剣帝?夢想 第三話
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結盟を結んだあと、レーヴェたちは公孫賛の本拠地へと出向き、情報収集を行っていた。いくら桃香が公孫賛と親しくともそれ以外の人物のことを彼女は知らない。ならば何らかの方法で彼女に力を示すのが手っ取り早い。多くの兵士を雇って城に迎えれば一番いいのだがレーヴェが持っていたなかで売れるようなものは既になく、偽の兵士を雇うのも桃香の友に対して不誠実だろうということで却下となった。友としての信義をないがしろにしてもあまりいいことはないだろう。だが、そこにレーヴェたちにとって絶好の情報が舞い込んできた。なんでも近くの既に廃棄された砦に三十人ほどの盗賊が入り込んだというものだった。しかも手練れが多いようで、公孫賛は現在大陸を騒がせている黄巾党の相手が精いっぱいでそちらに裂く戦力がないということだった。また兵はいても率いる人間が少ないという理由もあったのだが。

 

「どうしますかご主人様」

 

意外にも鈴々が持ってきた情報に愛紗がレーヴェに判断を仰ぐ。レーヴェは情報を頭の中で整理する。

 

(二十人…手練であろうとオレには何の問題もない。むしろオレ一人で事足りる。愛紗たちも同じだろう。桃香は…不安だが愛紗がついていれば何の問題もないはずだ。ならば…)

 

レーヴェは頷いた。

 

「盗賊を狩るぞ」

 

レーヴェはそう言い放った。それに愛紗たちは皆真剣な顔で頷いた。

 

 

 

「ここか。…確かに廃棄されたようだがまだ十分に使えるということか。恐らくは戦略的に意味がなくなったから廃棄されたのだろうが…廃棄するなら完全に潰しておくべきだったな。公孫賛の前任者は優秀ではなかったようだ。」

 

レーヴェは近くの茂みから砦の様子を窺いながらつぶやいた。顔色を見るに横では愛紗も同じようなことを考えていたようだ。砦の門は閉ざされ、櫓の上には盗賊の一味であろう人影が二つあった。

 

「それであの城門はどうやって開けるのだ?少ない人数だから向こうから出てきてくれるかもしれないのだ」

 

鈴々が閉ざされている城門を見てレーヴェへと視線を向けた。それにレーヴェは剣を抜き、立ち上がった。

 

「オレが破ろう。あの程度なら簡単だ。あとから付いてきてくれ」

 

「え…ご主人様!?」

 

レーヴェの言葉に驚いた桃香たちが声を上げてレーヴェを制止しようとする。しかし、既にレーヴェは眼にもとまらぬ速さで門へと接近していた。そして黄金の軌跡を残しながら剣を斬りあげた。鋭く、澄んだ音が微かに鳴り、それがやむと同時にレーヴェはゆっくりと剣を下ろした。その瞬間、門に一筋の線が走り、轟音を立てて崩れ落ちた。

 

「なんと!?」

 

「にゃにゃ!?門を斬ったのだ!」

 

追いついてきた愛紗と鈴々がレーヴェのしたことに驚きを隠せないようだった。愛紗たち自身自分の武には相当の自信がある。だが、レーヴェと同じことをやれと言われてもできるとは到底思えなかった。

 

「オレの昔の仲間には拳一つで石でできた城門を砕くやつがいたがな」

 

レーヴェは涼しい顔で門の向こう側、つまり砦の中を見た。そこには武器を持った盗賊が集まってきていた。間違いなく門が崩壊した音を聞いてやってきたのだろうが、レーヴェは彼らを見て落胆した。手練れと聞いていたが、レーヴェのいた世界の見習い遊撃士にも劣りそうな腕前のものしかいなさそうだった。

 

「てめえら、ここがなんなのか分かってんだろうな!!」

 

先頭にいる男が武器をレーヴェに向けて怒鳴るが、レーヴェは冷めた視線で彼らを見つめていた。

 

「貴様らには何も聞くことはない!罪なき人々を苦しめた罪、ここで償うがいい!」

 

「そうなのだ!悪い奴らは鈴々たちがやっつけてやるのだ!」

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愛紗が叫び、武器を構えた。鈴々も矛を構え盗賊たちに強い視線を浴びせた。桃香はというと一応剣を構えてはいるのだが、明らかに緊張していた。愛紗たちの視線を受け、盗賊たちはたじろぐが、自分たちのほうが人数が多いということが自分たちの平静を取り戻したのか、大声を上げながら襲いかかってきた。

 

「男は殺せ!女は生け捕りにして俺達で楽しむんだ!」

 

下衆なことを口にして斬りかかってきた男はレーヴェは無言で斬り捨てる。そしてそのまま振り返りながら剣を横薙ぎに一閃して飛びかかってきた数人を一度に斬り捨てた。

 

「はああああああっ!」

 

愛紗は裂帛の気合を上げながら盗賊に向かって偃月刀を振るい、薙ぎ倒していた。鈴々はその小さな体からは想像もつかない力で蛇矛を振るい、盗賊たちを葬っていた。桃香は、といえば…彼女のことは割愛させていただこう。決して完全な役立たずだったわけではないのだが。そして数分後には、盗賊たちで生きているものは誰もいなかった。

 

「驚きました。ご主人様が強いだろうということは分かっていたのですが、まさかあれほどまでとは思いませんでした」

 

「そうなのだ!特に門を斬ったのには驚いたのだ!」

 

「だよね〜。ご主人様一人でも十分倒せたような気がするよね」

 

三人はそれぞれ少し興奮してレーヴェの周りに集まっていた。戦いの後の高揚感もあるのだろうが、レーヴェ自身の強さを見て興奮しているのもあるのだろう。自身が主とあがめる人間が有能だと、それもかなりのものだというのが分かれば当然だろう。

 

「それより街に戻ろう。二、三日もすれば城から呼ばれるかもしれない」

 

レーヴェは三人を促した。かもしれないとは言ったものの、レーヴェには上に立つものとしてはたったの数人で盗賊を制圧した人間に会わないわけにはいかないだろうと踏んでいた。その公孫賛とやらがよっぽどの無能でないのならば、の話だが。しかし桃香の話を聞けば何事も普通にこなす、ということだったのでそれほど心配してはいなかったが。

 

そして四人は意気揚々と引き上げていった。

 

 

 

翌日、意外なことに城から使いが来て出頭するようにとの命令が来ていた。もう少し時間がかかると思っていたが、案外普通なのではないのかもしれない、そう思い、レーヴェは手早く準備を済ませると城へと向かった。

 

「ひっさしぶりだな〜、桃香!」

 

「白蓮ちゃん!久しぶりだね〜!」

 

王の間に通されると赤みがかった髪で白い鎧を着た少女が笑顔で声を桃香に声を駆けてきた。桃香もうれしそうに彼女の真名らしき名前を呼んだ。

 

「?植先生ところを卒業して以来だから三年ぶりか〜。元気そうで何よりだ」

 

「白蓮ちゃんこそいつの間にか太守様になっちゃって驚いたよ!」

 

「いやいや、まだここは通過点さ。私はまだ上に行くつもりさ」

 

「さすが秀才さんだね〜」

 

「武人として大望はもたないとな」

 

二人の間でかなり話が弾んでいる。レーヴェたちは手持無沙汰になりお互い顔を見合わせてため息をついた。そしてしばらく世間話や思い出話が続き、ようやく本題に入ることになった。

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「それで、盗賊を退治してくれたのは桃香たちでいいんだよな?」

 

「うん、そうだよ!っていっても私はほとんど何もしてないけど」

 

桃香は明るく答えてすぐに落ち込んだ顔になった。そこで公孫賛は初めてレーヴェたちに視線を向けた。

 

「それで桃香の仲間っていうのはこの三人のことか?」

 

「そうだよ。関雲長、張翼徳、それに管輅ちゃんお墨付きの天の御使い、レオンハルトさん」

 

「天の御使いって…かなりの噂にはなっていたけど眉唾ものだと思っていたけど…」

 

公孫賛はそう言ってレーヴェを上から下まで眺めた。

 

「別に信じてもらう必要はない。誰がどう言おうと自分が思ったものにしか見えないのが人間だからな。だが、オレのことを天の御使いとして桃香たちが見てくれているのなら、そのように振る舞うつもりではいるが」

 

「そうか…。桃香が真名を許したのならば一角の人物なのだろう。ならば私のことも白蓮でいい」

 

レーヴェの言葉に何か感じることがあったのか深く頷くと、レーヴェに屈託のない笑顔を向けた。

悪いやつではなさそうだ、しかし、乱世という世界を生きるには少々普通すぎるし人が良すぎる、レーヴェはそう思いながら口を開いた。

 

「オレはレオンハルト。レーヴェと呼んでくれ。以前いた場所では『剣帝』ともよばれていた。よろしく頼む」

 

「ああ、よろしく頼む。それで今回の用件なんだが盗賊のことでお礼を言いたいと思ってたんだ。黄巾党のことで手がいっぱいで困ってたんだ。なにかお礼がしたいんだが何か希望はあるか?」

 

白蓮の言葉にレーヴェはこれはチャンスだと思った。自分の部下になってほしいというものであったなら独立というものが難しくなるため遠慮したかったが、こちらの希望を聞いてくれるというのなら事はたやすい。

 

「ならオレたちを客将として迎え入れてほしい。いつかは独立したいと思っているが今はそのための力がない」

 

「そんなものでいいのか?それはこっちがお願いしたいくらいなんだけどな。兵の数はそれなりに揃っているが、指揮できる人間がいなくて、悩んでいたところなんだ」

 

「なら決まりか」

 

レーヴェは簡単に事が済んだことに内心安堵していた。なにか面倒なことになるかもしれないということも危惧していたからだ。だが、彼女はいい意味でも悪い意味でも普通であるし、将がいないということに焦りを感じていたのだろう。

 

「ほう、決まったようですな」

 

そのとき、白蓮の後ろから白い服を着た少女が現れた。ゆったりとしているようだがその姿に隙はなく、また武勇もそれなりのもので、愛紗と同じくらいの腕前はあるのだろうとレーヴェは判断した。

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「趙雲、聞いていたのか」

 

「無論だ。盗賊どもを少数で倒し、なおかつ門を一撃で叩き斬るという武勇の持ち主がいるということだ。興味が湧かないわけがない。レオンハルト殿でしたかな?私は趙雲と申す。白蓮殿の下で客将として身を置いているものだ。さて、天の御使いというのはさておいて…かなりの腕前のようですな」

 

趙雲は笑いながら、しかし、鋭い目でレーヴェへと声をかけた。レーヴェは軽く眼を閉じてそれに答えた。

 

「オレは相手が誰であろうと戦闘においては誰にも譲るつもりがないのでな」

 

「大きく出ましたな。しかし簡単に門を両断するとなれば自惚れでもないというわけか。それに…なかなかの器量も持ち主でもあるようだ。あくまで私の意見としてですがな」

 

それを聞いて微妙に白蓮が慌てたような声で口をはさんだ。

 

「「おいおい星。私を捨ててレーヴェの下に入るとか言うんじゃないだろうな」

 

「それはまだ分かりませんな。天下を憂えるものとしては徳のある君主に使えたいとは思いますが…レオンハルト殿がどんな君主になられるのか…」

 

「オレは君主になる器ではないのだがな」

 

レーヴェは若干自嘲気味の苦笑を浮かべるが誰もそれに気づいたような素振りはなかった。

 

「まあ、それはともかくこれからよろしく頼むよ」

 

白蓮が話を戻すように口を開いた。

 

「ああ、こちらこそ」

 

「関羽殿、張飛殿もよろしく頼む」

 

「分かったのだ!」

 

「ああ、我が力、とくとご覧じろ」

 

レーヴェたちは特に問題もなく白蓮の客将としての身分を得、理想のための新たな一歩を踏み出した。

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第三話いかかでしたでしょうか。

 

途中、レーヴェが門を斬りましたが、執行者、特に痩せ狼、剣帝、殲滅天使は城門破壊を普通にやってのけるような描写があったので木の門なら更に簡単だろうと思いやってしまいました。というよりレーヴェにできないことってなんだろう?と思ってしまったり。戦闘力最強クラス、強力なアーツも使え、複雑なトラップも解除できる。完璧すぎるような気がするキャラですよね。

 

というよりもヨシュア含めて執行者たちが化け物過ぎるんでしょうかね?

 

次回はとうとう黄巾第一戦の予定です。もしかしたら番外かも。

 

またお会いしましょう。

 

 

説明
こんにちはへたれ雷電です。

今回ようやく短いですが戦闘シーンが入りました。戦闘シーン…苦手だなあ、と思いつつも頑張ってはみたのですが…展開早いですかね?
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コメント
黒様>自分もエステルいないほうが書きやすいと思ってたりします。執行者ってどう考えてもカシウスクラスでないと太刀打ちできませんよね(へたれ雷電)
ヨシュアはエステル付かない方を希望します あと執行者はそこらへんの化け物より強いですよ??(明夏羽)
ニシ様>面白そうではありますが…考えておきます。他サイト掲載は…どうしましょう?(へたれ雷電)
あと関係ないのですが、この小説を携帯で見たいのですが、携帯だとこのサイトでは見れないので、他の小説サイトでも投稿していただけませんか?(Arcadiaとか)(ニシ)
でも面白そうでしょう?(ニシ)
ニシ様>ドラキオンは生身でも倒せるとはいえ空も自由に飛べるので出さない方がいいかと(へたれ雷電)
追伸>ヨシュアはエステル付かエステルがいない方どっちがいいですかね?(へたれ雷電)
森番長様>アーツは使用可ですが使わせる気はありません。使えば触れることすらできなくなりますし。クラフトは使いますが(へたれ雷電)
SCの最後あたりに出たレーヴェ専用のドラキオンはやっぱりでないですかね?(ニシ)
あとがき見て思ったんですがアーツはどうするんですか?個人的には無いほうが良いと思います。あと2話あとがきのエステルの勢力はは呉か董希望(森番長)
sayji様>レーヴェの剣はもちろん盟主から頂戴したあの剣です。というかあの剣の正確な能力はなんなんだろうと思ったり。特別な剣としか説明なかったですし(へたれ雷電)
レーヴェ様>流石に怪盗紳士は出しませんよ。彼がでたらかなりカオスなこtになりそうな気が…(へたれ雷電)
門を斬るのを読んで思うけど、レオ様の剣はどうなっているのでしょう?愛用していたものは特別な剣だったし。(sayji)
番外編は華蝶仮面と怪盗紳士の話?(レーヴェ)
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真・恋姫?無双 空の軌跡 レーヴェ  

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