真・恋姫無双アナザーストーリー 雪蓮√ 今傍に行きます 第1話
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真・恋姫無双アナザーストーリー 

雪蓮√ 今傍に行きます 第1話

 

 

暗い……見渡す限りの闇がそこにある。

立っているのか倒れているのかすらもわからない無の世界。

体は確かにあるのだろう。

しかし全てを飲み込むように存在する闇が体の存在を隠してしまっていた。

 

そして思い返す。

死ぬ間際に見た光景を、雲ひとつない空の下、

私の大事な妹たちを、仲間のことを、

そして私の愛した人のことを……

そのみんなの顔を私は歪めてしまったことを。

 

「そっか……私、死んじゃっんだ……」

 

ため息交じり言葉が出る。

 

「これで、母様のところにいけるのね……」

 

呟きながら瞼を閉じると一筋の泪がこぼれた

 

「……あれ?、なんで私、泣いてるんだろう」

 

暗い闇の中で頬を濡らすものに手を当てる。

 

「やだ……どうして泣いてるの?私……」

 

わけがわからないと声に出す。

しかし、その理由もわかっている、わかっているからこそ理解したくない。

だが、それも時間の問題だった、やがて

 

「う……か、ずと……一刀……うぅ」

 

一人の愛したものの名前を呼ぶ。

 

北郷一刀……天の御使いとして呉に天の血を入れ繁栄させるためだけの存在であった彼。

しかし、一刀と触れ合っていくうちに彼の優しさ、誰もを笑顔にする暖かな笑みを見て

雪蓮は次第に惹かれていっていた。

 

そして、唯一、雪蓮の王としてではなく、一人の女性として見てくれたたった一人の男でもあった。

 

「うぅ……会いたいよ、かずと……会いたいよ」

 

膝を抱え泣く雪蓮。

 

しばらくすると彼方に光がさし始めた。

 

「な、に……?」

 

雪蓮はその光が射す方へと顔を向けた。

その光は急速にあたりの闇を白い空間へと変えていっていた。

 

「きゃっ!」

 

まばゆい光に思わず声を上げ両手で目をかばい背ける。

 

「お待ちしておりましたぞ、孫伯符殿」

 

「え?」

 

声のする方を見ると二人の人物が立っていた。

一人はがたいのいい巨漢の男?、もう一人は頭からフードを被り男か女かはわからなかった。

 

「お初にお目にかかる、我は卑弥呼、そして」

 

卑弥呼と名乗った男?はもう一人の人物に目をやると

フードを脱ぎそこから現れた人物は長髪の女性であった

 

「はじめましてかしら、孫伯符、私は管輅」

 

「管輅ですって!?それじゃあなたが……」

 

「ええ、私が天の御使いを予言……いいえ、呼び込んだ者です」

 

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「呼び込んだ者って、どういうこと、一刀は天より遣わされたのではないの?」

 

雪蓮はその言葉に驚き聞き返していた。

 

「はい、正確には正史の者の意思により我々が彼を呼んだといった方が正確かもしれません、

ですが、彼、北郷一刀は自分の意思で大事な人と供に、大切な仲間たちと供に平和へと導こうとしていたのは事実です」

 

「そんな……」

 

一刀が天の御使いではないということにではなく、ほかの存在によって決められていたことに雪蓮は驚愕をしていた。

 

「ご理解いただけましたか?」

 

管輅はやさしく雪蓮に尋ねてきた。

 

「え、ええ、なんとなくだけど……それより、あなたたちは何者なの」

 

雪蓮は少し警戒気味に尋ねていた。

しかし、管輅は笑みをたたえて説明を始めた。

 

「我々は『外史を監視する者』、あなたの居た外史、そして、違う外史も我々が管理しています」

 

「そして、汝、孫伯符よ……そなたには新たな外史の突端になってもらう」

 

今まで黙っていた卑弥呼がしゃべりだした。

 

「外史の突端ってどういうことよ」

 

「そなたは、今まで居た世界から切り離された存在……つまり、新たな芽になったのだ」

 

「新たな芽?」

 

「そう、あれを見てみるがよい」

 

卑弥呼はそういいながら雪蓮の後ろの空間を指差した。

 

振り向くと雪蓮はそこに広がっていた様々な光景に目が釘つげになった。

 

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「な、なによこれ……曹操に劉備……それに関羽まで、なぜみんな一刀と居るの!?」

 

「これは、北郷一刀という芽から始まった様々な外史の光景、時には曹孟徳と供に覇王の道、天下統一に手助けをし、

時には劉玄徳の心の支えとなり三国平定を目指した。

時には劉玄徳の変わりに関雲長や張翼徳の主として国を治めていた」

 

「……」

 

「信じられない、っと言った顔ですね」

 

「当たり前よ、こんなこと信じられるわけ――――」

 

「ですが、これは事実です。あなたが否定しても曲げられないたった一つの事実」

 

管輅は鋭く、雪蓮の言葉をさえぎった

 

「くっ……」

 

なにも言い返せず唇をかむ

 

「さて、ここからが本題です」

 

管輅は居住まいをただし卑弥呼に目をやる

 

「汝、孫伯符よ、貴君に問う、汝の願いはなんだ」

 

卑弥呼は今までよも低い声で雪蓮に問いていた。

 

「……我の願いは呉の繁栄、永劫続く平和だ」

 

雪蓮も背を伸ばし王として答える、しかし。

 

「ふん、茶番だな」

 

卑弥呼は鼻で笑いその答えをさげずんだ。

 

「な、貴様!願いを言えといいながら私を馬鹿にするのか!」

 

雪蓮は願いを馬鹿にされ怒鳴りながら卑弥呼をにらみつけた。

 

「卑弥呼、少々言葉が悪いわ、孫策さんもあまり怒らないでね、この人少し堅物だから」

 

管輅はさっきまでの清楚さがまるでなくなり親しみやすい感じで雪蓮をなだめた。

 

「これは失敬した、詫びをしよう、孫伯符よ」

 

卑弥呼は頭(こうべ)をたれ謝った。

 

「卑弥呼が言いたかったのは、王としての願いではなく一人の女としての願いを聞いていたのよ」

 

管輅は柔らかな笑みで答えた

 

「一人の女として……」

 

『一人の女としての願い』それは、雪蓮にとって叶えたくても叶えられなかった願い。

 

(そんなの決まってるわよ、私は一刀と……『北郷一刀といつまでも一緒にいたい』、ただそれだけなんだから)

 

目をつぶり愛する人を思う。

いつも笑顔で、敵対する相手にすらその慈悲を見せるやさしさ、

そして、雪蓮の性癖を知ってもそれを受け入れ愛してくれた人。

目を開く。

 

「どうやら決まったようですね。」

 

管輅は一言雪蓮に問う。

 

「ええ」

 

「では、お聞かせ願えますか?」

 

「私の願いは……」

 

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「私の願いは一刀といつまでも一緒にいたい、ただそれだけ」

 

管輅の問いに満足そうに答える雪蓮

 

「なぜ、っとお伺いしてもよろしいですか?」

 

管輅は答えがわかっているかのように説明を求めてきた。

 

「私が愛したたった一人の人だからよ」

 

「そうですか、わかりました。卑弥呼」

 

「うむ、わかっている、では、孫伯符よ、

そなたは新たな外史の突端になってもらうが――――」

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

卑弥呼は雪蓮に話を止められ不服そうに眉をしかめた

 

「なんだ、孫伯符よ」

 

「新たな外史の突端になる、とかはいいんだけど、そこには一刀が居るの?」

 

雪蓮は疑問に思っていることを聞いてみた。

 

「さすがに一刀が居ないんじゃ意味がないわ」

 

「そのことについて今から説明をしようとしていたところだ」

 

「あ、そうなんだ、ごめんごめん続けて」

 

「まったく……」

 

「うふふ」

 

管輅は手を口にあて笑っていた。

 

「管輅よ、笑うところではないぞ」

 

「あら、ごめんなさい」

 

「まあよい、まず質問に答えてやろう、北郷殿はその世界にもいる」

 

「そうよかったわ」

 

しかし、そこで卑弥呼の顔色が変わったことに雪蓮は気づいた。

 

「……なにかあるのね」

 

「うむ、その世界はまもなく形成されるであろう、北郷殿の姿や形もそのままだ、ただ……」

 

「ただ?」

 

これ以上聞いてはいけないと警報が頭の中で響いていた、しかし、雪蓮は聞かずには居られなかった。

 

「お主と過ごした記憶はない」

 

「なっなんですって!?」

 

あまりのことに雪蓮は驚き叫んでいた。

 

「当たり前であろう、お主の居た外史ではないのだから」

 

「そんな、それじゃ、一刀は私のことを見ても……」

 

(でも、また好きになってもらえれば……)

 

そんな雪蓮の望みを打ち砕くかのように管輅が話し始めた

 

「それだけではないの」

 

「え?」

 

「先ほども言ったと思うけれど、外史は正史の者が干渉することにより様々な外史が作り出されている、

今回の外史は、あなたたちの言う天の世界での話し、そして、あなたには記憶をなくして貰わなくてはならないの」

 

「そんな!」

 

絶望的、雪蓮の脳裏にその言葉が浮かんできた。

 

「そ、それじゃあ!どうやって一刀と再会すればいいのよ!?」

 

卑弥呼も管輅も答えない、それがさらに雪蓮に追い討ちをかける。

 

「い、いやよ!そんなの!絶対にいやっ!」

 

雪蓮は叫び自分の肩を抱え震えていた、それを支えるように管輅が抱きしめてきた。

 

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「ごめんなさい、孫策さん……でも、望みがないわけではないわ」

 

「え?」

 

「管輅よ!それは!」

 

「いいのよ、卑弥呼、これはせめてもの償いだから……」

 

「……」

 

卑弥呼は黙り雪蓮と管輅を見る

 

「ふむ、仕方ない、この卑弥呼も乗りかかった船だ、私も手助けさせていただこう」

 

卑弥呼は諦めたようにため息をついた。

 

「ふふ、ありがとう、卑弥呼」

 

管輅がお礼を言う

 

「では、今から話すことをちゃんと聞いてくださいね」

 

「ええ……」

 

雪蓮は力強く頷いた

 

「先ほども言ったように、孫策さんの記憶が消えることは決定事項になってしまっています。

しかし、それは消えるのではなく封印されるのです。」

 

「封印?」

 

「はい、人間は嫌なこと、つらいことは忘れようとします、それは脳に負担がかからないように

潜在的に行われているからです。

それが今回は全ての記憶をさらに外部からによる封印を行うので多少なりとも綻びが生じやすいのです。」

 

「そして、その綻びに我々が干渉しさらに大きな綻びにします。」

 

「そうするとどうなるの?」

 

「その綻びにより北郷さんと過ごしていた日々や呉の将たちとの記憶を少なからずですが垣間見ることが出来るでしょう。

ただ、その綻びは小さい、意識しても思い出せないでしょう。

ですが、無意識、夢の中ではその記憶が垣間見えましょう」

 

管輅は話終わり雪蓮の顔を見ると先ほどまでと違い澄んだ瞳を見て安心した。

 

「ありがとう、管輅さん、卑弥呼さんも少しは希望が見えたわ」

 

雪蓮は微笑み管輅と卑弥呼にお礼を言った。

 

「いいえ、これくらいしか我々には出来ません」

 

「そんな事ないわ、感謝してる……きっと思い出してみせる」

 

雪蓮は硬く拳を握り決意を固めた。

 

「うむ、わしも漢女として誇りを見せねばだぁ〜りんに呆れられてしまうからな」

 

「か、なに?」

 

「ふふふ、気にしなくていいのよ」

 

「ふぅん、まあいいわ、で私はどうすればいいの?」

 

「孫策さんには一度眠っていただきます。おきた時にはすでに今までの記憶は忘れているでしょう。

そして、あちらの世界での生活を行うことになります」

 

「わかったわ」

 

「どうやら、外史の生成が整ったようだ、では孫伯符よ、準備はよいか?」

 

「ええ、いつでもいいわよ」

 

(待っててね一刀……絶対に見つけるから……)

 

光がさらに強くなり雪蓮の意識が遠のいていった

 

「か、ず……と……」

 

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「眠ったようだな」

 

「ええ、孫策さんが外史に召還される前に始めてしまいましょう」

 

「うむ、しかし管輅よ、よかったのか?」

 

「なにがでしょうか?卑弥呼さん」

 

「孫伯符の記憶が戻った時に北郷殿の記憶が――――」

 

「卑弥呼さん、そんなこと言っても記憶を失っている孫策さんには意味のないことですよ」

 

管輅は微笑みながら雪蓮の髪を撫でていた。

 

「確かにそうだな」

 

「それに記憶が戻った時に孫策さんの反応も楽しみなのですよ」

 

「管輅よ、中々の悪女っぷりではないか」

 

「あらあら、そんなことはありませんよ?」

 

「ふむ」

 

卑弥呼は呆れたようにため息をついていた

 

「さぁ、はじめてしまいましょう」

 

「うむ……はああぁぁぁぁっ!」

 

「はああぁぁぁぁぁ……」

 

管輅と卑弥呼は手のひらに気を集め雪蓮のおでこに当てた。

 

「これで、何とかなったかしら」

 

「あとは本人次第といったことでであろう」

 

「そうね……孫策さん、がんばりなさい」

 

「さて、わしはもう一仕事しないといけないのでな」

 

卑弥呼は立ち上がり管輅にいった

 

「あら、なにかありますの?」

 

「うむ、あちらの外史との連絡役をな……」

 

「なるほど……でしたら、このようなのはいかがでしょう」

 

管路は立ち上がり卑弥呼の耳に何かを囁いていた。

 

「なるほど、それはいいかもしれんな」

 

「でしょ、では、早速はじめてしまいましょう」

 

「うむ」

 

二人はまた気を集め作業に取り掛かるのであった。

 

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葉月「どうも、前回のお話の続きです。なんか色々ご意見や修正箇所を教えて頂きありがとうございました。

この場を借りてお礼をさせていただきます。ありがとうございます。」

 

雪蓮「みんな言い人たちばかりね、あんたも、ちゃんと書きなさいよ」

 

葉月「はい、精進します……」

 

雪蓮「うむうむ、精進しなさいよ〜」

 

葉月「あと、あとがきについて賛否両論ですが、ここは私の戯言板みたいなものなんで見逃してください……」

 

雪蓮「別に、あなたのためじゃないんだからね!」

 

葉月「……」

 

雪蓮「なによ、何か言いなさいよ」

 

葉月「さ〜て、次回のお話ですが」

 

雪蓮「無視するなーー!ぶーぶー!」

 

葉月「そういいながら首絞めないでください!ギブ!ギブ!」

 

雪蓮「ぎぶってなに?私わかんなーーい♪」

 

葉月「ごめんなさい!ごめんなさい!止めてください!あやまりますから!」

 

雪蓮「よろしい♪」

 

葉月「はぁはぁ……で、では、皆さんまた次回――――」

 

雪蓮「お楽しみにね〜〜♪」

 

葉月「だから、言葉とらないでーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卑弥呼「ふむ、ここにいい男の匂いを嗅ぎつけて来たのだが、一足違いであったか、まあしかし、だぁ〜りんには勝てないであろうがな、ぬわっはっはっは!」

説明
前回の続きです。

前回のお話に色々なご意見や支援を頂きありがとうございます。
今回のお話は狭間の世界での話です。
それにして、仕事をしながら作品を仕上げていくのって大変ですね。
これかもがんばっていくのでよろしくお願いします。

2009/11/15:誤字修正(名前間違えるなよ……教えてくれた人感謝です!)
2010/06/21:誤字修正
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コメント
PON様>誤字報告ありがとうございます。修正させていただきます。(葉月)
誤字報告 5p 望みがないわけではないは→ないわ(PON)
ツンデレの雪蓮もええな~♪(杉崎 鍵)
記憶が戻ったときが楽しみです。(ブックマン)
雪蓮の宿願叶う事、祈っております。わたしも一刀と雪蓮の未来を望んだ一人ですので(まーくん)
本編中の卑弥呼が原作より微妙に格好良かった気が・・・後書きの卑弥呼は原作そのものだけど。 次作期待(クォーツ)
誤字報告 3p 閑雲長→関(カロン)
続きを楽しみにさせてもらいます^^(ryu-do)
雪蓮の物語、すごく楽しみにしてます!!頑張ってくださいww(雪蓮の虜)
記憶ありのパターンは多少見たことありますが、記憶封印とは。。。 展開が楽しみです(・∀・)(相駿)
誤字報告っす〜 3P あまり起こらないでね → あまり怒らないでね (相駿)
誤字 孫白符→孫伯符 ですよ(ユウ)
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恋姫†無双 真・恋姫†無双 雪蓮 孫策 卑弥呼 管輅 

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