三題噺でSSその2
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 広大な麦畑で男は焦っていた。

 二十四時間以内にとある男を連行しなければならないのだが、タイムリミットが刻一刻と迫っているのだ。

「クソッ! 口に白い髭を蓄えた赤い服の老人なんて何処にいやがるんだ!」

 男をそう言って、麦畑の中を黙々と捜索する。

 男の捜している男とは、かの有名なサンタクロースである。

 政府が彼に与えたミッションは、サンタクロースの捕獲。サンタクロースを我が国だけで独占するという魂胆である。その計画に政府機関の現場捜査官である彼が借り出された。

 懸命に探している彼の携帯から着信メロディが鳴り響く。男は携帯をポケットから取り出し、応答する。

「俺だ。白い髭のじいさんの所在がつかめたのか!」

 男は少し怒鳴り口調で電話先の相手に話しかける。

「ここから北東三メートル先に潜伏してるだとっ! 分かったすぐ向かう」

 男は携帯を再びポケットにしまうと、メッセンジャーバックから小型のペンライトを取り出すと、北東の方向へ走り出す。

 指示されたポイントに着くと、そこにはミッション通りの男が焚き火でマシュマロを焼いていた。

「動くなっ! お前さんがサンタクロースだな? 大人しく投降してもらおうか?」

 男はメッセンジャーバックから小型の銃を取り出し、サンタクロースに向ける。

 サンタクロースは向けられた拳銃に動揺する様子も無く、焼いていたマシュマロを男に差し出す。

「フォッフォッフォ、そんな拳銃なんて向けずに一緒に焼きマシュマロを食べないかね?」

 サンタクロースの誘いに男は少し戸惑ったが、応じることにした。

 数時間後、男とサンタクロースはすっかり意気投合していた。

「ワシは、これから用事があるからお前さんに付き合ってられないのじゃ。その代わり、ワシの友人をお前さんらに寄越そう」

 そういってサンタクロースは何やら携帯で人を呼び出す。

 

 呼び出してやってきたのは、なんと……ブラックサンタだったとさ。

 

 

 終わり

説明
時期的にクリスマスネタだと思います。
ただ、オチのパンチは若干弱めです。

お題
・24時間
・サンタクロース
・麦
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タグ
オリジナル 三題噺 クリスマス サンタクロース 

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