真・恋姫無双another 風ストーリーその9
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洛陽へ向かう一つめの関門、水関を突破する事が出来ました。

無傷と言うわけにはいきませんでしたが、予想以上の順調さで抜けることが出来たのはいいことでしょう。

 

ですが、諸侯の中には不満も生まれました。

 

まずは曹操さん。

 

曹操さんの陣営は、結局華雄さんを討ち取る事も、水関を落とす事も出来ずただ被害を被っただけでした。

これは結果なので仕方ないわけですが、それで納得が出来ても気分がいいわけありません。

 

もう1人は袁紹さん。

後方にいたので仕方ないのですが、気が付いたら水関を落としていたという事に不満があるようです。

 

そんなわけで、次の虎牢関では、若干配置が変わりました。

後方に私達公孫賛軍と、劉備軍。

中段に、袁紹軍。

前衛の左翼が曹操軍、右翼が袁術軍、中央を西涼その他の軍という事になりました。

 

水関で活躍した私達と桃香さん達を後ろに下げ、自分達を前線にする事で活躍しようというわけでしょうか。

同じく水関を落としたという事で活躍したであろう袁術軍が前衛左翼なのは、袁紹さんと袁術さんが身内だからでしょう。

曹操軍が前衛中央ではなく左翼なのは、次の虎牢関を守るのは呂布さんと水関より撤退した張遼さんなので、さすがに中央は危険という判断でしょう。

西涼その他の皆さんは、袁紹さんには逆らえなかったというところでしょうね。

 

正直、この配置には満足しています。

今私達はけが人を抱えています。

出来たら、虎牢関ではあんまり動きたくなかったので、そういう意味では後方に下げてもらえて助かったというのが本音です。

なので、私達から不満は出ませんでした。

 

ここまで敵が来ることもあんまり無いだろうから、虎牢関は安心だろう。

何となくそう思っていたのですが、その思いは見事に打ち砕かれました。

 

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虎牢関が見えてきました。

水関も凄いと感じましたが、虎牢関はそれ以上の存在感です。

 

前線はかなりの緊張感でしょう。

私達はと言うと、そこまでの緊張感はありません。

後方という事で危険はそこまでないだろうというのがその理由です。

 

逆にここまで敵が来るという事は、袁紹さんのところを抜けてきたという事でそれは連合の負けを意味します。

これは正直最悪の事態です。

そうなりそうな時には、私達も前線に回らないといけないでしょう。

ですが、そういう事態にはならない。

何となくですが、私はそう思いました。

 

念のため後方に警戒をしつつ、私はまだ起きてこないお兄さんと華雄さんを見舞いました。

 

天幕に入ると二人ともまだ寝ていました。

 

「これは、程c様・・・。」

「お兄さんと華雄さんの様子はどうですか〜?」

「お二人とも命の危険はないかと思われます。」

「そうですか〜。」

 

軍医さんの話を聞きホッとしました。

ここでは満足な治療など期待できません。

なので、ちょっとしたキズが致命傷になる事もあり得るのです。

ですが、お兄さんも華雄さんも大丈夫だという事です。

 

私は、しばらく二人の様子を見ていたのですが、急に天幕の周りが騒がしくなりました。

天幕を出ると近くにいた兵士さんに聞きました。

 

「どうしたのですか〜?」

「後方に敵の軍勢が現れました!!」

「敵軍の数はいくつくらいですか〜?」

「報告では、多くて三千程度との事です。」

「ならそれほどでも〜。」

「ですが、それを率いているのが張遼なのです!!」

「張遼さんですか〜!?」

 

これには驚きました。

伏兵はいるであろうと思ったので、後方への警戒を怠ってはいなかったのですが、よりにもよって張遼さん自ら来るとは想定外です。

率いているのがわずか三千の兵士さんでも、張遼さんなら私達の軍などモノの数でもないでしょう。

これはまずい事になりました。

 

「今すぐ、星ちゃんと稟ちゃんを呼んで下さい〜!!前線近くにいるはずなので〜!!それと桃香さんの元に行き、白蓮さんも早く!!」

「御意!!」

 

近くにいた兵士さんに皆さんを呼びに行くようにお願いしました。

 

「風・・・、この事態はどうしたのです?」

「何やら慌ただしいが?」

 

兵士さんが呼び行くより早く星ちゃんと稟ちゃんが戻ってきていました。

 

「後方に敵部隊が現れたのです〜。率いているのは張遼さんらしいです〜。」

「張遼が!?」

「それはまずいですね。」

「伏兵はいるだろうという事で後方への警戒は行っていなかったのですが、張遼さんとは想定外でした〜。」

「これは、私の出番だな。」

 

そう言って星ちゃんが槍を振るいます。

そして、張遼さんのいる後方へと駆け出そうとしましたが、その必要はありませんでした。

 

「おしゃべりしとる暇はないで!!」

 

そう言って私に向かって槍が振り落とされてきました。

 

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切られる!!

 

そう思いましたが、その槍は別の槍にはじかれました。

星ちゃんが助けてくれたのです。

 

「風、大丈夫か?」

「大丈夫です〜。」

「おっ、なかなかできるやつもおるやん。」

 

そう言って馬上から見下ろすその姿にはものすごい迫力がありました。

先ほど現われたといっていた張遼さんです。

部隊の後方からここまでそこそこの距離があります。

なにより、間には兵士さんが何十人もいたはずなのですが、すでにここにいるという事は後方の部隊は全滅してしまったのでしょう。

 

「あー、安心しとき。あんたらの兵士達はウチが峰打ちで気絶させておいたさかい、じきに目覚ますやろ。まあ、そう言うてもうちの兵士に見張らせてるけどな。」

 

そう言って張遼さんは大笑いをしました。

正直、この虎牢関で警戒すべきは呂布さんで、張遼さんはその次位に思っていました。

ですが、この張遼さんも呂布さんに負けず劣らずの猛者のようです。

ただ、こちらにも猛者というべき人物がいます。

そう、星ちゃんです。

星ちゃんは、私達と張遼さんの間に割り込みました。

 

「兵士達の命を取らずにいた事は感謝しよう。だが、ここは戦場。いつ己の命が取られるとも分からない場所だ。」

 

星ちゃんの言葉に大笑いしていた張遼さんが黙りました。

そして、真剣なまなざしで星ちゃんを見ます。

 

「せやな、ここは戦場や。せやかて、あんたらの中にウチの命取れる奴おるんか?」

 

この言葉に星ちゃんが槍を振るいながら言いました。

 

「この公孫賛軍一の武の使い手趙雲!!我が槍の前にも後ろにも敵などおらぬ!!」

「ほぉ、あんたが華雄を討ち取った趙雲かいな。これは楽しめそうや。」

 

そう言って、張遼さんが槍を構えます。

同時に星ちゃんも槍を構えました。

 

私と稟ちゃんは邪魔にならないように離れました。

周りの兵士さん達、張遼さんの兵士さん達もその雰囲気に動きを止めました。

 

「行くで!!やぁ・・・!!」

「はぁ・・・!!」

 

先に仕掛けたのは張遼さんでした。

その高さを生かし、頭上から槍を振り落とします。

ですが、星ちゃんはその攻撃をいとも簡単に弾くと槍を突き出しました。

槍を弾かれ状態としては死に体の張遼さんでしたが、星ちゃんの攻撃を槍の柄の部分で上手くかわしていきます。

 

張遼さんは馬に乗っていて片手を手綱に取られているので、星ちゃんが有利かと思いましたが、張遼さんは馬を自分の体のように操り星ちゃんの攻撃をかわしていきました。

星ちゃんも張遼さんの重い一撃を受けながら、その一方で攻撃もきちんと仕掛けていきました。

 

そんな感じに一進一退の攻防が続きます。

 

私には武の心得があんまり無いので分かりませんが、魅せられるというのはこういう戦いのことを言うのでしょう。

変な話ですが、まるで舞を舞うかのようにしなやかに且つ大胆に動く二人の戦いに、私達はもちろん兵士さん達もただただ黙って見るしか出来ませんでした。

 

と、ここであの人が戻ってきました。

 

「張遼が襲ってきたんだって!?」

 

白蓮さんです。

呼びに行ってもらってからだいぶ経っての登場です。

白蓮さんの登場で、その場の空気が一瞬緩やかになりました。

と、ここで星ちゃんに若干の気の緩みが出たのでしょう。

 

「隙ありや!!もろうたで!!」

 

そう言って張遼さんの槍が星ちゃんを襲います。

 

「しまった!!」

 

星ちゃんはすぐに防御行動に移しましたが間に合いません。

槍が星ちゃんの目の前に来た時、何かが星ちゃんと槍の間に割り込みました。

 

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「大丈夫か、趙雲・・・。」

「華雄!!」

 

そうです。

そこに割り込んだのは、天幕内で寝ていたはずの華雄さんでした。

兵士さんが使う槍で、張遼さんの攻撃を防ぎました。

 

張遼さんは唖然としましたが、すぐにその状況に気付き馬から下りました。

 

「華雄!!生きてたんか!!」

 

そう言って、華雄さんを抱きしめました。

あまりの事に私達も星ちゃんも白蓮さんも、そして兵士さん達もただただ唖然としてました。

 

「霞、いきなり抱きしめるな!!恥ずかしいではないか!!みんな驚いているぞ!!」

 

華雄さんの言葉に張遼さんは抱きしめるのをやめて周りを見ました。

確かに突然の行動にみんな一様に驚いていました。

 

「華雄は死んだ思うてたから、生きていて嬉かったんや!!」

「私も水関が死地と思っていたがな。どうも私にもまだ役目があるらしい。」

 

二人の世界に入ってしまっていますが、置いてかれた私達はどうすればいいのでしょう。

稟ちゃんを見てもただ苦笑いをするだけでした。

星ちゃんも覇気が抜けてしまったかのように呆気に取られています。

となると、話を進めるには白蓮さんしかいません。

私は白蓮さんを促し、無理矢理二人の間に割り込ませました。

 

「あー、話をしているところで悪いんだが、ここは戦場で張遼は敵だ。この意味がわかるか?」

「せやったな。それじゃ、趙雲。さっきの続きやろうや!!」

 

そう言って再び槍を構える張遼さん。

星ちゃんも槍を構えなおそうとしましたが、それを華雄さんが遮りました。

 

「なんや、華雄。邪魔せんといてや!!」

「霞、私達は勝てない。」

「んな事わかっとる!!せやかて、うちらはこうするしかないんや!!こうやって時間を稼いで少しでも月達に有利に・・・。」

 

ここで、張遼さんははっと口を手でふさぎました。

ですが、私にははっきりと聞こえました。

時間稼ぎという言葉と月という名前を。

 

「張遼さん、時間稼ぎとはどういうことですか〜?あと月さんとは〜?」

 

私が問いましたが、張遼さんも華雄さんもバツの悪そうな顔をしています。

 

「華雄殿が気絶する前にも月という名前を口にしていました。それと関係あるのですか?」

 

稟ちゃんがさらに追い討ちをかけます。

これ以上隠し通せないと判断したのか、張遼さんが口を開きました。

 

「分かった。あんたらには話すわ。華雄が身を置くくらいや。信用できるやろう。せやけど・・・。」

 

そこまで言って張遼さんは周りを見回しました。

兵士さん達の事でしょう。

なんだか変な雰囲気になっていますが、ここは戦場です。

そして、私達と張遼さん達は敵ですから戦いあう間柄になります。

どちらかが安全を保障しなければ、その状態になるまで戦う他ありません。

ここでは、白蓮さんが言いました。

 

「張遼の兵士達の身の安全は保障しよう。我が軍の兵士達の命も奪わずにいてくれたようだからな。」

「さよか。それなら安心して話せるわ。」

 

そう言って、私達と華雄さん、張遼さんは天幕へと行きました。

兵士さん達は戦闘の後片付けと負傷した兵士さんの治療にあたりました。

 

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天幕内に入ると、寝ていたはずのお兄さんが起き上がっていました。

 

「北郷!!大丈夫か?」

 

みんなでお兄さんを囲みます。

 

「心配かけてごめん。もう大丈夫だよ。」

「よかった・・・。」

 

白蓮さんは目に涙を浮かべお兄さんの手を握っています。

そんな様子に星ちゃんが意地悪を言いました。

 

「白蓮殿・・・。いくら好きな相手でも、そこまで露骨だとこちらが恥ずかしくなってしまいますぞ。」

 

星ちゃんの言葉に白蓮さんは慌てて手を離し涙を拭きました。

 

「う・・・嬉しかったんだから仕方ないじゃないか。星は違うのか?」

「私ですか?私は・・・、こうですな。」

 

そう言った星ちゃんは、お兄さんの横に立ちその顔を掴むと自分の胸元へ押し込みました。

星ちゃんの豊満な胸で、お兄さんは窒息しそうです。

 

「白蓮殿、これくらいしないと殿方の心は掴めませんぞ。」

「それはいいが・・・星、北郷が死にそうだぞ。」

「おっと・・・。」

 

白蓮さんからの指摘で、星ちゃんは手を離しました。

苦しそうにしながらもなぜか笑顔のお兄さん。

そんなお兄さんの様子に稟ちゃんが言いました。

 

「星殿の胸を弄ぶ一刀殿・・・。ぷはぁ。」

「はーい、トントンしましょうね〜。」

 

久々の鼻血噴出です。

そんな稟ちゃんの首を後ろから叩きました。

稟ちゃんの想像力にはいつも感心させられます。

 

こんな私達の様子に華雄さんはただただ呆れるばかりでした。

ですが、張遼さんは違いました。

 

「あははは。なんや、楽しそうな連中やなぁ!!」

 

そう言って大笑いしています。

そんな張遼さんに気付いたお兄さんが聞きました。

 

「白蓮、この人は?」

「ああ・・・、こ『ウチか?ウチは張遼や!!よろしゅうな!!』。」

 

白蓮さんが紹介するより早く自分で名乗り手を差し出す張遼さん。

そんな張遼さんの様子に呆気に取られながらもお兄さんは手を差し出し握手しました。

 

「そっか、君が張遼か。って、張遼って敵じゃないのか!?」

「まぁそうだったんだが、和解したというか何というか・・・。」

 

白蓮さんは歯切れの悪い言い方をしました。

なので、お兄さんも白蓮さんの言葉に半信半疑のようです。

そんな二人の様子などお構いなしに、張遼さんは話を進めました。

 

「まあ、そういうこっちゃ。だから今は敵やのうて・・・、せやなぁ、同志っちゅう感じやな。」

「同志・・・。」

「それより、ウチは名乗ってんで。あんたの名前も教えんかい!!」

「あっ、そうだったね。俺は北郷一刀。よろしく〜。」

「おー、あんたが噂の“天の御遣い”か!!」

「俺ってそんなに有名人?」

「なんや、自分知らんのかいな。天の御遣いゆうたらもう都はおろか大陸中に知れ渡ってるで!!」

「えー!!」

「天の御遣いが現れた。それならこの大陸にも平和が訪れるっちゅーてな。」

 

稟ちゃんに話をして噂を広めておいて正解でした。

この不安定な情勢の中、大陸を救う天の御遣いの噂の広がり方は凄かったようです。

利点があるか予測できない状況でしたが、少なくとも民の心にいい影響を与えてくれているようです。

 

「それよりも張遼殿。話していただきたいのですが・・・。」

 

稟ちゃんはそう言って張遼さんを促します。

確かにこのまま黙っていたらお兄さんの話に終始しそうです。

 

「せやな・・・。だけど・・・。」

 

そう言って、張遼さんは腰に差していた短剣を取り出しお兄さんのいる方向に投げました。

突然の事に、私や稟ちゃん、白蓮さんにお兄さんは全く動けませんでした。

星ちゃんと華雄さんは、張遼さんの行動に気付きましたが、あえて止めなかったようです。

その答えはすぐに分かりました。

 

「ぐわっ!!」

 

張遼さんの投げた短剣は、天幕を抜け外に届いたのですが、同時に人の声がしました。

その声を確認すると張遼さんはすぐに外に飛び出しました。

私達も慌てて追いかけます。

 

「そいつを捕まえるんや〜!!」

 

張遼さんが兵士さん達に声をかけます。

見ると、腕を押さえた人が逃げています。

見かけない顔なので、ひょっとすると別の陣営の人間なのでしょう。

 

その人は兵士さんの間をぬうように逃げました。

 

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しばらくは逃げていましたが、張遼さんの声に反応した兵士さん達に囲まれつつありました。

さすがにこの状況では逃げられないと判断したのでしょう。

ガリッという鈍い音がしたかと思うとその人は倒れました。

近づくと、口から血を吐いて既に死んでいました。

あらかじめ毒を仕込んでいたようです。

 

張遼さんはその人に近づき首をはねようとしました。

ですが、お兄さんがそれを止めます。

 

「なんで止めるんや!!こいつは明らかにどこかの間諜やで!!その首を見せて相手を探すんやろ?」

「いや、そんなことはしない。既に死んでしまった人間にそんなこと出来ないよ!!」

 

お兄さんの言葉に張遼さんはたじろぎました。

そして、私達を見ます。

私達はお兄さんがこういう人だって分かっているのでもう呆れる外ありません。

華雄さんは我関せずで通すようです。

 

こんな私達の様子に張遼さんも納得したようです。

 

「分かったわ!!好きにすればええ!!」

「ありがとう。それじゃ、この人はその辺りに埋めてあげよう。」

 

そう言って、お兄さんはその人を抱きかかえようとしました。

ですが、怪我をした腕ではそれは無理です。

そこですかさず星ちゃんがその人を抱きかかえました。

 

「北郷殿。どこに埋めるのだ?」

「あー、あの辺でいいんじゃないかな。」

 

そう言ってお兄さんは穴を掘ると、星ちゃんがその穴にその人を埋めました。

その埋めた場所の上にちょっと大きめの石を置きました。

墓標でしょうか。

そして、お兄さんが手を合わせました。

 

「甘ちゃんやなぁ。せやけど、それが天の御遣いっちゅーもんか。」

「分かんないよ。けど、俺は俺の思ったとおりの行動をしているだけだよ。」

 

この言葉に張遼さんは笑いました。

お兄さんはそんな張遼さんの反応を不思議そうに見ています。

 

「おもろいなぁ。あんたなら月を、この大陸をどうにか出来そうな気がしてくるわ。」

「月?月って何だ?」

 

お兄さんが問いかけます。

月というおそらく名前だと思うのですが、先ほどから何度も聞いているのですがその正体が分かりません。

その話を聞こうとした時にこの騒動です。

聞いてはいけない事なのでしょうか。

 

「月の事とか話そう思ったけど、ここじゃあかんなぁ。せや、このまま洛陽まで一緒に行くわ。」

「えっ、それってどういう?」

「ウチもあんたらの仲間になるっちゅー事や。華雄も身を置いていることやしな。」

 

突然の仲間宣言。

確かに、一緒に天幕に来た時点で仲間になったようなものでしたが、改めて言われるとビックリします。

 

「じゃあ、張遼。私達と一緒に戦ってくれるという事か?」

「そう言う事や。これからウチは公孫賛軍に身を置くで。」

「これは心強い!!」

「改めて名乗らせてもらうわ。ウチは張遼、真名は霞や。これからよろしゅう!!」

「真名もか?」

「真名くらい預けられんで、仲間になったとは言わんやろ。」

「それもそうだな。私は公孫賛、真名は白蓮だ。」

「我が名は趙雲、真名は星。」

「私は郭嘉、真名は稟です。」

「風は程c、真名は風と言います〜。」

「俺は・・・。」

「一刀やろ?さっき聞いたからいいわ。」

「そんなぁ・・・。」

 

お兄さんがガクッと腰を落とします。

そんな仕草にみんなで笑いました。

 

「霞が公孫賛軍に加わるのなら、私も加えてもらえないだろうか?」

 

華雄さんもそう言って手を差し出してきました。

 

「大歓迎だよ。」

 

そう言って白蓮さんはその手を握り返しました。

 

「改めて名乗ろう、私は華雄。真名は・・・ない。」

「真名がない?」

「ああ。だから、私はそのまま華雄と呼んでくれ。」

「分かったよ。」

 

なぜ真名がないのか。

白蓮さんは深くは聞きませんでした。

真名を付けない部族や人もいると聞きます。

華雄さんはそう言った所の出身なのでしょう。

 

こうして、霞さんと華雄さんが新たに加わりました。

虎牢関の憂いが一つ解消されたわけですが、まだ呂布さんがいます。

前線の皆さんが負けるとは思えませんが、気を引き締めるに越した事はありません。

この後、この引き締めが功を奏する事になります。

 

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あとがき

 

すみません、またまた時間がかかってしまいました。

反董卓連合の2回目です。

虎牢関なのですが、風達が後方になるのは規定事項でした。

そして、伏兵で襲われるのも規定事項。

ただ、その襲う役を霞にするか恋にするかで何度も書き直して結果この形になりました。

 

相変わらず戦闘シーンは全く書けなかったので省略ですw

ホント、戦いしているのかと思えるくらいの体たらくですね(^^ゞ

 

次は虎牢関のその2の予定ですが、そのまま洛陽まで行っちゃうかも・・・。

まだ未定でございます。

 

今回もご覧いただきありがとうございました。

説明
真・恋姫無双の二次小説です。

風の視点で物語が進行していきます。

かなり期間が空いてしまいすみません。
虎牢関の戦いが始まります。
今まで同様、一部キャラが空気だったり口調おかしかったりするところもあるかもしれません。
また、作者はこの時代の地理や風俗など詳しくないため、その辺でおかしいと感じる部分もあるかもしれません。
そう言った部分がもしあったら、やんわりと指摘していただけると幸いです。

誤字脱字報告、感想、叱咤激励お待ちしております。
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コメント
これはいいねー  そして月さんも味方。 (qisheng)
騎馬軍団の強さがシャレになってない。(ブックマン)
霞が仲間ですか〜なんとも頼もしい!(havokku)
どんどん武将が増えて強くなっていますね。 華雄が死ななくてよかったぁ・・・(キラ・リョウ)
今回も楽しく読ませていただきました。霞、星、華雄が加わればかなりの戦力ですね。董卓軍好きの自分は嬉しかったです。寒くなってきましたので風邪などひかぬよう頑張って下さい。(トーヤ)
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