い尽くす。
数分後、それらが治まり――残ったのは、気絶したシモンと、ボロボロになりながらも生き残っているフォックス達となった。
「はい、これで大丈夫だよ」
「お怪我はありませんでしたか?」
「……もう平気だ」
ドクターとアイシャは、戦いで傷ついたシモンを治療していた。
シモンの目は、元の澄んだ色に戻っていた。
「あ、起きたんですね。よかった、生きてて」
「ヴァンパイアハンターの生命力を舐めるな」
「ばんぱいあはんたー?」
聞いた事がない言葉に、カービィは首を傾げる。
シモンはこほん、と咳払いした後、自己紹介する。
「ヴァンパイアハンターというのは、吸血鬼を狩る者の事だ。そして私の名はシモン・ベルモンド、代々ドラキュラと戦ってきたベルモンド一族の戦士だ」
「へぇ〜、ベルモンド一族って凄いなぁ!」
カービィはシモンを憧れの目で見ている。
シモンは「ある意味呪われているがな」と皮肉を込めて苦笑いしながら言った。
「あいつが来たら間違いなく逃げそうね」
ははは、とベルが笑うと、眩い光が光の神殿を包み、中央の円盤が光った。
どうやら、シモンを助けたために、装置が作動したようだ。
「あら、次の場所に行けるみたいね」
「それじゃあ、光の神殿に捕まっている、残りのファイターを助けましょう!」
「うん!」
一行が光に乗ると、別の場所に転移した。
〜ベルのスピリッツ名鑑〜
ネール
出身世界:ハイラル
性別:女性
ハイラルを創造した知恵の女神ネールと同じ名前を持つ時の巫女。
「時の竪琴」を持っていたが、闇の司祭ベランに肉体を奪われてしまう。
ロンクー
出身世界:戦記の世界
性別:男性
フェリア連合王国の剣士。
ある事件がきっかけで、異性が苦手になっている。
シリーズ恒例の「キルソードを持つ美形剣士」。
軍の中で一番、野菜の皮むきが上手。
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ダンジョン突入回。 ボスがいると思ったんですけどねぇ。 |
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