異伝・恋姫 2章 異国ー2 |
異伝・恋姫2章 異国-2 曹魏と剣と時々髑髏
青い空、遠くに見える気高き山々そしてーーーーーーーーーーー
―――――――――――そして俺を取り巻く紫の集団・・・orz
話は先刻に戻る。
例の3人組を見送った後、しばらくすると先ほどの土煙の正体が明らかとなった。
明らかとなったはいいが、なぜか取り囲まれた。
以上、一刀の主観より抜粋。
(とりあえず、現実に戻ってみよう)
そう思い、一刀は目の前の集団を観察してみた。土煙の度合いから歩兵では無いと確信していたが、やはり騎馬隊だったか・・・流石にこの人数の規模はあまり見られないな。
そう思い、若干唖然としてみていると、その集団の中から俺と同世代だと思われる少女達が姿を現した。
???「華琳様、こやつは・・・」
???「間違いないようです。この奇特な風貌、例の盗賊とは違うようですが華琳様の勘は正しかったようです。」
???「お前、先ほどこの辺りに流星が落ちてこなかったか?」
黒髪の可愛いというよりは綺麗と言った方がしっくりくる少女が一刀に尋ねた。
一刀「・・・さぁ、俺も今まで気を失っていたようだからわからないけど」
???「なにぃ!嘘をつくな!!さては貴様、妖の類だな!!」
華琳(?)「やめなさい春蘭。私は憶測でそういった妖みたいなわからないものを出されるのが嫌いなの。・・・あなた、見たところこの辺の平民ではないようね?」
どうやら、この少女が親玉らしい。どこかのお嬢様のような髪型をした金髪の少女なんてこの時代からいたのか?しかも服装もさっきの人たち含めてなんていうか・・・芸術的(?)だし
春蘭(?)「貴様!!華琳様を無視するとはどういうことだ!!死にたいのか!?」
真名が春蘭であろう少女の激昂で我に返り、あわてて
一刀「ご、ごめん。俺の名は北郷一刀。君の名前は?」
華琳(?)「・・・曹操よ。ところで私の質問に答えてくれるかしら?」
春蘭(?)「貴様ぁ!!2度にわたり質問を無視するとはどういうことだぁ!!!」
???「姉者、そう威圧しては答えられる質問も答えられなくなってしまうぞ」
春蘭(?)「ぐぅ!しかし秋蘭。こ奴は見るからに怪しい。盗賊の一味ではなくとも、妖の一味である可能性もあるのだぞ!?そうですよね、華琳様?」
曹操「そう?私には、殺気一つ感じられないんだけど?」
・・・当たり前だろう。そんなもんいつもぷんぷん張り巡らせている酔狂なんて・・・
春蘭(?)「・・・ふん、私に比べたら全然たいした事無いな!!!」
・・・目の前にいた・・・
一刀「えっと、曹操さんでいいのかな?ごめんね、俺もイマイチ自分の状況が図りかねているからさ、うまく説明できないんだよ」
曹操「わかっていることだけでいいわ、説明なさい」
一刀「・・・昨日までは違う世界にいた。今日目が覚めたら見たことの無い世界にいた。」
春蘭「何を訳のわからないことを!!貴様そこになおれ!!」
そういうと、春蘭という真名の少女が剣を抜き一刀に向けた。
一刀「・・・あまり得物を人に向けるものじゃない」
一刀が言うと、それを馬鹿にしたと思ったのか
春蘭「きっさまぁぁぁ!!私の武を馬鹿にするかぁ!!!!」
そういいながらものすごい速度で突っ込んできた。
一刀side
最初は穏便に済むと思っていた。
しかし、春蘭さんという人が曲者だった。
全然こちらの言うことを訊いてくれない。
華琳さんと秋蘭さんは俺のことを分析しているのか全然彼女を止める気も微塵も見当たらない。
俺も、ここまでは我慢できた。頭に血が上っている彼女も根気強く話せば理解してくれると思っていた。彼女が剣を抜くまでは・・・
俺が一番嫌いなのは「一方的な暴力」だ。俺も一応武人らしいので、すべからく暴力は悪だ。とは言わない。しかし、ソレが一方的になると話が別だ。いくら頭に血が上ろうが話の解決に暴力を選び、さらにその過程で命の駆け引きを強要することは俺の中の禁忌であった。チンピラ然り、彼女然り・・・
だからだろう。本当に、本当に久々にこの柄に手を添える気になったのは・・・・
side out
一刀「・・・相手に剣を向け、あまつさえ切りかかるというんだ。相応に覚悟をしてもらおう。」
一刀の言ったこの言葉は不思議とその場にいる春蘭はもちろん、華琳、秋蘭にも聞こえた。
一刀「――音ヲ超エ空ヲ切リ神ヲ追抜キ次元ヲ絶ツ。故二是光速ナリーー
―――閃光・焔―――」
春蘭side
私は最初からこの男を胡散臭いと思っていた。風貌もおかしいし、何よりこの男のまとっている覇気が全然感じられない。それこそどんな平民も生気が感じられるというのにだ。さらに先ほどの理解できない言葉で、華琳様はおろか私の武さえもけなされていると思った。だから、この一撃でこの男を両断できると思っていた。この男を殺し、また、出立の続きが出来ると思っていた。
・・・思えば、このとき私の持っていた得物が、丁度鍛冶屋に修理に出していた七星牙狼で無くて本当に良かったと思う。なぜならーーー
side out
この結末を誰が予想できたであろう。
一人は、侮辱した罪を死で償わせられることに確信し、
二人は、止められなかったことに少しの後悔と、後での彼女への仕置きを考え、
一人は、何かをつぶやいた後、姿勢を低くしただけに過ぎない。
―――ガァン!!!―――
瞬間、辺りに鋭い金属がぶつかる音が響いた。
そして・・・
両断しようと切りかかった春蘭の剣は
高熱により紅くなった刀身から煙を上げる一刀の刀によって
柄から上が切飛ばされていた・・・・・
華琳 side
私は今、夢を見ているのだろうか・・・
得物の破壊
それはすなわち完全なる敗北。
その者がいくら強かろうが、徒手空拳の使い手で無い限り得物を破壊してしまっては格段に戦力が落ちる。故に武官は常に自分の武器の手入れをし、万全の状態にしている。
それは春蘭も例外ではない。いくら七星牙狼では無いといっても、代わりの剣はそれに準ずる硬度と切れ味を持った名剣だった。・・・過ぎたことを今討論してもしょうがない。
今することは・・・
side out
曹操「あなた・・・何者?」
一刀「・・・しがない旅芸人だよ。」
曹操「いいえ、貴方が何者であるかなんて、そんな些細なことはどうでもいいわ。今は戦力が欲しいのよ。私達に力を貸してくれないかしら。」
春蘭「な、か、華琳様!?」
曹操「黙りなさい夏候元譲。貴方はその得物でどうやってこのあと戦いに臨む気?」
夏候惇「し、しかし・・・秋蘭!」
秋蘭(?)「・・・華琳様の言うとおりだ。これからの行軍、姉者が抜けてしまうとどうしても攻めの一手にかけてしまう」
一刀「話が盛り上がっているところ悪いんだけどさ」
夏候惇「なんだ!?」
一刀「え〜〜っと、ごめんなさい?」
曹操「・・・どういうこと?」
一刀「確かに、これからの行軍を見越すと、俺のやったことは悪いことだと思う。しかし、俺は彼女に相応の覚悟をしてもらうと言ったし、事実彼女は確実に一度死んでいた。殺さなかったことに感謝されることはあったとしても、俺に空いた戦力を埋めなければいけない義務はない・・・それに」
(ただ単に今はあんまり彼女の近くに居たくない。彼女を嫌いになってしまう)
曹操「・・・それに?」
一刀「俺はあまり髑髏が好きじゃない」
曹操「そんなの・・・!いいえ、いいわ。今はその言葉を信じてあげる。しかし、私は諦めたわけじゃないわよ。曹猛徳は北郷一刀を欲している。それだけは覚えておきなさい。」
秋蘭(?)「しかし華琳様!どういたします?」
曹操「春蘭に何でもいいから剣を渡しなさい。この際使えれば何でもいいわ。これは北郷に敗北した罰でもあるのよ。しっかりと受け止めなさい。」
夏候惇「はっ、華琳様」
一刀(ん、さっきの焔でも確認できたけど、魔力が少量だけど取り込める。これなら・・・)
「あの、曹操さん」
曹操「なにかしら?」
一刀「お詫びって言うのもなんだけど、さっき俺が折った剣を貸してくれないか?」
曹操「??はい、こんなもの、もう役に立たないわよ?」
一刀「ありがとう、じゃあちょっと待ってて」
そういうと、一刀は集団から抜け出していった。
一刀side
先ほどの3人からはちょうど死角になって見えないところに隠れて折れた部分に土を盛り、
(地脈の御霊よ、我に御力を貸さん・・・)
瞬間、剣の折れた部分が結合し、もとの形に戻った。
しかも、この剣が先ほどの剣とばれないように、柄の部分と刀身に淡く装飾を刻んだ。
この術式が成功するに、自分の特性はある程度使えるようになったらしい。
・・・やはり当初取り込めなかったのは、今まで自分のいた世界とこの世界の魔力の質が全く変わっていることが原因だったようだ。逆に今となっては前の世界よりもこの世界の方が魔力量が圧倒的に多い。ということは、やはり、先ほどのチンピラや夏候惇のやろうとしたことが頻繁に起きていると言うことだった。
魔力とは、森羅万象に宿り、また、思念が募るものに宿りやすいとされている。中でも、知識あるものの強い願いや思いは大きな魔力となる。
前いた世界は、当たり前のように衣食住が確立され、医療技術も先進し、生きることが義務付けされている世界だった。・・・おかげで、生まれてくる子が少なくなり、死に難く、生まれ難い世界となっていた。
しかし、この世界では、人の命を軽んじている節がある。・・・これは別に軽んじているというわけではないのであろうが、やはり、死という概念がすぐ近くにあることは間違いない。この世界は逆に死に易く、生まれ易い世界なのだ。
人の思いは、生まれるときと死ぬときに特に大きくなる・・・つまりはそういうことだった。
この世界では俺のほうが異質者なんだろう。殺すことが嫌いな武人なんていうものは・・・まぁ、今更改める気はさらさら無いが
とにもかくにも、いくら憤っていたとしても、やはり得物を破壊する行為はやりすぎたと一刀は思っていた。
一刀「・・・よし、できた」
お詫びというわけではないが、そん所そこらの剣に比べると、明らかに質の違う宝剣と言っても過言じゃないくらいに修復&細工をした剣を片手に一刀は再びあの3人組の方へ駆け寄って行った。
Side out
一刀がちょうど3人から見えなくなった頃
秋蘭「・・・華琳様」
華琳「・・・何かしら?」
秋蘭「先ほどの北郷とやらの剣筋、見えましたか?」
華琳「・・・・・」
秋蘭「私は今もこれが夢だと言われても納得できると思います」
華琳「春蘭の剣が完全に切られたことと、北郷の得物が抜かれていることから、斬ったということがわかったくらい・・・ね」
秋蘭も華琳も、恐らく春蘭にも一刀の太刀筋が見えなかった。
春蘭「一体先ほどの一撃はなんだったんでしょうか・・・」
春蘭は当事者なのだが、一刀が剣を抜いたことさえ視界に入れられなかった。
であるから、春蘭は初めてどうしようもなく恐怖を感じてしまった。
春蘭(アレが、もしも私の胴体を狙っていたのなら・・・)
あの太刀を受けて体が動かなかったのはひとえにこの思いが身体を支配していたからだ。
春蘭「・・・華琳様」
華琳「なにかしら春蘭」
春蘭「私はもっと強くなります。絶対に・・・今度こそ遅れは取りません・・・」
そういう春蘭の目は先ほどと違い、一刀が駆けていった方向を真摯に見つめていた。
華琳(いい意味で刺激になったわね・・・これは思わぬ収穫かしら)
そう思い、華琳はますます、彼を手に入れようと意欲を燃やしていた。
一刀が戻ってくると、なぜか3人とも俺のほうを見つめていた。
一刀「・・・?なんかあったか?」
曹操「いいえ?特に変わったことは無かったわよ」
そういいながらも、曹操は一刀の方を見つめていた(一刀はそれでなぜか背筋に悪寒が走った)
一刀(さきほどから打って変わって静かになった夏候惇も気になるけど、それよりもこの剣を渡さないと・・・)
一刀「・・・夏候惇さん」
夏候惇「・・・なんだ」
夏候惇は、まさか自分が呼ばれるとは思わなかったらしく、若干面食らいながら返した。
一刀「貴方がやろうとしたことは未だに俺は許せないけど、それでも貴方の得物を破壊したことは申し訳ないと思っている。済まなかった。」
夏候惇「・・・こちらも突然斬りかかって悪かった。」
一刀「お詫びと言っちゃ悪いんだが、これを受け取ってくれないか?」
そういうと、一刀は手に持った剣を夏候惇の前に捧げた。
夏候惇「・・・すごいな、これは」
一刀「さっきの剣よりは頼りないかもしれないけど、代わりに使ってくれると嬉しい」
夏候惇「しかし・・・いいのか?」
一刀「ああ、俺はこの得物以外使おうとは思わないしな。・・・しかし、一つだけいいか?」
夏候惇「なんだ」
一刀「出来るだけでいい、この世界の常識もやっとわかり始めた頃だ。それでも安易に人を斬ろうとしないで欲しい。・・・俺は人を殺すことを是としない」
夏候惇「・・・わk「甘いわね」・・・華琳様」
曹操「この世界のことがわかった?何を馬鹿なことを言っているのかしら?貴方のいた世界じゃどうだったか知らないけれど、敵を殺すことを少しでもためらったらその次に待っているのは自分の死よ」
一刀「わかっている」
曹操「ダメね、全然わかっていない。ソレはただの夢物語j「それでもだ!」・・・」
一刀「それでも・・・俺は人を殺すことを是としない」
曹操「ふん・・・いいわ、今度会ったときに貴方を手に入れるついでに間違いを正してあげる」
そういうと、曹操たちは馬にまたがり、出立の準備をし始めた。
一刀「行くのか」
曹操「そうね、もともと貴方はついでだったし」
一刀「そうか・・・また会えたらいいな」
曹操「会えたらじゃないわ。会うのよ。そのときには私の下に跪かせてあげる」
一刀「お手柔らかに頼むよ・・・夏候惇m「春蘭だ」・・・いいのか?」
春蘭「ああ、お前には世話になったからな。」
一刀「そちらの人は・・・」
秋蘭「ああ、全く私の出る幕が無かったから名乗ることも出来なかったな。私は夏候淵。真名を秋蘭という」
一刀「えっと・・・いいんですか?」
秋蘭「姉者が真名を名乗ったのだ。それだけで私が真名を預ける理由としては十分だ」
曹操「では私も名乗っておこうかしら?私の真名は華琳よ。覚えておきなさい」
一刀「あ、ああ・・・どうもありがとう・・・でいいのかな?」
華琳「光栄に思いなさい。私だけでなく秋蘭と春蘭の真名を許している男は今のところ貴方だけよ?」
一刀「そうか・・・じゃあ、旅先、気をつけて」
華琳「貴方もね、次に会うまで勝手に死ぬことは許さないわよ?」
春蘭「そうだ!貴様はもう一度私と勝負しなければならないのだからな!!」
秋蘭「そういうことだ。私も北郷と一度手合わせを願いたいものだな」
そういうと、魏の3人組は町の方と反対側へ馬を走らせた。
一刀「魏の覇王曹操か・・・」
やはり史実どおりの英雄だな・・・と思いながら一刀は3人組とは反対の、町のほうへゆっくり向かっていった。
あとがき
えっと、魏のお方は行ってしまわれましたね・・・。どうもほっち〜です。
いつもどおりあれですね、無意味に話が長いですよね。本当はとりあえず魏、呉、蜀の面々とこの話で一度ずつ顔をあわせておこうと思っていたんです。思っていたんですよ。
なんすか、この量・・・。書いてる途中に気が付いたのですが・・・減らせませんでした。書いていると、本当に短く話をまとめている作家様には頭が上がりません。自分には、話をまとめる力が絶望的に不足しているみたいです。それでも、この話を読んでくださる方がいてくれると信じ、今度は呉の人々との邂逅を書いていきたいと思います。
いつもどおりというとなんですが、やはり誤字・脱字が多いのと、キャラがおかしい場面もあると思いますが、大目に見てやってください。
それでは、この作品に目を通してくださった皆様に抱えきれないほどの感謝の意を。誤字・脱字報告お待ちしています。どんどん送ってください。また、アドバイス等も大歓迎です。それでは、この辺で。
説明 | ||
当初は3ページくらいに収まるはずだったんです。・・・多分。キャラ崩壊や誤字・脱字が多いこの作品ですが、見てもらえるとうれしいです。 | ||
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コメント | ||
かなり強いですね。次はどこに行くのかな〜♪(ブックマン) てっきりそのまま付いて行くのかと思いました。 一刀強いなぁ・・・(キラ・リョウ) 唖然(ジョン五郎) ヒトヤ様>春蘭については、これを機に、もう少し気性をやわらかくしたいと思います。本当に少しですが・・・^^;(ほっち〜) それと、ページ数はこれでいいですよ?人物の心の声もちゃんと書かれてますし、短くし過ぎても内容が薄くなってしまいます、自分は今回十分以上に満足しています。このままでいってください(ヒトヤ) クォーツ様>アドバイスありがとうございました。まぁ、一刀くんが本気だったというのと、春蘭が手加減をしているときに一撃で決めたのでこういう結果になったという風に考えています。本来、春蘭はもっと強いですし、これからも強くなっていくと思います。(ほっち〜) 春蘭のこういう所は好きになれないんだよなぁ(ヒトヤ) 今回から読み始めました、基本的にチート歓迎人なのでとても面白く感じました。此処まで強いと蜀は止めたほうが良いと思いますよ。蜀ルートだと王として後方待機なのでこの強さが生かせませんから・・・ 次作期待(クォーツ) |
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