真・帝記・北郷:二〜彼の生きた証:後〜 |
真・帝記・北郷:二〜彼の生きた証:後之一〜
ふよふよ…ぎゅーん、ふよふよ。
そんな擬音が頭の中を横切る。
「ふむ…これが俗に言う幽体離脱というやつか」
果てしない暗闇にへと飛び上がったような感覚。その果てに奇妙な疾走感に包まれたかと思えば、龍志は虚空に漂いながら真下に広がる広大な城を見つめていた。
合肥城。つい一月程前まで彼が赴任していた新魏の揚州北部最大の要塞にして最重要拠点。
「五百年ほど生きてきたが、こういう経験は初めてだな。俺の本体はどうなってるんだ…?」
「とりあえず生きてはいますよ」
どこから聞こえるともなく頭の中に聞こえる声。それは考えるまでもなく、五百年もの間腐れ縁を続けてきた義弟の声。
「三魂七魄のうち二魂六魄をこちらに飛ばしました。残りがある以上あなたの肉体はまだ死んではいません」
「おや。いずれにせよ死ぬのだから全部持ってきてよかったのに」
「孫権殿達にもお伝えしたいことがあるのでしょう?」
「……かなわないな」
茜空を通し映す体で軽く肩を竦める、龍志は改めて眼下の城を見つめる。
夕刻とはいえ、少なからぬ人影が路上を行き来しているのがここからでも見えた。
「……この体、彼らには見えないのか?」
「とりあえず、北郷様の前までは見えないように調整しています。といってもそう長い時間持つわけではないので……半刻以内に話をつけてください」
「了解…やれやれ、こんな体になってもせわしないことこの上ない」
もう一度肩を竦めて、龍志は合肥城の中央に位置する政府へと急降下していった。
風が頬を撫でる感覚も、冷気が身を切る感覚もない…ただじっとりと停滞した空気の海をかき分けるかのように龍志は舞い降りる。
鳥も、人も、誰も彼に気付きはしない。府庁の屋根が視界いっぱいに広がっても龍志は減速することなくそこへと飛び込んだ。
にゅるん
そんな音を聞いたかのような錯覚を抱きながら彼の霊体は屋根をすり抜け建物の中へと滑りこんだ。
「……中々面白いな」
そんなことを思いながら、龍志は懐かしい…というにはまだ日の経っていない建物の中をふよふよと徘徊し始めた。
おそらく一刀のいる部屋は合肥城の中でも一級の部屋だろう。そういう部屋は幾つかあるが、大体のところは龍志には見当がつく。
壁をすり抜けながら、その部屋を目指す。その際、幾人かの知った顔が彼の近くを過ぎて行ったが、誰一人彼に気付くことはなかった。
(いや、気付かなくていい。今更自分の姿を見たところで何の益もない……)
そう思いながらも、後ろ髪が引かれるのを禁じ得ない。
この城に来ている古くからの彼の部下、美琉、躑躅、華雄、籐璃、孫礼、郭淮……。そしてこの城にはいないが紅燕や藍々に青鸞といった面々。
(すまない…こんな上司で……)
幾つの壁を越えたであろうか、やがて目的の部屋へ隔てる壁も一つとなった時だった。
ふと立ち止まった龍志の耳に聞こえたのは、一刀ともう一人、聞き覚えのある女の声。
「ちょ…どういうことなんだ雪蓮!!急に軍を抜けるだなんて!!」
酷く狼狽した一刀の声、それにこたえる声は逆に酷く落ち着いた、いや諦めたような声色。
「言った通りよ…私はしばらく軍を離れて修行の旅に出る……」
(ふむ……)
その声が明らかに雪蓮のものであることに龍志は霊体ながら腕を組み顎に右腕の先を当てて聞き耳を立てた。
「雪蓮…思うところもあるとは思うけどいきなりすぎるわ、もう少し詳しく話してはくれないかしら?」
そう言ったのはおそらく華琳の声。
「そ、そうだよ。いきなりそんなことを言われても……」
続くは一刀の声だろう。相変わらず解り易い声だとクスリと小さく龍志は笑う。
「もし今回の孫呉の件に責任を感じているんだったら、俺達は気にしてなんか……」
「ううん、違うの…いえ勿論それがまったくないかといえば嘘になるわ。でも私が旅に出ようと思ったのは……龍志との約束があるからなの」
その言葉に一刀だけでなく龍志も思わず怪訝そうな顔をしていた。ただ一人、華琳だけがそれを予期していたかのようにいつもと変わらない表情で雪蓮を見つめていた。
「私と華琳は龍志と約束したの。自分のいない間一刀を頼むって…最初は自分なりに力を尽くせばいいと思っていたの。でも、龍志が蓮華達と闘って行方不明になって…改めて考えたの。私はこのままでいいのかなって……」
雪蓮が語るのに誰も口を挟まない。ただ夕日が照らす部屋の中で沈黙だけが彼女の言葉に相槌を打つのみ。
「私の知恵も政治力も華琳には及ばない。統率力と武力も…龍志にはかなわない」
「でもそれは…」
「解ってる。戦神と呼ばれた龍志の指揮能力も個人的な武芸も、おそらく三国に並ぶものはいないものだったてことは。でも…今のままじゃ駄目なの。王として生きてきた私じゃあ、王を支える存在にはなれないの…だから力が欲しい、あなたを…龍志の代わりにあなたを助けられる位の力が……」
壁越しにも伝わる雪蓮の決意。
そこに含まれたものは単なる龍志との責任か。いや違う。そう龍志は思う。
きっと雪蓮はずっと悩んでいたのだろう。長く孫呉の王として君臨していた自分。そういう生き方をかしてきた自分が、人の下につくのだ。一人の将として。それも袁術の下にいた時のような仮初でなく心から。
(姉妹そろってややこしい)
思わず苦笑する龍志。片や王となったことに苦悩し、片や将となったことに苦悩する。
まったくもって笑わざるを得ない。無論、その原因が自分にあることも自覚はしているが。
「でも、今雪蓮が軍を離れるのは…」
「解ってる。いらぬ誤解を招くことも軍内に不和を招くことも…でもそれでも私は……」
「別に良いんじゃないか?」
「「「……え?」」」
突然響いた第三者の声に、今までの空気を忘れて間の抜けた声をあげてしまう一刀達。
「お、聞こえたか。いや、事の元凶としては偉そうなことは言えないが、孫策の修行に関しては別にかまわないと思うぞ」
不意ににゅっと壁から姿を表した龍志に、一刀は言葉を失い、華琳と雪蓮は一刀を庇うように得物に手をかけながら身構えた。
無理もないだろう。長らく消息不明だった人間が突然壁をすり抜けて現れたのだ、警戒しないほうがあり得ない。
「……化生のものが出るにはまだ早いんじゃない?」
「いやいや、俺の故郷ではこれくらいの時刻を逢魔ヶ刻と言ってな。昼と夜の境界は顕界と異界が混ざり合う……ってそんなことはどうでもいい」
華琳の言葉についいつもの調子で答えていた龍志は、おっとしまったというように顔を軽く振ると、いつもと変わらない切れ長の眼で一刀を見る。
「やあ一刀。久しぶり」
「あ、ああ久しぶり…って龍志さん!!どういうことなの!!?」
「ふむ…いや実は先程まで孫権殿の手厚い看護のおかげで何とか生きていたのだが。どうやら限界が来たようでね、ちょっと運命の悪戯でこうして最後に君に挨拶に来た」
「え?え?え?」
自体が理解できないのだろう。眼をパチパチしながらおろおろと眼に見えて狼狽する一刀に、ついつい龍志は口の端が緩むのを禁じ得なかった。
「……つまり、あなたは死んだということ?」
そう言ったのは華琳だった。彼女の問いに龍志は苦笑を浮かべながら。
「まあ、そう言う事だな。厳密にはまだ死んでいないが、もうすぐ死ぬとみて間違いない」
あっけらかんとそう答えた。
「そう。それでわざわざそんな姿でここに来た意味は?」
「あいかわらずつれないな…まあ良いが。とりあえず最後に一刀に挨拶をしておこうと思ってね」
笑いながら龍志は一刀を見る。
その笑みが幾分いつもの彼に比べて不自然であった事に気付いたのは華琳のみ。
「まあという訳で一刀。すまないが俺は先に退場することになった」
「……いや、なったって……ええ?」
まだ理解していない調子の一刀。しかしそんな彼に構うことなく龍志は言葉をつづけてゆく。
時間がない。そんな焦りを微かににじませながら。
「それで…まあ幾つか確認したいことがあってな。一刀。君は孫呉と同盟を結ぶつもりかな?」
「え?あ、ああ。それが龍志さんが言い残したことにも合致するだろうし……」
「そうか……」
ふっと笑みをこぼす龍志。その笑みがどことなく悲しげ…いや諦めの混じったもの。
そこに違和を感じながらも、ただ怪訝な表情を浮かべる事しかできない一刀。
「……龍志」
口を開いたのは華琳だった。
「一つだけ訊いてもいいかしら?」
「どうぞどうぞ」
「どうも……あなたにとって今の現状は当初の維新とどれくらい離れているのかしら?」
華琳の問いの意味が解らず首をかしげる一刀と雪蓮。
そして笑みを浮かべ華琳を見る龍志。
「流石…気付いていたか」
「当たり前でしょう…維新軍の存在により三国内の不平分子を抑え、三国の団結を増す……一見理にかなっているように見えるけど、よくよく考えればおかしいのよ。そもそも魏国の領土が削られた段階でそれまでの三国分立の体制は崩れる。力の弱くなった魏国を初めは呉も蜀も助けるかもしれないけど、いずれ何代か後には必ず併呑にかかるのは目に見えているわ。もっと言うならば、それは三国同盟が抱えていた問題をより大きくしただけに過ぎないのよ」
「……見事。事の当事者ながら気付いていたか」
「当たり前でしょう」
ふっと笑う華琳に、軽く手を叩き称賛の意を示す龍志。
二人の会話を見ながら、一刀と雪蓮にも二人が言いたいことが解ってきた。
つまり、三国同盟により魏呉蜀が手を取り合ったとはいえ、それは一代限りのものかもしれないのだ。
あの乱世をともに天下の太平の為に駆け抜けた。その思いが三国の結束を生んだ理念である。しかし次代はともなればどうだろう。激動の乱世を知らない者たちにとっては三つに分かたれた天下など歪なものでしかないのだろうか?
『天下に二日無し』
太古の昔より続いてきた理念を歪めて作られた天下が果たしていつまで持つだろうか。
曹操、孫策、劉備。そういった英雄たちが去った後に残るのは動乱への火種を抱えた三つの国。
「火種を残したまま仮初の安定を作るのが貴方の目的ではないはず…そう考えた時、はじめてあなたの維新の全貌が見えたわ。あなたが求めたのは三国の結束じゃない。一つの力の下に統一された国家。それも数百…いえ千年の礎となるような」
華琳の言葉に龍志は答えない。ただ笑みを浮かべながら彼女の言葉の続きを待っている。
「そのことに気付いた時…同時に幾つかのことに気付いたわ。漢帝国の復興も、新魏国の設立も通過点に過ぎないのではないかって……そうあなた貴方の目的はただ一つ」
華琳は一度息をつき。言葉を紡ぐ。
その声音に彼女らしくない幾分かの緊張をたたえながら。
「あなたの目的…それは北郷一刀を頂点とした統一帝国を作ること。それにより今までの歴史にない規模の大帝国を築き千年帝国を作り上げること……」
じっと龍志を見ながらも華琳はその背に冷や汗を流れる事を禁じ得ない。
どうしてだろうか。半透明の今にも死なんとしている男に対して彼女は生者を相手にする以上の緊張を強いられる。
「……素晴らしい。まさかそこまで察しているとは。流石は一時は大陸の覇者と呼ばれたお方」
パチパチと乾いた音が部屋に響く。それが示していた。華琳の言葉が真実であることを。
「そのことは俺のほかには軍師団しか知らなかった。機密中の機密だったんだがな」
「で、でも龍志さんは孫呉と事を構えるべきじゃないって…」
「確かにそう言ったが、同盟を結べと入っていないぞ」
「それは…」
詭弁である。しかし間違ってはいない。確かに戦うなと同盟を結べは『=』で結べるかというと無理がある。
「俺が戦いを避けるように言ったのは、孫呉の力がどの程度が解らず、そしておそらく自分を失うであろう新魏軍の動揺を考慮しての話だ……正直、たった一月ではあったが新魏軍の立て直しは俺の予想を超えて行われたと見ている……このあたりは曹操殿や孫策殿の手腕といったところだな」
「誰かさんがこれでもかってくらい軍規を徹底していたからね」
「じゃあ龍志さんは孫呉と戦火を交えるべきだと?」
一刀の問いに静かに龍志は頷く。
「そんな…そんなこと必要ないじゃないか!!同盟を結べば血を流さずに平和になれる。傷つく人だっていない……」
「欺瞞だな」
バサリと一刀の言葉を切り捨てる龍志。
そこに何時も一刀と接する時に見せていた容赦はない。
「君のそれは人が傷つくのを見たくないが故にそれから逃げているだけだ。同盟など何の役に立つ。むしろ蜀がなりをひそめている間に呉を叩き潰したほうが長い目で見て禍根は断てる」
「それは…そうだけど……」
煮え切らない一刀。彼も気付いているのは間違いない。本当に長く続く太平を築く為ならば龍志の意見が正しいということに。
しかしそれをすんなりと受け入れることはできない。
なぜなら彼は優しいから。誰よりも争いを嫌っているから……。
「……君の優しさは美徳だ」
声音を和らげ龍志が言葉を紡ぐ。
「しかしそれだけで天下を治めることはできない。天下を治めるためには覇王、いや魔王と呼ばれる程の厳しさ、冷たさも必要だ。しかし無論それだけでも天下を安定させるのは無理……長きにわたる安定を天下にもたらすことができるのは、『優しい魔王』だけだ」
「優しい魔王……」
「……俺は少なからぬ数の君主を見てきた。覇王の資質を持つ者もいた、優しいものもいた。しかしその矛盾する二つを共有できると思ったのは……君だけだ」
五百年前、華龍と共に目指した『優しい魔王』の治める国。しかし、僅かに優しすぎたばかりに同盟関係で結ばれた七国には亀裂が入り、そこを突かれて国は世界ごと滅ぼされた。
「君は優しすぎるほど優しい。故に優しさの為に自分を殺してでも冷たくなれる……ふ、言っていて思うが最低だな俺は。君を王に仕立て上げておいて…自分は何でも押しつけて途中退場などと」
眼を細め、ベランダへと続く大きな窓を見つめる龍志。
心なしか彼の体を通ってくる茜色が色濃くなった気がする。
おそらくもう龍志がここにいられる時間は長くないのだろう。
「出来る事なら…最後まで君のそばにいたかった。そうすれば君に冷たさを強いる事のない別の道もあったかもしれないというのに」
「……馬鹿ねぇ」
「え?」
驚いて視線を向けた先にいたのは、朱の衣装をさらに茜で染めた孫呉の戦姫。
「その為に…あなたは一刀を私と華琳に託したんじゃないの?」
「そうそう。それにね龍志。あなた思い違いしているわ」
うんうんと雪蓮の言葉にうなずきながら、曹魏の姦雄は一歩前に足を進めた。
「思い違い?」
「ええ。あなたは一刀が優しさの為に冷たくなれるって言ったけどね。こいつはどこまでいっても甘ちゃんなの。冷たくなんてなれるわけないじゃない」
ふっと笑いながらそう言う華琳に思わず龍志は目を丸くしてしまう。
その隣で一刀が一瞬何とも形容しがたい表情を浮かべた。
「どうやら王に対する人物眼はあまりあてにならないみたいね。一刀に冷たさを期待するのなんて桃香に天然を直せというのと同じ位不可能よ」
「あ、それ言えてる」
ケタケタと笑う華琳と雪蓮につられ、龍志も思わず噴き出してしまっていた。
「なるほどね…確かにそれは無理だ」
ひとしきり笑った後、龍志は若干取り残されたように自分たちを見ていた北郷に向き直る。
「…だ、そうだ」
「………え?」
「どうやら君に何でも任せようとした俺は間違っていたらしい」
深緑に夕焼けを通した瞳で一刀を見据え、龍志は言葉を紡ぐ。
「君は一人じゃない。その事を伝えるべき俺が忘れていたらしいな」
「龍志さん…」
「一人で無理なら、三人で成れば良かったんだな『優しい魔王』に。いやでもこの面子だと一刀が押し切られてしまいそうだな…蜀の劉備の加入も視野に入れるべきか……って、もうすぐ死ぬ奴が考えても意味ないか」
悪い性分だと苦笑いを浮かべる龍志。その体は始めより眼に見えて薄くなってきている。
「」
「一刀。君にこんな道を進ませた俺を恨んでくれても構わない。ただ最後に…どうしてもこれだけは言っておきたかったんでな」
「……恨むわけないだろ?」
龍志の瞳をまっすぐに見返しながら、一刀が口を開く。
心なしか、その双眸が潤んでいるように見えたのは気のせいだろうか。
「恨むわけないよ。理由はどうあれ、これは俺自身が選んだ道だ。だから龍志さんを恨むわけない…むしろ感謝しているよ。こんな俺を王と見込んで…導いてくれて」
いや、気のせいではない、気付けば一刀の眼からはとめどなく涙が流れていた。
「俺はさ…今が平和で戦がなければそれで良いって思っていた。龍志さんみたいに千年も続く平和を作ろうなんて思ってもみなかった。でもさ、ずっと考えてたんだ。俺がこの世界にもう一度来た理由は何だろうって」
前は華琳を助けるためだと思っていた。そして今回も初めは華琳の下へ帰る為だと思っていた。
しかし、一刀が初めて会ったのは華琳ではなく龍志。
「そして龍志さんの手で維新軍の君主になって、王になって……人の上に立つということを考え始めた時、このままじゃいけないって思った。龍志さんもいなくなってその思いはどんどん強くなっていた。でも…どうしたらいいのかが解らなかった」
「一刀…」
「でも、龍志さんの言葉を信じるなら…俺がまたこの世界に来た理由はきっと『優しい魔王』になるためだと思うんだ……勿論俺一人じゃなくて皆で」
だから。
「目指してみるよ…龍志さんが信じてくれたんだもの。間違っているはずがない」
そう言った一刀の表情は、息をのむほど晴れ晴れとしていた。
そしてその顔はかつて龍志が失った少女のものを彷彿させる。
(………俺の眼は間違っていなかった)
一筋、二筋、切れ長の双眸から滴が滴り落ちる。
「でも龍志さん…もし、もしも生まれ変わることができたら……」
「……約束しよう。必ず君の下に戻ってくると」
秋風が部屋を駆け抜ける。それに流されるかのように龍志の姿が揺らぎ、消えていく。
「一刀を頼んだぞ……華琳、雪蓮」
「ええ」
「勿論」
その答えに満足気に笑い、龍志は最後に再び一刀を見た。
「一刀……達者でな」
「龍志さん!!」
反射的に伸ばした右手。しかしそれは何もつかむことなく、一陣の風を絡ませて空を切る。
そしてそこには何も残らない。龍志がいたという事実を感じさせるものは何も。
ただ一つ。残された三人の頬を流れる熱い涙だけが、今のが夢ではなかったことを示していた。
〜続く〜
説明 | ||
真・帝記・北郷の続きです。 作者の堕落によりいつもに増して色々と崩壊しております。ご注意を この作品にはオリキャラ及び、それらと原作キャラの深い絡みがあります。そう言ったものが苦手な方は閲覧をお控えください。 |
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