罪、咎。 |
「こんなにも簡単に命が消えていくのか……?」
今は、もう冷たくなってしまったその人を。
呆然と見つめるだけの俺は、何て無様なのだろうか。
己の咎に押しつぶされる。
己の罪に押し流される。
「お前がっっ!!!お前がお父様を!!」
あの言葉、あの表情が忘れられない。
俺が護りきれなかったその命。
死んでいった、あの人の顔も声も。
その死に悲しむ者の顔も声も。
焼きついて消えることはない。
「やめなさい」
「だって、だって!!!! 姉上!! 」
「やめなさい!!」
俺に頭を下げるその人。
やめてくれ。
俺は、護れなかったんだ。
誰一人。
「お、お父様ぁぁぁぁぁ!!! どうして!?」
おめおめと自分だけ生き残った。
知っている、あの人が俺を庇って死んだこと。
俺が、生かされたこと。
「父上………」
一度も呼んだこともないその呼び方。
「生きなさい……」
薄れゆく意識の中紡がれた言葉。
その映像が色褪せることは無い。
俺が、護れなかったことに変わりは無い。
それを背負って生きていくだけ。
罪とがに負けるつもりは無い。
この護られたこの命。
誰かを護り、絶やすほか赦さない。
俺自身が。
しかし。
俺は、戦う為に剣を持つのだろうか。
守る為に盾を持つのだろうか。
その為に、誰かを殺すのだろうか。
その誰かにも家族がいるとしても?
嗚呼、そうか。
人を殺めることにどんな理由があろうとも。
どんなに正義であろうとも。
それは……。
「唯の人殺し」
悲しみの連鎖は、いつ終わるのだろう?
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思いつき短編小説。 | ||
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