実験小説
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待てよ、と、何かの弾みで

張り詰めていた集中がプツン、途切れた時、

無意識の脳に割り込んでくるヴィジョンは、そう、

あの時の背徳的で淫らな行為の思い出であり、

あの行為、そして態度は、相手に失礼じゃなかろうかなと、

今になってじわじわとキテしまい、

最初は激しく落ち込み、

苦悩、

後悔し、

悔やんで、

泣きじゃくり、

切なさと、儚さと、心強さとで、

様々な人間的罪悪感で、心が捩れた状態こそが、まさに地獄、

しかし神は私を見捨てていなかったか、

その地獄の真っ只中で、真逆のテーゼを持つ悪魔を観てしまい、

俺がお前を救ってやるよと、ニタリ、うすら笑い、囁いて、

ああそうさ、悪はお前じゃないさ、ましてや俺なんがでもなく、

あの一瞬の、タイミング、瞬間、居合わせた人間の、

惹かれ引き付き合う重力性、人間性、偶然性、

心の置き方、覚悟の決め方、すべての要素が重要であり、悪であり、

不可抗力に満ちた空間こそが諸悪の権化さ、

喩えてみれば、人類を生むきっかけになった、宇宙に対してのビッグバンで、

お前が生きて存在しているのが、どうにも避けられなかったのと同じように

これもまた、どうにも避けられない事象なのさ、

俺らの言葉では、不可抗力の事象を「運命」と呼んでいるが、

お前もまた、そういう「運命」を通る宿命だったんだよ、ジョニー、と、

艶やかな声で、口端をニヤ、と、歪めた黒い意識にそう囁かれると、

だってさ、私もやっぱり人間だもの、

破壊的な精神状態には、悪魔の囁きは蠱惑的じゃんかー、

悪魔の囁きに心がキュンキュンしながらも、

いざ、此れ良しとせん、

最初はやさしく、だんだん強く、時には激しく淫らに強く、

なんてったって、己のアイデンテティを守るため、

威風堂々、自己弁護、

そうだよな、悪魔の発言は的を得ているし、

何よりいまさら何を思ったところで、

状況が変わるわけでもなし、

ま、やってしまったもんはしょうがないさ、

人生は.jpgさ、ジェイペグだぜ、ベイベ、

非可逆の連続で、意識を始めた瞬間から、

すでに後戻りはできないのさ、ハハッ、

なんて、したり顔でタバコに火をつけるまでの、

自分の内面の動揺や変容、心の逡巡は、

決して嫌いになれなかったから、

まッ、いっかーと、

どこかの漫画よろしく、

人差し指で自分の頭を軽くツンとしながら、

自身に嫌悪した過去の自分と、

時間が経つにつれ、徐々に傲慢な思考へとシフトする自分の対比が、

少なからず面白く感じ取れ、

自分の出来事を客体化して見ると、

これが動物の生存本能か、と、自分事ながら感心せずにはいられなく、

へー、確かによくできている、と、時に感動し、

人間ってヤツぁ、状況によって、過去の自分を捨てきることができるし、

悪魔ですら観い出だせるのか、あ、なんだ、そうか、逆だったんだ、

神が人間の創造物だったんだ、と気づいたとき、

私は人間の進化過程を、一瞬で垣間見れたような気がしたが、

頭の中のヒューズは私の人間性を辛うじて止めてくれたようで、

それはそれ、これはこれ、

そんなこといいながらも、

デスクの上の、情事の最中の写真を見ていると、

自分が撮った写真ではない事に、違和は感じるものの、

それ以上に昨日の恥ずかしいような切ないような、

昂揚的で刺激的な行為の思い出にチャプンと浸り返ると、

事の善悪は一切抜きにして、

事実、熱い想いが電気信号を呼び起こし、

神経を通過、

脊髄を巡り、下り、

A10神経を刺激して、

多幸感が満ち満ちてきて、

枡に大吟醸が溢れて出してきて、

ドーパミンが流れてるなあーもう最ッ高! と、

大満足でカチャカチャとズボンとパンツを下ろしながら、

大好きなAfxTwinの曲を、フルヴォリュームで体に浴びせ、

頭蓋の中で脳と融合を始める音符とリズムは、近所迷惑をつゆ知らず、

メルトダウン、アナライズム、グローバリゼーション時代の感嘆符、

ルンルン気分でのうのうと自分の人生を消費している今、

これがまさに私の至福、私の頂点、私の絶頂、

明日の自分は昨日の自分をさ、

どう再認識するのかなーフフンなんて、

愉悦に満ちた想いを馳せた瞬間、

ドア・チャイムがピンポーンと、誰か来訪を知らせたので、

ドア・チャイムに対して悪態をつきながら、しぶしぶ玄関の鍵を開けると、

昨日***した生徒が、包丁を持って待っていた

って事をパッと認識したその瞬間、

シュッと包丁は、私の喉に横すべり、

えっ、展開早くね?

っていう突っ込みもそのままに、

横に避けた傷口から噴射する鮮血の、

なんと綺麗な事か!

って知ったかを披露しても、

実は頭が後ろに傾いているから、あまり直視できず、

それどころか傷は思ったより、凄く深く、

頭の重みと重力で、パカァァァと傷口が裂け続ける一方で、

頭を支える首の接地面積が、コンマ1秒で失われ始め、

え、一撃で首の骨切り取ったん?(ワラ w

という突っ込みを、本来ならば捕らえる両手はむなしく宙をさまよい、

ヒューヒューと息が漏れる音を体感しながら

頭が便所のドアみたいにぐねりと一気に傾くと、

玄関側を向いたまま、

ベランダ側のカーテンの染みを見つけるという奇跡を難なくこなし、

絶命する前に見つけて、ぎりぎりセーフ! アブねえ、まさに首の皮1枚!

っていうギャグは、以前はともかく今じゃすでに笑えないし、

そんなギャグじゃ笑点では座布団の、それこそ1枚も貰えない事に絶望を感じ、

何に対してかは判らないが

とにかく色んな事に無性に後悔しながら、

昨晩実行した、自分の壁を破るため、

同性の生徒を無理やり***したということに、

やっとようやく違和を抱き、

やっぱり人として、理性ある人間として、何より考える葦代表として、

どう安く見積もっても***(しかも同性で教え子)は、良けないんじゃないかと、

いや昨日の自分はなんだかんだでイケたので満足だったよ、って、そっちかよ!

って、ノリ突っ込みを入れる事を禁じえずに、

はたして相手はどうだったのかという事が、

今更気になって気になってしょうがなく、

ちゃんと気持ちを感じてくれたろうか、

前戯は短くなかったのであろうか、

他と見比べられなかったろうか、

という事でもましてやなくて、

相手はこのことをどう感じ、

どう現実として受け止め、

この傷をどう癒すのか、

そして人間の大切な、

人格形成を奪った、

私を恨む?羨む?

ゴボゴボ・・・。

 

「先生、許さない! ・・・ボクにはちゃんと心に決めた男(ヒト)がいたのに!」

 

 

・・・続く

 

説明
読点を付けずにどこまで描写できるか試してみました。
文章のリズムを感じていただければ幸いです。
なお、文中における過激と思われる表現はフィルタさせていただきます。
問題があればコメントいただければ、対処させていただきます。
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小説 実験小説 読点無し 

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