スマブラ Stern des Lichts 80 〜キーラとダーズの過去〜
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 スマブラ四天王、瑠璃、ダークリンクは、ついに闇の化身ダーズを倒した。

 しかし、世界はまだ元に戻っていなかった。

 光の世界でキーラ、闇の世界でダーズは倒したがあくまで撤退しただけで、完全に敗れたわけではないからだ。

 

「……う〜む」

「どうしたんだ、リンク?」

 リンクは、一人で腕を組んで考え事をしていた。

 気になったマリオは、彼に声をかけた。

「キーラとダーズって、この世界を侵略しに来たんだよな。その割に、なんで仲が悪いんだ?」

「そこからかよ」

 リンクは、キーラとダーズの行動に疑問を浮かべていた。

 強大な力を持っているにも関わらず、協力しないのはおかしいと思ったのだ。

 それは、現実世界でも同じかもしれないが。

「確かに、どっちも悪い奴なら、一緒に襲ってくるはずだよね」

 カービィもこの事については疑問に思っていた。

 歴代の大ボスが一斉に迫ってくる事はあったが、今回は何故か一体一体を相手にしている。

 どうしてだろうとカービィが考えようとした時。

 

「鋭いな」

「うわっ!?」

「マスターハンド様!?」

「クレイジーハンド様まで!?」

 突然、マスターハンドとクレイジーハンドがマリオ達の目の前に現れた。

 ピカチュウ、アイシャ、ドリィは、二柱の神がいきなり出てきた事に驚く。

 マスターハンドとクレイジーハンドは「すまない」と謝った後、事情を話した。

「キーラとダーズが撤退した事で、私達を支配する彼らの力が弱まった」

「だから、君達の目の前に現れる事ができた」

 どうやら、光と闇の力が弱くなったため、一時的にこの世界に姿を現す事ができるようになったようだ。

 マスターハンドは早速だが、と口(?)を開く。

「キーラとダーズがこの世界を侵略した理由を調べてみたら、彼らの過去が分かったんだ」

「彼らにはすまないと思うが……ここで話そう」

「いや、君が謝る必要はない。僕にとって、こいつらは“侵略者”だからな」

 シャドウはあくまで、キーラもダーズも、この世界の侵略したものである事に変わりはないと言った。

 マスターハンドとクレイジーハンドは頷くように身体を動かす。

 

「いいか、最後までちゃんと聞くんだぞ」

「これは君達の道を決める、重要な話だからな」

 そして、マスターハンドとクレイジーハンドは、この話がキーラとダーズに聞こえないように認識阻害結界を張った後、

 光の化身キーラと闇の化身ダーズの過去を話した。

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 宇宙空間の中で、翼を持つ白い光と触手を持つ黒い生物がいがみ合っていた。

『世界を照らすのは光だと、あれほど言っても分からないのか? ダーズ』

『いや、闇こそが至高だ。キーラ、貴様の光は世界に必要ない』

『ほう……人々が求める光を必要ない、だと?』

『闇がなければ光が生まれないとは言うが、それでも世界に必要なのは、闇なのだ』

 

「キーラとダーズは、私達と同時期に生まれた神だった。キーラは光と秩序を、ダーズは闇と混沌を司った」

「だが、キーラとダーズは折り合いが悪く、事あるごとに衝突を繰り返していた」

 全員、マスターハンドとクレイジーハンドの話を真剣に聞いていた。

 キーラとダーズは元から仲が悪かったため、衝突するのも無理はないと感じた。

 

 白い光――キーラと黒い生物――ダーズは、互いに光と闇の優位さを説いた。

『光は確かに束縛という悪しきものがある。過去と答えも、時に絶望を生む。だが、秩序と安定という、良き部分はある』

『闇は確かに混沌と謎を象徴するものだ。変化も、時に悪い方に傾く。だが、自由と未来という、良き部分はある』

 

「キーラとダーズはどちらが優れているのか、話し合いやそれぞれの行動で決めようとした」

「しかしそれでも、決着がつく事はなかった」

 

『埒が明かん。どうすればよいのだ』

『ならばキーラよ、ここで一つ、勝負をしようではないか』

『……勝負?』

『この世界でどちらがより優れているのかを決める、単純だが明快な勝負だ』

『そうか……それならば、手っ取り早いな。今までのやり方が、実に愚かしい。賛成だ』

『では、戦場を決めよう。……ここだ!』

 キーラとダーズはそう言って、空の彼方へと飛んでいった。

 

「最終手段として、キーラとダーズは、どちらがより優れているかという事を証明するために、一つの勝負をする事にした」

「争いの地として選ばれたのは、『この世界』――争いの世界だった。その世界で争い、優劣を決める事で、雌雄を決しようという事なのだ」

「しかしその世界には元々、様々な動物、植物、種族が住んでいた。だから彼らは、そいつらの肉体を奪い、器に入れ、手駒として使役した」

「それがスピリッツだったのね」

 今まで解析・解放してきたスピリッツの生まれ方を知ったベルは、神妙な面持ちになった。

 スピリッツも、元はこの世界の住民だったのだ。

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「後はご存じの通り、カービィ、シャドウ、ベル以外の全てのスマブラメンバーはキーラとダーズに敗れ、母体をスピリッツを入れる器として使われた」

「これが、今回の異変の真相だ」

 マスターハンドとクレイジーハンドにより、争いの世界で起きた異変の真相が分かった。

 争いの世界の住人は、神々の戦いに否応なく巻き込まれたという事になるのだ。

 

「キーラとダーズは勝負のためなら俺達の都合などお構いなしか」

 全ての真実を知ったマリオが呟く。

「いつもは言い争ってる奴らも、こいつらが来れば手を繋ぐ……のはこの世界だけなのよね」

 ミロも皮肉たっぷりに現在の状況を言った。

 もっとも、彼女の上司は、そんな事が起きたらすぐにやり直せるのだが。

 

「ぐっ……!」

 すると突然、マスターハンドとクレイジーハンドが苦しみ出した。

「ど、どうしたんだ、マスター! クレイジー!」

「キーラとダーズが、目覚めようとしている」

 マスターハンドとクレイジーハンドは途切れ途切れにマリオ達に話した。

 どうやら、撤退したキーラとダーズが力を取り戻しているようで、再び彼らに支配されようとしていた。

「私達はここまでのようだ」

「待ってください、マスターハンド様!」

「行かないでください……!」

 アイシャとドリィが止めようとするが、マスターハンドとクレイジーハンドは苦しそうに「やめてくれ」と言う。

 二人のメイドは悲しげな表情になった。

「私とクレイジーハンドは信じている」

「だから、もう……」

「「君達が道を決めてくれ」」

 マスターハンドとクレイジーハンドはそう言い残すと、ファイター達の目の前から消滅した。

 

「……分かっているよな、みんな」

「うん」

「ああ」

「ええ」

 リーダー格であるマリオの言葉で、その場にいるファイター全員が頷いた。

 キーラとダーズの過去と野望は全て知った。

 だから、ファイター達が取る道は、もう1つしかなかった。

「よく考えてみると、キーラとダーズ、どちらか片方を倒したら、もう片方の野望が達成しちゃうのよね」

「ええ。白夜に付いても暗夜に付いても、真の平和は訪れませんでした。つまり、光を選んでも闇を選んでも、未来はない、という証明です」

「キーラもダーズも侵略者である以上、僕達はそいつと戦う使命がある」

「だから、二人ともやっつける!」

 そう――キーラとダーズを両方とも打倒し、争いの世界に真の平和を取り戻すのだ。

 

「いくぞ。光と闇が混ざる道に……!」

 そう言って、ファイター達は、最終決戦の場に飛び込むのだった。

説明
最終決戦前の準備。
キーラとダーズにストーリー性を持たせたくて、この話を書きました。
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