真剣で私と戦いなさい! 5話:無理 |
鉄心「いえいえ、急にお呼びして申し訳ない」
大和「何でヴァンプさんとレッドさんが?」
レッド「川神のジーサンに聞いたぜ。怪人に狙われてるんだってな?」
ヴァンプ「レッドさんや、流石に寺で煙草を吸うのは止めてほしいんじゃが…」
寺の中だと言うのにタバコをふかしながらレッドさんが面白そうに言ってくる。
煙草をすっていることを指摘され、ポケットから携帯灰皿を出して中に捨てていた。
ヴァンプ「あ、レッドさんちゃんと使ってくれてるんですね、その携帯灰皿」
レッド「かよ子が使えってうるせ〜からだよ」
携帯灰皿はどうやらヴァンプさんたちから送られたものらしい。
ヴァンプ「まあ、大和君だったかな?怪人と戦うことになったって聞いてね」
レッド「そういうわけで、どの程度戦えるのか見ておこうと思ってな!」
鉄心「それより早く始めるぞい。皆離れるように」
学園長の真剣な声とともにルー先生がレッドさんとヴァンプさんを連れて離れる。
門下生の人たちが何やら唱え始め、結界が完成する。
右手を胸くらいまで上げて意識を集中する。
体の内部から出てくるように指輪が右手の人差し指に現れる。
大和「纏身」
俺のつぶやきに反応し、体を光が覆い隠す。
光が消えた後、視点が高くなっているのを感じる。
どうやら体格も変わっているらしい。
鉄心「ふむ、なるほどの。確かに気質が変わったの」
クリス「大和!何故ポーズをとらないっ!!」
大和「とる必要ないだろ!」
キャップとクリスが文句を言ってくる。
実は準備をしている間にキャップたちがポーズを考えていたが恥ずかしいので却下した。
レッド「へ〜、変身系か」
モロ「レッドさんは常時マスクしてますね、変身とかしないんですか?」
俺の纏身にレッドさんが興味深そうにつぶやく。
モロが興味本位でレッドさんに質問をする。
レッド「一応ファイヤーバードフォームとかあるけどな…こいつら相手に必要ないから押入れの奥にしまってるよ」
ヴァンプ「………」
ヴァンプさんを指差しながらレッドさんが答える。
フロシャイムとレッドさんの戦いは大体正拳突きだけで終わるのがデフォだ。
鉄心「まずはどの程度の力があるか…攻めてくるがよい」
何かされてるわけではないのに後ろに押されているような感覚。
攻めて来いといいながらも攻め気が失せて行く。
思いっきり踏み込んで殴りかかる。
自分でも驚くほどの速度が出ている。
鉄心「ほっ」
大和「げっ、…うぐぅっ!」
あたると思った瞬間学園長を見失った。
どうやら寸前で回避されたらしい。
さらに避けるついでに足を掛けられ、無様に地面をすべる。
恨めしそうにうつ伏せのまま学園長を見る。
鉄心「避けんとは言っておらんぞ」
某宇宙忍者のような笑い方をしながらこちらを見下ろしてくる。
大和「せめて一発くらい当ててやる!」
立ち上がり気合を入れる。
それと同時に両腕の合計6本の角がスライドする。
左腕の砲身を学園長に向け…
大和「っ!」
一本がスライドし、圧縮された空気が打ち出されるが、狙いが定まらずあさっての方向に飛んでいき、結界に弾かれた。
鉄心「どこを狙っとるんじゃ」
黛「昨日は全部命中していましたね」
大和「だから!昨日は勝手に体が動いてたんです、よ!!」
左手で右腕を固定しながらしっかり標準をつけて三つの角を一気にスライドさせる。
計三箇所で圧縮されていた空気が一斉に吐き出される。
反動が大きく発射後、僅かに体勢を崩してしまう。
ただ、昨日と違い何かが溜まるような感じが無かったのでただの空気砲でしかない。
今度は真っ直ぐ学園長に向かい、凄まじい破裂音とともに砂埃が舞った。
鉄心「ふむ、なかなかの威力じゃな」
大和「バリアか何かでも張ってるんですか?」
鉄心「受け止めただけじゃ」
凄まじい音はしたが学園長は片手を突き出した状態で一切傷が入っていない。
圧縮した空気だけじゃダメージが見込めない。
勝てないとは思っていたが差がありすぎる。
仮にも一発で怪人を弾くぐらいの威力があるのに…
鉄心「早く攻めて来んか」
大和「…化け物め」
両腕の角を再度スライドさせる。
ゼロ距離で当てれば少しはダメージが通るかもしれない。
最初と同じように一気に近づく。
しかし、初回のように大振りにならないように拳を突き出す。
軽く片手で払われていく。
隙を見て空気砲を単発で撃つが服すら破れない。
しかし、最初よりも俺の動きがよくなっていくような気がする。
鉄心「ふむ、そろそろこちらからも手を出すぞ」
言葉と同時に学園長の右手が眼前まで迫ってくる。
そろそろとか言いながらすでに出ている。
大和「ちょっ!」
手加減するのを思い出したのか眼前まで迫って拳の速度が急激に落ちた。
大げさに学園長から見て右側に動こうとする。
そこまで思考して気がついた。
体の動きが遅い。
昨日の怪人の時もそうだったが、動きが遅く見える。
どうやら変身後は集中すると思考速度が上がるらしい。
大和「(これはカウンターいけるんじゃないか?)」
思うと同時に右腕を学園長の顎目掛けて動かす。
動画をスロー再生するようにゆっくりと右腕が学園長の顎に向かっていく。
ようやく一発入れれた。
そう思ってた時期が俺にもありました。
学園長の顎まであと15cmくらいのところで集中が途切れ、一瞬のうちに左手で止められてしまっていた。
鉄心「ほう、まさかあの状態からカウンターを狙ってくるとはの…」
学長が何か言っているが気にしない。
俺は迷わず右腕の角を全力でスライドさせた。
顔面に空気砲が至近距離で当たる。
流石の学園長も顔面に直撃すれば…
鉄心「直江よ、少しは人の話を…」
若干お怒り気味なのか青いもやもやしたものを全身に纏わせる『無傷な』学園長が立っている。
青いもやもやが人型になって…
鉄心「聞かんか!!!」
顕現の参・毘沙門天。
後で聞くことになるが、学園長の持つ技の中でも最速らしい。
姉さんでも避けれない。
それを目の前に俺は立ち尽くしていた。
生命の危機に反応したのか先ほど以上に加速した思考。
しかし、思考に体が全くついていけず、立ち尽くすしかない。
これが走馬灯か…
ファミリーの思い出が脳裏を過ぎていく。
せめてもの抵抗に瞼を閉じようとする。
俺の視界いっぱいに青白い拳が迫った所で俺の目はようやく閉じていた。
ほぼ同時に意識も閉じた。
がやがやと話し声が聞こえる。
キャップの声がやたら大きくてはっきり聞こえる…
目を開けると天井は無く、青空が広がっていた。
頭の下に柔らかい感触。
実に柔らかい。そして、暖かい。
京「あっ、大和起きたみたい」
京の声に反応して、足音がこっちに近づいてくる。
このままでは理性が決壊しそうなので上半身を起こす。
京が舌打ちしてるが気にしない。
鉄心「すまんすまん。ついやってしもうたわい」
ルー「ついで奥義使われてたら掟は要りません」
軽くトラウマモノだよ。
レッド「しかし、代打が決まってよかったぜ」
大和「代打?」
野球の話だろうか?
ヴァンプ「実は今度の日曜日にうち(フロシャイム川神支部)のプロモーションビデオ撮ろうと思ってたんだけど…」
レッド「めんどくせ〜」
ヴァンプ「って、レッドさんが言うからさ…大和君、代わりにお願いできないかな?」
大和「いや…
百代「もう決定事項なんだけどな」
拒否権無いのかよ!」
どうやら俺が気絶している間に話は大体まとまってらしい。
俺が基本的に対怪人戦を想定して訓練しなくてはいけないとの事で、フロシャイムの人たちにも手伝ってもらうことになったらしい。
代わりに俺はレッドさんが忙しい(面倒くさい)ときに、レッドさんの変わりにフロシャイムの方たちと戦うことに…
ヴァンプ「当然、学生さんだから放課後とかの学校行事に支障が出ないようなときだけだから大丈夫だよ」
大和「いや、フロシャイムの人たちが手伝ってくれるのにレッドさんの代わりって…」
レッド「つべこべ言うな、なんなら俺が戦い方を教えてやってもいいんだぜ」
指を鳴らしながら言われれば肯くしかないわけで…
モロ「それで、とりあえず業者さんにヒーロー登録しないといけないから皆で設定考えてたわけだよ」
モロがさっきまでの話し合いについて教えてくれる。
道理でキャップが五月蝿いわけだ。
大和「設定って、どんなこと書くの?」
レッド「俺の場合は太陽の力を〜…って感じのことだ」
岳人「生い立ちとかは個人情報だから書かなくていいんだとよ」
ヴァンプ「あ、主な敵対組織は『悪の秘密結社 フロシャイム』でお願いね」
一子「必殺技の項目とかあるわよ」
大和「…それよりさっきの模擬戦の結果はどうなったの?」
百代「変身するだけあって身体能力は高いみたいだな。でも、動きが大振りすぎるな、それは今後の指導でどうにかなるだろ」
ルー「それに、手加減されていたとはいえ鉄心総代の毘沙門天の直撃を受けて気絶だけですんだ頑丈さもいいネ」」
鉄心「何より目が良いようじゃな。あの時のカウンター、見てから動いたな?」
大和「はい、集中すると走馬灯みたいにスローで見えるんで…」
毘沙門天の時は本当に走馬灯だったかもしれないけどね。
岳人「すげぇな、でも何ででかい奴の時は避けなかったんだ?」
大和「スローで見えても体の動きが速くなるわけじゃないみたい」
記入用紙を受け取りさっと眺める。
武器、必殺技、特殊能力等様々な項目がある。
そして、名前の欄を見て思い出した。
大和「そういえば『ジガ』って誰だろ?」
ヴァンプ「『ジガ』?」
大和「怪人が俺を『ジガ』って奴と勘違いしてただろ?あいつらと戦ってるヒーロー何じゃないかなと思ってさ…」
レッド「業者に聞いてみるか」
ヴァンプ「私も本部の方に聞いて見ましょうか」
そう言ってレッドさんは電話を借りに行き、ヴァンプさんは携帯を忘れてしまったため一度本部に戻ってしまった。
レッドさんの方は残念ながら収穫なし。
いろいろ調べたが該当しそうな組織、ヒーローは登録されたいないらしい。
ただ、ヒーローとして登録しない人たちもいるらしいのでヴァンプさんを待っている。
帰ってくるまでに登録用紙に記入する内容を話し合うことになった。
キャップ「まずはポーズだ!」
大和「指輪出して『纏身』って言うだけでいいの」
指輪を出して手を振る。
原理は分からないがとりあえず変身ヒーローの欄にチェックを入れる。
モロ「そういえばその指輪ってキャップのお父さんが持って帰った石(?)から出てきたんだよね?」
一子「キャプのお父さんとは連絡取れないの?」
キャップ「いや、今アフリカの方に行っててよ、遺跡に入ってから連絡が途絶えてるんだよ」
モロ「一大事じゃないか!」
百代「でもよくあることだからな、一週間ぐらいしたら出てくるんじゃないか?」
黛「本当に冒険家ですね」
松風「大冒険だYO!」
レッド「話し逸れてるぞ。名前とかどうするんだよ?」
京「ヤマトでいいのでは?」
大和「『正体を秘匿する』にチェック入れてるのに何で本名にしてるんだよ」
黛「ジガと言う方と間違われているようですし、似た名前にすればいいのではないでしょうか?」
岳人「カタカナで二文字だし…キラ?」
モロ「駄目だ!!」
百代「どうした、モロロ?」
モロ「ごめん、なんだか急に腹が立って…、なんだかさ、新世界の神になるとか言い出しそうじゃない?」
その後名前について考えているとヴァンプさんが戻ってきた。
大和「どうでした?」
ヴァンプ「うん。本部の方に確認してみたら情報あったみたい」
レッド「で?もったいぶってないでさっさと言えよ」
ヴァンプ「『ジガ』って子、鎌倉にいるらしいよ」
あとがき
ここまでよんでいただきありがとうございます。
絶賛風邪気味ですが、皆さんは風邪には気をつけてくださいね。
今回から台詞の前にキャラ名振りました。
登場人物が大目であるのと文章力が…
それはそれとして、ようやくサンレッド陣営登場。
悲しいけどレッドさんの出番これで当分無いのよね…
次回は日常。
ヒロインは不死川心。
* ゚・*:.。.:*・゜+ d(*´∀`)b うそです +.:*・゜゚・*:. *
補足
大和の強さが分かり難いと思うので大まかな能力について説明します。
身体能力は流石に人間やめてるだけのことはあり、マルさん以上。
武術が使えるわけではないので純粋に戦うとマルさんに負ける。
両腕が空気砲になっております。
本当は気弾を飛ばせたりするけど、大和は気の扱いとか知らない。
イメージはA○MSのジャ○ウォックとTHEビッ○オーのビッ○オーのサドンインパクトです。
スーパーロボットは男のロマン。
最大の強みは体感時間を異常に伸ばせること。
ただし、本人が高速移動できるわけではないのと、実際の時間では今のところ最長で1秒が限度。
毘沙門天の時のように拷問でしかない。
総合すると、百代>>まゆっち>>(越えられない壁)>>大和(変身後+体感時間延長)=マルさん>>大和(変身後)>クリス>ワン子>>(一般人の壁)>>>大和(通常)
くらいです。
あくまで目安なので…
説明 | ||
鉄心と組み手を行うことになった大和。 その場には天体戦士サンレッドとフロシャイム幹部ヴァンプ将軍が立ち会うことに… 4話が3話になってた\(^o^)/ |
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コメント | ||
キラ・リョウ様、身体能力はマルさん以上ですが、技術面が素人なのでワン子にも負ける可能性は高いです(ろしあ) thule様、アニマルソルジャーはそのうち出てきますが、ヘンゲル将軍は…(ろしあ) じーさん、強すぎだろwww あと何気に変身したらマルさんより強いんだな。(キラ・リョウ) アニマルソルジャーや痴将ヘンゲル将軍が欲しい・・・(thule) |
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