真・恋姫†無双 金属の歯車 第十六話
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この作品を故・塩沢兼人さんに捧ぐ。ご冥福をお祈りします。

 

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「久しぶりだな」

―――曹操の元にいる天の御遣い。

「何年ぶりだ?」

―――そう。

「大きくなったな」

―――どこかでそんな気がしていた。

「どうした?」

―――叶うのならば、当たって欲しくない予感。

「感動で言葉も出ないか?」

―――しかし目の前にいるのは、

「一刀よ・・・」

―――最高に最悪の結果だった。

 

「ケイン・ウェルナー・・・トーレ・フォックス」

「ふっ」

 

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ケイン・ウェルナー/Tre・Fox

ImageCV:大塚明夫

 

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 第十六話 Tre・Fox 〜狐ノ称号〜

 

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 曹操の元に堕ちた天の御遣いは、節が付いている剣で風を切る。先ほど眼前に迫ったのはあの剣か。

「よりによってあんたなのか・・・」

「そうだ。正史のPMC連合体に雇われ、この外史を焦土に・・・というのは建前だ」

 そういうと彼は左手に力強く拳を突き上げる。

その行動と共にあたりに殺気が走る。

「死に場所・・・それを求めている」

「伝説は死体を晒せない・・・そういうことか」

 刀を正眼に構える。相手はやる気だ。ならばこちらも。

それに応じるように魏の御遣いも構えた。剣を切っ先をこちらに向ける。

「待て、ケイン!あいつは私の得物だ!」

 夏侯惇がケインの行く先を遮るように剣を突き出す。

しかしケインは何事も無かったようにその剣を手でどかす。

「よせ、春蘭・・・お前の戦い方では奴には勝てない」

「なっ!この私が勝てないというのか!?あんな女みたいな奴に!」

「違うな・・・」

 そういってケインは笑った。

冷笑ではなく楽しげな、そしてこれから起こる死合いへの期待。

「あいつは勝てもしないが負けもしない。そういう戦い方だ」

 そういって再び切っ先を一刀に向けた。

「いくぞ!一刀!!」

「こい!伝説!!」

 ケインが地面を蹴る。第一歩のはずだった。しかし彼のその一歩で一刀に一気に肉薄する。

「くっ!」

「受け止めたのは褒めてやろう!だが!」

 力の差が歴然だ。大きく切り上げられ構えを崩される。

蹴りで間合いを空けようとするが、予想外にも相手から間合いを空けてくれる。

「さすがに力は圧倒的だな。サイボーグ」

 サイボーグと言われた男は木の枝に乗っていた。昔、自分は馬鹿だから高いところが好きという話を聞いたことがある。

だが高笑いはせずに、静かにこちらを見ている。

「一刀よ、何故逃げた?」

「逃げた?」

「そうだ。お前達は曹操軍を前に逃げた。何故だ?」

 跳躍。

本能的に危険を察知した一刀は大きく後ろに飛び上がる。

彼がいた場所に穴ができあがっていた。受け止めていたら全身複雑骨折に違いない。その中央には正史で伝説と恐れられた英雄だ。

恐怖はない。だが反撃には移れなかった。

「どうした、一刀?本能のまま戦わねば・・・勝ちはないぞ」

「あんたのその武器が気になる」

「そうか・・・ならば試してみろ!」

 剣が伸びた。鞭剣の類だと思ったが当たりのようだ。構造上、強度上不可能と言われた武器。蛇腹剣だ。

もし実現したとしても、扱える人間はいないだろう。そう、目の前の伝説以外は。

予想していた答えという剣先をはじき飛ばし、ケインに下段から斬りかかる。

「笑止!」

 その言葉と共に目の横に光る物を感じる。本能的に目を守るが、何かに殴られた感覚と共に大きくなぎ払われる。

「伝説・・・伊達ではなかったか・・・」

 受け身を取り、状況を確認する。

後ろは長江。背水の陣とは巧く言った物だ。

「さて話を戻すぞ。一刀・・・何故逃げた?」

 蛇腹剣は鞭のようにケインの頭上を回っていた。

いつ反撃が来ても対処できるように。伝説に慢心はなかった。

「戦えば・・・いくつ命が奪われたか判らない」

「笑止!!」

 風を切る声。それを聞き咄嗟に回避行動に出る。

蛇腹剣がしなり、一刀がさっきまでいた場所が攻撃される。

「一刀、大局を見ろ。あそこでお前達が我々に降っていれば、後の無用な戦争も起きぬはずだ!」

「!・・・それは」

 正論だった。言い返せない。

「お前は何故この世界に来た!?劉備を覇者にする偽善ごっこをしにきたのではないだろ!

お前は、戦場や戦うという事に対して自分の考え方や立ち位置が確立できていない未熟者だ!」

「!」

 立ち上がる。

いくら曹操軍が強大で。目の前の伝説が圧倒的でも。自分の意志(Sense)が確立されていなくても。

「おやめなさい、北郷一刀」

 稟とした声が響く。反董卓連合の時に聞いた声だった。

「曹操・・・」

「あなたは男にしては素晴らしい逸材だわ」

「そうか・・・あのとき二人目といったが・・・一人目は・・・」

 その一人目は曹操の側に歩み寄った。三番目の狐が、王の側に寄りそう。

「納得だな」

「降伏なさい。貴方は良く戦ったわ。我が軍が誇る春蘭に霞。そしてケイン・・・。悪いようにはしないわ」

「悪いが・・・」

 呼吸が整う。意外なところで上玉に巡り会ったのだ。

自分が戦う理由、意志は確立されていない。しかしここに残った理由は大いに達成できそうだ。

「まだ負けてはいない!!」

 彼がそう叫んだ瞬間。爆音があたりに響いた。鳥が飛び立ち、獣たちが逃げ始める。

周辺の木々に火の手が上がりその場にいる全員を包み込んだ。

「くっ、火計か」

「お前達は華琳をつれて撤退しろ。私はこいつを仕留める」

 この状況で将である夏侯惇たちは落ち着いていたが、伝説はさらに落ち着いていた。

「ケイン!生きて帰らないとあなたの息子、斬り落とすわよ!」

「それはそれは・・・」

 曹操達が撤退を始める。それを見届け、一刀と向き合った。

「地雷を大層作っていたが、これほどの規模とは・・・着火はお前の『力』か?」

「どうだか・・・?」

 その返答にケインは小さく笑い、片手で剣を水平に構え、切っ先を一刀の喉元に向ける。

一刀も切っ先をケインの喉元に向けるように構える。

 

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「いくぞ!トーレ・フォックス!」

「こい!アトモス・スネーク!!」

 

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 刹那、一刀から感じる殺気が増した。同時に彼の目が赤く染まっていく。

血圧の上昇を感じ、頭が冴えていく感覚を覚えた。

「バーサーカーか?久しいな、この感覚!!いいぞ、いい感覚(Sence)だ!!」

 その状況を、魏の御遣いは愉しんでいた。

燃え盛る炎の中、紅い目の蛇と、最強の称号を持つ狐がぶつかり合う。

「もっと・・・もっとだ!俺に生きる実感をくれ!」

 二つの大きな気が長江に響き渡った。

 

 * *

 

 それから少しして呉。

袁術がいなくなったことにより、この地に覇を唱えた孫策は呉という国を作ろうとしていた。

その呉の軍議の途中で何かに引かれたように玲二が顔を上げた。

「どうしたの、玲二?」

 姉と同じく薄い赤毛の少女、孫権が怪訝そうに彼を見る。

「いや・・・嫌な予感がしただけだ」

 その呉を流れる長江に一人の男が流れ着いた。

後の蜀の御遣いは、魏の御遣いに敗北した。

 

 * *

 

 長江をはさみ全ての御遣いが交錯する。

そして大陸はいよいよ三国時代の変容していくのだった。

しかし正史は外史を喰らい続ける。ひっそりと・・・だが確実に。

 

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おまけ

華琳「あらぁ、桂花。随分と美味しいわねぇ」

桂花「ああん、華琳様ぁ」

三狐「ほう?で、味は?」

一刀「違和感が・・・ない!」

 

説明
真・恋姫†無双をベースにとある作品の設定を使用しています。クロスオーバーが苦手な方には本当におすすめできない。
・俺の◯GSを汚すんじゃねぇって方もリアルにお勧めできない。
・ちなみにその設定は話の本筋に関係が出てきます。
・っていうかこの作品は厨作品です
・過度な期待どころか、普通の期待もしないでください。

執筆について。
・書き溜めをしていますが現在吐き出し中。
・ただし執筆スピードが尋常じゃなく遅いので、ねばり強い忍耐が必要です。
・要するに何も変わらないって事です。
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コメント
>ブックマンさん、御指南ありがとうございました。一度回想編とか総集編とか書いてみます。1クール終わったしw(しがない書き手)
微妙にわかりません。(ブックマン)
>jackryさん、後悔はしているが反省はしていない。(キリッ(しがない書き手)
>picchiさん、某MGに関しましてはニコニコ動画などでプレイ動画を見ても損はしないと思います。近年まれに見る名作中の名作です。>キラさん、次回で詳しいお話をします。(しがない書き手)
あれ、一刀負けたの?(キラ・リョウ)
ネタは知らないけど面白い♪(*'-^)-☆(picchi)
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真・恋姫†無双 恋姫†無双 金属の歯車 恋姫無双 

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