笑うカボチャ |
「カっノぷ〜♪」
「…………」
若くて美しい女は、有翼人種である男に声を掛けた。だが男は全く聞いてない素振りを見せた。
「何よカノぷ〜、つれないわねぇ」
「…………」
「ねぇ。カノぷ〜……」
「…………」
女が色仕掛けで迫ってきても、男は全く相手にしようとしてない。そこで女はふと思いつき、耳元でそっと囁いた。
「トリさぁん♪」
「だぁぁぁぁああああああ! 何なんだお前は!! 俺に恨みでもあるのか!!! 『カノぷ〜』って言うな!!!! 『トリ』って呼ぶなぁ!!!!!」
どうも『トリ』と言われたのが癪に障ったらしく、男は怒りを露わにした。
「……っんもう! 耳元で叫ばないで! 耳おかしくしちゃうでしょう!?」
「だったらその言い方やめろ!」
「だったら早く返事してよぉ! お姉さんは悲しいわ……。まぁ、返事しなかったらこっちは楽しくなる一方だけどね♪」
口でこの女にかなうわけがないと思った男は一呼吸おいた。
「…………で。話でもあるのか? 『歳をあまり取らない』デネブさんよ」
男は少し見下ろすように女――デネブを見た。
「何よその言い方。もっとましな言い方があるんじゃなぁい? 『美の探求者』とか『永遠の美女』とかさぁ」
「わーった、わーった。んで、本題は何だ?」
これ以上喋らせないよう、押さえつけられるように言い放たれて、仕方なくデネブは本題に入った。
「うん、ちょっとしたコトなんだけどね。カノープスなら分かってくれるかなって思って」
いきなり真剣な顔をされた上に正式な名前で呼ばれて、男――カノープスは更に頭を抱えた。
「はぁ? 俺なら分かる?」
「うん。まぁ、ちょっと来てよ♪」
訳の分からないまま、カノープスはアルモリカ城にあるデネブの店に連れて行かれたのだった。
カノープスのその日の悲劇はここから始まったのだった。
(つづく)
説明 | ||
Tactics Ogreの二次創作。 数年前に思いつきで書いた一品。 誰でもさくっと読めると思います。 (都合により途中まで。全文はサイトにて) |
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