恋姫英雄譚 鎮魂の修羅40
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華琳「涼州連合・・・・・想定はしていたけど、まさか本当に実現するとはね」

 

炎蓮「っかしいな、葵の野郎、確か病で寝込んでいたはずだよな?」

 

桃香「風鈴先生・・・・・どうして・・・・・」

 

麗羽「来ないと思ったら、まさか董卓に付いているなんて・・・・・見損ないましたわよ、葵さん!!!」

 

真直「あそこに馬騰殿がいると決まったわけではありませんが、涼州連合まで董卓に・・・・・これはいよいよもって十常侍の言が疑わしくなりましたね・・・・・」

 

その後、更に会議を開く一同

 

関に翻る馬の牙門旗に疑問ばかりが募っていき、その場で足踏みするばかりだった

 

なにせ馬一族が率いる涼州連合の機動力と言ったら、大陸で知らない者無しと言われる程の俊敏性と破壊力を誇るのだ

 

下手に近付けば丸呑みにされてしまうのは明白なので、誰も関に近付こうという気さえ起きなかった

 

麗羽「まったく情けないですわよ皆さん、誰も一番槍を名乗ろうともしないなんて!!」

 

華琳「そこまで言うのなら、まずはあなたが示しを見せるべきなのではないの?」

 

美羽「そうなのじゃ、麗羽が先陣を切るべきなのじゃ!」

 

麗羽「私の軍は、先の戦闘で多大な被害を被っていますのよ、余裕のある皆さんが何を甘ったれたことを言っていますの!!?」

 

桂花「ここは、水関で捕虜を取った公孫軍に動いてもらうのが賢明ではないでしょうか?」

 

麗羽「そうですわね・・・・・一刀さん、また数人ひっ捕らえてきなさいな、出来れば何進と馬騰を二人共♪」

 

白蓮「おいおい、随分と気楽に言ってくれるな・・・・・」

 

一刀「言っておくがな、徐栄と張済を捕らえることが出来たのは偶然だ・・・・・同じことがほいほい出来るなんて思わないでくれよ・・・・・」

 

麗羽「あ〜〜〜ら、随分と謙遜なさいますわね、あの回天丹田でしたか?あれを使えば容易い事でしょうに♪」

 

斗詩「ちょっ、麗羽様!!?」

 

白蓮「おい、一刀に死ねというのか?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

美羽「麗羽よ、そのような横暴、妾が許さないぞよ!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

真直「そのような後先考えない軽々しい発言はお控えください、麗羽様!!」

 

麗羽「そ、そうですわね・・・・・失礼しましたわ・・・・・」

 

回天丹田が寿命を削る技であることを考慮に入れなかったため、身内からも激しいバッシングを受けてしまった

 

麗羽「しかし、一日に一回なら何も問題はないのでしょう?」

 

一刀「・・・・・それは」

 

麗羽「でしたら、今後一日に一回は使っていただくことにいたしましょう、そうでなければ・・・・・あの徐栄と張済と言いましたかしら?あの捕虜を引き渡していただきましょう」

 

白蓮「おい、麗羽!!?それは・・・・・」

 

麗羽「お黙りなさい、白蓮さん!!ここまで来てしまえば、もはや約束だのなんだのと言っている場合ではありませんわ!!私達は一刻も早く、董卓にいいようにされている陛下をお救いしなければならないのですわよ!!」

 

白蓮「・・・・・・・・・・」

 

それが根本的な間違いだと言いたいが、それを言ってしまったら何もかもが御破算になってしまう

 

自らの首を絞めているだけなのであるが、それも言えないのが心苦しい

 

一刀「・・・・・わかった、その条件を飲もう」

 

白蓮「かか、一刀!!?」

 

斗詩「いいんですか、そのような条件を飲んで!!?」

 

梨晏「そんな条件、一刀に一方的に不利なだけだよ!!」

 

一刀「ただし、新たに捕虜を取ったとしても、一切の口出しは無用、それが条件だが、いいか?」

 

麗羽「ええ、それでよろしいですわよ、これできっと時間が短縮できますわ・・・・・一刻も早く救い出して見せますわよ、陛下――――――!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

炉青「そんな!!?そんな無茶な条件を飲んだんどすか!!?」

 

氷環「袁紹、どこまで自分の首を絞めれば気が済むのですか!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

星「まったく、何も知らんというのは気楽なものだ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

菖蒲「本当です、もう救いようがありません」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

会議の結果報告に、公孫軍一同は呆れかえると同時に憤りを隠せなかった

 

一刀「俺一人の問題だけで済んだんだ、むしろ良かったとするさ・・・・・」

 

炉青「冗談じゃないどす、それであに様の寿命が削れていたら、元も子もないどす!!」

 

一刀「一日に一回だけだ、それなら寿命が削れることは無い・・・・・」

 

氷環「そのような保証がどこにあるというのですか!!?」

 

星「向こうには呂布に加え、涼州の猛者達もいるのですぞ!!」

 

菖蒲「その通りです、いくら一刀様でも無茶が過ぎます!!」

 

一刀「俺一人で戦うとでも思ったのか?向こうも俺に当てられる将は限られるに決まっている・・・・・こっちは連合なんだぞ、多くの諸侯がいるのに、俺だけを相手にするなんて出来るはずがないだろう・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

尤もな意見ではあるが、どうにも納得しきれない

 

白蓮「・・・・・こうなったら、私達が総出で一刀を援護するしかないだろう」

 

星「それしかありませぬか・・・・・」

 

菖蒲「分かりました、全力を尽くします」

 

一刀「ありがとう・・・・・俺も可能な限り、回天丹田は使わないと約束する」

 

氷環「隊長様、私達はいかようにすれば!?」

 

炉青「なんでも命じてください、ウチ等も何でもするどす!」

 

一刀「気持ちはありがたいが、お前達を味方同士で戦わせるわけにはいかない・・・・・」

 

炉青「そんなこと関係ないどす!」

 

氷環「隊長様の為なら、味方殺しだろうと何だろうとなって見せますわ!」

 

一刀「馬鹿なことを言うな、お前達は捕虜の身だということを忘れるな、勝手なことをされたら、こっちが困ることになるんだ・・・・・」

 

氷環「・・・・・・・・・・」

 

炉青「・・・・・・・・・・」

 

尤もな話、今の自分達の立場はどこまで行っても捕虜でしかない

 

そんな自分達が好き勝手に行動していては、かえって一刀に迷惑しか与えない

 

出来ることと言えば、精々隠れて一刀の身の回りの世話をするくらいである

 

一刀「分かったら大人しくしていてくれ・・・・・もし捕虜を取ったらお前達に真っ先に会わせてやる、捕虜達の世話はお前達に一任することになるだろうしな、その時はよろしく頼む・・・・・」

 

炉青「・・・・・分かったどす」

 

氷環「仰せのままに、隊長様・・・・・」

 

二人の納得を得て、公孫軍は前線へと赴いていったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葵「お、いきなり御遣いが来やがったな」

 

鶸「嘘でしょ、いきなり一刀さんですか!!?」

 

蒼「うぅ〜〜、やめてよ〜〜、一刀さんとは一番戦いたくないのにぃ〜〜・・・・・」

 

霞「ま、そないなるやろうな・・・・・」

 

雅「ああ、氷環と炉青を捕虜にして、向こうも味を占めたのであろう」

 

風鈴「きっと、袁紹さんの指示でしょうね・・・・・」

 

楼杏「そうね、一刀さんは自発的に先頭に立つことは無いでしょうから・・・・・」

 

傾「まったく袁紹め、愚かしさもここに極まれりであるな!」

 

翠「公孫軍以外にもいるな」

 

蒲公英「うん、これを全部相手にしないといけないんだよね」

 

虎牢関の先鋒に駆り出されたのは、公孫軍を筆頭に、袁術軍、孫堅軍、劉備軍、曹操軍だった

 

向こうから向かって右側に曹操軍、劉備軍、左側に孫堅軍と袁術軍が並んでいる

 

葵「んで、あの御遣いを近付けちゃならないんだったか?」

 

楼杏「ええ、氷環と炉青の話では、一刀さんの氣弾は例えこの虎牢関と言えど、防ぎきれるものではないらしいですから」

 

音々音「厄介でありますな、いきなり恋殿の出番ですかな?」

 

恋「恋は、いつでもいい」

 

方天画戟を担ぎ、臨戦態勢を示すが

 

葵「いや、ここをお留守にするわけにもいかん、恋には他にやってもらいたいことがある、それと・・・・・」

 

流し目で、連合を見やる葵

 

その目線の先には、孫の旗があった

 

葵「俺も用がある奴がいるからな、そっちが先だ」

 

翠「そういえば、母さんは江東の孫堅と付き合いがあったんだったな」

 

蒲公英「分かったよ、蒲公英達が叔母様を援護するね」

 

葵「いや、お前達はあの御遣いの所に行け、俺は炎蓮の馬鹿をとっちめてくる」

 

翠「おいおい、まさか一人で行く気かよ!?」

 

蒲公英「いくら御遣い様に治してもらったからって、無茶だよ!」

 

葵「バ〜〜〜カ、んな間抜けなことするかっての・・・・・霞、雅、一緒に来やがれ」

 

霞「相変わらず気まぐれなやっちゃな・・・・・しゃ〜〜ない、付き合ったるわ」

 

雅「ああ、こちらも孫堅軍には用のある者がいるからな、都合がいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白蓮「また打って出てきたな」

 

一刀「そりゃあな、俺を近付けると負けが確定するからな・・・・・」

 

星「氷環と炉青の言った通りになったな」

 

菖蒲「はい、向こうも一刀様の力を把握しているようですね」

 

公孫陣営は、あの二人との真名の交換を済ませていた

 

二人の一刀に対する献身ぶりに呆れると同時に感心したため、預け合うに至った

 

そして、公孫軍に近付いてくる軍勢はというと

 

翠「よう御遣い、あたし達が相手になるぜ」

 

蒲公英「やっほ〜〜、御遣いさん、よろしくね〜♪」

 

鶸「一刀さん、戦いたくないけど、よろしくお願いします・・・・・」

 

蒼「も〜〜〜、なんでこんな事になっちゃうんだろうね〜・・・・・」

 

馬四姉妹揃い踏みだった

 

星「おお、鶸、蒼、久しいな♪」

 

菖蒲「その節はお世話になりました、鶸さん、蒼さん」

 

鶸「星さんも菖蒲さんも、お久しぶりです・・・・・」

 

蒼「こんな事になっちゃって、本当に残念だよ、星さん、菖蒲さん・・・・・」

 

星「それはこちらも同じである・・・・・」

 

菖蒲「はい、こちらもそちらの事情は伺っておりますから・・・・・」

 

白蓮「で、そっちはこれからどうしたいんだ?こっちは敵味方関係なしになるべく犠牲を出したくはないんだが」

 

翠「・・・・・とりあえず、戦ってくれ」

 

蒲公英「うん、蒲公英達も不本意だけど、このお礼はいつか必ずするから・・・・・」

 

そして、翠と蒲公英は一刀と、鶸は星と、蒼は菖蒲と対峙する

 

白蓮「私は・・・・・周りを見張っておくとするか」

 

敵軍と自軍の動向を白蓮は見渡す

 

出来れば自分も一騎打ちに混ざりたくはあるが、大将としての責務もあるため、ここはグッと堪える

 

一刀だけ一騎打ちとは言えないが、一刀なら大丈夫であろうと高をくくり、一騎打ちの邪魔が入らないよう戦場全体を見張る役割に徹するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃香「風鈴先生!!!」

 

風鈴「あ、桃香ちゃん・・・・・」

 

こちらでは、かつての師弟が望むべくも不本意な再会を果たしていた

 

桃香「風鈴先生、どうして先生が董卓さんに味方しているんですか!!?董卓さんは、洛陽で悪いことをしているんですよね、だったらどうしてこんなことをしているんですか!!?」

 

風鈴「・・・・・・・・・・」

 

例によって例の如く、風鈴は沈黙で返すしかなかった

 

桃香「どうして、何も言ってくれないんですか・・・・・分かりません、私は先生が分かりません・・・・・自分がどうすればいいのか、全然分かりません・・・・・ぐすっ・・・・・」

 

恩師が敵という現実に、桃香は圧し潰されそうだった

 

その目からは涙が止めどなく溢れ、言葉も途切れ途切れで必死に繋げている有様だった

 

風鈴「桃香ちゃん・・・・・いいえ、劉玄徳!!背筋を伸ばしなさい!!!」

 

桃香「は、はい!!」

 

言われた通り、ピシィッと背筋を伸ばし、溢れ出る涙を拭い、桃香は風鈴と向き合った

 

風鈴「私、盧子幹からあなたに伝える最後の教えです、心して聞きなさい!!」

 

桃香「は・・・・・はい・・・・・」

 

何を言われるのか、不安が尽きなく返事も恐る恐るといった状況だった

 

風鈴「絶対的正義など、この世のどこにもありはしない、これをその身をもって学びなさい!!」

 

桃香「・・・・・・・・・・」

 

一体、先生は何を言っているのだろう

 

自分は先生の教えに習い、義を尊ぶことを心掛けてきたのに

 

なのに先生は、この世に正義は無いと堂々と言い放った

 

頭の中がしっちゃかめっちゃかで、思考が停止寸前だった

 

風鈴「来ないのであれば、こちらから行きますよ!!」

 

楼杏「全部隊、突撃いいいいいいいいいいいい!!!!!」

 

桃香「ええ、えええええええええ!!!??」

 

朱里「桃香様、お下がりください!!!」

 

雛里「ここは私達にお任せください」

 

愛紗「行くぞ、鈴々!!!」

 

鈴々「合点なのだ!!!」

 

完全に混乱状態の桃香を朱里が下がらせ、雛里が軍師の役目を担い、愛紗と鈴々が敵を食い止める

 

この師弟対決は、敵味方入り乱れる大混戦から始まったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華琳「まったく、私が一番欲しいのは張遼と華雄なのですけど・・・・・」

 

傾「お望みの者でなく残念であったな♪」

 

こちらでは、曹操軍に対して、傾が部隊を引き連れているとはいえ、一人で対峙していた

 

多くの将が軒を連ねている相手に、これは無謀ともいえる行為であろう

 

華琳「お粗末なものね、こんな向こう見ずな者が大将軍をしているなんて・・・・・どうやら朝廷の形骸化ぶりは私の予想の更に先を行っていたようね」

 

傾「そうか、その節穴には同情するな♪」

 

彩香「・・・・・華琳、どうしましょうか?」

 

華琳「名前負けしているとはいえ大将軍であるのには変わりはないし・・・・・とりあえず捕虜にでもしときなさい」

 

彩香「分かりました・・・・・凪、沙和、真桜、来てください」

 

凪「はっ」

 

沙和「はいなの〜」

 

真桜「ウチ等の出番かいな」

 

三羽鳥を呼びつけ、彩香は命を下した

 

彩香「華琳も言った通り、捕虜とすることを第一としてください」

 

傾「なんだ、てっきり夏侯惇辺りが来るかと思えば、こんな餓鬼共が余の相手か・・・・・余も舐められたものよ」

 

華琳「いいえ、貴方程度ならこの三人の中の一人でも十分よ、ただし捕虜とするのであれば確実に生け捕らせてもらうまでよ」

 

傾「ほほう、この何遂高を殺さずに捕らえるか・・・・・随分な大言を吐くではないか♪」

 

華琳「大言はどちらか、すぐにでも分かるでしょうよ・・・・・楽進、于禁、李典、務めを果たして見せなさい」

 

凪「了解しました!」

 

沙和「任せるなの〜!」

 

真桜「ウチの螺旋槍の威力、見せたるで〜!」

 

傾「ふん、餓鬼共が粋がりおって・・・・・我が鞭の冴え、とくと見せてくれるわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葵「よう炎蓮、久しぶりと言ったところか♪」

 

炎蓮「葵・・・・・てめぇ、病でくたばる寸前だって聞いていたんだがな」

 

葵「生憎と死に損なってな、今じゃすっかり元気凛々よ♪♪♪」

 

愛刀の戦皇刀姫をぶんぶん振り回し、肩に担ぐ

 

巻き起こる風圧だけで、砂ぼこりが舞い上がる

 

祭「ぶほっ!なんという剣圧じゃ!」

 

粋怜「ちょっとちょっと、あれが病に侵されていた者の覇気なの!?」

 

その風圧は、孫堅軍全体を巻き込むにまでに至る

 

霞「ごほほっ!・・・・・葵のばっちゃん、見境無しは止めてほしいわ・・・・・」

 

雅「ああ、精々巻き込まれないようにしよう・・・・・」

 

その範囲は後ろにまで及び、控えていた霞と雅にまで降り掛かる

 

梨晏「・・・・・・・・・・」

 

霞「・・・・・・・・・・」

 

雅「・・・・・・・・・・」

 

そして、用がある人物と目が合う

 

梨晏「(霞、雅、話は聞きたよ)」

 

霞「(その様子じゃ、ウチ等の事は一刀から聞いたみたいやな)」

 

雅「(どうやら、お主以外は知り得ていないようだな)」

 

梨晏「(このことは、この戦いが終わるまで絶対に誰にも言わないから)」

 

霞「(頼むで、でないと全てがオジャンや)」

 

雅「(決して口を滑らせてくれるなよ)」

 

アイコンタクトで、両者は意思を伝え合う

 

その目力といったら、知らない者が見たら仇同士のようにも見えるが

 

雪蓮「(ちょっと、なに分かりあったような雰囲気醸し出してるのよ)」

 

冥琳「(この三人、何かあるな)」

 

断金の契りを交わしたこの二人の目は誤魔化せなかった

 

こういったやり取りを自分達は何度も経験しているため、違いというものが分かってしまうのだ

 

炎蓮「なんなんだろうな、この親近感・・・・・今のてめぇの状況、以前の俺と被るんだよな」

 

葵「何が言いたいんだ?」

 

炎蓮「天の御遣い」

 

葵「・・・・・・・・・・」

 

炎蓮「その面は図星か、お互いあいつには世話になってる身だってか♪」

 

葵「・・・・・何の話だ?」

 

炎蓮「とぼけんならそれでいいぜ、今の俺達には関係ねぇ♪」

 

蓮華「まさか、彼女も一刀の治療を受けたっていうの?」

 

小蓮「そんな、ということは一刀が向こうの間諜だっていうの!?」

 

炎蓮「慌てんな、あんな目立つ奴が間諜だったら世も末だぜ」

 

小蓮「そ、そうだよね・・・・・」

 

蓮華「一刀に限って、ないわよね・・・・・」

 

当たらずとも遠からずなのだが、この場合は何と説明すればいいか

 

事が終わった暁には、一刀も説明に苦労しそうである

 

粋怜「しかし、涼州筆頭も迂闊ね」

 

祭「ああ、いかに力を取り戻したとはいえ、たった三騎とは命知らずじゃな」

 

三人の後ろにも三人の部隊が控えてはいるが、将の数でいえば問題にならない

 

明命「馬騰さんは難しいですけど、あの二人なら何とかなります」

 

鴎「ええ、捕まえて情報を吐かせるわ」

 

思春「のこのこと我らの前に来たこと、後悔させてやる」

 

孫呉が誇る細作三人が獲物を睨みつける豹のような眼をしていると

 

ドドドドドドドドド!!!!!

 

明命「はうあっっ!!!??」

 

鴎「うわあっっ!!!??」

 

思春「なにっっっ!!!??」

 

いきなり空から無数の槍が降り注いできて孫呉の面子は仰天する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音々音「いいですぞ恋殿、葵殿のご依頼通りです♪」

 

恋「ん・・・・・ふっ!」

 

虎牢関を守る飛将軍

 

その手には、バリスタ張りの巨大な弓が握られていた

 

放つ矢も、槍と同じくらいの大きさで、しかもそれを間断なく連続で放っているのである

 

これは、恋の様な怪力の持ち主だからこそ出来る芸当であろう

 

他では、たとえ一刀であろうと同じことは出来まい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨晏「うわっ、これじゃこの場に釘付けにされちゃうよ!」

 

祭「なんという飛距離に加え威力と正確さだ、これは厄介じゃぞ!」

 

粋怜「この距離じゃこっちの弓は絶対に届かないから、参っちゃうわね・・・・・」

 

雪蓮「おまけにこう連続で放たれたら、近付けもしないわよ!」

 

史実において、袁術と劉備の仲介の為に、自らの武器である戟を弓で射抜ける最長の距離から射抜いたという伝説を持つ呂布奉先

 

であれば、恋の弓の腕も史実の呂布に負けず劣らずであっても何も不思議ではない

 

葵「俺が何の対策も無しにこんなとこに来るとでも思ったか?保険くらいかけてるに決まってるだろうが♪」

 

炎蓮「相変わらず抜け目ねぇな、安心したぜ♪」

 

葵「んじゃ、そろそろ始めるとするか」

 

炎蓮「ああ・・・・・てめぇら手を出すんじゃねぇぞ、この死に損ないは俺が殺る!!!」

 

明命「て、手を出すなと言われましても、うわわわ!!!」

 

鴎「ち、近付けもしませ、うわあっ!!!」

 

思春「くっ、張遼と華雄を遊ばせるわけには・・・・・」

 

自分達の動く先を読むかのように正確に飛来する槍の様な矢を凌ぎながら、霞と雅を見やる

 

そこには

 

巴「あなた達の相手は、私がしましょう」

 

霞「見ん顔やな、誰や?」

 

巴「袁術軍将軍、紀霊と申します」

 

雅「聞いたことがあるぞ、確か朱雀公であったか」

 

巴「そう呼ばれることもありますが、お好きに呼んでいただいて構いません」

 

美羽「巴よ、頼んだぞよ」

 

七乃「巴さ〜〜ん、頑張って下さ〜〜〜い♪」

 

いつの間にか横から回り込んだ袁術軍がいた

 

如何に恋の弓の腕が凄まじいとはいえ、この戦場全体をカバー出来るはずもない

 

足止め出来るのは、孫堅軍の面子が精一杯である

 

霞「まさかとは思うが、一人でウチ等を相手にするつもりちゃうやろな?」

 

巴「そのつもりで来ました」

 

雅「随分と見くびられたものだ、それとも何か勝算があるのか?」

 

巴「見くびってなどいませんし、勝算があるかと言えばそれも微妙な所です、しかし・・・・・」

 

言葉を紡ぎながら、二振りの三尖刀を構える

 

巴「私は、袁術様をお守りする盾であり矛、どのような相手であろうと負けることなどありません!!」

 

霞「その気迫、本物やな・・・・・ええで、相手したったるわ!!」

 

雅「朱雀公の名、伊達ではないことを祈るぞ!!」

 

飛龍、金剛と朱雀の闘いが切って落とされる

 

ここに、虎牢関の戦いの幕が上がった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Seigouです

 

もうちょっと書いてもよかったと思いますが、なるべく一万字辺りで締めくくりたいと思っている今この頃です

 

というのも、最近リアルがまた忙しくなってきまして、執筆時間が削られる事態に陥ってしまってます

 

読者の皆さんを待たせてもいけないと思い、途切れ途切れでも投稿していければと思っている次第です

 

では、もうちょっと進めたら阿修羅伝を書こうと思いますので、そっちを楽しみにしている皆さん、もう暫くお付き合いください

 

待て、次回

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気鬱の修羅
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