スマブラ Stern des Lichts 第52話 〜 雲の上で |
ドンキーコングとディディーコングが再会し、仲間の数は順調に増えていった。
「次は……こっちに行けばいいわね」
ベルは誰かのスピリッツを感知し、西へ真っ直ぐに走っていく。
一行が西に行くと、土管があった。
「みんな、ここの土管を通って。仲間はこの先にいるわ」
「よーし、待っててね!」
全員が土管の中に入ると、桜色の雲がかかった場所に辿り着いた。
この雲には魔力があるのか、クッパのような重量級が乗っても消える事はない。
「わーい、ふかふかしていて気持ちいいー!」
「ほんとでしゅー!」
カービィとプリンが桜色の雲でトランポリンのように跳ねている。
「はしゃぐのはいいけど、まずは仲間を探すのが先」
「あ、そうだったね」
カービィとプリンは跳ねるのをやめて、すぐにサムス達の傍に行った。
辺りは雲で覆われており、何も見えないが、マムーのスピリッツは浮いていた。
サムスがマムーを解放すると雲が晴れ、隠れていたファイターが姿を現した。
赤い野球帽とバットがトレードマークの少年――最古参メンバーの一人、ネスだ。
彼の傍には、操られたフライングマンがいる。
「ネス君……!」
リュカは、親友のネスがこんな姿になった事にショックを受ける。
しかし、ここで動かなければ、ネスを助ける事はできない。
「第一次亜空軍異変で、ボクはネス君に助けられた。でも、今度はボクが、助ける番だよ!」
リュカはぼうっきれをネスに振り下ろし、ネスを縛っていた光の鎖を打ち砕く。
すると、ネスは赤い瞳を光らせてバットを振り回し、リュカに襲いかかった。
「……コロス」
「リュカは私達が守るわ」
「ああ……やられたらまずいからな」
「ネス、必ず僕達が助けるからね」
「ワルイユメハ、ワタシタチガサマシマス」
「大丈夫ですわ、ちょっとだけ待ってください」
サムス、ピカチュウ、りょう、アイシャ、ウォッチは、リュカを守るように前に立つ。
リュカは勇気を振り絞り、彼らと共にネスを助けるために、戦った。
「……ディフェンスアップ」
ネスはPSIで障壁を張り自身の防御力を上げる。
りょうはネスに向けてパチンコを飛ばすも、ネスが張った障壁に阻まれる。
「イケ」
「うわぁぁぁ!」
ネスの指示でフライングマンがりょうに向けて体当たりしてきた。
りょうはシールドを張ろうとするが、PKファイアーで妨害され、そのままフライングマンに吹っ飛ばされた。
「リョウサン!」
「余所見するな!」
「今はこっちに集中するのよ」
ウォッチがりょうの吹っ飛んだ方を思わず見る。
ピカチュウはネスに突っ込んで10まんボルトで攻撃し、サムスはネスにミサイルを放つ。
「PKフリーズ」
「当たりません!」
ネスはアイシャを凍らせようとするが、アイシャは緊急回避で彼のPSIをかわす。
ウォッチは相手の出方を伺いながら攻撃する。
リュカはPKフリーズでネスを凍らせ、アイシャはその隙に包丁でネスを斬りつけた。
「落ちなさい」
サムスはネスを浮かせて蹴り飛ばす。
ネスは空中で体勢を整え、アイシャにPKファイアーを放った。
「いやああああっ!」
アイシャはあまりの熱さに悶えるが、何とか気合で耐え切る。
「負けるものですか……! 行きますわよ、ピカチュウさん!」
「ああ!」
ピカチュウはアイシャの包丁に雷を纏わせ、雷の包丁がネスを切り裂く。
その衝撃でネスが怯んだため、リュカは急いでネスに突っ込む。
「ネス君……元に……戻ってぇぇぇぇぇ!!」
リュカは、最大まで溜めたぼうっきれを振り下ろし、傍にいたフライングマンとネスを一撃で場外に吹っ飛ばした。
この瞬間、彼らの勝利が決まるのであった。
「……う……うぅ……」
「大丈夫? ネス君……」
リュカは意識を失ったネスにゆっくりと近づいて呼びかける。
「……その声は……リュカ……?」
「そうだよ。ボクだよ、ネス君。ボクが見える?」
「うん……見えるよ……」
「よかった……!」
ネスは瞬きした後、リュカの顔を真っ直ぐ見た。
彼がリュカに気付いてくれて、リュカは安堵の笑みを浮かべる。
「ああ、ネス君が無事で、本当によかった。キミがいなくなって、不安だったんだよ。でも、生きてたんだね」
「当たり前さ! 君が助けに来るって信じていたんだよ」
たとえキーラに捕まっても、親友を信じる心は折れなかった。
それは、リュカにとっても、他のみんなにとっても嬉しかった。
「ネスもリュカも、嬉しかったんだね。ちょっと泣いちゃうよ」
「あいつらは固い絆で結ばれているからな」
「そしてその絆は、キーラにも破れないのよ。二人ともよく頑張ったわね」
カービィ、シャドウ、ベルは、二人の固い絆を見て少しだけ感動するのだった。
「さて、これからどうしようかな。シャド兄に連れてってもらおうかな?」
カービィが一歩歩き出すと、突然、スピリッツボールの中からホウオウのスピリッツが飛び出してきた。
「ホウオウじゃない。どうしたの?」
ベルがホウオウに呼びかけると、ホウオウは上空に向かって飛び立った。
すると、不思議な事に(?)ホウオウの通った道が虹に変わった。
空に長く美しい虹がかかると、ホウオウはスピリッツボールの中に戻った。
「ありがとう、ホウオウ〜!」
カービィが空に向かって手を振ると、一瞬だけ空が光ったような気がした。
にじいろポケモンの手助けにより、一行はさらに空に上がる事ができた。
空にはたくさんの孤島が浮かんでおり、大きな星や滝、さらには船も浮かんでいた。
「うわぁ〜! 綺麗〜!」
「ホントだネ! とっても高いネ!」
「……こんなに高いところに来るのは初めてだ」
カービィとパックマンは素直に喜ぶが、マックは険しい表情をしていた。
「とりあえず、まずはスピリッツを解放しましょう」
「ああ!」
一行はキーラに操られたスピリッツを解放するために歩き出した。
イカロス、オデッセイ号、ペガサス三姉妹、リーバル、スーパースター、チャオ、チキ、マロ、ビックリ大好き精霊、そしてヒュードラー。
空中のスピリッツは、その全てが「空」と関係あるものだった。
「これで全部?」
一行は、空に浮かんでいるスピリッツを全て解放した。
これでおしまい……というわけがなく、ベルは浮いている星をじっと見ていた。
「まだ残っているわよ」
「あの星?」
「そうよ。あそこにファイターの気配を感じるわ。……みんな、行ってみましょう」
「うん」
ベル達が星に飛び込むと、そこはある試合の会場だった。
たくさんの食べ物と、奥にある表彰台。
その会場は、カービィには見覚えがあった。
「もしかして、グルメレース!?」
そう……ここはグルメレースの会場だったのだ。
入り口には「最高記録 10個」と書かれてある。
これを上回る記録になれば何か良い事があるとか。
「はい! グルメレース、僕が参加する!」
そう言って手を挙げたのは、もちろんカービィ。
ランスは頷いて、カービィを信じている。
「大丈夫なの?」
「うん! 僕、デデデに一つも食べ物を与えないで勝った事があるんだよ!」
「ええええええええええ!? それは凄い!」
そこまでに相当な努力をしたけどね……とカービィは呟いた。
とにかく、グルメレースにはカービィが挑む事になった。
「よーし、いくぞ!」
カービィは上の方に進んで梨を食べ、橋を渡って右に曲がり紅茶を飲む。
すぐに左に曲がってコーラを飲み、その後にホットドッグを食べる。
カービィは左に曲がった後にコーンスープを飲み、最初の道を右に曲がってサラダを食べた。
「ケーキがあるけど我慢、我慢」
カービィは美味しそうなケーキを見るが、珍しくそれを我慢して食パンを食べ、すぐ右に曲がって林檎を食べる。
その後に焼き鳥と七面鳥と鶏肉を連続で食べ、最後に葡萄を食べてゴールした。
―パンパカパーン!
『おめでとうございます、優勝しました!』
「やったぁ!」
ファンファーレと共に、紙吹雪がカービィを包む。
どうやら、カービィはグルメレースに優勝したようだ。
『それでは、チャンピオンであるあなたには、この方と戦っていただきます!』
アナウンスと同時に表彰台の前に現れたのは、台座に縛られたデデデだった。
「大王様!!」
主との再会に、ランスはとても驚いた。
「ウウウウウ……ミナゴロシ……ミナゴロシダゾイ……」
「デデデ、目を覚まして!」
「大王様! ボクの声が聞こえますか!?」
カービィとランスはデデデに呼びかけるが、もちろん彼は全く反応しない。
「どうしよう……」
「何を怯えている。こうすればいいのだろう?」
ストームはそう言うとデデデ目掛けて矢を放った。
すると、光の鎖は砕け散り、デデデはいきなりカービィにハンマーを振り下ろした。
「……ランス」
「大王様が牙を剥くなんて、ボクには信じられない。でも、戦わなきゃいけないんだよね……?」
カービィはデデデの攻撃をかわし、構える。
敵に操られたデデデと何度も戦ったため、カービィに迷いはなかった。
ランスも迷いながら槍を取り、ストーム、ドクター、ロックマン、パックンフラワーも戦闘体勢を取る。
「いくよ、デデデ!」
「ウオオオオオオオオオオ!!」
そして、カービィとデデデがハンマーを同時に振り下ろし、戦いが始まった。
「ボクの目を見てください!」
ランスはデデデに槍を振るが、デデデは上手く緊急回避でかわす。
ロックマンはデデデを掴んで投げ飛ばし、パックンフラワーは首を伸ばして追撃する。
「僕達が助けるから!」
「大人しくしろよ」
ストームはやぎりのスラッシュで素早く切り、カービィは上空からストーンを使ってデデデを押し潰した。
「グググ……コウシテヤルゾイ!」
「ガブッ!?」
デデデはジェットハンマーを勢いよくため、思い切りぶちかましてパックンフラワーを戦闘不能にした。
「ツギハダレダ……」
操られたデデデは、ゆっくりとランスに近付く。
ランスは怯えてカービィの後ろに隠れる。
「大王様は、ボクの事が分からないんですか? ボクですよ、ランスですよ!」
ランスはデデデに何度も呼びかける。
それでも、デデデは反応せず、ランス目掛けてハンマーを振り下ろした。
「……」
しかし、そのハンマーがランスに当たる事はなかった。
何故なら、ストームがデデデに矢を放ち、彼の動きを一瞬だけ止めたからだ。
「ありがとう、ストーム!」
「……別に」
ランスの感謝に、素っ気ない態度を取るストーム。
デデデが力を溜めて次の攻撃に備えている中、ドクターはパックンフラワーを治療する。
「ガブガブガブ!」
「? ? ?」
復活したパックンフラワーは、デデデにフェイントをかけ混乱させる。
その隙にストームとカービィは一斉に攻撃し、デデデの体力を減らしていく。
「ウオォォォォォ!」
デデデは渾身の力を込めたハンマーをロックマンに振り下ろす。
この一撃は避けられないと感じたロックマンは、シールドを張って攻撃を防ごうとする。
しかし、その強烈な一撃にシールドが耐え切れず、シールドブレイクしてしまう。
「ふらふらする……」
「でも、チャンスはできた! 隙ありだよ!」
「グアアアアアアアアアアア!!」
そう言って、ランスは槍をくるくると回し、デデデに勢いよく突き刺す。
槍はデデデの急所を突き、大ダメージを与える。
「今だよ、カービィ!」
「うん! これで、終わりだ! 鬼殺し……火炎ハンマァァァァァァァァ!!」
カービィは炎を纏ったハンマーを振り回す。
その一撃がデデデに命中すると、デデデは場外に吹っ飛んでいった。
「大王様、勝ちましたよ……!」
ランスは空を見ながら、笑顔でそう呟いた。
〜ベルのスピリッツ名鑑〜
マムー
出身世界:サブコン
性別:男性
夢の国「サブコン」に住む悪戯好きな蛙。
ドリームマシーンを使って、色々なモンスターを造り出した。
フライングマン
出身世界:アースボーンド
性別:男性
ニンテンやネスを手助けしてくれる、鳥の姿をした「忠実なるしもべ」。
敵と戦ってくれる頼もしい仲間だが、何度もダメージを受けるとやがて力尽きる。
イカロス
出身世界:天空界
性別:男性
パルテナ軍の兵士で、ピットの部下。
メデューサの呪いで石にされており、ハンマーで砕くとピットをサポートする。
だが、ひ弱なので、攻撃を食らうとすぐに戦線離脱してしまう。
オデッセイ号
出身世界:キノコワールド
性別:なし
マリオが“ちょっと大人向け”のとある冒険で拠点にしている帽子型の空飛ぶ船。
長い間使われていなかったが、原動力となるパワームーンを得て再稼働した。
ペガサス三姉妹
出身世界:戦記の世界
性別:女性
マケドニア白騎士団に所属するペガサスナイト。
緑の髪が長女パオラ、青い髪が次女カチュア、桃色の髪が三女エスト。
トライアングルアタックは強烈な威力を誇る。
リーバル
出身世界:ハイラル
性別:男性
神獣ヴァ・メドーを使役するリト族の英傑。
嫌味な性格だが、弓の腕と飛行能力はリト族随一。
スーパースター
出身世界:キノコワールド
性別:なし
キノコワールドに存在する不思議な星。
マリオなどが手に入れると一定時間無敵になり、敵を体当たりだけで倒せるようになる。
チャオ
出身世界:こことは異なる世界
性別:不明
綺麗な自然環境やチャオガーデンに住む人工生物。
卵生で、主食は木の実。頭の球は感情を表す。
現代ではチャオ用の医薬品も開発されている。
チキ
出身世界:戦記の世界
性別:女性
神竜ナーガの娘。見た目は幼いが、千年以上も生きている。
世界を滅ぼしかねない力のため、長い間眠らされていた。
軍の中で一番、寝起きが悪い。
マロ
出身世界:キノコワールド
性別:男性
白いふかふかの体を持つ、マシュマロの国の王子。
赤ん坊の頃、カエル仙人に拾われ育てられた。
大人しい性格で、メンバーの宥め役であり、魔法が得意で、戦闘では天候魔法を使って戦う。
ビックリ大好き精霊
出身世界:キノコワールド
性別:なし
ヨッシーに世界を傾ける力を授けた本の精霊。
ヒュードラー
出身世界:天空界
性別:不明
三つの頭を持つ竜と蛇のようなモンスター。
その頭はそれぞれ別の人格を持っている。
説明 | ||
ネス&デデデ救出回。 今回はバンダナワドルディを目立たせています。 |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
328 | 328 | 0 |
タグ | ||
スマブラ 長編 オリキャラ | ||
Nobuさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |