「柘榴」という名の誘惑 |
「ただいまー」
って、誰もいないけど何となく言ってしまうのはオレが一人暮らしだからであって、本当は誰かに迎えてもらいたいって思ってたりする。
「まぁ、そんなことありえないけど…ね?」
いや、ありえなくなかった。
『……久しぶりだな、<オレ>』
うん、何かの間違いだ。
だって<俺>がここにいるはずないんだもん。
『何で<俺>がここにいるかわからないって顔をしているな』
「え…あ、うん?」
言い当てられてしまった。
だって今日はあの人からの勝手な贈り物である「柘榴」を食べていないし、だからここに<俺>いるわけない。
『お前はすぐ顔に出るからな、わかりやすいし見ていて飽きない』
ククッと喉の奥で<俺>が笑って言う。
やっぱりこいつに隠し事は出来ないみたいだ。
『まぁ、俺の気まぐれだと思ってもらっていい』
「気まぐれ…?」
どういう意味だろう?
『それより』
スッと立ち上がってオレに近づいてくる<俺>。
同じ顔のはずなのになんでこんなに違うんだろう。
っていうか、そもそもこいつはオレのはずなのに。
「な、何だよ」
あぁ、自分に圧されてるって実際ありえないよな。
ていうか、そもそもこの状況自体がありえないのになんとも感じないとはどういうことなのだろうか。
なれって怖いよなぁ。
『やらせろ』
「……はい?」
なんてことを考えていたらいきなり<俺>の顔が間近にきていて、驚いた。
え、やるって、何を…?
『二度も同じことを言わせるな…俺は、今ここでお前を抱きたいんだ』
……冗談だよね?
「ちょ…ってぅわぁ!」
い、いきなり押し倒された!!
「ちょ、っと待って!え、いきなりなの?オレの都合とかは…」
『そんなもの、ないな』
にやりと笑って言う<俺>の表情にゾクッと背中に何かが走った。
オレの苦手な、捕らえられ、逃げられなくなった獲物をじっくりと味わおうとしている獣の目だ。
『大人しくしていれば痛くはしないぞ』
無駄だとわかっていても抵抗するのは自分にもまだ理性が残っているからで。
「そんなこと言って、いつも痛くしてるじゃないか!」
『それはお前が大人しくしないからだろう…まぁ、もっとも全く抵抗されないのも面白くないがな』
そういいながらオレの体を弄るようにする<俺>に体が反応してしまう。
あぁ、こうやっていつも流されるんだよなぁ、オレって。
でもそれが嫌じゃないなんて思うのって、やっぱり変なことなのかな?
「…ぅん」
目が覚めて体を起こすともう日が高いところに昇っていた。
「あ…会社、遅刻だ」
行かなきゃ御堂さんに怒られるなぁ、なんて思うのに体が重くて言うことを利いてくれない。
どうしよう、と思っているとテーブルの上においてある一枚の紙が目に留まった。
「……<俺>?」
そういえば、あいつの姿が見えない。
またいつものように夢なのかと思ったけど、今度ばかりは違うという確信があった。
なぜかはわからないけど。
「あー、俺の代わりに行ってくれたってことかな?」
元は同じ人間なんだから、別におかしくはないはずだ。
ただ、違和感はあるかもしれないけれど、御堂さんだってそこまで気づきはしないだろう。
あ、でもあの人以外とオレの事見てくれてるからなぁ。
「<俺>なら何とか言って言いくるめそうだけどなぁ」
きっとそうするんだろう。
そうだとわかっているからオレも焦ってない。
それにあいつのほうがオレよりも仕事早いし。
「なんか自信なくなってきたなぁ」
自分と比べるってのも変だと思うけど、あいつは<俺>であってオレじゃないし。
「何してればいいんだろう?」
<俺>がオレの代わりに出社してくれたのは嬉しい。
でもあいつが帰ってくるまでの間、何をしていればいいのかわからない。
「まぁでもたまにはこういう日もいい、よな…?」
そう思ったらなんだか気分が落ち着いてきて、瞼が重くなってきた。
あ、そういえば今日御堂さんから言われている資料の提出日だ。
まぁいっか、<俺>がきっとうまくやってくれるだろうし。
あいつがいるだけでこんなにも安心できるなんて、やっぱりオレどうかしてる。
こんな状況絶対におかしいのに、当たり前のように受け入れようとしてる。
目が覚めて、あいつがまだいたらお礼しなきゃな。
だから、今は…今だけは……
後書き
あーっとね、うん、ごめんなさい!!
ていうかやっぱりわかんなくなりそうだから眼鏡は『』で書きました
柘榴出てきてないけど一応柘榴ネタのつもりです。。。
てか柘榴って実際美味しいよねww
結構好きですよ、うちは
眼鏡の好物らしいよ、柘榴はね
ノマは柘榴見たら警戒しそうだけど…
ていうかノマは眼鏡のこと好きなんだけど認めたくないんだよね
だから抵抗するけど結局流されるとゆー
そんな彼らが大好きですww
12月はクリスマスもあるけど克哉の誕生日もあるんですよねーww
ちなみに克哉バースデーはおそらく先にうpするかと思います
クリスマスと同じ位にうpできたらいいなって思ってる
あ、クリスマスはメガミドとROAで書きたいなぁって思ってマスッ!
その前に何かうpできたらするけど、、、たぶんできないだろうなぁorz
ではまた次の作品にて〜ノシ
説明 | ||
鬼畜眼鏡 眼鏡克哉×ノーマル克哉 Mr.Rからもらった柘榴を食べた時だけ会えるもう一人の眼鏡をかけた自分に会うことを密かに楽しみにしている克哉。 相手も自分だということはわかっている克哉だったが、それでも気持ちは抑えられなくて… 初の柘榴ネタで、甘い…かな? やっぱり眼鏡が鬼畜じゃないかと思われる← |
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