エノク書4 第十二話「天使の監視者」 |
天使達。美しく、きらびやかで、それでいて、しなやかな、つまるところ、人間味というものがおおよそ皆無な天使達。
それらは常に監視されていて、しかも、統制されているのである。
大天使メタトロンによりけりである。
普通、天使というものは、エルという名前が付いているものだが、メタトロンは人間から天使になった者であるので、差別化して、エルと付けず、自由意志を強調して、神の正義というものを前面に押し出した天使なのであるから、「義の書記」なのである。
わざわざ、エノクを天使にしてまで、天使の監視者にしたのは、ある程度まで、義を極めると途端に逆転して、イエス・キリストの様な事になるので、エリヤはサンダルフォンへと、エノクはメタトロンへと、天使よりも義たる人々は天使と逆転して、そのまま、立場をわきまえる立場へと引き上げられるのである。
ゆえに、人間は、天使であるが為に、重用され、天使でない人間に逆転劇はなく、天使である人間には、逆転劇があるという事である。
立場をわきまえるという事は、直接の主のバーレットとなるという事であり、あるいは、彼の子とされ、昇天したイエス・キリストもまた、義であったから、天使たる者よりも重用される事となった。御子となり、やはり、神の礎(いしずえ)の一柱(ひとはしら)となったのである。
この様に、義たる人間は、逆転劇があり、いわゆる原罪に屈しない人間とは、本質的にバーレットなのであり、やはり、重用されるのである。
おおよそ、七大天使メタトロンとなったエノク、サンダルフォンとなったエリヤ、神の子とされたイエス・キリスト。
役が用意され、それ通りに演じる。それが神のお芝居(しばい)なのである。
人間はそれに付き合いながら、役を掴(つか)んでいく。それがたとえ、悪役であろうと、やはり、神のお芝居なのだから、演じ切るべきである。
こうして、天使の監視者となって、天から監視されていた時とうって変わって、いわば、天上の人とメタトロンはなったのである。
神の天使達は言う。
「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。唯一の主権者にして、神役の神、ゆえ、神たる神。何役であろうが、納得し、回心し、至高の天へと至る事。すなわち、御役(おんやく)を演じ切り、至高の神へと至る者。それが真の天使という者なのだ。アァメン、ハレルヤ、ホサナ!
ゆえ、神は望まれる。天へと至り、天使に手が届き、更(さら)には、主のバーレットを貫く事を。」
説明 | ||
エノクが本格的に天使の監視者になる話。 | ||
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