Last Regret1
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この星は、恵まれていました

何の不自由もなく暮らしていた日々。

 

それも私が産まれてから10年ともちませんでした。

マナは、人々を見放しました。

 

 

 

 

「お、おおい! マジでやる気か? 正気か!?」

 

「うるっせーなぁ!当たり前だろうが!」

 

 

声を大にして張り上げて言いたいところだが。

誰にも聞こえないように小声で怒鳴りあっていた。

 

 

「丸聞こえですぜぃ? 旦那たちの会話」

小型無線イヤホンマイクの向こうでため息が聞こえた。

 

ジージーと無線の雑音がだんだんと酷くなってくる。

 

 

「耳がうるせーな。 これ捨てていいか?」

「だ、だだ駄目に決まってる!!」

 

「後の連絡に困りますぜぃ……、旦那たち」

誰だこの二人を組ませたの、と独り言をつぶやく。

 

 

「きっちりオメーのも、こっちに聞こえてんだよっ!? あ゛ぁ゛!?」

「こ、こ声が大きいぞ!」

もともと声が大きい人間が意識をせずにしゃべりだした結果が。

 

 

「キサマらナニをコソコソしてイル!」

兵士に怪しまれる、という原因を生んだ。

完全な臨戦態勢でこっちに近づいてくる。

 

 

「あー、はいはい。 ……お寝んねしてなっっ!!!」

長い足は兵士の顎にクリーンヒット。

兵士はもちろん防具をつけているが、それをものともせず気絶させた。

 

 

「いってえぇぇぇ!!!」

あ、足が折れると涙を浮かべていた。

 

「ま、マナを封じていることを忘れるな!」

 

この事態をかぎつけた兵士がわんさかこっちにやってくる。

ここは何人もの死に行く人間を乗せた冥府軍の列車。

 

周りには、その死に行く人間達。

「レジストのやつらか?」

 

「そうよ、あの黒い服。 レジストだわ」

 

「た、助かるかもしれない」

光を失っていた瞳に光が戻る。

 

 

「ヘル行き切符は、捨てちまえってなぁ! さぁ〜て、作戦開始!!車両移動!」

「ぼ、ボスに怒られるぞーー!!」

 

 

 

 

カランと音を立てて落ちたのは。

小型無線イヤホン。

 

 

 

 

カツン、カツン。

 

「…………」

 

ジジッ。

 

 

「作戦、失敗するんじゃないですかー?」

いつも聞く先輩の声ではなく間の抜けた陽気な声が突如聞こえる。

 

「?? だ、誰なんですぜぃ? あん…」

 

 

「かわってくれないか?」

口調とは裏腹にすぐさま耳から機械がが取り払われた。

「ぼ、ボス!?」

 

「いくらなんでも冥府軍なめすぎじゃないですかー?」

陽気な声は、そこの場所の緊迫感をまるで感じさせない。

 

「これ、落とすって……ねぇ?」

「何故、そこにいるのか聞いてもいいかな?」

 

「何でだと思うー?」

 

ブツンッッ。

 

 

「……私も冥都へ向かいます。 至急」

「へ……えぇっ!? り……了解ですぜぃ!」

 

 

「知り合いですかぃ? ボス」

「昔の……ですけどね」

 

つまり、軍にいた時の知り合い?

あのどう考えても幼い声が?

 

 

 

 

 

 

「さてと〜」

お届け物を届けにいきますよっと!

 

 

 

 

 

それでも、十分に生活ができているのに。

それまでの不自由のない日々を忘れることができないまま。

 

忘れることができなかったから。

今の地獄ができてしまいました。

 

 

 

マナを失った人々を排除する空間- ヘル -

彼らに残されるのは、ヘルで肉体そのものをエネルギーに変えること。

 

すなわち、死のみ。

 

説明
連載作品。
しかし、続きは書いていないww
いつも1話を書いて終わる、私(←

完結させたためしがないんだぜ!
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