真・恋姫†無双〜黒の御使いと鬼子の少女〜 116
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〜休息:呼び名〜

 

 ここでの休息が5日目になった日、俺はようやくの非番になった。

 

「くぁ〜……」

 

 休息と言えども、人の上に立っている以上はやるべきことは多い。実際、北郷と桃香は書簡の山に埋もれてたし。

 

 俺も俺で隊の確認やら、志願兵の整理やらで睡眠以外の休みという休みはほぼなかった。んで、ようやっと今日一日の休みを得ることができたのだ。

 

(つっても)

 

 目が覚めたのは昼前なのだが。こうして町に出たのは昼飯を食うためである。

 

「さて」

 

 何を食うか。とりあえず、若人としてはがっつり食べたい。具体的には飯系統とラーメンを一緒に食べるぐらい。

 

(とはいえ)

 

 どこでもいいという訳でもない。やはり食べるならばうまい店に行きたい。しかし、この町の情報がほぼない以上は……

 

(鼻で探すしかあるまい)

 

 時間はある。町歩きついでにのんびり探すとしよう。

 

 大通りやらちょっとした小道に入ったりして歩いているとふっと気になる匂いが入ってきた。

 

「む」

 

 こいつは……

 

(当たりの予感)

 

 俺はその匂いの元へ歩いていく。すると、表にも席がある店を見つける。どうやら、匂いの元はこれらしい。

 

「ん?」

 

 と、そこに見慣れた白い服が。近づいてみると、予想通りの人物が机に突っ伏していた。

 

「北郷?」

「……んあ? 玄輝?」

 

 俺が声をかけたことで目を覚ましたらしい。頭を上げて周囲を見渡す。

 

「……今、何時ぐらい?」

「何時かはさすがに言えんが、まぁ、ちょうど昼時ぐらいじゃないか」

「そっか、じゃあそんなに寝てはないか」

 

 伸びをして一気に脱力をする北郷。

 

「んで、こんなところで何してんだ? 飯休憩か?」

「ん、そんな所」

「しかし、ここ城から遠くないか?」

「あぁ、そっか。玄輝は聞いてなかったんだ」

 

 その言葉に引っかかりを覚える。

 

「……誰か話題にしてたか?」

「いや、城から一番近くてうまい店だって初日に桔梗が教えてくれたんだ」

「そういうことか」

 

 桔梗さんは北郷や桃香、そして昨日合流した朱里を含めた軍師たちと色々確認やら何やらをしているから、その中で教えていたんだろう。

 

「でも、知らなかったんなら、玄輝はどうやってここに?」

「ぶらついてたらここが反応してな」

 

 と言って指で軽く鼻を叩いた。

 

「ああ。なるほどね」

「まぁ、その様子だと北郷も通い詰めてると見た」

 

 であれば味に期待はできる。

 

「相伴させてもらってもよろしいですかな? 御遣い殿?」

「良いですとも、御使い殿」

 

 互いに小さく笑ったところで席に着く。

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「で、おすすめは?」

「麻婆豆腐とラーメン」

「お、いいじゃねぇか。ついでに飯ももらうか」

「お、マーボー丼にしちゃう?」

「だな」

 

 と言っていると北郷が頼んでいた料理が届けられた。

 

「お先」

「あいよ」

 

 俺はその料理を運んできた店員に注文をして、北郷が食べているものを見る。

 

「ラーメンに餃子に小籠包か。結構いったな」

「ラーメンに麻婆豆腐と飯を頼んでる玄輝に言われるのは心外だな」

「それもそうか」

 

 なんて話しながら?を啜る北郷。

 

(しかし、うまそうだな)

 

 これは楽しみだな、と思っていると北郷の視線がこっちに向いているのに気が付く。

 

「ん? どうした? 北郷」

「……いや、気になってたんだけどさ、玄輝ってどうして俺の事は苗字呼びなの?」

「へ?」

 

 思わず間抜けな声が出てしまったが……

 

「……言われてみればそうだな」

「ああ、無意識だったんだ」

「だなぁ。あんま気にしてなかったな」

 

 最初からずっとそう呼んでいたから口になじんでた。

 

「……もしかして気にしてたのか?」

「……まぁ、ちょっと」

「あー、すまん。なんか呼びやすかったからそのままにしてた」

 

 あとは、やはり……

 

「日本人的なもんもあるのかね」

「うーん、何となくわかってしまう……」

 

 ぶっちゃけ、苗字呼びの方が言いやすい名前とかもある。とはいえ、だ。本人が名前で呼んでほしいと言っているのであればそれに答えないのは失礼というもんだ。

 

「んじゃ、これからは気を付けるとするよ。一刀」

「…………」

 

 と、名前を呼んだのにどこか寂しそうな表情を見せる一刀。

 

「どうした?」

「……いや、日本にいた時のこと思い出しちゃって」

(そういや……)

 

 普段の態度ですっかり忘れていたが、よくよく考えれば戦場に出てことなどあるはずもない高校生が戦乱の世に放り込まれているのだ。

 

(平和だった世界の事を思い出さないわけがない)

 

 それでもなお、上に立つ者としての姿をみんなに見せ続けていると考えると一刀の胆力に感嘆せざるを得ない。

 

「……なぁ、もしよかったらほん、一刀の高校の話を聞かせてくれないか?」

「俺の話? そんな面白くもないと思うけど……」

「いや、俺にとっては十分面白いさ。確か、聖フランチェスカだろ? 実は親戚の人がそこの卒業生だったんだよ」

「えっ!? そうなのっ!?」

「ああ。でも、最初に知った時は驚いたぜ。女子高だと思ってた学校の二年生だってんだから」

「その割にはあの時冷静じゃなかった?」

「そりゃ、あの時はなぁ」

 

 そこからは何のとりとめない雑談が続いた。飯を食べながら日本の話をして、ちょいと酒飲んでと延々と。

 

「うっそ、そんなの売ってたんだ……」

「ああ。んで、っと」

 

 気が付くと日が少し傾いていた。

 

「やべ、一刀、仕事は大丈夫なのか?」

「あっちゃ、まずいかも」

「ここは俺が支払っとくから、先に戻っていいぞ」

「え、でも」

「あとでその分くれればいいさ」

「んじゃ、ごめんっ! また後でっ!」

「ああ」

 

 一刀がそう言い残して城の方角へ駆けていったのを見届けてから盃に少し残っていた酒を飲み干す。

 

「……うまいな」

 

 いつだったか、相席した酒飲みのおやじに言われたことがある。

 

「“心が満ちてりゃ肴なんぞなくても酒は美味い”だったか」

 

 成程。酔っぱらいの言ってることなんて大して気にしていなかったが、これに関しては本当らしい。

 

「……土産でも買って差し入れてやるか」

 

 俺は席から立ち上がり代金を支払うと再びぶらりと街を歩き始める。大通りに出ると、夕餉の食材を買いに出て来たのか、人通りが心なしか多くなっているような気がする。

 

「さて」

 

 何を差し入れようか。できれば時間が経っても美味くて、片手間でも食べられるやつがいいだろう。

 

「……乾物の棒でも持ってくか」

 

 意作業しながら食べるのに向いてるんだよな、あれ。

 

(塊でしか売ってなかったら俺の方で切っとくか)

 

 さて、買うものが決まったのであれば店に向かうことにしよう。

 

「乾物屋はっと……」

 

 まぁ、歩いていればそれらしき店は見つかるだろう。幸いまだ時間はある。俺はそう思って一歩踏み出したら、

 

「お、お嬢ちゃんっ! かわいいねぇ! 一個おまけで付けちゃうよっ!」

「え〜っ! ほんとぉ! 嬉しいっ!」

「…………………」

 

 ギッギッギッギッという音がふさわしい速度で首をその声がした方へ回してみると、そこには饅頭を頬張る姉がいた。

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はいどうもおはこんばんにゃにゃにゃちわ。作者の風猫です。

 

皆さんっ! メリークリスマス!

 

今日一日、読者の皆様はどうしてましたか?

 

作者は本日「ブラックナイトパレード」を見て来たんですよ。

 

めっっっっっっっっっっっっっっっちゃ良かったです。

 

いやぁ、ギャグが強めかな? とちょっと思ってたんですがとてもいい映画でした。

 

見終わった後の余韻がすっごく残っていて、久しぶりの感覚でした。

 

勢いで原作漫画を買ってしまおうかと思ったのですが、2月は北海道に行くので、我慢しましたが、落ち着いたら買うっ! と決意をしました。

 

皆さまも年末年始で映画見ようかなと思っている人はぜひとも見に行ってみてはいかがでしょうか?

 

さて、今回はここまでしましょう。

 

また次回、お会いしましょうっ!

 

 

説明
オリジナルキャラクターが蜀√に関わる話です。

大筋の話は本編とほぼ同じですが、そういったのがお嫌いな方はブラウザのバックボタンをお願いします。
































ちゃんとオリジナルの話もありますよ?(´・ω・)
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鬼子 蜀√ 真・恋姫†無双 

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