第二次大戦後　連合軍は合衆国を中心に、

ナチスが行ってきた数々の非人道的戦争犯罪を立証するため　

証拠集めに奔走していた。

そんな折　ハインリヒ・ヒムラーの所有するヴェーヴェルスブルク城にて　

奇天烈極まりない書物　フィルムが大量に発見される。

当初これらはヒムラーが酔狂するオカルティズムの一端に過ぎないとして

ほとんど見向きもされなかったが、

ヨーロッパ全土で報告され始めた怪事件、

拘束されていたナチス幹部　関係者たちの虚言や方法不明の獄中自殺等、

論理的解決の糸口が見いだせない事案が多発したため、

改めてこれらのオカルト資料を再調査することとなった。

その中でも優先的に調査されることとなったのが

太平洋のどこかに建造された巨大研究施設ウェストヘブンだった。

「無駄なことしてるよな俺ら。なんだよこの大規模編成。

　もう一回ノルマンディーに上陸すんのか？」

「太平洋のど真ん中にナチ公どもの巣が浮いてるってさ。」

「そもそも作戦指揮取るのが陸軍省って　アメリカ本土から。

　どう考えても変だ。」

「お前ら　そのやり取り　これで何回目だ？」

「ずっと海の上だし

　話す内容なんてこの3つくらいだよ。」

「この作戦は　やり方が強引過ぎだ。

　3つと言わず　あらゆることが疑問だ。この空母についても。」

「同じ茶番するなら工夫してくれって言ってんだ。

　誰がどのセリフ担当か覚えちまった。

　ジジィの井戸端会議のがまだエスプリきいてる。」

「きりがねぇや。

　グチグチいうなって、

　特別手当出てんだからいいじゃねぇか。」

「とこでさ、ナチ公が建造したんだろ　

　そのウェストヘブンとかって研究所。

　なんで英語なんだよ。」

「連合側をかく乱するのが目的だろう。」

「あ？えらくザワついてるな。

　なんか見えてきたのか？」

「おい、何か見えるのか？。なん・・！！」

「どうした？ビスマルクの幽霊船でも浮いてるか？

　・・・冗談だろ？」

「信じらんねぇ、

　これが人工島だってか？」

「本国と回線を繋げ。」

「ペンタゴン、こちらエンタープライズ　プライマル１

　ウェストヘブンを発見した。」

｛了解、ノイズがひどいが　映像は届いている。

　驚いた、資料には目を通したがこれほどの規模とは。｝

「ペンタゴン、上空から確認する。高高度巡行ヘリの離陸許可を。」

｛許可する。｝

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「こりゃぁ　マジにすげぇ・・・、

　あー司令部、正方形、真四角の島だ。

　目視でだが　おそらくアイルランド島か、

　ホッカドウぐらいはあるかと。」

「北海道でしょ大佐。」

「ああ、それだ。

　マンハッタン級の大都市が島の四方に、

　島の中心にそれ以上の馬鹿デカイドームが複数見える。

　その間には山や深い森、大きな川もある。」

「すさまじいデカさだ。」

「太平洋だぞ。

　一体どうやってこんなものこしらえた？」

「時間も　労力も　足りる足りないの問題じゃない。

　ペンタゴン　こんなもの物理的に不可能だ。」

｛その不可能を平然と超えていくのがナチマジックだ。｝

｛ビクター１　島の北西に着陸地点を確保し、都市を探索せよ。｝

｛プライマル１　ビクター１に加えてさらに２部隊　同エリアに上陸させよ。

　残る３方の各都市にも３部隊ずつ配置　調査を開始せよ。｝

「了解、ペンタゴン　これより・・・なんだアレは！？」

｛ビクター1、どうした？｝

「クソデケェ死体が・・・。」

「港に巨大な・・・死体が立っている。」

｛ビクター1、もう一度繰り返せ。

　それは生き物か？　大きさはどのくらいだ？｝

「大きさは・・およそ4メートル　4メートルはある。

　ピクリとも動かない。あ、あそこにも　もう１体同じようなのが。」

｛ノイズがひどくなった　映像が極めて不鮮明だ。

　ビクター1　対象の特徴を詳しく述べよ。｝

「巨大な・・ミイラのような姿で、

　喉から下腹部に至るまで大きくえぐれている。

　変形した人間の死体のように見えるが・・・、

　肋骨の数が明らかに足りない。

　足元に、・・・こっちを見た！！こちらを見ている！！首を動かした！！

ガゴンッ　ザリザリザリザリッ

｛ビクター1　応答しろ。｝

｛ビクター1どうした。｝

｛プライマル１　ビクター1からの通信が途絶えた映像も送信されていない。｝

｛プライマル１　応答せよ。｝

｛プライマル１　どうした　応答せよ。｝

｛プライマル２　プライマル１との連絡が途絶えた。

　状況を教えてくれ　プライマル２　｝

｛プライマル３聞こえるか。｝

｛プライマル４　プライマル５、６

　７と８まで・・・どうなってる。｝