グスタフ & メルジーネ
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説明
田舎町、田畑と住宅街の間のエリアを通っていると民家に併設された古びた模型店を見つける。

「こんなころに模型屋あったっけ?」

MMブーム、第一次ガンプラブームことは子供たちでにぎわっただろう店は田舎町においても時代に取り残されていることは瞭然であり、パッケージが日に焼けて埃をかぶった商品は回転率の低さを示していた。
何かを期待したわけではない。
店主から冷やかし御免と難癖をつけられるかもしれない。
それでも一度中を見なければ気が済まない、そう決意してチラシの貼られた引き戸を開けて店内に入る。
予想通り狭い店内。かすかにカビともシンナーともつかない匂いがする。
店主は奥に引っ込んでいるようだ。棚を上から下まで見回す。見つける。
狭い店内の更に片隅、まごうことなきマシーネンクリーガー、いや、SF3Dのパッケージだ。いくつもある。
定番のA.F.S.やナッツロッカー以外にも1/35ファルケなんかもある。
ファルケは1/35は企画倒れと聞いたが実際は少数が生産されて販売されていたのか!
迷うことはない。値札と財布を見る。十代のお小遣いだからいくらも入っていない。
家に帰って貯金箱からお金を持って来よう、そうして店を出る。
でも知っている。この店には二度と来ることができないしキットを買えないことも。

なぜならこれは夢だからだ。何度も見た模型の夢だ。

★☆★☆★

2022年8月完成

模型を長く作っている人なら欲しくても買えなかったキットの一つや二つはあるでしょうし、夢の中の模型屋さんってのは何度も見たかと思います
自分はファインモールドの1/72三式戦II型(水滴風防)やモノグラムの1/72 F-16XLなどがありますが、一番渇望していたのはマシーネンクリーガーでしょう
模型を本格的に始めた90年代末には月刊モデルグラフィックスでマシーネンクリーガーが大きく取り上げられていた時期で順次再販が始まりますが、山間の田舎町に入荷することはありません
それでも雑誌では特集が組まれたり売っていることがさも当たり前のように読者投稿がされており気持ちは募るばかり
当然イベント販売のファルケやグラジエーター、ドールハウスはなんか夢のまた夢です
その後通販でS.A.F.S.、グスタフ、ジェリー、クレーテを入手しますが、パイプスプリングがうまくくっつけられなかったりタミヤエナメルでウォッシングして破壊したり、親と一緒に東京に行った際新宿さくらやでモデルカステンのメルジーネを見つけるも¥5300と高価すぎて当時の小遣いでは買えなかったりするのも今となっては思い出の一ページです

キットはグスタフがニットー、メルジーネが3Qモデルで、グスタフにはメルジーネのパイロットを載せています
あとメルジーネが配備される頃にはグスタフは陳腐化が進んでいると考え、戦力格差を埋めるためにロケット弾と腰アーマーの追加という形で武装と装甲の強化がなされているとし自家製3Dプリント部品で追加しました
ついでに持ち手も加工しますが直角に持つのは不自然だと感じたので手首に角度をつけ、そうすると今度は腕が長すぎてゴリラ感が増すので下腕を少し切り詰めました
塗装は大戦末期のドイツ重戦車をイメージし緑二色に
コブラの柄っぽく見えたので蛇の頭のマーキングを自作デカールで再現

〜シュトラール軍 第893装甲猟兵連隊 ”スネークヘッズ(蛇頭団)”
旧東アジア地域に展開した同部隊は部隊名を地域に以前存在したと伝えられている民間団体からとっているが、昔のこと過ぎて何の団体かは記録が失われており隊員たちも詳細は知らない〜

という俺ストーリーを作って完成です
昔はこれで傭兵軍のS.A.F.S.と対等に戦えるってメルジーネのほうが好きだったのですが、今はグスタフのほうが模型映えするから好きになりました
顔面丸出しってのが海外SF的な怖さ(エイリアン2のパワーローダやマトリックスのAPU)があってナイスですね

そんなマシーネンクリーガーも今はメルジーネが二種類もインジェクションキット化され、ファルケもグラジエーターも家電量販店で入手できるほどに商品が充実したのは慶賀の至り、常春の日々が日常と化して久しいですが、それゆえあの日感じた憧れ、渇望は過去のものになったのかと少し寂しい気もします
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1/20 Ma.K. マシーネンクリーガー 

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