Ar tonelico 〜眠れる大地に目覚めの詩を〜 プロローグ
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「………本当によろしいのですか――様…」

 

「あぁ…」

 

 

年代を感じさせる壁や床に天井、そこに相反しながらも溶け込むように存在する機械で埋め尽くされた部屋。

 

その最奥にある、その向こう側にあるものを護るように存在する巨大な扉。

 

その扉の前には人が一人入るほどの大きさの機械が置かれ、その両脇には青年と少女が立っている。

 

 

「これを埋め込むこと…それは人としての死を、人ではなくなることを意味します。それでも…」

 

「ああ。ずっと傍に…傍にいて彼女を護る。そう約束したからな」

 

 

死を告げられたにもかかわらず、表情は穏やかなものだった。

 

彼は理解しているのだ、理解している上で人でなくなろうとしているのだ。

 

 

「…わかりました。それではこちらに」

 

 

意志の強さを理解した少女は機械に横たわるよう指示する。

 

青年は一度扉に向けて振り返り、決意を更に固めて機械に横たわる。

 

 

「では…頼む」

 

 

己が護る存在を、

 

自分が人として見る最後の存在となるであろう少女の姿を記憶に焼き付けると、

 

青年は瞳を閉じる。

 

瞳を閉じたのを見届けて、少女は自らに依頼されたことを成し遂げる。

 

 

『プログラム機動準備。“雫”との融合開始』

 

 

少女の口から発せられたのは、人間の音声ではなく、機械質な声。

 

その声に反応して、部屋全体の機械や資材が光り、青年が横たわる機械の蓋が閉じられる。

 

歯車が動き扉が閉じる音と蒸気が噴出す音がした後、彼の身を入れた装置がいっそう輝きを増す。

 

暫く続きやがて収まった装置の輝き、それは、彼が人でなくなったことを意味するもの。

 

輝きが収まったことを確認した少女は再び機械質な声を発する。

 

 

『融合成功。これよりプログラムを起動します』

 

 

部屋にあるいたるところに設置された機械が動き出す。一番変化があったのは、部屋の最奥にある扉。

 

頑丈強固な扉を更に強くするように閉じられていく、周辺から扉の中心に向かって伸びる多数の装甲板。

 

扉の前面を覆いながら板は中心に人一人分のスペースを空けて完全に閉じられた。

 

そして、天上から何本かの太く頑丈なチューブが降り、装置を持ち上げ扉の中心に向かっていき、完全にはまる。

 

直後扉とその周辺の全てが動き出す。

 

 

『機動成功。以後プログラムの制御を移行します』

 

 

その言葉に反応して、装置の中心に取り付けられた半球の部分が光りだす。

 

その光は装置を超えて扉の周辺まで伸びていく。扉周辺まで伸び終えた光は、やがて中心を残して消えていく。

 

そして中心の半球は、まるで鼓動のように点滅を始める。

 

 

全ての作業をやり終えた少女は扉と真逆の位置にある装置に向けて歩き出す。

 

装置の脇にある操作卓を操った後、装置の中心に立つ。

 

すると、装置の床から光が立ち上り少女の体を包み込んでくる。

 

やがて光が首まで来たところで、少女は扉の中心、青年の方を見る。

 

 

「…――様、あの方をよろしくお願いします…」

 

 

自分には出来ない役目を、たった今人ではなくなってしまった青年を想い心の底から悲しみ、

 

しかし涙を流すことが出来ない少女は、涙の代わりに謝罪の言葉を発す。

 

 

やがて光が全身を包み込み、そして再び光が消える。そこには少女の姿はなかった。

 

その空間には、人の鼓動のように機械の駆動音だけが鳴り響いていた…

 

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はい、プロローグ終了!

 

スンげー短かったですが、まぁプロローグだからと納得してくださいな。

 

なんとなく、ゲームと同じような感じに話を進めたいと思っておりまして…

 

 

さて、プロローグの時点で出て来ましたのは3人。

 

『青年』、『少女』、『あの方』。

 

今後のネタバレになってしまうので現時点ではキャラの公表は出来ません。

 

次に投稿する第一話にて、プロローグで出てきた三人意外にも何人かが新しく出てきます。

 

というか…第一話には『青年』しか出ないか…

 

 

OPのときに書いたとおり、キャラクターはリリカルなのはのキャラクター。

 

これからも読んでくださる方は、誰がどんな役で出るのかお楽しみに!

 

ではまた次回

説明
え〜プロローグになりますが…
ブッチャケ言いますと、読まなくても大丈夫かもです。
が、呼んだほうが今後の楽しみが増える…かも?
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タグ
アルトネリコ 青年 少女 あの方 

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