三題噺でSSその4
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「ねぇ? そこの君。その制服って、お金持ちお嬢様学校で有名な銀百合学園のだよね? 俺達、遊ぶお金が無くて困ってるんだぁ。庶民の俺達にお金くれないかな?」

 肩甲骨までの長さのブロンドストレートヘヤーで蒼い眼の中学生の少女に、高校生男子二人組が少女の通路を塞ぎ、お金をせびる。

 所謂かつあげだ。

 少女はそんな男子二人組なんて気にもせずに、男子達の間をすり抜けるように進む。

 男子達はその反応に一瞬躊躇したが、再び少女の進行方向を塞ぐ。

「もしかして日本語わからなかったり? 俺達マネーが欲しいの、マネーが。痛い目に合わないうちに大人しくマネーを俺達にくれた方が賢明だと思うよ」

 男子達の片割れが身振り手振りで少女に説明をする。

「日本語なんて初めから分かっていた。それより、女に男二人掛りでカツアゲするなんて、アホらしいぞ、アホ面ども」

 少女の口から発せられたのは、少女の外見とはまるで違う台詞であった。

 男子二人組はその少女の台詞に逆上した。

「じょーちゃん、生意気言ってるその口黙らせてやるっ!」

 男子達はズボンのポケットからバタフライナイフを取り出し、少女に襲い掛かる。

 しかしその時、男子達の前方から何かが飛んできて、男子達の手に突き刺さる。

 それは、なんと風車であった。

「にぃちゃんたち、駄目だなぁ。そんな危なっかしいものなんて持っちゃ……」

 物陰から現れたのは、四十代くらいの大柄な男であった。

 一般的な四十代と違うのは、筋肉が逞しく隆々としていたのと、執事服を身につけていたところであった。

「大丈夫ですかい? お嬢」

 執事服の男は、少女の服についていた埃をひざまづいて手で掃う。

「大丈夫よ。それより弥七、あのアホ面を追いはらって頂戴。邪魔で仕方が無いわ」

 少女の命令に、弥七と呼ばれたい男はザッザッと二人組の男子の前に立ちはだかり、恐ろしい形相で二人を睨む。

「大事なお嬢を困らせてみろ? てめぇらの穴という穴にミンティアのハードミント突っ込んでやるからな? あぁ?」

 弥七のドスの聞いた声に男子達は急いで逃げていった。

「さて、帰るとしますかねぇ? お嬢」

 弥七が手を差し出すと、少女が手を取り、家に向かって歩き出す。

 

「私、弥七のお嫁さんになりたい! 弥七は家事も仕事も出来て私大好きだもん!」

 帰り道。少女は弥七の方を見てはにかむ。

「そりゃあ、無理な注文ですよ。第一、お嬢がいい女になってる頃には俺は老いぼれジジィですし、それに頭が怖くてそんなこと出来やせんですよ」

 弥七は顔をポリポリと掻きながら少女に答える。

「じゃあ、ずっと私の執事でいてくれる?」

 少女は上目遣いで弥七に問う。

「そりゃ、お嬢の執事であり続けることが頭との約束ですから、もちろんですよ。おっと、家に到着しましたぜ、お嬢。皆で土手鍋を食べやしょう」

 少女と弥七は仲良く手を取ったまま家へと入った。

説明
格好いい執事さんが欲しいものです。

お題
・家事
・ミンティア
・かつあげ
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オリジナル 三題噺 執事 

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