スマブラ Stern des Lichts 第51話 〜 ドンキーコングの世界
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 リオレウスを撃破し、ついにキーラを守るバリアが消滅した。

 だが、キーラに捕まったファイターはまだこの世界に散らばっている。

 一行は残ったスマブラメンバーを助けるため、ベルを先頭に歩いていった。

「次は……あっ、見つけたわ! こっちね」

 ベルは何かを発見したようで、滝がある山がある方角にいきなり走り出す。

「ベルベル、何見つけたの?」

「仲間よ、仲間の魂よ! キーラがいる方とは逆だけど、仲間は助けなきゃ! ほら、ついてらっしゃい!」

「あっち行ったり、こっち行ったりと、忙しいな」

 ベルは、仲間がいるという北東に行き、皆を誘導した。

 あちこちを行き来する忙しさに、ダークリンクはぽつりと呟いた。

 

「久しぶりのDKアイランドだ!」

 こうして、一行はファイターが捕まっている場所、DKアイランドに辿り着いた。

 ドンキーコングは懐かしさから少し熱い声で叫ぶ。

「DKアイランド! とうとう深緑の森の軒先にまで来た。今が戦争中とは残念至極!」

 久々に故郷、DKアイランドに帰ってきたドンキー。

 椰子の木が島を覆い、住むものも木を使って家を建てている。

 昔ながらの生活が、ここには存在するのだ。

 

「聞こえるかしら……?」

 すると、ドンキーの目の前に、帽子を被った老婆の幽霊が姿を現した。

「きゃあああああ! お化けええええ!!」

 しずえは驚いてベルの後ろに隠れる。

 ベルは「何をするの!」と叫んでドンキーの前に立ち、大鎌を構える。

「おいおい、ベル、やめろって! オレのばあさんだぞ!」

「え……あんたのおばあちゃん……?」

 ベルは幽霊の正体をドンキーから聞いた後、すぐに大鎌をしまった。

「そうよ。私はリンクリー、ドンキーちゃんのおばあちゃんだったわ」

 ドンキーコング、ベル、なおも震えるしずえの前で、幽霊は自己紹介をする。

「だった?」

「ディクシーちゃん、ディンキーちゃん、ドンキーちゃん、ディディーちゃんが帰ってきてすぐに、私は死んじゃったわ」

 リンクリーはディクシーとディンキーが冒険を終えた後にこの世を去った。

 しかし、その魂は不滅であり、こんな風に幽霊として元気に暮らしていると語った。

「だから、怖がらないでね、若い犬さん」

「でも、やっぱりお化けは怖いです……」

「あらあら……。でも、私がここに現れた理由は、あなた達に伝えたい事があるからなの。

 実は、島のみんなが急にキーラを崇め出して、逆らう子を排除したがるみたい。

 私はモノに触れないから、あなた達に頼みたいの。お願いよ、島のみんなを助けてね」

 そう言うと、リンクリーはスピリッツボールの中に入っていった。

 どうやら、このDKアイランドもキーラの影響を受けているようだ。

 リンクリーがいなくなったため、しずえはようやく落ち着きを取り戻す。

「はあ、びっくりしました。島にはお化けもいたんですね」

「……ばあさんが応援してくれた。なら、やるっきゃないだろ」

 祖母の応援に勇気づけられたドンキー。

 彼女のためにも、DKアイランドをキーラの支配から解放しなければならない。

 

「よし、いくぜ、みんな!」

「はい!」

 ドンキーの鼓舞で、一行はDKアイランドの冒険をするのだった。

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「ヒャッハーーーーー!!」

「くっ、わたしを殺せるものなら殺してみなさい!」

 アイシャはクレムリン軍団の下っ端、クリッター相手に少し苦戦していた。

 一方のクリッターは、見た事がない人間に興味津々だ。

「はぁっ!」

 アイシャは包丁でクリッターを斬りつけて怯ませ、メイドキックでクリッターを追撃する。

 威力は低いが、何度も攻撃していくうちにクリッターは弱まっていく。

「とどめです!」

 そして、アイシャが包丁でクリッターを突き刺し、クリッターのスピリッツを解放した。

 

「……そういえば、キングクルールさんはどこにいるのでしょうか?」

 消滅したキングクルールのボディがあったところを見て、アイシャは呟く。

 そういえば彼も新参者だったな……と思う。

「さあ、分からないな。でも、ここには多分いないと思うぜ」

「よし、いきましょう!」

 

「キーラ様、キーラ様……」

「じいさん!」

 次に立ち塞がるのは、ドンキーの祖父クランキー。

 彼もキーラの光により彼女を崇拝しているようだ。

「キーラ様、見ていてくだされ。ワシはこいつらをけちょんけちょんにしてやるぞ!」

 クランキーが戦闘態勢を取り、ドンキー達を排除しようとする。

 ジョーカーとシュルクは彼を止めるべく、武器を構えてドンキーの前に立った。

「覚悟はいいか?」

「僕はできてるよ」

 

「……見えた」

 シュルクは未来視を使ってクランキーの行動を予測する。

「ジョーカー、クランキーはこっちに向かって突進してくるよ」

「そうか。スクンダ!」

 ジョーカーは呪文を唱え、突進してくるクランキーの動きを鈍らせる。

「バックスラッシュ!」

 シュルクはその隙に背後に斬りかかり、クランキーにダメージを与えた。

 ジョーカーは距離を置いて銃を撃ち、シュルクはシールドを張ったクランキーを投げ飛ばす。

「いい夢見ろよ」

 隙ができたクランキーに、ジョーカーは針を撃ち込んで眠らせる。

「今、僕が助けるからね。モナドスマッシュ!」

 そしてシュルクがモナドの剣先でクランキーを貫き、彼を場外に吹っ飛ばした。

 ベルはボディから飛び出したクランキーのスピリッツにスピリッツボールを向け、彼の魂を吸い込んで回収した。

「回収完了!」

 ベルは、スピリッツボールを閉じてそう言った。

「あんた達の戦いを見てると、前世の事を少しだけ思い出すわ」

 ジョーカーとシュルクを見たベルは、前世の記憶を懐かしんでいた。

 二人が?マークを浮かべると、ベルは「個人的な話よ」と言ってすぐに切り上げた。

 その後、一行はどんどん先に進み、ジンガー、エンガード、ファンキーコング、キャンディーコングのスピリッツを解放した。

 

「マスタースピリットなのに、ミーの扱いバッド!」

「私も同感よ」

「ごめんなさい、私達は先を急いでいるのよ」

 

 そして、一行は捕まっているファイターの下に辿り着く事ができた。

 そのファイターは、ドンキーの相棒、チンパンジーのディディーコングだった。

「ディディー、どうしたんだ!」

 ドンキーはディディーに呼びかけるが、ディディーは全く反応しない。

「……どうやら、キーラの呪縛のせいで何も聞こえないみたいだな」

「やっぱり、やるしかないのかよ! やるしか!」

 乱闘以外でディディーと戦うのを、ドンキーは避けていた。

 だが、ここで戦わなければ、ディディーを助ける事はできない。

 ドンキーは覚悟を決めて、光の鎖にジャイアントパンチを放った。

「……」

 光の鎖から解放されたディディーは、真っ赤な瞳をドンキーに向ける。

「待ってろよ、今助けてやるからな!」

「僕も一緒に戦う!」

「やめろ」

 カービィがドンキーと共に戦おうとするが、ドンキーは彼を制止する。

「こいつはオレの永遠の相棒だ。だから、オレ一人で戦わなきゃ意味がない! お前達はオレを信じてくれ!」

「……分かったよ」

 カービィは、ドンキーとディディーの戦いから身を引き、彼らを仲間と共に見守る事にした。

 

「いくぞ、ディディー!」

「ウオオオオオオオオオオオオオ!!」

 今、ドンキーとディディーの、一対一の戦いが始まろうとしていた。

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「ヒカリノチカラヨ……」

 ディディーはまず、光の力を使って自身の分身を7体召喚する。

 本来はディディーが使えない技だが、キーラに操られている間は一時的に使えるようだ。

「おら! おら! おら!」

 ドンキーはハンドスラップでディディーの分身を5体一掃する。

 その後、ドンキーはディディーの分身に突っ込んで転がるが、分身はそれを回避する。

「……と、見せかけて、おりゃ!」

 ドンキーはディディーの分身が回避したところにボディブローをぶち込む。

 ディディーはピーナッツ・ポップガンを撃ってドンキーを遠距離から攻撃する。

「こいつ、オレが飛び道具を持ってないのをいい事に、遠距離から攻撃してきたな!」

「クククク……」

「ディディー、負けるんじゃねぇぞ。そしてキーラ、絶対に許さないからな」

 不敵な笑みを浮かべるディディーを睨むドンキー。

 ドンキーは腕を振って分身を消し去った後、傍にあった樽をディディーに投げつける。

「イテテテテ……」

「よし、今だ!」

 ドンキーは怯んだディディーを掴み、リフティングで持ち上げる。

「いいか、ディディー。大人しくしてるんだぞ」

「ハ、ハナセ! ハナセェッ!」

 暴れ回るディディーを、ドンキーは必死で押さえ込む。

 すぐにドンキーは走り出し、場外に向かって飛び降りる。

「ハナセェェェェッ!」

 そして、ディディーがドンキーを振り落とすと、ドンキーは急いで崖に掴まる。

 その勢いで、ついにディディーは場外に落ちた。

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「……はあ、はあ、どうだ」

「……」

 戦いに敗れたディディーは気を失っている。

 ドンキーは疲れながらも、ディディーを見下ろしていた。

「……ん、ここ、は……」

 しばらくすると、ディディーがゆっくりと起き上がる。

 その目は、澄んだ色に戻っていた。

「……オイラは、何をしてたんだ……」

「ディディー! 元に戻ったんだな! ああ、本当に良かったぜ」

「うん! オイラは大丈夫だよ!」

「ああ、本当に、お前が無事で良かったぜ……!」

 キーラに操られドンキーに牙を剥いたディディー。

 しかし、ドンキーが戦った事によりディディーはドンキーの相棒という自分を取り戻した。

 ドンキーの勝利に、スピリッツボールからクランキー、リンクリー、キャンディーのスピリッツが飛び出してくる。

『よくやったな、ドンキー』

『うふふ、私はドンキーちゃんが勝つ事を信じていたわ』

『ドンキー、見事な勝利、おめでとう!』

「じいさん、ばあさん、キャンディー……!」

 祖父、祖母、ガールフレンドから祝福を受け、ドンキーは頭を掻き、顔を赤らめた。

 スマブラメンバーも(一部を除いて)拍手した。

「えへへ……ありがと、ドンキー。オイラ、身体が動かなくて怖かったんだよ。

 でも、ドンキーの声が聞こえてきて、身体が動くようになって……そっちの方に行ったら……ドンキーがいたんだよ。

 本当にありがとう、ドンキー……!」

「ディディー……オレはもうお前を、二度と離さないからな……!」

 ドンキーとディディーは、涙を流しながらお互いに抱き合った。

 こうして、離れ離れになった二頭は、ようやく再会を果たすのであった。

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 〜ベルのスピリッツ名鑑〜

 

 リンクリーコング

 出身世界:DKアイランド

 性別:♀

 クランキーコングの妻で、生前は小学校で教師をしていた。

 死後も幽霊になってこの世に留まっており、ドンキーコング達に助言をしてくれる。

 

 クリッター

 出身世界:DKアイランド

 性別:♂♀両方存在する

 クレムリン軍団の下っ端。二足歩行する鰐の姿。

 体の色によって行動や攻撃方法が異なり、緑は爪で、青は回転して攻撃する。

 

 クランキーコング

 出身世界:DKアイランド

 性別:♂

 初代ドンキーコングで、現在のドンキーコングの祖父。

 昔はポリーンを攫うなど暴れ回っていたが、今は大人しくなり村の長老となった。

 妻・リンクリーコングに先立たれてからは、再び一人暮らしになる。

 

 ジンガー

 出身世界:DKアイランド

 性別:不明

 鋭い針が特徴的な、DKアイランドに住む蜂。

 踏む事ができないが、間接攻撃で倒せる。

 

 エンガード

 出身世界:DKアイランド

 性別:不明

 ドンキーコングやディディーコングをサポートしてくれるカジキ。

 素早く泳げるようになり、体当たりで攻撃できる。

 

 ファンキーコング

 出身世界:DKアイランド

 性別:♂

 ドンキーコングの友人。釣りとサーフィンが好き。

 サングラスとバンダナが特徴的。

 

 キャンディーコング

 出身世界:DKアイランド

 性別:♀

 ドンキーコングのガールフレンド。

 その艶やかで色っぽい風貌はとても魅力的である。

 キャンディー・ミュージックという楽器屋を経営していた事もある。

説明
ここから、しばらく仲間を救出しに行きます。
寄り道も一応、大事ですしね。
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